ポストさんてん日記

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【HPV2】子宮頸がんワクチン接種の経緯、利益相反、救済の動き

[ 2015/07/18 (土) ]
内容をかなり改定。2015/9/18
初回公開日:2015/7/18


【HPV1】ヒトパピローマウイルス、子宮頸がんワクチンからのつづき。

0.目次

1.申請~接種呼びかけ中止までの時系列
2.利益相反との指摘について
3.副反応について
4.救済の動き
5.関連エントリー

1.申請~接種呼びかけ中止までの時系列

(1) 「サーバリックス」(グラクソ・スミスクライン社)
2007年9月申請、2009年10月承認、同年12月販売開始。

(2) 「ガーダシル」(MSD社)
2010年7月申請、2011年7月承認、同年8月販売開始。

(3) 2010年11月、厚労省は「ワクチン接種緊急促進事業」を実施し、対象ワクチンに子宮頸がん予防ワクチンを含め(その他はヘモフィルスインフルエンザ菌b型ワクチンと小児用肺炎球菌ワクチン)市区町村が行う接種事業に助成した。これにより、2013年3月31日までは、事業の対象者(おおむね中学1年生から高校3年生相当の女子)は無料もしくは低額で接種を受けられた。

(4) 2013年3月、重い副作用が出たとして、被害者の女子中高生の保護者らが「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」を発足させた。
薬害オンブズパースン会議が厚労省の情報発信に対抗して、子宮頸がんワクチンに関する本当のQ&Aという情報を発信している。

(5) 2013年4月1日、予防接種法に基づく定期予防接種となった。
定期予防接種
A類疾病:ジフテリア(D)、百日咳(P)、急性灰白髄炎(ポリオ)、破傷風(T)、麻疹(M)、風疹(R)、日本脳炎、結核、ヒブ(インフルエンザ菌b型)、肺炎球菌(小児)、みずぼうそう(水痘)、ヒトパピローマウイルス(HPV)
B類疾病:インフルエンザ(高齢者)、肺炎球菌(高齢者)
任意予防接種流行性耳下腺炎(おたふくかぜ ムンプス)、A型肝炎、B型肝炎、ロタウイルス、インフルエンザ
HPVワクチンの対象者は小学校6年生から高校1年生相当の年齢の女子で、費用は無料
【定期予防接種】
予防接種法による定期の予防接種は市町村長が行うこととされている。
A類疾病の対象者は、集団予防を目的としており、予防接種を受ける努力義務がある。
B類疾病の対象者は、努力義務が課されていない
【任意予防接種】
被接種者及び医師の責任と判断によって行われるものであり、行政が勧奨するものではない。

(6) 2013年6月14日専門家合同会議平成25年度第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成25年度第2回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催))で、接種のあと原因不明の体中の痛みを訴えるケースが30例以上報告され回復していない例もあるとして、厚生労働省は定期接種としての接種は継続するものの、全国の自治体に対して積極的に接種を呼びかけることを中止するよう求めた。
具体的にはヒトパピローマウイルス感染症の定期接種の対応について(勧告)で、平たく言うと「当分の間は予防接種を受けるよう努力する義務(予防接種法第9条に規定する努力義務)を国民に課さないようにする」ということ。

2015年7月時点では、その後の公式発表はないが、厚労省は以下のように説明している。

子宮頸がん予防ワクチンの接種についてのリスク
比較的軽度の副反応は、一定の頻度で起こることが知られています (以下、引用略)
まれに重い副反応もあります

副反応については、接種との因果関係を問わず、報告を集め、定期的に専門家が分析・評価しています。現在、因果関係は不明ながら、持続的な痛みを訴える重篤な副反応が報告されており、その発生頻度等について調査中です。なお、これまでに報告のあったその他の重い副反応については、以下のとおりです。 (以下、引用略)

出典:子宮頸がん予防ワクチンの接種を受ける皆さまへ(平成25年6月版)

子宮頸がん予防ワクチンの副反応については、6月14日に開催された専門家の会議において、これまでに収集された医学的情報をもとに分析・評価され、ワクチン接種の有効性と比較した上で、定期接種を中止するほどリスクが高いとは評価されませんでした。
その会議では、接種部位以外の体の広い範囲で持続する疼痛の副反応症例等について十分に情報提供できない状況にあることから、接種希望者の接種機会は確保しつつ、適切な情報提供ができるまでの間は、積極的な接種勧奨を一時的に差し控えるべきとされました。

