ポストさんてん日記

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【原子力ムラ02】東電による日本支配の構造

[ 2011/06/20 (月) ]
 このエントリーの金額的な補足として、【原子力ムラ04】東電による日本支配の構造(金額的データ)があります。宜しければ、このエントリーと同時に並べて読んで頂くと実態が良く判ると思います。2011/8/19 追記


 すでにエントリーで紹介した5月11日 現代ビジネス 現職経産官僚が緊急提言 古賀茂明「東電破綻処理と日本の電力産業の再生のシナリオ」から、(少し定義の広い)原子力ムラ関連を引用する。現役の経産官僚のレポート故に、東電の支配力の強さが簡潔に良く判る。一部については、今後の対応を提言している。

【部分的に引用】
 根本的な問題は、東電は日本中で誰よりも圧倒的に強い立場にあったという事実を指摘しなければならない。

●政治家との関係

 自民党の政治家は全国の電力会社に古くから世話になっている議員が多い。電力会社は各地域の経済界のリーダーであり、資金面でも選挙活動でもこれを敵に回して選挙に勝つことは極めて困難である。従って、今回の事故後にも、自民党の政治家で具体的に東電の解体論などを唱えているのは河野太郎議員ら極めて少数の議員しかいない。今後も電力会社の世話になりたいと考えている議員が圧倒的に多いので、東電に厳しい政策はなかなか通りにくい。逆に東電を守ろうとする露骨な動きも表面化している。

 民主党も電力会社の関連労働組合である電力総連の影響を強く受ける。電力総連は連合の中でも最有力組織の一つで、現在内閣特別顧問(「特別」とつけたところに民主党が如何に組合に気を使っているかわかる)の職にある笹森清氏が東電出身で電力総連会長から連合会長に上り詰めた人物であることを想い起こす人も多いだろう。

●省庁との関係

 内閣府の原子力委員会と経済産業省の資源エネルギー庁が原発推進機関、内閣府の原子力安全委員会と経産省の原子力・安全・保安院が安全規制実施機関であるが、いずれも事実上電力会社、東電の支配下にあると言ってよい。
 原子力委員会経産省資源エネルギー庁はそもそも原子力発電の推進派である。
 原子力安全委員会は原子力委員会と同じ内閣府の下にあり、また、原子力安全保安院は資源エネルギー庁の特別の機関という位置付けだが、実質は言わば子会社である。
 いずれの組織も巨額の原子力関連予算で潤っており、業界との関係も深い。
 さらに、東電は強大な政治力を背景に、経産省の人事にまで影響力を行使すると信じられており、現に電力自由化を強硬に唱えた官僚は左遷されたり早期退職を余儀なくされたりしていると言われている。こうした環境下では、本気で東電と戦うことは、まさに職を賭すということになるため、今日では、そうした声は殆どなくなってしまったのが実情である。

●経済界も東電に支配されている。

 東電が電力を供給しているからではない。東電が巨大な調達を行うからである。化学電気石油はもちろん自動車産業も東電には大量の製品を納入している。銀行も東電は最優良顧客だった。
 証券会社も東電債は最大の社債銘柄である。ある証券会社の最近のレポートでは補償金の支払いのスキームに関して、東電を守るための提灯提案をしている。プロを装いながら自分達の商売を守ろうとする詐欺行為だ。
 商社ももちろん東電には頭が上がらない。
 これらの大企業の集まりである経団連が必死に東電を擁護しているのは利益最優先の私企業集団としては当然だが、それを公益のために主張しているかのように見せていることに偽善を感じる人は多いだろう。
 この他、事業所付近の飲食業はじめ各種サービス業なども東電のおかげで潤っていることは周知の事実だ。

 東電はコストに一定割合(公正報酬率などと呼んでいるが公正と言えるのか甚だ疑問)をかけて利潤を上乗せできる。コストを増やした方が利益も増えるのだ。だから、厳しいコストカットなど行うインセンティブはない。従って、単に調達額が大きいだけでなく、納入業者から見れば、他にないおいしい商売が保証されることになる。従って、経済界で東電に逆らう者はいない。
 経団連が東電の免責を主張しているのも東電のご機嫌取りをしているだけでなく、東電の経営が厳しくなれば、コストカットの影響がおいしい商売に及んでくることを本能的に恐れていると見ることもできる。

