ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

【HPV4】池田修一信州大学医学部長(厚生労働省研究班の代表)の発表とメディアの反応

[ 2016/04/11 (月) ]
厚生労働省によるヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に生じた症状に関する厚生労働科学研究事業成果発表会(2016年3月16日)での池田修一氏の発表が騒ぎを巻き起こしました。
素人なりに、まとめてみます。

池田修一信州大学医学部長(厚生労働省研究班の代表)のプレスリリース
『子宮頸がんワクチン接種後の神経障害に関する治療法の確立と情報提供についての研究』

メディアが興味をもって報道したのは
●HPVワクチンの副反応といわれている患者は共通のHLA型を持っていた。
●複数のワクチンをマウスに接種する実験で脳への障害も副反応として疑われる。
である。
ネット上での専門家による批判の集中砲火を浴びて、収束の方向にあるようだが、患者さんたちヘの悪影響が懸念される。

【メモ】
HPVワクチンの副反応?に対する報道(2016/3/16)についての物言い(simbelmynë :: diary 2016/3/18)
HPVワクチン報道;確信犯なら放送法適用してほしい(BLOGOS 中村ゆきつぐ 2016/3/20)
「本当にマスコミだけの問題だったらまだましなのかもしれない」 ~子宮頸がんワクチン関連の池田班発表資料と報道の問題について~ Togetter by s_matashiro(@glasscatfish)さん 2016/3/27
HPVV報道のNF-κBp50 欠損マウスの解説 Togetter by paku♉(@PAKU)さん 2016/3/18
子宮頸がんワクチンと遺伝子 池田班のミスリード 利用される日本の科学報道(前篇)(WEDGE Infinity(ウェッジ) 村中璃子 2016/3/24) 
*1子宮頸がんワクチン「脳障害」に根拠なし 誤報の震源は医学部長 利用される日本の科学報道(中篇)(WEDGE Infinity(ウェッジ) 村中璃子 2016/3/29) 
【追記】【厚労省】平成28年3月16日の成果発表会における発表内容について(2016/4/18)

この発表会において、一部報道で取り上げられたように、・・・。
このデータは、症状が出た方のみについて集計されたものであり、HPVワクチンと脳の症状との因果関係を示したものではありません。また、少数のデータであるため、約8割という数字は、確かなものとは言えないと考えられます。
したがって、このデータからは、HPVワクチンが記憶障害などを起こすと言うことはできず、この遺伝子を持っている方に、HPVワクチンを接種した場合、記憶障害などを起こす可能性が高いと言うこともできません。
上記の内容については、発表いただいた研究者にも確認済みです。


素人なりに理解したことは2点。
●科学的に間違いある発表であった。→池田修一氏の科学者としての能力の問題なのか?
●ミスリードがあった。→池田修一氏の資質の問題なのか?

結局、報道するに値しないプレスリリースであった訳ですが、健康問題などを始めとした様々な分野で問題となっているメディアと研究機関のプレスリリースとの相互依存的な関係の面で、今回はメディアの対応に特徴が出たようです。

各メディアの反応

2015年7月の池田修一氏発表の『共通HLA型を持っていた』の報道
報道したのは毎日新聞のみのようだ

今回の報道

共通の
HLA型
マウスによる
実験で
脳への障害
3/16TBS
NEWS23
岸井成格
子宮頸がんワクチン副反応『脳に障害』 国研究班発表
3/16テレビ朝日「子宮頸がんワクチン」接種 学習、睡眠障害も…
3/16日テレ
NEWS24
ニュース専用チャンネル
子宮頸がんワクチン副反応 白血球型影響か
3/17毎日新聞
朝刊
健康障害 患者8割、同じ遺伝子
3/17朝日新聞
朝刊
子宮頸がんワクチン 脳障害発症の8割で共通の白血球型
3/17中日新聞
朝刊
共同通信配信
脳の症状、免疫関与か 子宮頸がんワクチン研究班
3/20読売新聞
朝刊
接種副作用で脳障害 8割が同型の遺伝子 子宮頸がんワクチン
*2
検索洩れがあるかも知れません。
*2[訂正おわび]の記載あり 「同型を持つ日本人は約4割」とあるのは、「約6割」の誤りでした。確認が不十分でした。

“マウス”の件を報道したのは2メディアのみで、岸井成格のNEWS23を毎日系?とすれば、毎日系の(恣意的でないとすれば)科学的実力のなさ、(恣意的とすれば)HPVワクチン問題での取り組みの異常さがはっきりした結果でした。

その異常性の一側面を、村中璃子氏が鋭く指摘されている。(上記*1から引用)

今回もっとも詳しく報じたTBSのNEWS23は、東京・霞が関で成果発表会があった3月16日、当日夜の番組であるにもかかわらず、池田教授のロングインタビューを流している。取材場所も長野の研究室だろう。
翌日の新聞でもっとも詳しく伝えた毎日新聞の記事は、科学環境部の斎藤広子記者の筆によるもので、昨年7月にHLA型について最初に報じたのも斎藤記者。つまり、同じ記者が、保有率と遺伝子頻度を混同した記事を2度も書いている。もし池田教授が「途中段階で確たることは言えない」と本当に考えているのなら、7月から現在までの間に斎藤記者への情報提供を修正し、自身のプレゼンも誤解を生まないよう改めるだろう。
筆者からの質問に対し池田教授は、「TBS NEWS23については以前からこの問題をずっと取材しており、今回も合同班会議の後にその発表内容に関連した取材を鹿児島大学を含めて広く取材したと聞いております。また毎日新聞の斉藤記者には16日の発表した後にあの場で質問を受けましたが、事前に情報提供は行っておりません」とした。
日ごろからメディアの取材に積極的に応じ、自説の「日本人に特有のワクチン脳障害」という仮説を披露して、独り歩きしている不正確な情報を訂正する気がないことが窺える。