出典:子宮頸がん予防ワクチン接種の「積極的な接種勧奨の差し控え」についてのQ&A

(7) 2014年1月20日専門家合同会議平成25年度第7回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成25年度第8回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会)で、HPVワクチンの副反応に関する論点整理を行い、同ワクチン接種後に来した広範な疼痛または運動障害は、「心身の反応により惹起された症状が慢性化したものと考えられる」と結論付けた。
これに対し、患者団体等から反発が出ている。

(8) 2014年2月26日専門家合同会議平成25年度第8回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成25年度第9回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会)で、この日の午前中の子宮頸がん予防ワクチンに関する意見交換会で行われたアジュバント等が副反応を引き起こすとの国内外の3人の研究者の主張を退けた。議事録はこちら

(9) 2014年7月4日専門家合同会議第10回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成26年度第4回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会

(10) 2015年9月17日専門家合同会議第15回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成27年度第4回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会

(11) 2015年11月27日専門家合同会議第16回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成27年度第6回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会

2.利益相反との指摘について

【参考情報】 利益相反とは

利益相反」とは,公正になされなければならない判断が,金銭的な利害関係や個人的な成功への願望などでゆがめられる可能性のある状況を言います。前者を「金銭的利益相反」(financial conflict of interest),後者を「心情的利益相反」(intellectual conflict of interest)と言います。
医薬品には,大きな経済的利害が絡む商品性があり,その取り扱いでの「利益相反」がもたらすゆがみは,国民の健康と生命に重大な影響を与える可能性があります。このため,新薬の販売承認や市販後監視などの審議に際しては,参加者の「利益相反」について適切な規制が必要であり,(略)

「利益相反」は,その影響がどうであったかを問題にするものでなく,第三者からみてどのように映るか(「アピアランス」と言います)を含め,あらかじめ適切に規制することで,重大な影響がもたらされることを防止し,透明性や公正さを担保しようとするものです。

「利益相反」ルールを定める発端となったのは,抗インフルエンザ剤タミフルの副作用をめぐる「利益相反」が,マスコミでとりあげられたことでした。

当時,厚生労働省はタミフルについて「安全性に問題がない」との見解をとり続けており,その有力な根拠となっていたのが,厚生労働省の調査研究班の報告書でした。その主任研究者である横浜市大・横田俊平教授が主宰する小児科の講座に,タミフルを販売する中外製薬から2001-04 年度に総額850 万円の奨学寄付金が渡っていたことが,「週刊朝日」誌取材班による情報公開請求で判明しました。研究班の他の医師6 人への取材では,岡山大学・森島恒雄教授も中外製薬から奨学寄付金を受け取っていることを認めました。

出典:医薬品と「利益相反」 寺岡章雄

鳥集徹氏の『新薬の罠』などで、HPVワクチンに関する利益相反の指摘や発信する情報にバイアスがかかっているとの指摘があるが、医薬品開発において利益相反は程度の差こそあれ必ず存在するようだ。特に、産学官連携活動等では必然的・不可避的に発生するようになるらしい。
利益相反があること事態が問題なのではなく、それにより研究の倫理性および科学性が揺るがないことが重要で、それを適切にマネージメントしているかどうかの問題とのこと。

一般に、反対側にも利益相反がある可能性にも要注意。例えば、副作用に対する代替医療を提供している医師はそれでビジネスになるでしょうし、マスメディアも、できるだけ意外でショッキングな映像を出したほうが、ビジネスとしてはプラスでしょう。

3.副反応について

宮川剛教授(藤田保健衛生大学総合医科学研究所システム医科学研究部門 教授)のtwitter Tsuyoshi Miyakawa(@tsuyomiyakawa)が参考になりました。

で、そういう判断に必要な情報が十分提供されているかというと、そうではなさそうだということですね。副反応の可能性が否定できないという患者の方々の個別の事例が突出して報道されてしまっている感が。それ自体には意義があるわけですが、同時に大規模疫学研究の結果等もバランスよく紹介する必要。

