ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

【前篇】(プラスチックのリサイクル)マテリアルリサイクルか?、サーマルリサイクルか?

[ 2015/11/20 (金) ]
廃棄物の再資源化に関して、教科書的には、サーマルリサイクルは3Rの優先順位の下位(正確にはマテリアルリサイクルの下)に位置付けられるようです。
【その理由や背景】
  • 循環型社会形成推進基本法(2000年5月制定)で、廃棄物の処理の優先順位を、
      1 発生抑制:Reduce:リデュース
      2 再使用:Reuse:リユース
      3 再生利用:material Recycle:マテリアルリサイクル
      4 熱回収:thermal Recycle:サーマルリサイクル
      5 適正処分
    とした。
  • モノとして使うことを、エネルギーとして使うことより価値があるとみなしている。
  • リサイクルとは物を繰り返し使うことであると素朴に考え、ごみとなったマテリアル(物質)を別のマテリアルに再加工して再利用するマテリアルリサイクルこそが本物のリサイクルであり、サーマルリサイクルは偽物のリサイクルだと考える傾向がある。
  • ダイオキシン騒ぎ後の焼却技術の進化を予測できなかった。
しかし、実態としてそうではない面もあり、特に、プラスチックに関しては認識を改めた方が良いので、ブログ主なりに勉強したことをまとめてみます。
(プラスチックのリサイクルについて調べると、かなり奥が深いことがわかりました。)

(本論に入る前にプラスチックの一般知識)
プラスチックの生産量など

主なプラスチックの特性と用途
主なプラスチックの特性と用途
出典:プラスチックリサイクルの基礎知識2015(プラスチック循環利用協会)

樹脂別生産比率(2014年生産量:1,061万トン)
樹脂別生産量出典:上記と同じ

◆半分はPE:ポリエチレンとPP:ポリプロピレン
この二つだけでほぼ半分を占めます。これは、プラスチック用途のうち約40%が袋やラップフィルムなどの包装材、建築土木用などのシート向けのため、材料として適しているポリエチレンとポリプロピレンの生産量が多くなっているからです。

◆熱可塑性プラスチックが89.2%
熱可塑性プラスチックは、加熱すると分子運動が激しくなり軟化、冷却すると固化し、これを繰りかえすことでさまざまな形状にすることができます。用途としては容器包装(フィルム、シート、ボトル)、日用品・雑貨から家電、自動車部材まで広範囲に亘っています。

◆熱硬化性プラスチックが8.6%
熱硬化性プラスチックは、比較的低分子の物質が加熱により軟化して加工したあとに化学反応を起こして、高分子量の3次元架橋構造(網状構造)となるため、一度硬化したものは加熱しても再び流動性を持つことがありません。この性質を活かして食器類、電気機器の基板、ゴルフのシャフトやテニスのラケット、FRPの船舶などに利用されています。

(ここからが本論)
廃プラスチックの処理と再資源化

排出量の内訳(2013年排出量:940万トン)
廃プラ総排出量の内訳2013
出典:上記と同じ

三つのリサイクル、その実態、有効利用率
プラスチックリサイクル2013データ出典:上記と同じメカニカルリサイクル,フィードストックリサイクル,エネルギーリカバリー,RPF,RDF
廃プラスチック全体の有効利用率は82%で前年比2ポイント増、その内訳は
  • マテリアルリサイクル:22%
    ちなみに、203万トンのうち、ペットボトルは50万トンを占める。
  • ケミカルリサイクル:3%
    広義には「原料・モノマー化」「化学原料化」はマテリアルリサイクルに、「高炉還元剤」「コークス炉化学原料化」はサーマルリサイクルに分類することが多いようです。
    • サーマルリサイクル:57%

なお、全く違う定義ですが、ペットボトルのリサイクル率=(市町村分別収集量+事業系回収量+PETくず輸出量)/PETボトル販売量 は91%(2013年)。こちらから転記

マテリアルリサイクルのためには
  • 廃棄物を洗浄し、乾燥し、加工施設まで運搬し、種類の違うプラスチックや異物を取り除き、再加工しなければならないが、それらはすべて資源を消費する。
  • それらは、人手に頼る作業が多く、人件費が高くつく。
  • 家庭系の回収の場合、多くのリサイクル業者は単一素材に分けず、混合したまま再生原料にするため、質のいいリサイクル製品をつくることが難しい。このため、再生製品としては、使い捨てパレット、プランター、自然の木を摸した擬木などが多い。
  • (事業系の回収は単一素材が多いので、リサイクルしやすい)。

リサイクルの真の目的

私が政府の委員をしていた時には、リサイクル業者の方から「プラスチックをモノとして循環させろと言われますが、品質が低いから工事現場で使う杭くらいにしかできませんよ」と悲鳴に近い声があがりました。モノとしてのリサイクルにこだわるあまり、再生プラスチックで無理やりモノを作ろうとして、公園に置くベンチなどを作っている自治体もありますが、ベンチの需要など量が知れています。この実態から目をそむけてはいけません。
それよりも廃プラスチックを粉にして、発電所に納入して石炭と一緒に燃焼させたほうが、よほど高い価値を持つのです。エネルギーとしての再利用は現実的にも進んでおり、製鉄所やセメント工場などでも燃料として使われています。
古紙として再生できない紙もずいぶんセメント工場に入っています。
燃やすことに抵抗感があるのは、燃焼させることでまたC02が発生するという恐れからだと思います。しかし日本は、年間に炭素に換算すると約3億トンの化石燃料を輸入していて、そのうちの90%が燃やされてC02になって排出されているのです。
日本だけでなく、世界で年間に生産される60億トンの化石燃料のうちの95%は燃やすために使われています。
つまりモノとして使われる石油は、最初からほんのごく一部です。人間はモノよりもエネルギーを必要としています。エネルギーを使うとは、燃やすということなのです。燃やすことをゼロにするのは不可能です。燃やすことは何でも悪いと考えるのではなく、いかにしてエネルギー効率を良くして、燃やす量を減らすかということが大切なのです。
ここでも「もったいない」のは何かをよく考えることが重要になってきます。

