ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

“EUにおける鰹節の輸入制限”についての解説(ベンゾピレンBaP、多環芳香族炭化水素PAHs)

[ 2015/01/19 (月) ]
表記について、畝山智香子氏が簡潔かつ幅広く解説されているので、引用させていただきます。さらに、ベンゾピレンBaP、多環芳香族炭化水素PAHsについての別解説も記載しました。

出典:「食品安全情報blog 2014/12/25 」 おまけ
(太字加工はブログ主による)

「Yahoo!ニュース個人2014/12/21」カツオ節は毒物?EUが輸入を認めない理由(田中淳夫) が言葉足らずな記事なのでちょっと見当違いなコメントもあるので。

  • 燻製に含まれるベンゾピレンBaP遺伝毒性発がん物質ALARA原則が適用される。
  • 燻製でできるのはBaPだけではなく、多種類の多環芳香族炭化水素(PAH)ができる。BaPPAHの指標に過ぎない。
  • EUはいくつかの食品に規制値を設定している
     参考 食品安全に関するリスクプロファイルシート(検討会用) 農水省 2012/5/14
  • 燻製なら全て規制値を超えるわけではない。規制値以内の製品もある。
  • 規制値以内に収めるためには工程管理が必須になるが日本はそういう考え方が小規模業者にはあまり浸透していないような(輸出したいならHACCP必須)。
  • 基本的に遺伝毒性発がん物質は望ましいものではないので、EUでは燻製の代わりに燻製風味の香料(くん液)を使うことで暴露量を下げていっている。いろいろな種類のくん液を食品添加物として認可している。くん液は燻製の煙成分から発がん物質を除去して作っている。食品添加物は食品のリスクを下げるために役にたっている。
  • 鰹節は軽いので他の燻製の基準値を適用されると超過しやすい。ただそのぶん摂取量も少ないので必要なら別途基準を作ることはできるだろうけれど欧州にはその必然性はないだけ。
  • 韓国は「世界で最も厳しい基準を採用」することが好きなので欧州の基準に倣った。でもさすがに鰹節には別枠を設けた。
  • ただ韓国は韓国人が大好きなごま油にEU基準をそのままあてはめてしまったのでしょっちゅう違反がでている。ごまを炒った香ばしい香りのないごま油なんて!炒るとPAHはできる、精製すれば多分除去できるけれどごま油の風味もなくなる。
  • PAHは脂溶性なので鰹節の場合、だしで使ったらだし汁にはほぼでない。おかかはそのまま食べるのでしょうがない。
  • ちなみに昆布はヨウ素が多すぎるのでEUにはそのまま使えない。
  • 伝統だから、文化だから、ではなくて、相手国が納得できるように科学的根拠(この場合定量的な数字必須)を示してリスク管理法も実装してちゃんと説明しよう。科学の言葉は基本的には通じるしその過程でもっといいものができるようになる。いろいろなものを柔軟に受け容れて改良してきたのが日本の食文化なのであって昔の方法をそのまま是として変化を拒んできたわけではないでしょうに。


食品中のベンゾピレンは1960年代に炭焼きビフテキから検出されたのが最初とされており、この古典的発癌物質は有機物の高温過熱によって生じ得ることが判明した。

ベンゾピレン(BaP)、PAHsについては「FOOCOM.NET」に不定期連載されていた田中伸幸氏の『調理と化学物質、ナゾに迫る』が参考になります。
以下、古い順 (ここは別エントリーからの転記です)

★2012/5/7 外の空気より家の中の空気が汚い? 調理排気のリスクとは
調理排気の中にはヒトの健康に悪影響を及ぼしうる物質が含まれていることも事実なのです。この中に、筆者が関心を持つ多環芳香族炭化水素(PAHs)という成分があります。
多環芳香族炭化水素(PAHs:Polycyclic Aromatic Hydrocarbons)とは複数のベンゼン環が縮重合してできる物質の総称で、炭素を含む材料の不完全燃焼によって生成します。
実はPAHsは、大気科学の分野では数十年も前から研究の対象となってきた物質です。というのも、産業革命以降、石炭や石油などを大量に(不完全)燃焼させることで多くのPAHsが生成して、大気中に放出されてきた歴史があるからです。例えば、かつての大英帝国では煙突掃除が盛んに行われていました。煙突掃除の作業員は肺がんにかかる率が有意に高いことが確認されていますが、その一因がPAHsなのです。不完全燃焼により生じるすすには多くのPAHsが濃縮しており、これを吸入した作業員の肺には、発がん物質であるPAHsが蓄積されます。これが肺がんを引き起こしたと考えられます。
【参考】
食品安全委員会のファクトシート
農水省の食品安全に関するリスクプロファイルシート(検討会用,2012/5/14)

