ポストさんてん日記

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【基礎05】T細胞の種類・分化ついての基礎的な全体像

[ 2018/06/26 (火) ]
追記。2018/10/13
初回公開日:2018/6/26


4年ほど前に、“免疫”の基礎について勉強して、そのノートをエントリーにしています。
 【基礎02】免疫とは~自然免疫、獲得免疫、細胞性免疫、体液性免疫など
 【基礎04】アレルギーとは~免疫の副作用、発症メカニズム、治療の原理など 
その中では、『ヘルパーT細胞は2種類ある』という理解でした。
ところが、最近、少し詳しい一般書を読んでいたら色々な名称が出てきて、そのレベルでは理解が追いつかないことが分かりました。
今回は、T細胞の分化についての基礎的な全体像のみ勉強してみました。

(ここは、既エントリーから転記です)
6.免疫細胞は造血幹細胞で生まれ、骨髄、胸腺、脾臓、リンパ節で成熟

免疫細胞は他の血液細胞と同じく、造血幹細胞で生まれます。造血幹細胞は胎児のときは肝臓に、生まれてからは骨髄にあります。
造血幹細胞

造血幹細胞02
B細胞は造血幹細胞から生まれた後、骨髄(Bone Marrow)の中で成長します。だからB細胞。なお、B細胞が成熟して抗体を合成するようになったのをプラズマ細胞という。
T細胞は生まれてすぐに胸腺という胸骨の裏側にある臓器へ移動した後に成長します。胸腺というのはT細胞をつくるためだけにあるといってよい臓器で、T細胞のTは胸腺(Thymus)のTです。
T細胞は自己の細胞に反応せず敵(非自己)にのみ反応するよう胸腺で教育される。
T細胞の一番の特徴は、各々のT細胞が独特な「目」(T細胞受容体:TCR)で対象を認識できることである。多様なT細胞受容体:TCRは、発生中の各々のT細胞の中でTCR遺伝子のDNA配列がランダムに再編成されることで作られている(遺伝子再構成という驚くべき仕組み)。ランダムな再編成の強みは、理論上、膨大な数の多様な形の受容体を作り出すことができることである。しかし一方で、ランダムに作ったがゆえ、使い物にならない受容体もできるし、自己の細胞の成分(自己抗原)に強く反応するT細胞もできてしまう。
そこでT細胞は胸腺の中で、使い物になるTCRをもったものだけ選別され、使い物にならないものは死ぬように定められている(「正の選択」とも呼ばれる)。そしてこの正の選択の後も、さらに選別は続く。多少なり使い物になる細胞の中で、自己抗原に強く反応しすぎないT細胞だけが生き残り、自己抗原に強く反応するTCRを持ってしまったT細胞は死ぬように定められている(「負の選択」と呼ばれる)。これは、自己抗原に強く反応するTCRをもったT細胞が成熟して身体中をめぐってしまうと、自己の細胞を攻撃してしまい都合の悪いことになるからと考えられている。
【参考】 T細胞はどこでどのようにつくられるの?(河本宏研究室 京都大学再生医科学研究所)

B細胞T細胞はそれぞれ骨髄胸腺で一応の成熟を遂げて、血液中へ出て行きます。ただし、このままの状態で免疫細胞として活躍するわけではありません。免疫反応を起こす現場で、さらに練り上げられ、磨き上げられ、役に立つ細胞へと分化していくのです。ここで免疫反応の現場というのは脾臓リンパ節のことです。

T細胞の種類・分化の全体像についての理解
基礎的素養がないブログ主作成なので誤りがあるかも知れません。

02T細胞の分化 Th1 Th2 Tfh 濾胞性 Th17 Treg 制御性 TCD4_キラーT CD8_キラーT

ヘルパーTにTh1/Th2があることが提起されたのが1986年、Tregは1995年、Tfhは??、Th17は2005年に同定された。

以前に『サプレッサーT細胞』というものが考えられていたが、現在ではその存在自体が疑問視されている。(日本人が発見し免疫反応を抑制し終了に導く細胞ということで一時盛んに研究の対象となった。)

CD4+T細胞は主要組織適合抗原MHCクラスII上のペプチド(やや長い、13基~のアミノ酸配列)を認識し、CD8+T細胞は、MHCクラスIに載せられたペプチド(8~10基のアミノ酸配列)を認識する。


【追記】下記を読むと、上図に疑問をもちます。
免疫のはたらきを時間から理解する - 制御性T細胞とは何か
実は現在の免疫学の(さらには多くの医学生物学の)測定データの殆どが「スナップ撮影」にすぎない。
小野昌弘 ハフポスト 2018/8/2