例えばワクチン接種で実際に対象とするHPVウイルス感染が実際激減したという米国での研究が先月報告されhttp://pediatrics.aappublications.org/content/early/2016/02/19/peds.2015-1968 …NYタイムズを始めかなり報道されてますがhttp://www.nytimes.com/2016/02/22/health/vaccine-has-sharply-reduced-hpv-in-teenage-girls-study-says.html?_r=1 … 日本ではあまり報道されてないよう。

NYタイムズは、効果が確認されており、安全性も大きな問題ないという研究結果が多数ありながら、アメリカでのHPVワクチン接種率が女子40%程度、男子20%程度にしか達しておらず、問題である、という方向性の論調。

副反応の症例報告の論文は注意喚起の意味で意義はあるのは確か。ただ一般論として各種研究情報の価値としては統計解析ありの疫学研究や実験的・生物学的研究と比べてずっと低いものとみなされる場合が多い、ということの認識は広まってほしいところ。

現状では、HPVワクチンの副反応に警鐘をならす論文は数例の症例報告がほとんどを占めていて、十分なN数をとった大規模な疫学研究では副反応が疑われる症状で接種無し群と有り群で有意な差が示されているものはほぼ皆無。例えばこの論説参照-> http://journals.lww.com/co-obgyn/Fulltext/2016/02000/Human_papillomavirus_vaccination_and_primary.11.aspx …

HPVワクチンについて15の研究、計100万人以上から得られたデータを評価した過去最大規模の安全性の研究
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26107345 が昨年でましたが、有意に上がっている副反応はないという結論。こういう研究も日本ではあまり紹介されてないようですがなぜでしょう?


100万人以上についての外国の疫学研究で、接種群と非接種群で有意な差がでる重篤な副反応はなかったという研究 journals.lww.com/pidj/pages/art… はありますが、まれな体質を持つ方に、接種に起因する重篤な副反応が生ずる可能性はゼロとは言えないでしょう。

「接種の副反応」は定義では、接種との因果関係が不明でも、「副反応」と定義されるので、統計ででてくる「HPVワクチンの副反応」の人数には、実際には接種との因果関係がない場合がたくさん含まれているのは間違いないのですが、因果関係がある場合ももちろんある可能性は否定できないです。

接種をした場合、副反応が生じるリスクは誰にでもあって、不幸なことに接種後に(因果関係はともかく)原因不明の重篤な状態に陥ってしまった方々はいらっしゃって、そこには因果関係的に接種が引き起こしたものも含まれる可能性があるわけです。

ですのでそういう方々には等しく最良の医療を受けることができるような仕組みを国や医療機関には構築していただきたいところです。一方、原因不明の難病であることを理由に効果のエビデンスの乏しい危険な医療を提供する医師も存在するようなので、そういうことは国に厳しくチェックしていただきたい。

僕のツイートは接種を勧めるような論調には見えますが、必ずしもそういうことではなく、個人(とそのご家族)ができるだけ良質な情報を取り入れご自分で判断をすることを勧めている、ということです。それができていれば、日本で接種率が1%を切るということはまずないであろう、とも思うわけですが。

接種率1%切ってしまうというのは明らかにおかしいが、100%ということでもないであろう、とは思います。例えば、失神もやはり避けたいリスクではあるので、不安傾向が高かったり、失神の履歴があるような方などは接種しないという選択肢もあるでしょうね。

HPVワクチン接種率が女子40%程度、男子20%程度の米国でも感染者は実際に研究者の予想を上回るくらいの率で激減しているということなので nytimes.com/2016/02/22/hea… 、実質義務化のようなことは必要はないとは思います。

出典:HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)に関する誤解について togetter by 飯島明子(@a_iijimaa1)さん 2016/4/7 

【参考】 副作用(ワクチンの場合は副反応)と因果関係

医薬関係者による医薬品等安全性情報報告制度
2003年7月より医薬関係者の責務にて報告することが薬事法に明記され、努力規定から義務化されるようになった。
報告対象情報は、医療用医薬品、一般用医薬品、医療機器等を使用した結果みられた副作用等であり、よく知られた軽微なものを除き使用医薬品等との関連が明確でないものを含む全ての情報(有害事象)とされている。
なお、これらの副作用情報は一旦、被疑薬の製造販売承認会社に情報提供され、情報精査の企業報告として際報告することになっているので留意する必要がある。