●マスコミも東電に支配されている。

 東電は膨大な広報予算の配分によって、原発批判等はすぐに抑え込む力がある。現に、これほどまでに世間の批判を浴びている今日でもまだ東電の顔色を気遣うテレビ局のプロデューサー新聞の論説委員も多い(テレ朝が私を出演させて東電の破たん処理プランを紹介したのは極めて勇気のある行動だ)。
 東電の会長・社長が会見に殆ど姿を現さないのに、一方で全く心のこもっていないお詫び広告を出すのは、広報予算を使ったテレビ局への圧力だと受け止められている。また、事故当時、勝俣会長がマスコミ関係者と中国旅行に行っていたことが暴露されたが、そうした不透明な癒着も広がっている。

●学者

 学者も電力会社からの研究資金や情報提供などを含めた様々な便宜供与を受けること等により影響下にあると言われている。
 原子力安全委員会メンバーの多くが御用学者と言われているし、経産省の各種審議会・研究会などでも電力自由化や原発の安全基準などの議論をしていると、当初改革派が優勢でも、途中から殆どの学者が寝返って、最後は多くの場合、一人か二人になって改革派が孤立するというのが常であった。その裏には、東電をはじめとしたすさまじい根回しがあったと言われている(「東大の学者は電力会社に買収されている」というノーベル賞学者の発言もあるほど)。

●文脈がやや違うが、今日最もその独立性を問われているのが、新日本監査法人の東電担当チームだ。

 現在のような状況では到底監査証明は出せないだろう。仮に政府が何らかの対策について閣議決定したとしても、それがすんなり国会で通る可能性は極めて低く、議論すれば破たん処理となる可能性の方がはるかに高い。従って、閣議決定がなされるかどうかは監査に対してあまり大きな意味は持たないはずである。
 新日本監査法人は、りそなやJALで、政府の影響を受けたという風評でその信用に大きな傷がついた。特にJALは中間決算時点で破たん必至と見られていたのに監査証明を出し、その直後に破たんというとんでもない失態を演じたのは記憶に新しい。政府や東電、銀行の圧力に屈していい加減な監査でお茶を濁すようなことになれば今度こそ市場の信認を失うであろう。新日本監査法人は東電及び銀行・経産省から強大な圧力を受けることが予想されるが、むしろ新日本監査法人が彼らに引導を渡し、今回の東電処理を正しい道筋に導くことを強く期待したい。

●経産省と内閣府の責任を問え-東電をスケープゴートにする官僚たち

 とりわけ、貞観大地震などの研究成果に基づき、地震・津波対策の抜本的強化の必要性が叫ばれて以降の原子力安全・保安院資源エネルギー庁経済産業省の関連幹部の責任はある意味、東電より大きいとさえ言える。現在の幹部ももちろんだ。彼らが、今、東電の温存策策定に必死になっているが、事故の責任者に将来の対策の立案を任せていては、自分達の利権擁護と保身のために対策が歪んでしまう。彼らをまず対策立案チームからはずすことが正しい対策立案への近道になる。

 これらの責任のある幹部には退任と退職金返上を要請すべきだ。過去の幹部にも補償金のための退職金返納を求めるべきだ。

 他の電力会社の殆どに今も天下りの経産省OBがいる。彼らにも自主的退任を求めるべきだろう。彼ら個人に必ずしも直接の責任がある訳ではないが、被災者の感情を考えただけでも天下り癒着の構造を残すことは許されないだろう。また、他の原発立地地域の住民から見れば天下りで癒着していれば国が本当に安全を確保してくれるのか極めて不安になる。全電力会社への天下り禁止と天下り役職員等の退任を求めるべきだ。

 これは、何も経産省に限ったことではない。今こそ、全省庁において、最低限、規制対象企業への天下りは全面的になくすように内閣として自粛要請すべきだ。

●すぐに簡単にできること-広告禁止と研究資金源・便宜供与の公開

 東電の広報は原則禁止措置をとればよい。当面は政府が要請する。東電は従うであろう。これによって、マスコミへの不当な影響力を排除することができる。また、これまでに行ったマスコミに対する接待や便宜供与などは全て個人名を含めて公表させることが重要だ。

 東電による学者等への資金拠出・原稿料・講演料などの支払いも全面公開を要請する。これにより御用学者があぶり出され、彼らによる東電寄り「専門家」情報の影響力を弱めることができる。

【つぶやき】

巨額の原子力関連予算は税金(ただし、その多くは電気料金に上乗せして徴収されている)、
巨大な調達おいしい商売膨大な広報予算研究資金の原資は、(総括原価方式による競争原理が働かない不透明な)電気料金で、
いづれも国民のお金だ。 



朝日からの切り抜き】(日付は忘れました)

原子力ムラ 02

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[ 2011/06/20(月) ] カテゴリ: 東電問題,原子力ムラに関す | CM(0)
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