出典:低炭素社会(小宮山宏 2010年5月)

リサイクルを進めるときには、その手法により新たな資源の投入が抑えられるか、環境への負荷が抑えられるかを慎重に見極める必要があります。
廃プラスチックのリサイクルでも、対象の廃プラスチックの置かれた状況を考え、最も社会的コストが低く、そして環境への負荷も抑えられる手法を選択することが重要です。

出典:プラスチックリサイクルの基礎知識2015(プラスチック循環利用協会)

【コメント】その結果が上記の三つのリサイクルの比率、ということですね。

サーマルリサイクルの手段は多様で、例えば、ごみ発電より、鉄鋼産業や化学産業で原料・燃料として利用したほうが効率が良い

発電効率換算値
グラフは容器包装プラスチックを、産業の既存炉を活用してリサイクルする効率を発電効率に換算して示したものです。しかし、比較対象がないと、効率的と言えるのかどうかはよく分かりません。そこで、上記の効率を理論最大効率(どんなに頑張っても超えられない最大の効率)と比較し、さらに焼却発電という、廃棄物を焼却炉で焼却し、その燃焼熱を利用して電気を作るケースとも比較しました。
産業の既存炉を利用したリサイクルは、最大理論効率と比較して、それほど遜色ない効率だと言えます。また、国内の廃棄物焼却発電の平均的な効率は10%*を少し超える程度であり、最新鋭の高効率な焼却発電施設でも発電効率は20%程度*ですので、産業の既存炉を活用したリサイクルが有利なことが分かります。(藤井ほか,2011より,一部修正)

出典:共生による都市の持続可能性の向上(国立環境研究所 環境儀No.55 2014/12/31)
*ごみ焼却発電の発電効率の概要

発電設備を有する328施設(1,172全ごみ焼却施設の28%)の発電能力の合計は1,770MW、、総発電電力量は7,966GWh、平均発電効率は12.0%
うち、発電効率が10%以上の施設は214施設(328施設の65%)。うち、発電効率が20%以上の施設は16施設(328施設の5%)にとどまる。
発電効率2013

出展:一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成25年度)について(環境省2015/01/23)

【コメント】商用の発電設備の効率は40%を超えるものが多いです。それと比較するとごみ焼却発電の効率はかなり低く、水分の多い生ごみの影響ですね。

(参考までに)
PETボトルからPETボトルをつくる (ボトルtoボトル事業)

PETボトルは繊維やシートにリサイクル再生ポリエステル繊維)されていますが、飲料用PETボトルそのものには使われませんでした。一度使われたPETボトルは、衛生面や匂いの点から、清涼飲料、酒、醤油ボトルの原料には適さないとされていたためです。
しかしながら、PET樹脂を石油やナフサからあらためてつくるよりも、合成の途中段階まで戻して新にPET樹脂とすれば資源の節約が図れるはずです。この考えに基づき、新品樹脂と同等のリサイクルPET樹脂をつくり飲料用ボトルにするボトルtoボトル事業が2003年から始まりました。そこで使われている技術が、使用済PETボトルを化学的に分解し原料やモノマーに戻して(解重合)、再度PET樹脂にする方法です。
これまでも帝人(株)EG(エチレングリコール)とメタノール併用による独自の分解法で、廃PET樹脂をDMT(テレフタール酸ジメチル)まで戻し、繊維やフィルムの原料にしていました。その後同社はこの技術を発展させ、使用済PETボトルをDMTからさらにTPA(テレフタール酸)まで戻してPET樹脂をつくる技術を開発し、2003年から帝人ファイバー(株)で年間処理能力約6万2,000tの設備を稼動させました。このPET樹脂は、2004年食品安全委員会から食品飲料容器への使用可能との評価を得、厚生労働省の承認のもと、4月からボトルtoボトルがスタートしました。
また、(株)アイエスEGによる分解法に新規技術を用いて、高純度のBHET{ビスー(2ヒドロキシエチル)テレフタレート}モノマーに戻し樹脂を製造する技術を確立、(株)ぺットリバースにおいて、2004年から年間処理能力約2万7,500tの設備を稼動させました。
しかしながら、廃PETボトルの輸出急増による原料不足から、帝人ファイバー社はボトルtoボトル事業から撤退せざるをえなくなりました。また、ペットリバース社の事業は、東洋製罐(株)グループのペットリファインテクノロジー(株)に引き継がれました。

出典:プラスチックリサイクルの基礎知識2015(プラスチック循環利用協会)

メモ

●発泡スチロール【ポリスチレン(PS)】は、とてもリサイクルが簡単で、リサイクルの流れも確立している。
㈱エフピコの発砲スチロール食品トレーのトレー to トレー のリサイクル工程
(画面下部のリサイクルの流れを参照。PETボトル to トレーの工程もあります)
都市環境サービス㈱発泡スチロールの処理の流れ
ポリエチレン(PE)フィルムのリサイクル処理の流れ
使用済みストレッチフイルムのリサイクル

容器包装リサイクル法による対応の問題

家庭から回収された容器包装廃棄物は、容器包装リサイクル法によって再資源化が推進されていますが、その実態には様々な問題があるようです。
そのあたりの事については、【後篇】(プラスチックのリサイクル)容器包装リサイクル法による対応の問題に続きます。
[ 2015/11/20(金) ] カテゴリ: 廃棄物,リサイクル,レアアース | CM(0)
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