ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

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機能性表示食品の問題点、“えんきん”、健康食品とは

[ 2016/03/18 (金) ]
畝山智香子さんの新著『「健康食品」のことがよくわかる本』(日本評論社)(Amazonリンク)を読んで、多くの問題があることが分かりました。勉強したことをまとめてみます。

機能性の表示ができる「保健機能食品」には、A:特定保健用食品(トクホ)B:栄養機能食品C:機能性表示食品、の3種類がある。
C:機能性表示食品は2015年4月1日に新しく始まったもので、A:特定保健用食品(トクホ)よりも敷居が低く、B:栄養機能食品よりも表現の自由度が高いのが特徴。

保健機能食品00
ああああああああああああ食品のうち
対象
評価者 手続き 主な文言例
A
特定保健用食品
トクホ
全般
(生鮮食品が認められた例はない)
消費者庁が許可国が科学的根拠を審査お腹の調子を整える
B
栄養機能食品
ミネラル5種類、ビタミン12種類のいずれかを含む(国が認めた基準に適合していれば可)条件が合えば必要なし国が定めた表現:カルシウムは骨や歯の形成に必要な栄養素です
C
機能性表示食品
全般企業が有効性・安全性を評価。販売前に届け出。企業が科学的根拠を提出脂肪の吸収を抑える

機能性表示食品の問題点

全体

消費者庁は事業者が提出した有効性や安全性を示す資料が不足なくそろっているかを確認するが、内容が正しいかどうかを確認するわけではない
どんな根拠があるかを示すのは事業者任せである。
事業者の説明に基づいて効果を判断するのは消費者任せになっている。だが、資料にある専門的な研究論文の妥当性を、特別な知識がない消費者が判断するのは難しい。
消費者団体や日弁連は「安全性に懸念がある」と見直しを求めている。

消費者庁の機能性表示食品に関する情報の『機能性表示食品の届出情報(3月16日更新)』の『機能性表示食品届出一覧 [EXCEL: 387KB]』をみると、
届け出が250点(内撤回が2)のうち、“サプリメント形状の加工食品”が129点、“その他加工食品”が118点、“生鮮食品”が3点、
であり、単なる『一般食品』で機能性の表示ができないサプリメントが、機能性表示食品に移行しているのが分かる。
これまでは新商品のトクホ認可を取ろうと思っても、有効性や安全性を確かめる国の厳しい審査に2年以上の時間と平均して5億円の費用が掛かることなどから、諦めざるを得ない商品が多かった。(1年以上、1億円以上との情報もある)
一方、機能性表示食品は、科学的根拠のある論文や表示内容を消費者庁に届ければ60日後に販売できるうえ、かかる費用も数百万円で済む。こうしたハードルの低さから参入メーカーが相次いだ。

【機能性表示食品のガイドライン】が定められているが問題が多い

届け出されたものでも、ガイドラインで提示された条件を満たしていないものがある。
●臨床試験
臨床試験は事前登録し、基準(対照群と比較した標準的試験方法であるランダム化比較試験を報告する際に必要な事項をまとめた「臨床試験報告に関する統合基準」)に従うなどの必要がある。
しかし実際には、臨床試験の事前登録については、『施行後1年(具体的には2016年4月)を超えない日までに開始された研究については、必須としない』という例外規定があるためにほぼ意味がなくなっている。試験の質を確保するために重要な項目なのにそれに例外を認める、ということは最初から骨抜きを狙っていたとしか思えない。
消費者庁の説明では臨床試験の事前登録が必要ですと強調しておきながら実際には事前登録された試験は最初の数十件の届け中にはほとんどないという状況なので、虚偽・誇大広告である。
●根拠となる文献(情報)は原則公開
建前としては消費者が開示された根拠を見て自分で判断する、ということだが、学術論文というのはそれを専門に評価している人間にとってすら評価が難しく、論文が信頼できるものかどうかが簡単には分からない。
●疑義への対応
個々の届け出内容についても各種消費者団体などが疑義を提出しているものの、疑義があってもそれに対応することが求められていないので、店頭で商品を見た消費者には情報が伝わりにくい。

ブログ主が感じた疑問

ファンケルのえんきん(2015年5月時点での状況)

タレントが“臨床試験済であること”を強調しているCMをよく目にします。HPにもその内容が記載されています。
ところが、その臨床試験は【機能性表示食品のガイドライン】に合致したものではなく、例外規定で標記可能になったものですね。さらには、本来は“臨床試験を行った結果がどうであったか”がポイントですよね。
それらを明示しないのは不誠実ではないでしょうか?
このあたりについての詳細な指摘があります。
機能性表示食品「えんきん」の根拠は、お粗末すぎる(FOOCOM. NET 松永和紀 2015/5/1)

