ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

【オピニオン】東京電力 予想外の破綻?

[ 2011/06/18 (土) ]
6月14日に原子力賠償支援法案が閣議決定された。国会で成立するかは不透明だ。
少々長くなるが、賠償スキームに関する情報を5点+αピックアップした。
1. 表題は、6月10日 ウォール・ストリート・ジャーナルの記事 である。
http://jp.wsj.com/Japan/node_248112

【つぶやき】

 少々、理解が難しい記事である。私の能力不足のせいか?英語原文からの和訳のせいか? ただし、この記事のおかげで色々調べて、見えないものが見えてきた。

次の様に考える。(ベースとなる考え方は、の竹中平蔵さんの主張である)
●賠償金は、被害者救済として、できるだけ速やかに払うべきだ。
●東電の支払い能力を超える。その部分の選択肢は、(1)電力料金で払うか、(2)税金で払うか、の2通りだ。
●国民負担が少ない方法にすべきだ。国民負担は
 東電が今の姿のまま電力料金で払う>発電事業と送電事業に分離を明示し税金で払う
となるのは明確だ。事業部門の売却で賠償のための資金が得られる、のと、張り巡らされた利権に流れる金(原子力村の維持費)がなくなる、からだ。
●それにより、国民負担が軽くすむメリット以外にも、自由化による代替エネルギーの普及と言う大きなメリットがある。


【部分的に引用 →細かなつぶやき

 今週、東電株は最安値を更新した後、わずかに回復した。株主たちは持ち株を売り払い、株価を押し下げ、自らの首を絞める格好となった。

 その最も明白な原因――今期の損失が5700億円に上るという週末の報道と、東京証券取引所社長の「法的処理が望ましい」という発言――も、まったく道理にかなっていない。原子力災害の費用負担が天文学的な金額になり得ることは以前から分かっており、それがこれまでの株価下落の原因だった。「天文学的な金額」を明らかにすることで一層のパニックを正当化できるとはとても思えない。

 正式な破綻処理などと馬鹿なことを言ってはいけない。日本航空とは対照的に、程々の破綻処理が有益である。
 日航の破綻処理は、政治的ご都合主義の見事な芸当だった。慎重に演出された手順により、同社は労働組合を結成する数千人の過剰人員を削減でき、政治家や銀行は法的処理という便利な幕の裏に身を隠すことができた。これにより、日本を代表する航空会社の破綻の指揮を執るという屈辱を誰も負わずにすんだ。また、同社を修復する、と言うより同社を本当に破綻させてその価値ある資産を市場で分割させることをめぐる非難を誰も受けずにすんだ。

 東電の場合はまったく逆だ。福島第1原発関連の賠償金を支払うために東電を存続させることが政府の願いである。政治家たちは、税金を使ってすぐに賠償金を配りたいと思っている。これは政治的に望ましい政策だ。しかし、その財源を納税者が負担することは認めたくないとも思っている。政治的に不人気な政策だからだ。そこで彼らは賠償基金を創設することで乗り切ることにした。政府が基金にお金を「貸し」、これを(理論的には)東電、および原発を運営する他の電力事業者が時間をかけて返済していく。この策略は、賠償に責任を負うことのできる企業体として、東電を存続させられるかどうかにかかっている。本当に破綻したらこの責任は帳消しになってしまうのだ。

→なぜ、日本航空と同じではいけないの?東電が破綻した後は、国が責任を持てば良いのでは?

 それに多分、東電はいずれ、それなりに返済してしまうだろう。同社は公益事業者だ。日航の場合はより財政状態の安定した競合他社に顧客を奪われる恐れがあったが、東電の顧客ベースは保証されている。サプライヤーについても同様だ。公益事業者の破綻が認められるとは誰も真剣に考えないため、必ずしも信用凍結に陥るとは限らない。実際、震災後2カ月で、日本の各銀行は東電に対し、震災前の銀行融資残高と同等の資金を貸し付けている。

→賠償金返済の原資は電気料金だよね。東電が資産・関係者優遇・利権などを温存している限り納得できない。

 これまでの根本的な問題は政治的意思の欠如である。政府が東電の救済を望んでいたのなら、とっくに着手できていただろう。しかし、東電の過ちを修正するために税金を過剰に費やせば有権者の怒りを買いかねない。政府が株主にも責任を負わせ、債権者にも債務減免を強いることができないのならなおさらである。

 さらに、東電が困難からうまく抜け出すためには電気料金を大幅に値上げしなければならないという問題がある。すでに電気料金が他の先進国の2倍の日本で値上げをすれば、競争力への深刻な脅威となるだろう。