出典:PDF 副作用・感染症報告制度

承認後の自発報告に基づく規制当局への緊急報告は,緊急性の観点から,因果関係が確立した「副作用」ではなく,因果関係が確立する前段階の「副作用の疑い(SuspectedADR)」のうち予測できない(Unexpected),重篤なもの(Serious)を報告対象としていることに留意していただきたい.この点は,治験段階の緊急報告対象とも整合性がある.緊急報告を行ったのちに,製薬企業においても,規制当局においても,因果関係を示唆する情報のエビデンスレベルの見極め,集積された情報を加味してエビデンスを高めていくという検討のプロセスが続くのである.

出典:PDF 科学的な安全対策への転換をめざして(2)―個別の有害事象が副作用になるまで―(医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス,PMDRS,45(2),98 ~ 105(2014))

【メモ】 
HPVワクチン 接種後体調変化の報道 と その周辺(感染症診療の原則 2016/3/17)
複雑怪奇な「有害事象」と「副反応」のまとめ(うさうさメモ 2014/4/1)

4.救済の動き

(1) 厚生労働省は2015/9/18から医療費などの給付に向けた審査を始め、接種との因果関係が否定できない場合は救済することとした。

2015年9月17日、専門家合同会議(第15回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成27年度第4回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会)で副反応データのまとめが発表されている。

販売開始から平成26年11月まで
副反応追跡調査結果201509※ 3件の死亡症例の死因内訳は、①自殺、②心室頻拍及び③骨肉腫とされており、いずれもワクチンの安全性への懸念となるものではないとされている。

(2) 子宮頸がんワクチン患者に初救済(医療費や医療手当を給付)。
7人について審査し6人を認定、1人を保留(継続審査)。
この問題での救済は初めてで、ほかに救済を求めている81人についても、順次、審査を行うことにしている。

2015年9月18日、専門家合同会議第109回疾病・障害認定審査会感染症・予防接種審査分科会
審査結果201509

(3) 5人について審査し2人を認定、1人を認否、2人を保留(継続審査)。

2015年12月11日、第111回疾病・障害認定審査会感染症・予防接種審査分科会
第111回疾病・障害認定審査会感染症・予防接種審査分科会

(4) 3人について審査し3人を認否。

2016年2月5日、第112回疾病・障害認定審査会感染症・予防接種審査分科会
第112回疾病・障害認定審査会感染症・予防接種審査分科会

(その他) 医療手当は本来、予防接種法に基づき国が支給するが、国の支給決定が遅れているため、神奈川県のほか愛知県刈谷市など全国で約20の自治体が独自に支給を決めている。

関連エントリー

【HPV1】ヒトパピローマウイルス、子宮頸がんワクチン
【HPV2】子宮頸がんワクチン接種の経緯、利益相反、救済の動き本エントリーです
【HPV3】子宮頸がんワクチン、日本発『薬害騒動』の真相(メモ)
【HPV4】池田修一信州大学医学部長(厚生労働省研究班の代表)の発表とメディアの反応
[ 2015/07/18(土) ] カテゴリ: 子宮頸がんワクチン問題 | CM(4)
Re: こちらもご参考までに。
BLUEDOGさん

情報のご提供、ありがとうございます。
次のエントリーを作成中なので、勉強になりました。
[ 2015/10/25 14:09 ] [ 編集 ]
こちらもご参考までに。
HANSというばかげた概念 - ある小児科医が伝えたいこと。(病気や予防接種についてのページ)
http://katmat.jimdo.com/2015/01/18/hans%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%81%B0%E3%81%8B%E3%81%92%E3%81%9F%E6%A6%82%E5%BF%B5
[ 2015/10/22 18:35 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
suhamaさん
情報のご提供、ありがとうございます。

村中璃子氏は、MERSやトランス脂肪酸などで良い論説があったので記事にメモしています。
今回は中篇以降もあるようですので楽しみです。
[ 2015/10/20 16:13 ] [ 編集 ]
面白い視点からの記事を見つけたので参考までに

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5510?page=1
[ 2015/10/20 14:28 ] [ 編集 ]
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