★2012/5/29 脂質の多い食材を加熱調理するとPAHsが発生する
加熱調理によるPAHsの主要な発生源が食材中の脂質である。
ベンゼン環が5つ合わさったベンゾ[a]ピレンBaP)はPAHsの中でも最も発がん性が高い物質の一つとされています。
この表にある毒性当量係数(TEF:Toxic Equivalency Factor)とは、ベンゾ[a]ピレンの毒性を1としたときの、それぞれの物質の相対的な毒性を指す。
       表1 主要なPAHsとその毒性等量係数
   表1 主要なPSHsとその毒性等量係数

★2012/7/11 直火調理によりPAHsの発生量は飛躍的に増大する
炎が直接、食材に触れる加熱方法では、PAHsの発生量が飛躍的に増大する。
温度の違いが、生成するPAHsの組成に影響を及ぼしたものと考えられる。
直火調理は発生するPAHsの量、毒性のどちらも大幅に増大すると言える。

★2012/8/9 調理排気を吸い続けた場合のリスクは?
1996年の環境庁中央環境審議会が、有害大気汚染物質については生涯リスクを10-5(10万分の1)以下とすることを当面の目標にすると答申しています。これは、ある物質を吸入することによってがんを発症する人が、10万人に1人以下となるようにしなさい、という意味です。
毎日6時間、生涯吸い続けると、含有するPAHsにより、サンマ直火焼きで10万人に4.3人がんを発症すると推計されたわけです。
サンマ直火焼きのリスクレベルは、我が国における自動車交通量の多い道路の近傍(10-5~10-4程度)とほぼ同じレベルです。つまり、日頃から直火調理に従事する調理者は、長時間、自動車排ガスに曝露されているのと同程度のリスクを負っていると言えます。
しかし、だからと言って直火調理はやめるべきだとは思いません。というのも、この推計は職業曝露を仮定しており、1日に6時間もの調理を生涯にわたって続けるという前提に基づいたものだからです。

★2013/1/31 調理排気の中に含まれるPAHsはどの程度体内に取り込まれるのか?(1)
最も単純なPAHsであるナフタレン(ベンゼン環が2つ縮重合したもの)は防虫剤として使われており、ご存じのとおり室温では白色の固体です。しかし、つんとする匂いからもわかるように、その一部は揮発して気体になります。
一般に分子量の大きなPAHsほど固体として存在する可能性が高いのです。このようにPAHsは室温では大部分が固体である一方、割合としては小さいながら気体としても存在するのです。
ところで、PAHsの大部分は室温で固体として存在するといっても、調理排気中や環境大気中でPAHsの細かい粉末がふわふわ浮いているわけではありません。大気中のPAHsは、すすや無機物質などの細かい粒子に付着する形で存在しているのです。
今から十数年前に、当時の石原慎太郎都知事がディーゼル排ガス規制のための条例を作りましたが、このとき石原知事が透明容器に入った真っ黒なすすを手にして記者会見をしていたことをご記憶の方もおられるでしょう。これは粒子状物質(PM:particulate matter)であり、この粒子にはPAHsも吸着しています。

★2013/2/26 調理排気の中に含まれるPAHsはどの程度体内に取り込まれるのか(2)
★2013/3/7 PM2.5は食品に影響を及ぼすのか?
★「国立環境研究所ニュース28巻4号」2009/10 【環境問題基礎知識】微粒子に付着した多環芳香族炭化水素と越境大気汚染

関連エントリー

【5】実質安全量:VSD (閾値がない化学物質)
【資料編6】リスクの“ものさし”いろいろ(比較図表)
誤解を生む“遺伝毒性”という言葉、リスクコミュニケーションの障害

その他の関連エントリーはカテゴリにひとまとめにしています。記事下部or左欄のカテゴリリンクから、どうぞ。

【メモ】
「朝日新聞デジタル 2014/7/18」 フランス産かつお節誕生へ 来夏、枕崎から出資で新工場
[ 2015/01/19(月) ] カテゴリ: 食品中の化学物質,リスク | CM(0)
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