ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

【その3】FITの制度導入や運用でやらかした人たちの記録

[ 2018/12/06 (木) ]
少し追記。2018/12/6
(上記までの追記記録は割愛)
初回公開日:2018/8/27



【その2】の続編です。
様々な異論反論があったFIT(再生エネルギー特別措置法)立案が2011年なので、失政失策の原因者である政治家・学者・官僚・民間人の特定は容易です。
既エントリーに何度か書いてますが再度まとめ直しました。
なお、いずれも旧聞に属するお話です。

目次

1.制度導入時のお話
  成立の経緯
  世界的に観ても異常に高い制度スタート時の太陽光買取価格【追記】
2.制定前から多々あった基本的な指摘【追記】
3.関係する官僚の方々
4.参入の主役は、一部のIPP、不動産屋、投資家、影の主役は大手メディア
5.太陽光発電の悪しき制度「49kWの罠」(櫻井よしこ)
6.第5次エネルギー基本計画に『2020年度末までの間に抜本的な見直し』と記載された
7.関連エントリー

1.制度導入時のお話
成立の経緯がいびつで、基本的な指摘が多く、おかしな法律

成立の経緯

2011年に、反原発イデオロギーそのものの菅直人元総理が退陣条件の一つとして法律の成立を上げ、エネルギー全体の政策がない中で、孫正義*1がしゃしゃり出たりして、脱原発の風の中で制度の導入が決まり、2011/8/30に成立、2012/7/1から施行された。
当時は東日本大震災の混乱時で、立法府がやるべき事は他にいくらでもあった中での稀代の悪法の制定であった。(民社党政権の悪しき実績)
“脱原発のためなら少しぐらい電気料金が上がっても”という錯覚を利用した詐欺に近い、とも言われた。

菅 孫 太陽光02
再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度導入を訴える集会で、「私の顔を本当に見たくないのであればこの法案だけは通したほうが良い、という作戦で行こうと思います」と挨拶する菅元総理、それに呼応して「粘り倒して!この法案だけは絶対に通して欲しい!」と絶叫する孫社長。その他の人寄せサポーターズ?2011/6/15

*1 孫正義氏に関連する補足
SBエナジー株式会社(2011/10/6設立、代表取締役社長:孫正義)はソフトバンクグループの完全子会社であり、FITを利用した太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギー発電事業を行うIPP

(公益財団法人)自然エネルギー財団は孫正義氏が設立(2011/09)し現在も会長を務める。
2015年11月時点の話題では、自然エネルギー財団の役員2名が、河野太郎行政改革相主導の「行政事業レビュー」で意見を述べる参考人(エネルギー・地球温暖化対策分野では3名)になっている。
自然エネルギー財団特任研究員:高橋洋都留文科大学社会学科教授(電力自由化偏向の強い主張を持っている)
自然エネルギー財団事業局長:大林ミカ氏(過去に国際再生可能エネルギー機関(IRENA)、さらには原子力資料情報室にいた)

【参考】自然エネルギー財団への疑問-その構造と主張-(その1)(その2) (竹内純子 IEEI 2015/2/9,12)

なお、民社党政権の悪しき実績とはいえ、その後現在に至るまでそれを放置した自民党政権の責任も問われて然るべき。(手遅れであるが、この点に関してだけはトランプ流にやってほしかった。)

世界的に観ても異常に高い制度スタート時の太陽光買取価格

孫正義氏のロビー活動の影響が大きかったという論説が結構ある。

実質的に主導した官僚村上敬亮氏?

自己紹介:
2009年7月から地球環境対策室長として、地球温暖化問題の国際交渉に従事しCOP15とCOP16を担当。COP17対策でアフリカビジネスに熱を入れていたところ、2011年9月に急遽、資源エネルギー庁新エネルギー対策課長に異動。日本の再生可能エネルギー政策、特に固定価格買取制度の立ち上げを3年間にわたり担当


当時の調達価格等算定委員会のメンバー(敬称略)
植田和弘 京大大学院経済学研究科教授
2018/2/7の第36回まで委員長
驚いたことに、植田和弘氏は2013年8月から1年間、自然エネルギー財団の理事を務めている。孫正義氏が授けた論功行賞では?ここまで露骨だと笑ってしまいます。
辰巳菊子 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会理事
2018/2/7の第36回まで委員
和田武 日本環境学会会長
2015/2/24の第19回まで委員
(以下2名は現在も委員を継続)
山内弘隆 一橋大大学院商学研究科教授
2018/8/2の第37回から委員長
山地憲治 地球環境産業技術研究機構(RITE)理事
山内弘隆氏,山地憲治氏の委員就任に対しては、盲目的な再エネ推進団体からの反対の声(PDF)があったのでむしろ適任であったかと。一方、この資料の中でも植田和弘氏はちゃんと推薦されている。(他に推薦されていたのは大島堅一氏、飯田哲也氏)

