ポストさんてん日記

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RSウイルス感染症とは

[ 2014/12/16 (火) ]
RSウイルス感染症が流行しているとのことですが、今まで知らなかったので、勉強がてら素人なりにまとめてみました。引用元は最後にまとめて記載してあります。

RSウイルス感染症、流行

RSウイルス:RSV:respiratory syncytial virusは、すべての年齢層で上気道炎(かぜ症候群)や下気道炎(肺炎や細気管支炎)を引き起こす代表的な呼吸器ウイルスである。
また、再感染も生涯にわたり繰り返し起こる。
特に、重要な点は、初感染の乳児および高齢者に高率に気管支炎や肺炎を引き起こすことである。
          呼吸器のしくみ
呼吸器のしくみ
平成24年の人口動態統計によると、わが国のRSV感染症による死亡数は、2008~2012年の5年間で、年平均31.4人(28~36人)と報告されており、米国では年間400例ほどの小児がRSV感染症により死亡していることが推察されている(Red Book 2012より)。

発症年齢による臨床像の違い

生後1歳までに50%以上が、2歳までにほぼ100%がRSVの初感染を受けるが、初感染によって終生免疫は獲得されない。感染後に抗体は産生されるが、感染防御には十分な効果を発揮しないため、初感染以降もRSVの再感染がしばしば起こることが推定される。

多くの場合、初感染時には上気道炎(かぜ症候群)で終息するが、1歳未満での初感染では時に喘鳴(ぜんめい、ぜいめい)、湿性咳嗽(がいそう=咳(せき))、呼吸困難などを伴う細気管支炎や肺炎を惹起する。重症化のリスク因子として早産児、循環器・呼吸器疾患、免疫不全などが知られているが、入院を必要とした細気管支炎の3/4はこのようなリスクのない児であることも報告されている。
生後4週未満ではRSV感染の頻度は低いが、罹患した際には呼吸器症状を 欠く非定型な症状をとることが多く、診断の遅れにつながる。この年齢では、突然死につながる無呼吸が起きやすいことも報告されており、注意が必要である。

RSVは乳幼児における肺炎の約50%、細気管支炎の50〜90%を占めると報告されており、乳児では中耳炎の合併も多い。

RSVの再感染は普遍的に認められ、縦断的な調査では毎年6〜83%の小児が再感染を経験していると報告されている。通常は軽症の上気道炎(かぜ症候群)や気管支炎であるが、幼児では20〜50%以上の症例で下気道疾患がみられる。

成人ではいわゆる普通感冒を起こすのみであるが、特に、RSVに感染した小児を看護する保護者や医療スタッフでは、気管支炎やインフルエンザ様症状をきたし、より重症になることがある。これは、初感染児より排出される大量のウイルスに暴露されるためと考えられている。

高齢者のRSV感染症においてはインフルエンザと同程度の頻度で肺炎発症が認められ、致命率も高い。特に、長期療養施設内での集団発生が問題となる。同様に、免疫不全者における院内感染事例では症状が重篤で、 しかもある程度蔓延する まで診断がつかないことが多く、対策を困難にしている。

成人・高齢者でのRSV感染症の重症化の機序は、明らかになっていない。最近、RSV感染症は、高齢者に合併しやすい基礎疾患が重症化に関与している可能性が示唆されている。特に慢性呼吸器疾患、例えばCOPD(chronic obstructive pulmonary disease)・喘息、慢性心疾患、重度の免疫不全状態が重症化の危険因子として示唆されている。また、これらの基礎疾患の中で、最も注目すべき疾患はCOPDである。COPDはタバコなどに含まれる有害物質を吸入することで進行する慢性呼吸器疾患である。本疾患は、本邦の疾患死亡率の9番目に位置し、今後患者数の増加が予想されている。
呼吸器ウイルス感染は、COPDの進行を加速させる「増悪」の主要な因子とされ、RSV感染はCOPDの増悪に関与している。また、RSVの無症候性感染が安定期COPDの進行を加速させる報告もある。

