【小見出しとごく一部のみ引用】
- 5年も続いている福島県産米の全量全袋検査
- 99.99%以上が検出限界未満
- 検査結果の周知が進まない
- 莫大なコストがかかっている
- 風評被害がこわい
- “全”検査を求める国民性
- 震災後も、全品検査で安心
- 国際標準はシステム管理なのに…
- 科学的な安全vs.消費者の安心
- 追記
福島県主催の「米の全量全袋検査の今後の方向性に係る検討会」が18日開かれ、全量全袋検査を数年続け、検査結果に問題がない場合に、野菜や牛乳等で行われている「モニタリング検査」へと移行するという方向性がまとまりました。
【小見出しのみ引用】
止まらない風評被害、どうしたらいい?
データから語ろう
実は抵抗感は減っている
そして、全量全袋検査を知っている人も減っている
とっても大事な検査結果も……
進む風化と関心低下
これは業者による買い叩きではないのか?
それは一体なにか?この調査結果を見てほしい。
まずは徹底して事実を伝えよ
「ハイレベルな検査体制のもと、基準値以下が0だったという結果こそが最大のブランド価値だと思うのです」
【ごく一部と小見出しのみ引用】
大胆に整理してしまえば、この問題は次の3項目に集約されるように思う。
(1) 米の放射性セシウム含有量はほぼ管理され、食のリスクという観点からは問題がない
(2) 米の全量全袋検査は、野菜や肉等、ほかの食品について行われているサンプリングによる検査とは異なり、多額のコストがかかっている。検査装置や米袋の運搬装置等の耐用年数切れが近く、もうそろそろ今後の方向性を決める必要がある。
(3) しかし、県は検査を「風評被害」対策の一環でもある、とみなしている。消費者、生産者等、関係者の心情は一様ではなく、検査の継続を求めている人もいれば、もう検査は必要ないと思っている人もいて、県はまだ方向性を決めかねている。
- 全量全袋検査に、どれほどのお金がかかっているか?
2012年からずっと、測定下限値(25Bq)未満が99%以上。2015年、16年は基準値超過はない。- 今後考えるべき6つの項目
- 検査見直し求める声
- メディアの責任を問う声
「社会に安全だという共通理解が産まれないことについては、メディアの責任が大きい。日本学術会議が先日、子どもの放射線被ばくの影響と今後の課題についての報告を公表したが、大新聞は伝えていない。なのに、検査縮小というような内容については手ぐすねを引いて待っていて批判する。県にとってよかったね、という話は報道しない。検査をしていることをちゃんと報道しようとしているのか。私にはそのようには思えない」- 県は「意見を活かしてゆく」
【一部のみ引用】
食品中の放射性物質の今後の検査のあり方を考えるリスクコミュニケーションが1月30日、福島県郡山市で開かれ、来年度の国の検査の方向性が明らかとなった。
会場には参加申込者60数人と関係者など計80人あまりがいて、説明に聞き入った。ディスカッションでは、パネリストから、これまでの結果に基づく検査効率化に賛同する意見が多く出た。
これに対して、会場の消費者からは「今までどおり、検査を続けて欲しい」という意見が複数出た。「ひと一人の命は地球よりも重い。一人の命を救えるのだったら、40億円は全然多くない」と言った消費者もいた。消費者団体の幹部の方は、「今後も検査は長く継続を」と願う人が多い、というアンケート結果を示した。
食品が抱える微生物由来の食中毒や重金属、天然由来の発がん物質等のリスクに比べれば、原発由来の放射性物質のリスクははるかに小さい。反対するにせよ、リスクの科学的な評価についてはわかってほしい、それを踏まえて心情から来る反対論について堂々と展開してほしい、と願うのだが、一部の消費者にはなかなかリスクを理解してもらえない。なんとももどかしい。
2日に東京会場であったリスクコミュニケーションでも、検査縮小に反対意見が多く出たことが、毎日新聞で報じられている。
一方で、これまでの個人的な取材経験等も踏まえれば、それが消費者を代表する意見ではない、とも私は考える。昨年、福島県と消費者庁共催で行われた2回のリスクコミュニケーションでコーディネーターを務め、約600人に参加していただいたが、会場から「検査縮小した方がよい」という意見も出た。
リスクコミュニケーションについて連投します。
— 松永 和紀 (@waki1711) 2017年2月3日
放射性物質の検査縮小のリスコミが話題になっていますが、平日の午後、来られる人たち、という段階で、ものすごくバイアスがかかっている。しかも、4省庁連携という規模のリスコミなので、一部の人たちにとっては大舞台、パフォーマンスの場です。
