ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

【付録】トリチウム(核実験で生成されたものは今は)

[ 2019/07/01 (月) ]
初回公開日:2019/10/12


本エントリーは、トリチウムとは?危険性は?海洋放出量の基準値は?(以下、本編と記載)の付録の位置づけです。

大気圏内核実験で生成されたトリチウムは現在どうなっているのか?について考えてみました。

関連資料から

トリチウムの性質等について案参考資料
出典:多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(第7回)‐配付資料(経済産業省 2018/2/14)
の資料5-2『トリチウムの性質等について案』のP5

この記載の中段部分には、2点の問題がある。(この資料は『案』なので目くじらを立てなくても、とは思いますが。)
  • その1:存在量の計算年は、平成22年(2010年)ではなく、平成29年(2017年)←計算すると数値が合わないので発見!
  • その2:生成量と存在量が混在している。

それを修正したのが下表。
核実験の生成量と2017年の存在量
核実験の生成量と2017年の存在量

2017年の存在量
2017年の存在量
後述するように、単純に面積比で計算しているこの表は意味がない。

4.8%が存在しているのに、ちょっと整合しない事実

雨水中のトリチウム濃度は、核実験当時の0.4%以下に落ちている。
【本編から引用】

日本の降雨中の濃度は、1963年頃は100Bq/Lになっていた。大気圏内核実験の前は0.2~1Bq/Lで、現在はそれと同じオーダーに戻ったと推測されている。
トリチウムのグラフ04


ヒントは天然起源の放射能の存在の記載にあった

【本編から引用】

(1) 天然起源

大気圏上層で、高エネルギーの一次宇宙線によって生成された二次宇宙線に含まれる中性子が、窒素あるいは酸素核反応を起こしトリチウムができる。その量は7.2京(7.2×1016)Bq/年ほど。(桁数が多いので意味もなく)質量換算すると201g になる。
トリチウム08
生成されたトリチウムは容易に酸化してトリチウム水になり、大気水蒸気・降水・地下水・河川水・湖沼水・海水・飲料水、そして生物の体内に広く分布する。半減期が12.3年なので、無限に増えることはなく全地球に存在する量は一定値になる。
その量は127.5京(1.3×1018)Bq*1(水素原子として質量3,550g)で、65%が海水(その半分弱が深海←普通の水より11%重い*2ので)、27%が地表と生物圏、7%が大気中にある(UNSCEARの報告書)。
*1 96京(0.96×1018)Bqとする資料もある。
*2 分子量の比が20/18=111%


(2) 大気圏内核実験による生成 (フォールアウトトリチウム)

1963年の大気圏内核実験停止条約締結までに天然起源存在量の200倍程度のトリチウムが放出されたと推定され、その結果として環境中のトリチウムレベルは大きく増加した。1963年以降は核実験起源の大気中トリチウムは物理的崩壊および海水中への移行により、減少傾向を示している。しかし、海洋との接触が少ない大陸では核実験起源のトリチウムがまだ残っている。

以上から推定した結論

核実験起源のトリチウムは、50年以上経過した現在、そのほとんどが深海に存在し、人類に影響する環境中には、ほとんど存在しない。従って、下図の中に、現在の存在量を記載するのは誤解を招く可能性があると思われる。
【本編から引用】

5.まとめ:トリチウムの生成・排出・存在量

トリチウムについての“様々な量”を記載しましたが、いずれも桁数が多いので、大小関係がイメージしにくいです。
わかりやすく並べた資料を見つけましたので、引用します。
(以上に記載した数値と少し違う部分もあるが、オーダーとしては合致している事を確認した。文献による違いかと。)

トリチウムの生成・排出・存在量
トリチウムの生成・排出・存在量
スケールの上が『環境中のトリチウム』、下が『原子力発電所等人工由来排出量』。
出典:
多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(第8回)‐配布資料(経済産業省 2018/5/18)の資料2-2


現在の雨水中のわずかなトリチウムは常時作られている天然由来のものと思われる。
[ 2019/07/01(月) ] カテゴリ: 自然放射線の勉強 | CM(0)
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