ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

ドイツの電力輸出入に関する整理

[ 2015/01/11 (日) ]
本エントリーは、別エントリーで櫻井啓一郎氏から頂いたコメントをきっかけに、自分の理解のために情報整理したものです。

ドイツの電力輸出入9ヶ国との状況

ドイツは国境を接する9ヶ国と電力の輸出入をしており、年間全体では輸出が輸入を上回っている。(←どっちが多いかは、あまり意味がない
国別輸入量(Wh)を見ると、フランスとチェコからの輸入が多い。
ドイツの国別電力輸出入(2013年) 
単位:GWh=百万KWh
ドイツの国別電力輸出入(2013年)
データ出所:連邦統計庁貿易統計(GENESIS ON LINE)、速報値
出典:「ドレスデン情報ファイル」ドイツにおける電力輸出入の動向(最新加筆は2014/12/23) 
フランスからの輸入量のみを引用すると、2013年:11.6 TWh、2012年:13.2 TWh

欧州の電力網
欧州の電力網
1GW=百万KW
実際には、この図よりも、さらに色々と連系がある巨大なメッシュ。(こちらのエントリーからの転記)
上図は少し古いので、現状とは違うかも知れません。ドイツ/フランス間の連系線容量は4.2GWとの情報もあります。


欧州各国の電力輸出入量(Wh)は、このオランダの例のように、コスト面のファクターに左右されるものと思います。デンマークの例を除いて

フランスからの電力にはドイツを経由するだけの電力もある

フランスおよびチェコのからの電力がドイツを経由してスイス、オーストリアの揚水発電所に供給されるなどの実態もあるようです。

正味の2国間のデータとして、例えば、2012年のフランスからの輸入が5.2TWh、逆は13.9TWh、との実際の売買ベースのデータがあります。

フランスドイツ輸出入実際売買ベース2012
出典:RTE社(フランス電力公社送電系統管理部門)のレポートの76ページ

【メモ】単純な疑問ですが、電力はラベルが付いている訳ではないのに、純粋に消費された分と単に経由した分との違いをどうやって計測するのでしょうか?

ドイツ南部はフランスからの電力輸入に依存しているといえるだろうか?

ドイツ南部が原発の一部を止めたことによって、フランスからの電力輸入に依存しているかどうかは、(あたりまえの事ですが)ドイツ南部の供給能力*とピーク需要量とのバランスをみないと何とも言えないです。
* 不安定電源である風力と太陽光を除き、さらに、発電所の点検整備を考慮した供給能力。

電力輸出入は“電力の安定供給”の大きな要素

“電力の安定供給” は発電と同時に消費される特徴、すなわち、 同時同量の原則という基本の話しになります。
“変動する再生可能エネルギー電源を大量に受け入れる”という命題に絞ると、4つの方法があるとのことです。
(1) 制御可能な発電所(水力発電や火力発電)
(2) エネルギー貯蔵装置(主に揚水発電)
(3) 連系線(隣の国や会社との電力融通)
(4) デマンドレスポンス(需要側のインテリジェントな制御)
出典:「SYNODOSシノドス 安田陽氏」2014/12/20 再エネが入らないのは誰のせい?

ドイツの現状では (2) (4) は消去法で消え、(1)と(3) が大きなファクターになっていると理解しています。
【(1) に関する具体例】
(老朽化して運転コストがかさむものを含めて)儲からず合理的な発電事業ができなくなってしまった火力の縮小もできない。電力会社は、全土で50基の発電所の停止を系統規制庁に申請しているが、間歇性電源(太陽任せ、風任せ)である再エネのバックアップ役としての火力が欠かせないのでそれも認められない、とのこと。市場経済の原理に反している。

【(3) に関する具体例】
2012年末には北部ドイツの風力発電電力が国内の消費地よりもポーランドやチェコへ大量に流れ込み、両国の送電網が不安定になる状況が生じた。
余剰の再エネによって電力市場の取引価格が異常に低下し、安定経営を誇っていた電力大手が経営危機。詳細はこちら

なお、このファクターを論ずるときに、年間輸出入量(Wh)の多い少ないは、ほとんど意味がないですね。

【参考】
Togetter 2013年4月 ドイツの電力輸出超過の話が一部で騒がれてるみたいだけど、どうも話がズレてるというか。「輸出超過だから、輸入超過だから」どうこう、という類いの話ではないと思う(by 本田 仁@hitoshi_hof さん)

関連エントリー

ドイツがフランスからの電力輸入を止められない事情?
ドイツの消費者は輸出電力の再エネ賦課金まで負担している
デンマークの再エネ比率が世界1位の理由
【基礎資料】ドイツのエネルギーや発電などの図表集

【メモ】
独仏の電力輸出入の問題(大場紀章 note 2016/12/21)
電力自由化がもたらす天国と地獄 破綻する電力と儲かる電力の違いは何か(山本隆三 WEDGE Infinity 2016/12/16)
[ 2015/01/11(日) ] カテゴリ: FIT認定制度に関する事 | CM(0)
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