ポストさんてん日記

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フルクトース(果糖)の代謝はグルコース(ブドウ糖)と違う

[ 2018/05/15 (火) ]
生理学の基礎について、素人勉強を進めてそのノートをこのカテゴリにまとめてきましたが、実は後回しにした項目が2つありました。
今回は、その内の1つ、(糖質の代謝の宿題としていた)フルクトース(果糖)の代謝を勉強しました。もう1つは乳酸で、準備中です。

目次

1.まずは、フルクトース(果糖)とは
2.“フルクトース(果糖)は危険な糖”は半分正しいが、通常の摂取量なら心配なさそう。
3.フルクトースの代謝
4.フルクトースの多量摂取には注意
5.異性化糖の多量摂取にも注意
6.関連エントリー

1.まずは、フルクトース(果糖)とは

読んで字のごとく、果実類やハチミツに多く含まれている単糖類。糖の中でもっとも甘味が強い。
実際にフルーツに多く含まれているが、グルコース(ブドウ糖)も結構含まれていて、くだものの種類によって様々な割合で混在している。
果物に含まれる糖質の種類
グルコースと同様に炭素原子が6個からなる6炭糖、分子式は共にC6H12O6
詳細は別エントリー『炭水化物』は、糖類、糖質、食物繊維。おまけで人工甘味料、お酒のカロリーにあります。
2糖類の砂糖=ショ糖(スクロース)はグルコースとフルクトースが1対1で結合したもの。(消化の過程でグルコースとフルクトースに分解され小腸で吸収される)

2.“フルクトース(果糖)は危険な糖”は半分正しいが、通常の摂取量なら心配なさそう。

フルクトース(果糖)はグルコース(ブドウ糖)よりも数倍AGEs(糖化最終産物)を作りやすく“危険な糖”と言える。
AGEs(糖化最終産物)については、別エントリー糖尿病の目標値 HbA1c とは、AGEsとはにまとめています。
【参考情報】

化学的に,全ての糖はリング状の構造をとりますが,液体中,すなわち生体内中では常に一定の比率で開環状態になることが知られます.この開環時に,ちょうど鎖の一方が空いた状態となった際に蛋白に結合するのが,糖化現象です.フルクトースはこの開環する率がグルコースの約300 倍にも達するため,生体にとり極めて危険な糖である可能性があります.

出典:PDFフルクトース摂取の功罪(山内俊一 2009/4)

一方で、フルクトースはグルコースとは代謝経路が全く異なっており、血液中には殆ど放出されない。
消化された後、小腸上皮細胞の細胞膜に配置されているフルクトース専用のトランスポーター(GLUT5)から取り込まれ、門脈を通って肝臓に運ばれ、ほとんどがそこで代謝される。

生体内にフルクトースが取り込まれる際の「関門」になっているのがGLUT5という膜輸送体である.GLUT5は腸管上皮細胞の頂端膜に局在し,摂取した食物からフルクトースを選択的に吸収する働きをもっている。

出典:哺乳類フルクトース輸送体GLUT5の構造と分子機構PDF(野村紀通、岩田想 2016)

AGEsを作りやすい“一種の毒物”から身を守るため、全身血流にまわらないように、肝臓で解毒しているということ。
参考までにグルコースの代謝経路は別エントリーにあります
しかし、果糖は余った分をすぐに中性脂肪として合成させてしまうという欠点がある。

3.フルクトースの代謝

肝細胞の中で、一部はそのまま解糖系へ進んでエネルギーとして利用されたり、アセチルCoAを経て脂肪酸合成(さらには中性脂肪)へ進む。しかし、一部は糖新生へと逆行しグルコースに変換されるのでその分は血糖値を上昇させる。
結果として、肝臓を素通りして全身血流に入るフルクトースはごく少量となっており、実際に末梢の血を採って調べると、フルクトースの濃度はグルコースの濃度の500分の1ほどになっているとのこと

復習として、グルコースの代謝から図のみを転記します。
エネルギー代謝

エネルギーの産生経路
出典:第14回 食肉の栄養 -ビタミン-(九州食肉学問所 九州肉屋.jp)

代謝の詳細は、ブログ主の理解力を超えるので、以下、概略的に。
解糖系に組み込まれエネルギーに、余った分は脂肪酸合成
肝臓に存在する酵素によって代謝され、複数のルートで解糖系(グルコースの代謝)に組み込まれる。その酵素活性は、インスリンに影響されないので、糖尿病患者でも正常の速度で代謝すると言われる。