実は現在の免疫学の(さらには多くの医学生物学の)測定データの殆どが「スナップ撮影」にすぎない。そして時間の間隙は、想像で埋めることで理論が組み立てられている。これは自明のことだけれど、この問題の重要性に気がついていない人が多い。実際、免疫学の陥りやすい誤謬の大きな原因はここにあるのは間違いないと思うのだが、書かれていない・聞いたことがない話を書いても、何のことかと思われるのが関の山であろう。だから、ちょっとその背景を詳しく書いてみたいと思った。
本記事では、免疫反応を抑える役割に特化しているとされる「制御性T細胞」についての最新の3論文を紹介する。これは筆者自身の研究の話でもあるが、退屈な自画自賛をする気はさらさらない。免疫療法に深くかかわっている「制御性T細胞」の隠された歴史と今後の展望を伝えたいまでである。
以下、小見出しとごく一部のみ引用
1.エレファントマン臨床試験と制御性T細胞
2006年にいよいよ世界初の制御性T細胞を標的した免疫療法薬TGN1412の臨床試験が行われたのである。臨床試験の舞台となった英国では、この臨床試験は、試験薬により多臓器不全に陥った患者の惨状から「エレファントマン臨床試験」として知られる。健康だったボランティアが投与後数十分以内に血圧低下・酸素低下といった医学的ショック状態になり、多臓器不全に陥り、四肢切断にまで至ったという惨劇である。
少し詳細を書くと、この制御性T細胞を標的にした免疫療法薬TGN1412は、CD28というT細胞の活性化経路を刺激する抗体である。しかしCD28という分子は、T細胞の活性化の根本にあるもので、CD28を刺激すれば、全てのT細胞が刺激されて免疫反応を起こすことは学生でも知っている。そして実際に臨床試験では体の全T細胞が活性化して生体活性物質であるサイトカインを異常に産生し、免疫細胞をみさかいなく刺激することで血液循環まで変調させるという「サイトカインの嵐」と呼ばれる状態に陥ったのである。これは基礎研究の制御性T細胞の理論に欠陥があると考えるべきではないか。

2.制御性T細胞の根幹の論文が追試不能であるということーThere is no such thing like Treg
ひとことでいえば、今皆が思っているような特別な制御性T細胞は存在しないようだということがわかった。
3.心理学に学んで免疫システムを理解する
この方法により制御性T細胞のデータを解析してみると、予想した通り、制御性T細胞は特別でもなんでもなく、他の活性化T細胞とよく似ているのである。
つまり、いま免疫学者や腫瘍研究者の多くが信じているように、免疫の警察官としてはたらくように生まれた制御性T細胞が腫瘍に対する免疫反応を抑えにわざわざ腫瘍までやってきているのではなくて、腫瘍に対する免疫反応がおこっているうちに、過剰反応しているT細胞の一部が制御性T細胞としての役割をもつようになっているようだ、ということである。

4. T細胞の生体内時間をはかるーTocky(とき)の開発
このTocky技術をつかって炎症がおきている組織内でT細胞がどのように変化しているか解析すると、実際に活性化T細胞から制御性T細胞が出現していることがわかった。
つまり、いまの免疫学の教科書に書いているような、制御性T細胞は特別に発生した「警察官」細胞である、という視点は間違いで、個々の細胞に「ギャング」と「警察官」の役割をもつ時間がありうるということがわかった。
このことは、制御性T細胞は他のT細胞と異なるとして区別して研究すること自体が危険だということことを示している。たとえば、制御性T細胞を標的にしたと思っていても、次の瞬間にはその細胞はエフェクターT細胞になっているかもしれない。これでは精密な免疫療法の開発は無理である。

5.結語
ここまで制御性T細胞を利用した免疫療法(TGN1412)の臨床試験(エレファントマン臨床試験)からの12年の自分の研究を振り返って見た。エレファントマン臨床試験が大きな事故・惨劇に終わったことに、基礎免疫学の制御性T細胞研究者は責任があると思う。そして私は専門家として12年かけて一定の責任は果たしたと自負している。
本記事で紹介したのは、数千の論文があふれる制御性T細胞分野におけるたった3つの論文である。分野が変化するにしてもまだ時間はかかるだろうが、この記事・論文で免疫学・医学生物学の将来の展望が垣間みられるようなら本望である。


以下は、参考にしたサイトからの引用です。
アレルギー疾患・自己免疫疾患とエピゲノム
IHEC(国際ヒトエピゲノムコンソーシアムThe International Human Epigenome Consortium)

エフェクターT細胞

ヘルパーT細胞は、そのもととなる細胞(前駆細胞)が骨髄で誕生した後、心臓の上にある胸腺に移動して、ナイーブT細胞(Th0細胞)という役割の決まらない状態のT細胞として生まれます。胸腺を出たナイーブT細胞は身体の隅々の末梢のリンパ組織を循環しており、抗原の刺激を受けると、抗原の種類や環境に応じて役割の決まったエフェクターT細胞Th1細胞Th2細胞Th17細胞制御性T細胞)へと分化します。
【図の補足】
*衛生仮説:先進国でアレルギー性疾患が増加した理由としてStrachanが提唱した「乳児期までの不衛生な環境がアレルギーの発症を低下させる」という理論。衛生的な環境ではTh1細胞の成熟が起こらずTh2細胞が優位になるため、アレルギー疾患が起きやすいと考える


図1 胸腺におけるCD4陽性T細胞への分化と末梢における分化および機能の発現
胸腺におけるCD4陽性T細胞への分化において,その運命はおもに自己抗原に対する親和性の強度により決定される.末梢にでたナイーブT細胞は,抗原刺激の性質に応じ異なったサブタイプのヘルパーT細胞もしくは制御性T細胞へと分化し,最適な免疫応答をひき起こす.


