ポストさんてん日記

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再生可能エネルギー出力制御(需給バランスでの発電抑制)の基礎的なこと

[ 2018/10/17 (水) ]
10月13日(土),14日(日)に九州電力で全国初の再生可能エネルギー出力制御が本格実施されました。
この機会に、実施の意味やルールなどの概要を勉強しておきます。
このお話でも、正確に伝えない大手メディアが存在するようです。能力不足というよりイデオロギー(再エネへの盲目的賞賛)による恣意的なものかも。

目次

1.同時同量の原則
2.出力制御の順番(優先給電ルール)
3.春や秋の休日に大きな出力制御が必要になる
4.(太陽光の出力制限までいかない)通常の出力制御の例
5.なぜ、九州で必要になったか?
6.出力制御は発電事業者に周知されている事
7.メモ

1.同時同量の原則

“電気というエネルギーは発電と同時に消費されていくという特徴がある” 。 これを“ 同時同量の原則”という。
電力会社では、季節や曜日による変動、その日の気温などを鑑み、毎日、どのくらいの電気が消費されるかをリアルタイムで予測し細かな発電計画を立てて、設備を止めたり動かしたりしている。
企業や家庭の使用量(需要)と発電量(供給)が常に一致しないと周波数が乱れ、最悪の場合、発電所の連鎖停止でブラックアウトにつながる恐れがある。
北海道地震のように電力不足のケース以外に、電力が余る場合でもブラックアウトは発生する。

2.出力制御の順番(優先給電ルール)

電力会社が管内の電力需要に対して供給量が上回る場合にどう調整するかは、国が定めた「優先給電ルール」に基づいて決まっている。
出力制御の順番(優先給電ルール)
実施

順序
実際の運用
1
2
3
貯水式の水力発電の出力制御
揚水運転による余剰電力消費
火力発電の出力制御
4他地域への送電
5バイオマスの出力制御
6太陽光・風力の出力制御
7原子力などの長期固定電源の出力制御
詳細は6項のとおり

3.春や秋の休日に大きな出力制御が必要になる

暖房や冷房の需要が少ない春や秋(一年の中で最も電力の需要が少なくなるのは5月と10月)、それも工場が休みになっていることの多い休日などは、電力需要は年間のピーク時の半分程度になる。しかも、春や秋の昼間というのは、天候に恵まれれば、太陽光発電が年間でもっとも発電する時。

4.(太陽光の出力制限までいかない)通常の出力制御の例

下の図は、2017年4月30日の九州地方の電力の需要と供給を示したもの。
  • 4~6時:需要の増加に揚水発電で対応。(昼に揚水動力(ポンプでの汲み上げ)が必須なので上ダムをできるだけ空けておく)
  • 6~18時:夜明けとともに太陽光が増加し13時前後に最大になる。火力等の抑制・停止と揚水動力で吸収。
  • 1時頃:最大で需要全体の73%(565万kW)の太陽光を受け入れた。
  • 18~22時:日没とともに太陽光はゼロ、不足分を火力の出力増と揚水発電で対応。
2017年4月30日の九州の電力需給実績
2017年4月30日の九州の電力需給実績
5.なぜ、九州で必要になったか?

2012年のFIT(再生可能エネルギー固定価格買い取り制度)開始以降、太陽光は全国的に急増。
九州は総面積や総人口、電力消費量などがそれぞれ全国の1割程度を占め、日本の「1割経済」とも呼ばれるが、土地が安く日照条件が良い九州での太陽光の導入量は全国の2割弱を占めており、関東の31%に次いで2番目に大きい。

6.出力制御は発電事業者に周知されている事

再生可能エネルギーの出力制御については、FIT法(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法)に定められ、太陽光や風力の発電事業者には無補償で出力制御に応じてもらうというルールが最初から設定・周知されている。(年間の日数等の上限の範囲内で適用される。)
今回対象となる契約件数は10kW以上の太陽光で2万4000件、風力で60件。その内、抑制されるのは1万件弱。発電業者間での公平性や透明性の担保が電力会社の運用として重要になる。

優先給電ルールは正確には以下のとおり
実施

順序
電力広域的運営推進機関の
「送配電等業務指針」(経済産業大臣が認可)
に定められているルール
1一般送配電事業者があらかじめ確保する調整力(火力等)(電源Ⅰ)
及び一般送配電事業者からオンラインでの調整ができる火力発電等(電源Ⅱ)
出力抑制
及び 揚水式発電機の揚水運転
2一般送配電事業者からオンラインでの調整ができない火力発電等(電源Ⅲ)の出力抑制
3連系線を活用した広域的な系統運用(広域周波数調整)
4バイオマスの専焼電源の出力抑制(次項を除く)
5地域資源バイオマス電源の出力抑制
(燃料貯蔵や技術に由来する制約等により出力抑制が困難なものを除く)
6自然変動電源(太陽光・風力)の出力抑制
7電気事業法に基づく電力広域的運営推進機関の指示
緊急時の広域系統運用
8長期固定電源(原子力、水力(揚水式を除く)および地熱発電所)
出力抑制

メモ

[ドイツ] 政府、出力抑制ルール変更を盛り込んだ再エネ法改正案を閣議決定(電気事業連合会 2019/1/15)
従来は再エネ電源の出力抑制は、従来型電源を最低出力まで下げた後でなければできなかったが、改正法案では再エネを抑制することによりその5~15倍従来型電源の抑制を回避できる場合は、再エネの出力抑制が可能とされている。
出力制御は再エネ普及に欠かせない!(竹内純子 IEEI 2018/11/28)
出力制御の九州での再エネ導入、やがて停電を招く可能性も(山本隆三 WEDGE Infinity 2018/10/16)
九電、土日に太陽光の出力を抑制、見えてきた「出力制御率」(日経XTECH 2018/10/15)
[ 2018/10/17(水) ] カテゴリ: 日本のFITに関する事 | CM(0)
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