(前略)
安全性や機能性などの資料を熟読しての個人的な感想は、「こんなレベルで、ここまで派手に機能性をうたってしまうのか!」だった。「業界の雄、この制度の検討会に社長が委員として出席していた“一流企業”が、ここまで無責任なことをするのか」とがっかりした。
(中略)
この論文が、科学ライター、ジャーナリストとしては、頭を抱える代物なのだ。論文の質が、一言で言えば低い。低すぎる。
掲載誌は、Immunology Endocrine and Metabolic Agent in Medicinal ChemistryのVol.14-Number.2。2014年に出ている。この雑誌は米国の国立生物科学情報センターが運営しているデータベースPubmedには収録されていない。
(中略)
この「えんきん」の論文は、試験参加者に行った質問表のデータの取り扱いの記述がない。これは、科学的には信用に値しない。普通の学術誌なら、査読を通過できず、間違いなく掲載拒否される。
(中略)
付け加えれば、この論文を掲載した雑誌のeditor in chief、つまり主任編集者は、内閣府の規制改革会議で「企業責任により機能性表示を」と旗ふり役を務めた森下竜一・大阪大学大学院教授である。
制度を作り、サプリメント企業最大手の研究者が出した非常にレベルの低い論文を、自らが責任を持つ学術誌に掲載し、「ちゃんと根拠があるのだから、表示していい」という体裁を作ってやっている、と見られても仕方がない。そして、論文があり書類が揃っているから、と受理した消費者庁……。
(後略)


『えんきん』の臨床試験論文を掲載している雑誌の出版社Bentham Science Publishersは(食品安全情報blog 畝山智香子 2015/5/1)

しかも論文みれば一目でわかるけれどReceived March 02 2015, Revised March 06.2015, Accepted March 07 2015。これは査読なんかしてない
そしてこの雑誌の出版社Bentham Science Publishersは「「オープンアクセスジャーナルの出版社」と「価値のないゴミ出版社」の境界を踏み越えた」と評されているpredatory出版社。


【追記】
(本エントリー公開後に気が付いたのですが)現在流されているCMでは、タレントが“臨床試験済”を強調する部分はカットされていて、その部分に短いナレーションが入っています。いつから変更になったのかは分かりませんが。