症状

潜伏期は2〜8日、典型的には4〜6日とされているが、発熱、鼻汁などの上気道炎症状が数日続き、その後下気道症状が出現してくる。発熱は初期症状として普通に見られるが、入院時に は38℃以下になるか、消失していることが多い。咳も主要な症状であるが、持続、増悪する咳 は下気道疾患への進展を示唆する。特に細気管支炎では喘鳴、陥没呼吸や呼吸困難がみられる。
罹病期間は通常7〜12日で、入院例では3〜4日で改善してくるとされるが、ウイルスの排泄は持続し、ガス交換の異常も数週間続くと考えられている。

感染経路と感染予防

RSV感染症は感染者の咳やくしゃみなどを介する飛沫感染ならびに感染者との直接的・間接的接触感染を介して伝染する。空気感染(飛沫核感染)はないと考えられている。
RSVは 環境中では比較的不安定であり、凍結融解、熱(55℃)、界面活性剤、クロロフォルム、エーテル などで速やかに不活化される。
家族内では効率よく感染伝播することが知られており、概ね家族内に持ち込むのは、軽症の上気道炎症状を来した学童年齢の小児である。
感染児あるいは感染の疑いのある児に接する時には、上着、エプロン、マスクなどを着用する。石鹸を使っての流水での手洗いや、アルコールでの手指の消毒も効果がある。食器類、おもちゃ、ベッドの手すり、ドアノブなどの接触源を塩素系消毒剤やアルコールなどでこまめに消毒する。これらの基本的な手技により感染の機会をかなり減らせることがわかっている。

簡易検査キットによるRSV抗原検査

2011年10月17日より、入院中の患者以外に外来の「乳児」および「パリビズマブ製剤の適用となる患者」に保険適用が拡大された。(2006年3月31日迄は3歳未満入院患者にのみ適用、その後全年齢の入院患者に適用)

ワクチン

予防のためのワクチン開発への努力は30年来続けられているが、過去の不活化ワクチンにおいて、接種者が非接種者よりも重症になるという失敗の経験もあり、依然として研究中であり、現在まで有効なワクチンは作られていない。
【参考】RSウイルスのワクチンはなぜないの?(鈴木敬子 毎日新聞「医療プレミア」 2016/10/14) 

感染予防薬

予防手段としては、使用可能なワクチンはないが、早産児、慢性肺疾患や先天性心疾患等を持つハイリスク者を対象に、RSV感染の重症化予防のため、ヒト化抗RSV - F蛋白単クローン抗体(パリビズマブ)の適応がある。

治療および抗ウイルス薬

現在、本邦においてRSV感染症はインフルエンザと異なり、有効な抗ウイルス薬がない。治療は基本的には対症療法である。
米国では抗ウイルス薬(エアロゾル吸入)のリバビリンのみが治療薬として認可および使用されている。

RSウイルス:RSV:Respiratory Syncytial Virus とは

マイナス一本鎖RNAウイルスで、血清型でA型とB型に分かれ、さらにG蛋白やF蛋白を用いて遺伝子型に分けられる。
ウイルス粒子はエンベロープを有し、形状は非対称球形やひも状など不定である。非対称球形ウイルスの直径はおおよそ100~350nmである。RSVには、ヒト、チンパンジーおよびウシが感受性を示すと考えられている。
Respiratory Syncytial を直訳すると“呼吸器の合胞体”。ウイルスが感染すると、呼吸器の患部の細胞が腫れてお互いにくっついてしまうため、このように名づけられた。

RSVは終生免疫を獲得しにくい(永続性抗体をつくりにくい)理由を知りたいところですが、論説に巡り合えませんでした。

引用元

IDWR 2014年第48号<注目すべき感染症> インフルエンザとRSウイルス感染症(国立感染症研究所)
RSウイルス感染症とは(国立感染症研究所)
小児科領域におけるRSウイルス感染症(国立感染症研究所IASR)
成人・高齢者におけるRSウイルス感染症の重要性(国立感染症研究所IASR)
RSウイルス感染症に関するQ&A(平成25年9月25日 厚生労働省)

関連エントリー

【基礎01-1】ウイルス、ワクチン、抗ウイルス薬
かぜ、インフルエンザ、抗菌剤(抗生物質、抗生剤)、などの勉強ノート
(メモ)ノロウイルスに関するリンク集
[ 2014/12/16(火) ] カテゴリ: 生物・医学関係一般 | CM(0)
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