ちなみに、植田和弘委員長の下では、色々と懸念をだした学者・研究者の声はほぼ全て消されてしまった、との論評も目にする。当時、民主党政権下でのマスコミの再エネ絶賛という背景も大きい。
山内弘隆委員長に交代した後、現在進行中の動きに激変している。

【メモ】
再エネ業界に大激震をもたらすFIT法告示改正案(宇佐美典也 GEPR 2018/11/13)
太陽光、価格引下げで「経産省VS業界」大紛糾(岡田広行 東洋経済オンライン 2018/12/2)
未稼働太陽光:年間1兆円の売電収入はどうなるか?予定通りに全量買取りか、制度改正して消費者負担増抑制か?(石川和男 JBpress 2018/11/22)
再エネのコスト削減 “事後的修正”の荒療治を (石川和男 サンケイビズ 2018/8/23)

2.制定前から多々あった基本的な指摘

ごく一部のみピックアップすると、
  • 太陽光に資金が集中する可能性が高く再エネ全体の増加という本来の目的から外れる。
  • そもそも、太陽光の特性である間欠性・変動性のため、原発の代替えには成り得ないうえに、バックアップ用の火力にも限界がある。
  • 電気料金の持つ基本的な性格である逆進性を増長する。
  • 家庭用太陽光を設置できるのは高所得者のみで所得移転が発生。
制度制定以前からこのような指摘、さらには制定後も廃止を求める論説なども多々あった。

一方、逆に、イデオロギーやビジネスの面で、この制度による何らかの恩恵を受けている方々も多いようである。皆さん最近は声が小さいようですね。個別に挙げるときりがないので些末な例だが、この方に再登場いただく。
2018年9月の北海道の地震後の電力不足で、火力発電という“インフラ”に依存する太陽光発電は非常時には供給電力として役に立たない事が公知の事実として認識された。例えると、小学生が遊んでいる時に、人数に余裕がある時は幼稚園児を“みそっかす”として暖かく輪に入れてもらえる(適用されるルールもあまくする)が、人数が遊び成立ギリギリの時は参加できないといった扱いと同じ。
太陽光・風力が全面復旧したのは、火力発電所の調整力の確保ができた14日午後(ブラックアウトから約1週間後)であった。
(住宅用太陽光を自立運転に切り替え、昼間多少なりとも電気が使えたという家庭はあったらしい。)

3.関係する官僚の方々 (村上敬亮氏については前述)

官僚の方々にとって制度導入を決めたのは“政治の責任”であり、かつ運用の中では、ご自分達にとって最も重要な予算確保の必要がない制度なので、制度改善の取組スピードや内容が鈍るのは必然。
例えば、補助金制度や優遇税制などの場合は、対策のために予算を割く必要があり、それは「どこから持ってくるか」の議論や折衝を欠くことはできないし財務省の査定ハードルを越えなければならない訳だが、この制度は、消費者が電気料金で負担するだけ(電気料金で100%支えるビジネス、総額も青天井)なので、官僚としての葛藤を感じる必要はないであろう。
もしかすると、天下り先が増える?というメリットがあるのかも。(○○財団とか○○協会とか)

また、参入事業者の丸儲けの実態、太陽光パネルの設置が環境破壊を招いている実態、台風によるパネル飛散・架台倒壊などの二次災害などがあるが、脇があまい・いい加減な法律不用意に作って不真面目に運用した政治・行政の方に問題があるとも言える(制度設計ミス、責任は?)。
ちなみに2017/4/1からの制度改定後も、FIT導入量や発電種類を直接コントロールする仕組みはない。

宇佐美典也氏が一般論として述べたtweetコメントがFITにもピッタリ当てはまる。

日本の官僚機構というのは初めの枠組みさえよければそれをきちんと維持して発展していく能力に富むが、初めの設計がわるいと誤魔化し誤魔化しその枠組みを延命させることになる。



4.参入の主役は、一部のIPP、不動産屋、投資家、影の主役は大手メディア

「乱開発」,「空枠取り」,「小分け」,「事後的過積載」,「里山破壊」などの合法的不正を多発させた。(違法行為もあるようだ。)
本を正せば、太陽光の買取価格が世界的に観ても異常に高いことが誘引したモラルハザードといえる。
大手メディアがそれを問うこともない。これはメディア自身が反原発・太陽光賛辞の記事を多発していたためであろう。
特に、朝日新聞や東京新聞は再エネについて、美辞麗句に酔ってるかのような一方的盲目的報道に偏重してきた。