冒頭の畝山智香子さんの新著は、機能性表示食品のことだけではなく、健康食品全体の問題点を網羅しています。以下、“なるほど”を引用します。

  • 食品の安全性の基本となっているのは食経験とリスク分析で、リスク管理のための最良の方法は、リスク分散のために特定のものだけを食べずいろいろなものを食べるということである、ということを覚えておいてください。(p39)
  • 漠然と健康のために、不足しがちな生活の人に、と宣伝されているマルチビタミンやミネラルサプリの類は食品に分類されます。ここで改めて強調しておきますが、日本では基本的に医薬品以外は食品なのです。(p67)
  • 今の時代はインターネットなどを介して制度の異なる海外の製品が、それを知らない消費者でも簡単に手に入れることができます。そのような、各国の規制に適合しないいわゆる健康食品による健康被害はこれまで数多く報告され、死亡例もあることを知って、十分警戒しなくてはいけません。
    これまで海外で死亡事例を出してきたサプリメント類について、検出された主な物質と複数の国で対応がとられた事例を示します。(p86)
  • 販売されているイチョウサプリメントに、NTP(米国の国家毒性プログラム)で動物での発がん性が報告されているという情報提供をしているものがあるでしょうか?一消費者としては買わないのがベストとしか思いません。(p108)
  • (欧州で)認可できないと判断されたもののなかでいくつか注目すべきものとしては、「ヒアルロン酸が皮膚の保湿に役立つ」「コラーゲン加水分解物が関節の健康に役立つ」「グルコサミンが関節の軟骨の維持に効果がある」という申請などがあります。(p133)
  • (欧州では)日本の特定保健用食品(トクホ)で認められている「ラクトトリペプチドの血圧への影響」、「ジアシルグリセロールの減量に寄与(トクホ取り下げ)」、あるいはプロバイオティクス(ヨーグルトなどの乳酸菌や発酵食品)プレバイオティクス(ガラクトオリゴ糖など)の整腸作用は健康上のメリットがあるという科学的根拠はないと判断されています。(p133)
  • 日本でトクホとしで許可されているものでEFSA(欧州食品安全機関)の評価では科学的根拠がないとして却下されているものが複数あります。これは必要とされる科学的根拠のレベルが相当違うためです。つまりトクホに要求される水準は欧米に比べてかなり低いのです。(p145)
  • 一般の人たちが食品に医薬品の効果のような「機能」を期待してしまいがちな理由の一つにはメディアに溢れる「○○で△△が治った」、「□口にはこんな効果がある」といった研究結果の誇大広告があります。実際にはそのような報道のほとんどが科学的根拠とは言い難いものです。(p147)
  • いずれにしろ日本では、欧米では科学的根拠がないと判断されるような機能性を宣伝した食品が多く販売されている、という状況はしばらく続くでしょう。(p147)
  • 2014年5月、緑茶は健康によいというニュースが流れました。一部のニュースの見出しは「<毎日1杯でリスクが1/3に>緑茶を飲む習慣と認知機能低下との関連を発表-金沢大学」というものでした。もとになったのは金沢大学による「緑茶を飲む習慣と認知機能低下との関連を発見!」というびっくりマーク付きのプレスリリースでニュース報道はプレスリリースの内容をほぼそのまま伝えています。プレスリリースの文章は、(中略)
    これを見ると緑茶に非常に大きな効果があるように思うのは当然です。(中略)
    ところがプレスリリースには(中略)これは嘘はいっていないけれど統計を使って誤解させる方法です。(中略)
    前述のように、お茶を飲むことで認知症リスクが下がること自体が証明されたとはいえない状況で、もしそうならこうかもしれないという仮定に仮定を重ねた話を、あたかもすぐにでも認知症予防法が期待できる発表にしてしまっています。
    このプレスリリースを一般の人がみたら、とりあえずお茶を飲めばいいと考えるのは無理もないでしょう。そしてこのようなプレスリリースは実は多くの機関が毎日のように発表しています。(p159~163)
  • さらに、主要メディアが取り上げてニュースにするものには明確に一定の傾向があります。国民が喜びそうなもの、です。つまり日本ならこの緑茶のニュースのように日本食がいいといった類のものが好んで取り上げられ、欧米だとチョコレートやワインがいいというニュースが好まれ、韓国なら朝鮮人参やキムチが良いというものに人気があります。逆方向では、合成化合物が悪い、外国のものが悪いといったものも好まれます。(p164)
  • 結果として一般の人々は科学ニュースに日々接していながら、全体的な科学的事実とはまったく違う認識をするようになるのです。これはメディアと研究機関のプレスリリースとの相互依存的な関係によるもので、どちらか一方だけが問題があるということではありません。(p164)
  • ボハノン博士は「栄養に関しては、毎日がエイプリルフールである」と述べています。(p177)
  • このように「抗酸化」については、明確な測定法もなく、健康に何がどう影響するのかについての科学的根拠もない、というのが科学的コンセンサスです。(p186)
  • 一般的に「食品の機能性」を主張する人たちは特定の食品や成分について、血圧を下げるといったような医薬品の薬理作用に近いものを期待している場合が多いようです。しかし、もしそのような明確な生理作用をもつ特定の物質があるのであれば、それは医薬品として開発されるべきものです。天然物から単離・抽出されて医薬品となったものはたくさんあります。(p193)
  • ここで忘れてはならないことは、効果があるなら必ず副作用がある、ということです。(p193)
  • 錠剤やカプセル剤などの形態をもつ健康食品は、見た目からもわかるように、医薬品を擬態したものです。見た目と表示で医薬品に似せることで医薬品のもつ効果効能への保証という雰囲気を偽装していますがその中身はまったく違うものです。(p195)
  • そのなかでもっとも悪質なものが、治療法のない病気などで苦しんでいる人たちに売りつけられる「薬を使わなくてもこれさえ食べれば治る」という代替療法としての各種健康食品です。(p196)
  • とある健康食品業界の方が「機能性(きのうせい)食品は気のせい食品」と言っておられました。(p196)
  • どんな食品にもリスクとベネフィットがあるので安全な食べ方をすることで安全を確保するのです。そして安全な食べ方、というのは、いろいろな食品をバランス良く食べることです。特定の食品や成分を大量に継続的に食べるような「健康食品」そのものが食品安全の考え方に反するものです。皮肉に聞こえるかもしれませんが、健康食品こそがもっとも不健康なのです。(p198)
  • 米国では、食品に血圧を下げるかのような表示を認めているものは存在しませんし、ナトリウムとカリウムについては表示義務があります。どちらが国民の健康にとって役にたつことを目的としたものだと言えるでしょうか?(p202)
  • 病院に行った場合でも原因が確定できない場合には健康食品による健康被害とは計上されません。消費者が、健康食品による健康被害であるとは思いもしない場合もあり、報告されている事例は氷山の一角なのです。(p212)

このエントリーをほぼ書き終えたタイミングで、片瀬久美子さんが詳しく紹介されているのに気づきました。
『「健康食品」のことがよくわかる本』-賢い消費者になるための知識が満載(warbler’s diary 2016/3/17)

関連エントリー

健康食品やサプリメントに関する有用情報

【メモ】
「目のピント調節」の機能性表示食品で重篤な健康被害(東京都 健康情報ニュース.com 2017/4/10)
機能性表示食品の研究論文、「査読なし」の疑い(前)(健康情報ニュース.com 2016/3/22)
ファンケルが「『えんきん』の記事は根拠のない虚偽報道だ」として取消しと謝罪を要求(植田武智 MyNewsJapan 2016/3/18)
消費者の無知に付け込んだ「機能性表示食品」の舞台裏(集中|MEDICAL CONFIDENTIAL 2015/7/22)
機能性表示食品を批判して、メーカーから抗議がくる。どこまで許せる?( ドラッグストアとジャーナリズム 2015/7/13)
機能性表示食品の今後(薬剤師kittenの雑記帳 2015/6/29)
機能性表示食品。えんきん(パパ薬剤師の日々彼是 2015/7/2)
「機能性表示食品」なんて、いらない・下(岡田幹治 リベラル21 2015/5/16)
[ 2016/03/18(金) ] カテゴリ: 食品中の化学物質,リスク | CM(0)
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