今回は、報道しなかったメディアがあるという事実に注目すべきで、各社の科学部のレベルの違いが現れた結果でしょうか。科学報道の品質レベルの違いが窺われます。

放射線報道などを含む一般論として、記者個人が固有のバイアスを持って、かなり偏向した記事を継続している場合、不良製品を世に出したとして会社組織に問題ありと判断できます。さらに、多く場合、訂正情報さえ発信されず、一般企業だったらリスクマネジメントとして落第でしょう。

関連エントリー

【HPV1】ヒトパピローマウイルス、子宮頸がんワクチン
【HPV2】子宮頸がんワクチン接種の経緯、利益相反、救済の動き
【HPV3】子宮頸がんワクチン、日本発『薬害騒動』の真相(メモ)
【HPV4】池田修一信州大学医学部長(厚生労働省研究班の代表)の発表とメディアの反応←本エントリーです

【メモ】
子宮頸がんワクチン報道;科学的素養に欠けるメディアの愚(中村祐輔のシカゴ便り 2017/8/29)
訴訟記録公開(守れる命を守る会)
「子宮頸がんワクチン問題」報道に転機(村中璃子 Japan In-depth:ジャパン・インデプス 2016/12/28)
子宮頸がんワクチン/厚生労働省研究班(研究代表者 祖父江友孝大阪大学教授)の全国疫学調査結果報告を受けてのコメントについて(日本産科婦人科学会 2016/12/27)

将来、先進国の中で我が国に於いてのみ多くの女性が子宮頸がんで子宮を失ったり、命を落としたりするという不利益が、これ以上拡大しないよう、国が一刻も早くHPVワクチンの接種勧奨を再開することを強く求めます。


新聞のネガティブ報道は健康政策に影響する1本の記事がHPVワクチン定期接種中止のきっかけに(大西淳子 日経メディカル 2016/11/15)
世界から強い批判を受けた日本の大新聞 子宮頸がんワクチンに関するメディアの偏向報道(上)(津田健司 JBpress 2016/10/11)
同上(下)(津田健司 JBpress 2016/10/12)
「率」の扱い-「子宮頸がんワクチンにまつわる計算間違い」の訂正(shinzorの日記 2016/5/29)
「子宮頸がん」ワクチンを総括する(BLOGOS 岩田健太郎 2016/5/23)
子宮頸がんワクチン論争 はっきり示された専門家の総意 小児科学会が投じた決着への一石(WEDGE Infinity 村中璃子 20616/5/17)
子宮頸がんワクチンとモンスターマザー(WEDGE Infinity 村中璃子 20616/4/22)
子宮頸がん予防ワクチンは"接種推奨" - 日本小児科学会らが見解示す(マイナビニュース 横山茉紀 2016/4/22)
放射能とワクチン 不安に寄り添う怪しげな「支援者」 対談 開沼博×村中璃子(前篇)(WEDGE Infinity 2016/4/20)
薬害訴訟の濫発に「科学的思考」で立ち向かい、真の「患者の利益」を守ろう ~子宮頚がん(HPV)ワクチン被害者の集団提訴に思う~(MRIC by 医療ガバナンス学会 Vol.089 河村真 2016/4/12)
「子宮頸がんワクチン訴訟」で明らかになった「情報」と「制度」の不足(上昌広 新潮社 Foresight(フォーサイト) 2016/4/7)
HPVワクチンとメディア と その周辺 (資料追加)(感染症診療の原則 2016/4/4)
「科学的思考」と「人道的配慮」を ~直ちにHPVワクチン接種を再開し、子宮頚がん患者の増加を防ごう~(河村真 MRIC by 医療ガバナンス学会 Vol.081 2016/4/1)
あなたはワクチンをどのように理解していますか?(毎日新聞 医療プレミア 谷口恭 2016/3/13)
HPVワクチン 接種後体調変化の報道 と その周辺(感染症診療の原則 2016/3/17)
子宮頸がん患者を「見殺し」にする国と朝日新聞…安全ワクチンの危険性を煽る(ビジネスジャーナル 上昌広 2016/1/16)
「エビデンス弱い」と厚労省を一蹴したWHOの子宮頸がんワクチン安全声明(WEDGE Infinity(ウェッジ) 村中璃子 2015/12/21) 
「因果関係確認できず」名古屋市の子宮頸がんワクチン調査とメディアの曲解(WEDGE Infinity(ウェッジ) 村中璃子 2015/12/17) 
HPVワクチン騒動は朝日新聞が作った「冤罪」か(先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門 上昌広 2015/12/16)
[ 2016/04/11(月) ] カテゴリ: 子宮頸がんワクチン問題 | CM(0)
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