そこで、会場から出た意見が消費者を代表しているわけではない。
そりゃあ、どうしてわかってくれないの、とか、検査結果をもう少しきちんと見て発言してくれないかなあ、などと登壇した者としては思いますが。
このような場を設定してしまうなんて、国の工夫が足りない、という指摘もありますが、平日の午前中に開催したところで、それほど変わらないのです。
結局、国を追及し失言を引きだそうとする団体関係者と、そうはさせじ、と守りに入る役人、という構図になります。とくに東京では。
国も、このようなリスコミは特殊な舞台だ、ということはよくわかっているので、その内容でなにか方針決定するわけではない。これからたくさんヒアリングするとのことです。そこで、どれくらい大勢の雰囲気をつかめるか。多様なルートを確保して声を把握できるか。それがカギだと思います。
*1 ごく一部のみ引用農林水産省のリスク管理の上でのリスクプロファイルシートもかなり充実してきました。
やっと放射性セシウムもお目見えしました(PDF:570KB)。この資料は検査結果の表が特に圧巻!*1で、これだけの数の検査というたくさんの人の努力のことを思うと胸が熱くなります。
このリスクプロファイルシートでの放射性物質の検査結果については、食品中の放射性物質検査結果について(平成23年度~平成27年度)(PDF:1,066KB)(2016/8/29(福島県)、9/2(東京都)に開催された関係府省による食品に関するリスクコミュニケーションで使用した資料)*2を見て、その検査費用の推定*3なども出ていたりするのが、事故から5年経ったのだなと思います。
少し前から『個人的に気になる事』は、放射性物質の検査をいつまで・この規模で継続するのか?ということです。
最近、その手の情報が少しづつ、出てきているので、注目しています。
【参考情報】
放射性物質、検査にかかるコストは?(FOOCOM.NET 松永和紀氏 2016/9/1)
検査の終わり方。いつ、だれが、鈴をつけに行くのか?(FOOCOM.NET 斎藤勲氏 2016/8/23)
松永和紀氏のtweet(9月5日)
1000万円かけて、「検出限界未満」という結果をずらり並べて安心を得る。それを、日本中で自治体やJAや企業などがこぞってやっている。食品にはほかのリスクがさまざまある中で、原発由来の放射性物質という非常に小さなリスクに、貴重なリソース、コストをかけていいの?
ただし、日本人は検査を過大に評価するところがあって、「検査されていると安心」という市民の心情は、無視してはいけない。それも大事。なので、対応は難しい。先週金曜日の4府省主催のリスコミでも、そんな話をしました。とにかく、実態を知ってもらう努力は続けなければ。
icchouさんのこのところの関心について、先のコメントの最後の食品中の放射性物質検査結果について(平成23年度~平成27年度)(PDF:1,066KB)34ページに、とても大事なメッセージがあります。
これまでの検査結果、検査に要した費用(人件費除く)等々の間に25文字のために1枚使ってます。
何だか最初に見た時の記憶と文章が違う気もしますが、とても大事な問いかけなのだと思います。
恐らくは、検査計画に則ったサンプリング検査のみへと軟着陸していくことになると思います。ただし、同時にBSEの全頭検査の本当の終了でも今は動いている時でもあるでしょうし、検査している安心感に対して、全量検査項目(米やあんぽ柿? 福島の重要な産物であるほだ木も? あるいは水産物は?)の結果の集積もされています。
科学的にサンプリング検査でよいことを示すこと、よりよいサンプリング計画などの提案とその納得を得ていくための大事な流れだと思います。
ということで、消費者が「これからの検査について、みなさんはどう考えますか」の問いかけに答える番なのかもしれません。
生産者、検査している人たち、その結果を公表する人たち…私たち消費者がそれを本当の意味で受け止めて、答えるのはいつになるのでしょう。
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管理人:icchou
非常勤講師
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000156399.html
きめ細かく品目の分析とそれに基づく検査計画や頻度などなかなか読みごたえがあります。