ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブしたり、医学分野の素人勉強をノートしたり、です。 リンクはご自由に。

第4のがん治療法 新しい免疫療法薬 抗体医薬品

[ 2018/10/08 (月) ]
追記。2018/10/8
初回公開日:2014/11/18



目次

1.第4のがん治療法 新しい免疫療法薬
2.本庶佑先生、ノーベル生理学・医学賞受賞おめでとうございます【追記】
3.オプシーボの適応症、免疫療法に関する注意【追記】
4.怪しい免疫療法について【追記】
5.関連エントリー

1.第4のがん治療法 新しい免疫療法薬

2014/11/13の読売新聞夕刊に『免疫を利用 がん治療薬』の記事がありました。概要は
  • 癌の新しい免疫療法の薬が承認された。(チェックポイント阻害薬)
  • 日本の「オプジーボ」(7月、小野薬品工業)と、米国の「キートルーダ」(9月、メルク社)
  • どちらもメラノーマ(悪性黒色腫)の患者の3割前後で、がんが縮小し数カ月程度の延命効果が確認されている。
  • 腎臓がんや肺がんでの効果のデータも出始めた。(未承認)
  • 今後、手術・抗がん剤・放射線療法に続く第4の治療法になる可能性がある。
  • これらの薬の作用機序は従来の免疫療法と正反対。
内容は、結構、専門的なようですので、勉強してみました。

免疫細胞のブレーキ解放

PD-1.png
T細胞(キラーT細胞)が、がん細胞にとりついて、その細胞を殺すこと(アポトーシス)を、 (基礎知識02)免疫とは~自然免疫、獲得免疫、細胞性免疫、体液性免疫などで勉強しました。
しかし、T細胞にはPD-1という受容体があり、がん細胞のPD-L1(PD-1リガンド*)とつながると、T細胞の攻撃力が抑制されてしまいます。(PD-1とPD-L1が結びつくことで相手を攻撃しないための信号をT細胞に送り込む。)
PD-1分子が免疫細胞のブレーキボタンなら、PD-L1分子は、ブレーキボタンを押し続けるがん細胞の腕にたとえられる。
* リガンド:特定の受容体に特異的に結合する物質のこと

新薬は、PD-1と結合する抗体で、抗体が結合してしまえば、PD-1PD-L1が結合できないため、体内の免疫系を強化して、抗腫瘍効果を発揮するものです。いわば、免疫細胞のブレーキを解放するという発想

オプジーボ(一般名:ニボルマブ(遺伝子組換え))は、ヒトPD-1に対するヒト型IgG4モノクローナル抗体(遺伝子組み換えによる抗体医薬品)。小野薬工業のサイトのオプジーボ作用機序の動画が分かりやすいです。

効く仕組み 従来と正反対

従来の免疫療法の薬はアクセルを踏むという作戦で、ワクチンで免疫を活性化させたり、リンパ球などを体外で活性化して体に戻したりする治療が、主として行われてきました。ところが、免疫応答を抑制する自己調節機能が働いてしまい、なかなか期待したほどの効果が得られないという問題がありました。安定した治療効果の報告はほとんどなく、国内の承認例もない。
がん専門家の多くは、免疫療法の実現性に懐疑的だった。

2018/10/8 追記
2.本庶佑先生、ノーベル生理学・医学賞受賞おめでとうございます。

勉強になった関連情報をアーカイブしました。

2018年ノーベル生理学・医学賞:がんを攻撃をする免疫のブレーキを外す新たな治療法を発見した本庶佑氏らに(日経サイエンス 2018/10/2)
京都大学特別教授の本庶佑氏、米テキサス大のアリソン(James P. Allison)教授
PD-1の生理機能の解明石田准教授 機能ゲノム医学研究室)

【ごく一部のみ引用】
「PD-1は偶然発見された」と言われますが、私は少し違ったとらえ方をしています。今回のストーリーには多くの人や研究が登場し、それぞれユニークな役割を果たします。その結果、PD-1は必然的に発見されたのです!

今から思えば、PD-1は本当に幸せな遺伝子です。1993年に私がハーバード大へ移ってからも、本庶佑先生や湊長博先生の指導のもと、縣保年君、篠原隆司君(現・京大)、西村泰行君(現・滋賀県立成人病センター)、岡崎拓君(現・徳島大学)、岩井佳子さん(現・産業医科大学)、竹馬俊介君(京大)らによって、PD-1は大切にそして正しく育てられました。アメリカのベンチャー企業と共同で抗PD-1抗体の完全ヒト化を推進したのも、本庶研で私と同期だった小野薬品工業の柴山史朗さんです。


免疫制御の分子の発見とがん治療への応用(科学コミュニケーターブログ 2015/9/16)
オプジーボ開発の小野薬品「巡り合わせに感謝」「ともに歩んだ二十数年間」(産経ニュース 2018/10/2)
2018年ノーベル賞:基礎研究~がんの新治療確立までの足跡をたどる(小野昌弘 Yahoo個人 218/10/3)