しかし、取り過ぎると、APT合成に必要な量よりも多くのピルビン酸(とアセチルCoA)がつくられることになり、余ったアセチルCoAから脂肪酸合成で最終的にはトリグリセリド(中性脂肪)に変換され、VLDLを増加させ、脂質異常症などを来たす恐れがある。(この辺りはグルコースの脂肪酸合成と同様)

なお、解糖系から派生して乳酸を作る流れもある。(勉強中)

糖新生に組み込まれグルコースに転換
(アミノ酸の糖新生と同様のルートで)ピルビン酸からグルコースが生合成される。
グルコースに変換された分は血糖値(血液中のグルコース濃度)を上昇させる。果糖のGIは20程度。
空腹時に投与されたフルクトースは、66%がグルコースに変換されると言われる。
グリセミック・インデックスGI : Glycemic Index)(数値は出典により少し異なる)
GIは食品中の炭水化物が、食後血糖値を上昇させる潜在能力を数値化した指標で、この数値が高いほど血糖値を上げるスピードが速い。
具体的には、空腹時に炭水化物50gを摂取した際の摂取2時間までの血糖値の時間変化をグラフに描き、その曲線が描く面積によってGI値を計算する。グルコース(ブドウ糖)のGIを100として個々の食品のGI値を算出。
各食品のグリセミック・インデックス(GI値)

スローカロリー03

【参考】
GI値参考表(ダイエットガイド河口哲也) 
【力説!】グルコース以外の単糖類の解糖系への合流とは?(ゆとり世代代表 管理栄養士のブログ)
果糖の代謝(脂質と血栓の医学)
果糖がよくない理由を調べてみた(これ知ってるかい! 2017/11/3)

4.フルクトースの多量摂取には注意

果物やハチミツは、とても有用な栄養素やビタミンや酵素やミネラルなどを含むので、適量ならとても健康的な食品だが、取り過ぎには注意する必要がある。

フルクトースの摂取による食後血糖値の上昇はグルコースやショ糖を摂取した場合に比べて少ないが、多量の摂取は脂質異常症 (高トリグリセリド血症や高コレステロール血症) 、インスリン抵抗性、内臓脂肪の増加などの原因となりうる。また、果糖を大量に摂取すると、浸透圧性の下痢を引き起こす。

出典:国立健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報

厚生労働省、農林水産省が作成した『食事バランスガイド』などでも健康のためには果物を1日200g程度摂取するとよいという目安が表示されている
健康日本21
・フルーツを約200g(食事バランスガイド:厚生労働省、農林水産省)
・フルーツを200g以上(毎日くだもの200g運動:農林水産省推奨)

日本糖尿病学会では1日1単位(80kcal)
【日本糖尿病学会】糖尿病患者の推奨一日フルーツ摂取量

5.異性化糖の多量摂取にも注意

異性化糖の正式名称は、高フルクトース・コーンシロップでトウモロコシから作った果糖(フルクトース)の液。
トウモロコシ、馬鈴薯あるいは甘しょ(サツマイモ)のでんぷんを科学的に分解してぶどう糖液糖にし、それを酵素またはアルカリと反応させ、ぶどう糖より甘味の強い果糖に異性化(原子の種類・数が同じで、原子の配置が変化して別の分子に変換)させ作る。
1960年代後半、日本の研究者が、砂糖の代替として世界に先駆けて大量生産の道を開いた。キューバ革命により砂糖を輸入できなくなった米国の大手清涼飲料メーカーがこれに着目して、世界的に売り出した結果、広く普及した。

ブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)の比率(結合してない)によって、4種の食品添加物規格がある。
日本の食品の原材料名でよくあるのは、果糖ブドウ糖液糖(果糖含有率が 50% 以上 90% 未満)。
砂糖の甘みの強さ(甘味度)を100とすると、ブドウ糖の甘味度は65~80、果糖は120~170。果糖は冷やした方が甘みを強く感じることから、清涼飲料水には果糖を多く含んだ果糖ぶどう糖液糖がよく使われる。

異性化糖は固形化・粉末化が難しく、砂糖のように袋詰めにできないので、一般消費者向けにはほとんど販売されていない。
異性化糖の価格は安く、果糖分55%の異性化糖の場合で砂糖の約7割程度。食品分野では、清涼飲料・パン・缶詰・乳製品などで砂糖と同様に大量に使われている。清涼飲料水において普及が進み、今では砂糖類の需要の4分の1程度となっている。

関連エントリー

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[ 2018/05/15(火) ] カテゴリ: 生理学・栄養学の基礎 | CM(0)
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