CRTAMの刺激がキラー細胞を誘導

T細胞はCD4陽性T細胞CD8陽性T細胞に大別されます。
CD4陽性T細胞は、抗体を分泌するB細胞の働きを助ける「CD4陽性ヘルパーT細胞」へ、
CD8陽性T細胞は、インフルエンザなどのウイルス感染細胞やがん細胞を殺傷する「CD8陽性キラーT細胞」へ分化します。
ところが、CD8陽性キラーT細胞は感染が慢性化すると、殺傷力が弱まります。すると、それを補うようにCD4陽性T細胞の一部が殺傷力を持った「CD4陽性キラーT細胞」へ分化して働くようになります。


図1.ナイーブT細胞から様々な系列へのエフェクターT細胞への分化

CD4陽性細胞に焦点を絞った説明。

ナイーブT細胞は、活性化された時に存在するサイトカインなどの細胞外環境によりTh1Th2TFHTh17Treg細胞などの特異的な機能を持ったT細胞へと分化していくことになる。しかしこれら分化したT細胞の有する特異的な機能は完全に固定化しているわけではなく、ある程度の可塑性がある(つまりTh1Th2へと変化など)と考えられている。以下それぞれのエフェクターT細胞の分化や機能について概説したい。
(略)
(3)TFH細胞
これまでIL-4などのサイトカインを産生するTh2細胞がB細胞による抗体産生やクラススイッチには重要であると考えられてきた。一般的にB細胞の産生する抗体のクラススイッチには同一抗原を認識するエフェクターCD4陽性T細胞とB細胞との協調作用が必要であるが、この反応の場は二次リンパ組織内に存在する胚中心で行われると考えられている。
最近になりIL-21IL-6依存性に誘導され、かつCXCR5というケモカインレセプターを発現し、胚中心に局在する特殊なT細胞(濾胞性T細胞:TFH細胞と命名された)が、B細胞のクラススイッチやその後の抗体産生には重要な役割を果たしていることが明らかとなった。このような事実から、液性免疫の中心的な役割を果たしているのはTh2細胞ではなく、TFH細胞であるという新たなコンセプトが生まれつつある。
(4)Th17細胞
Th17は腸管などに多く存在しており、外界から侵入してくる細菌や真菌に対する免疫応答に重要な役割を果たしている。Th1が主に細胞内病原性細菌に対して防御的に働くのに対して、Th17は細胞外で増殖する細菌に対して機能を発揮する。
これまでTh1やIFN-γが病態の主な原因であると考えられてきた実験的自己免疫性脳脊髄炎モデル(多発性硬化症類似モデル)やコラーゲン誘導関節炎モデル(関節リウマチモデル)などの病態の増悪に関与しているのは、Th17であることが最近明らかにされた。
(5)制御性T細胞(Treg細胞)
過剰な免疫応答をブロックする集団も生体内には存在する。その代表的な細胞集団が制御性T細胞(Treg細胞)である。Treg細胞は大きく分けて胸腺内で自然に生じてくるnatural Treg(nTreg)細胞と、末梢組織においてサイトカインなどの刺激により生じるinduced Treg(iTreg)細胞の二種類に区別される。
3.メモリーT細胞
同じ抗原の曝露が持続しない限り、エフェクターT細胞は1~2週間後には90%の細胞が死滅する。一部の残存したT細胞はその後大きく分けて二つの細胞集団へと分化していく。一つはセントラルメモリーT細胞(TCM細胞)であり、もう一つはエフェクターメモリーT細胞(TEM細胞)である
このような二種類のメモリーT細胞が長期間にわたり生存することで、同一の病原体が再度侵入してきた場合に速やかな免疫応答を発動することが可能となる。


メモ

T細胞(フィットネスの勧め)
●PDF:濾胞性T 細胞による抗体産生の制御(堀内周、上野英樹、2015)
免疫担当細胞の種類・表面抗原と機能
出典:PDF:T細胞の分化(福島県立医科大学)

関連エントリー

【基礎01-1】ウイルス、ワクチン、抗ウイルス薬
【基礎01-2】原虫・蠕虫、2015年ノーベル生理学・医学賞
【基礎02】免疫とは~自然免疫、獲得免疫、細胞性免疫、体液性免疫など
【基礎03】抗体とは~免疫の飛び道具
【基礎04】アレルギーとは~免疫の副作用、発症メカニズム、治療の原理など
【基礎05】T細胞の種類・分化ついての基礎的な全体像←本エントリーです

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[ 2018/06/26(火) ] カテゴリ: 生物・医学の基礎 | CM(0)
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