5.太陽光発電の悪しき制度「49kWの罠」
櫻井よしこ 産経ニュース 2018/9/3

【ごく一部のみ引用】
「旧民主党は東日本大震災の原発事故を受けて太陽光発電ありきで走ってしまった。自然再生エネルギーの前向きな評価だけに基づいて制度設計しましたが、当時は予想できなかった事態の発生に内心じくじたるものがあります」
「言論テレビ」でこう語ったのは、静岡6区選出の旧民主党、現在は国民民主党副代表の衆院議員、渡辺周氏だ。
氏は、同じく静岡県選出の細野豪志氏とともに8月22日、「伊豆高原メガソーラー訴訟を支援する会」の幹部らと資源エネルギー庁を訪れ、地元で進行中のメガソーラー建設計画の許可取り消しを求めた。かつて原発ゼロ政策を方向づけ、再生エネルギー優先策を打ち出した彼らが、なぜいま、異議を唱えるのか。
「本来は環境に優しいはずの太陽光発電が環境を破壊し、CO2削減のはずが山林の大規模伐採でCO2を吸収する樹木を切り倒しています。住民を幸せにするどころか、感情を逆なでしています。太陽光発電自体に反対なのではありません。しかし、起きている現実には反対せざるを得ません」と渡辺氏。
伊豆高原では、韓国資本の「ハンファエナジージャパン」が104ヘクタール(東京ドーム約20個分)に相当する緑の高原を買い取り、その約半分の森林を伐採し、12万枚のギラギラのソーラーパネルを建設する大規模計画が進行中だ。伊豆高原の緑豊かな景観は一変するだろう。静岡県と伊東市、住民がこぞって反対するゆえんだが、業者は8月10日、森林伐採に着手してしまった。
伊豆高原のみならず全国各地でいま起きている地元住民の反対運動は、太陽光発電が当初予想から大きく外れて、暴走し始めたことを示している。暴走は、太陽光が悪いからではない。菅氏らの制度設計が欠陥だらけで太陽光発電をボロもうけの手段に貶(おとし)めたからだ。
業者に莫大(ばくだい)な利益をもたらす枠組みの中でも、とりわけあしき制度が「49kWの罠(わな)」である。
「49kWの罠」は、50kW未満の事業には一切の規制がかからないことを悪用した開発の仕組みである。あまりにひどいため平成26年3月末に打ち切られたが、それ以前に結ばれた契約はいまも有効で、次々と工事に入っている。
罠の背後には大手事業者が存在する。彼らは山林などを大規模に買収し、49kW以下の発電に見合うよう分譲する。相場は2千万円前後、利益率は年10%以上といわれる。20年で4千万円の利益を生み出すこんな取引がゼロ金利の時代にあるのだ。

【メモ】
経産省「地元と共生できない業者は資格取り消しも」 韓国系企業の発電所建設計画で、静岡・伊東市住民らが陳情(産経ニュース 2018/8/22)

6.第5次エネルギー基本計画に『2020年度末までの間に抜本的な見直し』と記載された
【その2】から再掲

遅きに失した、としか言いようが無い。

PDF エネルギー基本計画 平成30年(2018年)7月

第2章 2030年に向けた基本的な方針と政策対応
第2節 2030年に向けた政策対応
3.再生可能エネルギーの主力電源化に向けた取組
(3)FIT制度の在り方(P43~44)
制度等の再生可能エネルギー源の利用の促進に関する制度について、コスト負担増や系統制約の克服、卸電力取引市場や電力システム改革に伴い整備される市場との連動等の課題を含め諸外国の状況等も参考に、再生可能エネルギー源の最大の利用の促進と国民負担の抑制を、最適な形で両立させるような施策の組合せを構築することを軸として、法律に基づき、エネルギー基本計画改定に伴い総合的に検討し、その結果に基づいて必要な措置を講じるとともに、2020年度末までの間に抜本的な見直しを行う。


迫るFIT法“抜本見直し”/再エネ自立へ新支援策を模索
電気新聞 2018/08/14

20年度末までにFIT法を抜本的に見直す方針は、同法の付則第2条に盛り込まれている。政府関係者によれば、法案の策定時、「抜本見直し」とはFIT法の廃止を意味していた。国民負担で再生可能エネを普及させるFITは、過渡的な制度という認識が背景にあった。


関連エントリー

【その1】太陽光バブルの実態、「太陽光エネルギー」という人災
【その2】FITの失敗をデータで確認、太陽光FITの費用対効果は?
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[ 2018/12/06(木) ] カテゴリ: 日本のFITに関する事 | CM(0)
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