【ごく一部のみ引用】
現在は免疫学のペニシリンの時代である、と言われている。これは、かつて抗生物質がペニシリンを皮切りに、多数の薬がつくられ、感染症が制御されるようになったように、免疫療法はこれから大きな発展を遂げるであろうという期待である。しかし今回の受賞に至った研究の足跡を振り返ることでわかる重要なことは、 医学の発展は予定して狙って生み出されるものではないこと、ひとつの新しい治療を生み出すのに20年単位の歳月がかかるものであるということ、しかしながら、好奇心に基づいた基礎研究が行われないならば、20年後に花開く種もない、ということであろう。


がん免疫とはどのようなものか~がんの免疫療法を正しく理解するために(小野昌弘 Yahoo 個人 2018/10/8)

【ごく一部のみ引用】
免疫チェックポイント阻害剤は、ネットで検索して出てくるような「免疫療法」クリニックの手に負えるものではない。 がん免疫を有効に引き出せたら、同時に自己免疫反応が出る可能性があるというのが免疫学的な真実なので、高度な集学的治療ができる総合病院以外では治療は無理である。免疫チェックポイント阻害薬の背後にある研究の歴史とエビデンスの蓄積を理解していれば、小さなクリニックで標準治療から逸脱した方法(適応外のがんに使う・怪しげな「**細胞療法」と組み合わせるなど)でオプジーボを使うなど、ありえない話である。逆に、そのような小規模の施設で行なっている「~細胞療法」「~サイトカイン療法」などは、総合病院の集学的治療のレベルでなく施行できるのだから効果は当然期待できない。それどころか、本当に効く治療と組み合わせてしまうと、大きな副作用がでて死に至る危険性があることが広く周知されるべきと考える。騙されないように気をつけてほしい。


特別寄稿「祝! 本庶佑先生ノーベル賞受賞」(仲野徹 晶文社スクラップブック 2018/10/25)

2018/10/8 追記
3.オプシーボの適応症、免疫療法に関する注意

2018年10月現在、日本において保険承認がされている薬剤と適応
保険適応の免疫チェックポイント阻害剤201810
オプシーボの適応症

免疫療法 もっと詳しく知りたい方へ(国立がん研究センター2018/7/31 )から表を2点、引用します。
表2 免疫療法(効果あり)の種類
国で承認され、国内の診療ガイドラインに推奨の記載がある薬
表2 免疫療法(効果あり)の種類
表3 免疫療法(効果あり)の種類2
一定の効果があり国で承認されていますが、現時点では診療ガイドラインに記載されていない薬
なお、薬や使用できるがんの種類が承認されたばかりの場合には、ガイドラインの更新のタイミングにより掲載されていないことがあります。また、どのような副作用が起きるかわからないことから、より慎重に使用されます。
表3 免疫療法(効果あり)の種類2
【参考】免疫チェックポイント阻害剤を含む免疫療法に関する注意喚起(全国がん患者団体連合会(全がん連) 2018/10/5)

【メモ】
ノーベル賞で注目 今おさえておきたい免疫チェックポイント阻害薬の基本(AnswersNews 2018/12/10)
オプジーボ、キイトルーダおよびテセントリクなど、5つの免疫チェックポイント阻害薬の違いを6つのがん種別にまとめてみた(山田創 可知健太 がん情報サイト「オンコロ」 2018/10/6)

おまけ的な情報
4.怪しい免疫療法について

中村祐輔先生の主張への疑問(押川勝太郎 がん治療の虚実 2018/6/13)から『がん免疫療法の歴史』を引用します。
がん免疫療法の歴史

【参考エントリー】
怪しいがん免疫療法に関する有用情報へのリンク集

関連エントリー

【基礎02】免疫とは~自然免疫、獲得免疫、細胞性免疫、体液性免疫など
【基礎03】抗体とは~免疫の飛び道具
【基礎04】アレルギーとは~免疫の副作用、発症メカニズム、治療の原理など 
【基礎05】T細胞の種類・分化ついての基礎的な全体像

その他の関連エントリーはカテゴリにひとまとめにしています。↓最下部のカテゴリ。
または、カテゴリ [ 生物・医学の基礎 ]

【メモ】
ISA101ワクチン+ニボルマブがHPV関連がんに奏効(海外がん医療情報リファレンス 2018/10/18)
がんの免疫療法について(米国国立がん研究所(NCI)ファクトシート)(海外がん医療情報リファレンス 2018/9/20)
【UPDATE】5陣営がしのぎを削る免疫チェックポイント阻害薬、最新の国内開発状況まとめ(AnswersNews 2018/9/1)
がん新薬の「実力」 効果を最大限高める方法とは(田中秀一 YOMIURI ONLINE 2017/4/1)
高額医療問題についての議論に必要なものとは何か―オプジーボを利用する肺がん患者の声から(齋藤公子 SYNODOS 2017/2/20)
[ 2018/10/08(月) ] カテゴリ: がんに関する事 | CM(0)
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