ポストさんてん日記

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大阪大学医学系研究科甲状腺腫瘍研究チームによる甲状腺がん記事に関する見解

[ 2018/03/05 (月) ]
大阪大学医学系研究科甲状腺腫瘍研究チームが、NHK、共同通信、毎日新聞の甲状腺がん記事に関する見解を発表されているので、全文を引用させて頂きます。

目次

1.2018年3月1日 毎日新聞
2.2018年3月1日 NHK、共同通信
3.参考エントリー

【記事の第一センテンス】
NPO法人「3・11甲状腺がん子ども基金」(事務局・東京)は1日、東京電力福島第1原発事故後、甲状腺がんと診断され療養費を給付した114人(福島県内84人、県外30人)のうち、県外の子どもらに重症化の傾向があることを明らかにした。甲状腺の摘出手術後、再発の危険性が高いとして放射性ヨードを服用する「アイソトープ治療」を受けたのは福島県内2人(2%)に対し、県外11人(37%)だった。
ブログ主注:記事全文は甲状腺がん:福島県外の子どもらに重症化傾向沢田石洋史記者 毎日新聞 2018/3/1)

【記事についての見解】
早急に訂正記事を出すべき
おそらくNPO法人の見解をそのまま書いたのではないかと思いますが、記者が内容をきちんと理解して書いたのであれば悪質なデマ理解せずに書いたのであれば著しく不勉強です。
福島の症例は甲状腺超音波検査によって超早期に見つかった甲状腺がんであり、本来治療が不要であった例を多数含んでいます。これに対して、他県の症例は首にしこりがある、等でかなり進展してから見つかった症例です。条件の全く違うこの2群を比較することは意味がありません(統計学の基本中の基本です)。
例を挙げましょう。こんな記事なのです。「A市の住民100人を調べたらインフルエンザの患者が一人しかいなかった。B病院の外来患者で100人調べたら10人のインフルエンザの患者がいた。B病院ではインフルエンザが流行っているので注意が必要です。」誰でもおかしなことを書いているのはすぐわかるでしょう。このような記事は県外の親御さんに不必要な不安をあおって健康被害の拡大につながります。また、若年者の甲状腺がんの場合、症状が出現してから治療を開始しても経過は良好ですので不安を感じる必要はありません。



【記事の第一センテンス】
東京電力福島第一原発の事故のあと甲状腺がんと診断された子どもの支援を行っている民間の基金が、子どもたちの手術後の経過を調べたところ、およそ1割に当たる8人ががんを再発して再手術を受けていたことがわかりました。
ブログ主注:記事全文は
 原発事故 甲状腺がんの子ども 約1割の8人再発し再手術(NHK 2018/3/1)
 甲状腺がんの再発1割、福島 原発事故当時6~15歳(共同通信 2018/3/1)


【記事についての見解】

  • 1.福島の子供の再発率は非常に低い
    子どもの甲状腺癌は増殖能・転移能ともに強く、再発しやすいことが知られています。1900年代のアメリカのデータでは約40%, 2016年のイタリアのデータでは、甲状腺全摘と放射線治療のフルコースの治療を行った子どもでも約15%に再発しています。
    福島県では非常に抑制的な手術が行われていると聞いていますので、通常ならばこれらより再発率は高くなるはずですがそうなっていません。再発率は非常に低いとみるべきです。またアメリカ、イタリアのデータでは、再発例であってもその後死亡したケースは極めて稀です。
    再発したから経過が悪くなる、ということを考える必要はありません。さらに言うと、これら再発例の多くは術後1年以内です。甲状腺がんは通常の経過では年単位でしか増大しませんので、子どもの甲状腺がんの場合、生検や手術といった侵襲的な操作が再発を誘発し、寝た子を起こした形になっている可能性も否定できません。
  • 2.超音波による早期診断・早期治療は無駄である
    今回再発した子どもは臨床的な症状がでて発見されたものではなく、超音波で偶然見つかった症例であると思われます。すなわち、超音波によって通常より早期に発見され、手術で早期に治療されたものです。
    それでも再発したということは、超音波検査による早期発見・早期治療では再発を防げない、ということを明確に証明しています。これは、子どもの甲状腺がんは周りに広がる性質が強く、超音波でしか見つからないような小さな段階から首のリンパ節には広がってしまっているからです。ただし、そのような状態でもそのほとんどはいずれ成長を止めますので命をとられることはないです。
  • 3.福島県では甲状腺がんの過剰な治療が行われている可能性がある
    再手術をされた8名の子どもについてですが、最初の手術は必要であったのでしょうか?超音波検査をしなければ最初の手術の段階で甲状腺がんがあることはわからなかったはずです。すなわち再発時に首のリンパ節が腫れてきたのがわかった時点で手術すれば手術は1回で済んだのです。
    最初の治療は早く見つけすぎたことによる無駄な手術であった、ということになります
    さらに、1回目の手術の後は再発が無いかどうかは超音波検査によって確認されていると思われます。そうであるとすれば、再発があった、ということも超音波によってはじめてわかった症例もあるものと思われます。
    そのような子どもたちは超音波検査を受けなければ現在どうなっていると考えられるでしょうか。まだ自分に甲状腺がんがあることさえ知らずに、1回も手術を受けていないはずです。このように、子どもの甲状腺がんを診断・治療する場合、そのタイミングを間違えてはいけません。早すぎる診断・治療は子どもに大きな負担をかけます。特に、超早期で見つかったものを、「まだ小さいから」という理由で切除範囲を縮小して手術すると、後々何回も再発に悩まされることになりかねません。
 このような専門的な内容を含む報道情報提供者の見解を一方的に伝えるのではなく、きちんとした専門家のコメントと一緒に報道されるべきだと思います。報道機関の方々にはご自身が福島の子どもたちにとって加害者の立場になりえることを自覚した上で慎重な報道を望みます。共同通信の記事には専門家の意見が記載されていますが、匿名でしか意見を述べることができない専門家のコメントは信用に値しません



3.参考エントリー

不安、恐怖を煽る崎山比早子氏、専門家?としてもルール違反
(メモ)『3・11甲状腺がん子ども基金』に関係している人たち

【メモ】
甲状腺がんとは-先進国で増えるがん(杉谷巌 メディカルノート 2018/6/11)
甲状腺がん いっそがんと言わない方がいいのかも 大阪大学頑張れ(中村ゆきつぐ  BLOGOS 2018/3/5)
[ 2018/03/05(月) ] カテゴリ: 甲状腺がんに関する事 | CM(0)
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