ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

プルサーマルの経緯、現状、MOX燃料とは

[ 2011/06/14 (火) ]
1.Newton最新号に、プルサーマルに関する記事があったので、まとめておく。

 使用済み燃料の取扱いは2通り。
●そのまま放射性廃棄物として、将来、埋設処分する方法(直接処分)と、
●再処理によって使用済み燃料に含まれているプルトニウムとウランを抽出してMOX燃料として使用(核燃料サイクル)
である。日本の計画は後者だ。

 軽水炉(現状の原子炉)でMOX燃料(混合酸化物燃料)を使う事を『プルサーマル』と呼ぶ。
 すでに、4基の原発で開始されている。
    開始時期
    2009年    玄海原発(佐賀県)3号機
    2010年3月  伊方原発(愛媛県)3号機、
    2010月10月 福島第一原発3号機  →廃炉
    2011年1月  高浜原発(福井県)3号機。
 これらの原子炉では、現在は燃料全体の約1/3をウラン燃料からMOX燃料に置き換えて使っている。
 (なお、現在建設中で2014年営業予定の大間原発(青森県)では、全ての燃料にMOX燃料を使用するフルMOXが計画されている。)
 発生熱量の5割程度がプルトニウム由来となる。(通常のウラン燃料だけの場合でも、3割の熱量は炉内で生まれたプルトニウム由来)

 MOX燃料には欠点があり、慎重な運用が必要。

燃料の組成
            出典:量子エネルギーシステム工学 山口彰

 (従来の)ウラン燃料と(プルサーマル用)MOX燃料の比較
ウラン燃料MOX燃料
燃料棒
の形状
ジルコニウム合金の燃料被覆管(長さ約4m)にペレット(燃料を粉末状に
した上で成型し、磁器のように焼き固め(焼結)たセラミックス)を詰める。
成分の内訳ウラン235: 3~5%
ウラン238: 95~97%
プルトニウム238や239など
         4~9%(注1)
ウラン235   0.7%以下
ウラン238   91~96%
融点約2800℃
(通常運転温度は1700℃)
約2730℃
(通常運転温度は1700℃)
使用前の
燃料表面の
放射線量
0.04μSv/時1~3μSv/時
熱伝動熱が伝わりにくい
(こもりやすい)
核分裂時の
ガス発生
キセノン、クリプトンなどのガス量
が多い ため、 燃料棒内の圧力
が高くなりやすい
制御棒
の効き
悪くなる
プルトニウムはウランに比べて
中性子を吸収 しやすいため
使用済燃料
の発熱
ウラン燃料よりも長い時間
崩壊熱を出す
                    (注1) 高速増殖炉用の場合は、15~20%

 MOX燃料への再処理は、今は、英国(セラフィールド)やフランス(ラ・アーグ)に委託しているが、最終的には国内で全量再処理する計画で、国策会社の日本原燃㈱が青森県六ヶ所村に再処理工場を建設中

(2011/8/4追記 英のMOX工場が閉鎖へ福島原発事故の影響で

【主に参考とした資料】
Newton 2011年7月号 原発と放射能 緊急特集号第2弾

【下記エントリーに情報を追記してます】
●燃料集合体および燃料棒、燃料ペレットなど [2012/11/26]
●使用済み燃料の“再処理”と“直接処分”の比較など [2012/12/10]

2.プルサーマルの経緯、現状等

(1) 日本での動向
 プルサーマル計画が注目を集めたきっかけは、もんじゅの事故により高速増殖炉の開発の見通しが立たなくなったことである。プルサーマル開始に向けて地元の事前了解が進んでいたが、住民投票による反対(新潟県)などにより計画は遅れた。その後、地元の了解を得られた4ヶ所で実施。
 さらに、実施に向かって進んでいるところもあったが、フクシマにより計画の先行きが不透明なものとなった。

(2) 海外での動向
 冷戦の終結と、ソビエト連邦の崩壊によって核兵器の解体が進んでいるため、世界的なプルトニウムの剰余が核不拡散の観点から問題になっている。
 一方で、プルトニウム利用の主流である高速増殖炉については、各国で計画の中止や遅延が相次いでおり、プルトニウム処理の有効な方法として、プルサーマルを捉える向きもある。ただし、冷戦終結後、ウラン資源の需給は安定しており、再処理で製造したMOX燃料では経済的に引き合わない状態になっている。
(つまり、プルサーマル計画自体が不経済)。

(3) ヨーロッパ
 プルサーマルの実績は長く、1963年に開始したベルギーを始めとして、イタリアやドイツでは1960年代からの経験がある。また、オランダやスウェーデンでも行われたことがある。
 ただし、ドイツ・スイス・ベルギーでは抽出済みのプルトニウム在庫を燃やしたらプルサーマルは終了とされており、今後も再処理を行ってプルトニウムを抽出し、積極的にプルサーマルを続けようとしているのはフランスだけとなっている。

(4) 米国 (8/17修正)
 1960年代にプルサーマルが始められたが、20年間ほど中断が続いた。その後、2005年6月からMOX燃料の試験運転が開始され、同年10月解体核用のMOX燃料加工工場の建設が開始された。
 また同年11月には、これとは別に使用済燃料再処理・MOX加工・廃液ガラス固化・中間貯蔵を目的とした複合リサイクル施設建設の予算が議会を通過、承認された。こちらは2007年までに建設場所を選定し、2010年までに着工する予定となっている。
 米国は使用済み燃料の再処理をしないことが決定している。使用済み核燃料処理の基本は貯蔵。5年間水で崩壊熱を冷却してから金属キャスクに入れて永久保管。ネバダ砂漠にあるユッカマウンテンの地下に大規模な保管施設を作る計画であったが、オバマ政権になって計画を中止し、代替案を検討する方針である。

【主に参考とした資料】
ウィキペディア

つぶやき

●今後の再処理工場への費用も加えると、コスト的には大いに疑問。(プルトニウム運搬船をテロ襲撃から護衛する為に建造された、“海上保安庁”(注1)のしきしまは世界最大の“巡視船”との事である。)
(注1)本論から外れることだが、”自衛隊”ではないのが日本のオカシサである。
●技術的な問題としての再処理工場の核リスクをあわせて見れば、プルサーマルと再処理工場と高速増殖炉の3点セットは止めるべきである。止める事によるリスク(日本経済の成長阻害やコストアップ)はないのだから。
●論議の順番、優先順位があるかも知れない。
  第一:復旧・復興と被ばく汚染対応・補償
  第二:原発
  第三:この3点セット問題
となろう。ただし、この3点セットを止めて浮いた財源(お財布)は、第一の財源や、第二関連の代替エネルギー普及開発費・補助金などに、回すことができる。
●『コスト面でも技術リスク面でも将来の禍根』のブレーキが効かない原因は、『止める事で不利益を被る一部の人々が決定権を握っている』ため、すなわち『政産官学の利権グループ』なのか!


関連エントリー(新しい順)

●燃料集合体および燃料棒、燃料ペレットなど
●高速増殖炉の原理、歴史、現状、再処理工場
●プルサーマルの経緯、現状、MOX燃料とは →この記事です
●【改定】核分裂、放射線、ベクレル(Bq)とシーベルト(Sv)、人体への影響
[ 2011/06/14(火) ] カテゴリ: 再処理~最終処分に関する | CM(0)
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