 では政治家は何をするべきか。「何もしない」というのが今のところ最善の答えだ。偶然にもこれは日本政府の得意とするところであり、幸運と言えよう。

 短期的に何もしない場合、結果として一つ言えるのは、株主が東電株を時価評価して批判を受ける状況になるには相当時間がかかるということだ。同社株は震災前の水準から約90%下落している。多分これだけでは、破綻申請がなされ、株主がすべてを失った姿を眺めるときほどの満足感は得られないだろう。しかし、ここからがスタートだ。やや長い時間、苦境に立たされれば、債権者にしても正式に破綻した場合に課せられたであろう債務減免を十分素直に受け入れるようになるかもしれない。

 さらに有益なことに、いま問題を解決しなければ事態は一層悪化する。株主はいら立ちを募らせ、債権者は怒りを増し、最悪なことに納税者たちは提案されたあらゆる計画の詳細に目を光らせるようになる。これが後に、より抜本的な解決策への下地になるかもしれない。

 いま支持を集めている意見に、電力セクターの自由化を求めるものがある。現在10地域に存在する垂直統合的な独占事業者(その1社が東電)を発電事業と送電事業に分離し、市場を開放して新規参入を可能にするといった改革案が考えられる。これに伴う事業部門の売却で、おそらく東電は災害復旧や賠償のための資金をより多く調達できるだろう。

 もちろん、これほど大胆なことが日本で起こり得ると考えるのは非常識だ。こうした計画の明確なメリット、デメリットについて改めて検討する必要もある。ただ要するに、政府の遅れが長引けば長引くほど、破綻した公益事業者に多額の税金を注ぎ込みさえすれば困難な選択肢から逃れられる、というわけにはいきにくくなる。伝統的な破産裁判所の目的は、財政上の不愉快な現実に直面した人々に大胆な行動をとらせることだ。東電は、概念的にそれと同様の政治プロセスに遭遇することになるかもしれない。

→「日本で起こり得ると考えるのは非常識」?
→それとも(見出しの通り)結果的に、予想外に、破綻すると見ている?



2. 産経 正論5月3日 慶応大学教授・竹中平蔵 負担を国民につけ回す東電救済 が、まさに正論だと思う。

【部分的に引用】

 関係者の責任を問うことなく、全てを国民の負担に求めている。モラルなき東電救済策は根本的な見直しが必要だ。

 まず、基本問題を確認しておこう。しばしば、東電の負担はどこまでで政府の負担はどれだけか、という議論がなされる。実務上の問題として当然、線引きは必要である。しかし、決して本質的な問題ではないとあえて主張したい。東電負担なら電力料金を通して住民(国民)が負担し、国なら税金を通して国民が負担するからだ。要するに範囲や形態の違いこそあれ、全て国民の負担になる。問うべき本質は、いかに国民全体の負担を最小化できるか、である。

破綻銀行への公的介入に倣え

 東電の問題は債務超過に陥って破綻した金融機関への公的介入と類似している。2003年の足利銀行一時国有化を思い出せばいい。この時、預金保険機構を通じて公的資金が活用された。今回の賠償でも、預金保険機構と同様の機能を果たす「機構」が設けられ、そこに全事業者(電力会社)がお金を出し合い、不足分を国が負担(交付国債を交付)する仕組みである。ただし銀行のスキームとは1点で異なる。関係者の責任が一切追及されず、当事者(株主、債権者など)の負担が求められていないことだ。

 預金保険法では、ルールは明確だ。債務超過で株式価値がゼロ以下になったのを確認したうえで、一時国有化し、経営責任を求めて経営陣を替えて、株主も権利を失うことで責任を果たす。国から送り込まれた新経営者(実質管財人)がリストラなどを徹底し、新経営主体に売却する。足利銀行も約2年間の国有化を経て無事、別の民間経営主体に売却された。したがって、東電はなくなるが、関東の電力会社はなくならない。賠償は、国有化した段階で政府が全責任をもって行えばよいのだ。

 東電には約3兆円弱の自己資本がある。賠償額が8兆円として、株主が3兆円を負担すれば、国民の負担はその分軽減される。これが、銀行の例から分かるように普通の処理方法といえる。菅内閣のスキームはしかし、関係者の協力は求めても責任は求めない。負担は全て国民につけ回しされる。

 東電を一時国有化すれば、情報開示も全て政府の責任になる。現状のように、不都合を何でも東電の責任にすることもできなくなろう。

 いま必要なのは、賠償を可能にし新たな民間経営主体に引き継ぐための一時国有化である。これは非常時の対応策として有効だ。そして、新たな民間主体に売却する際に「送電」と「発電」を分離すればよい。いずれも政治の意思で可能なことばかりなのである。

 放射能汚染の被害者を人質にとる形で、露骨な東電救済が行われようとしている。東電に甘く国民に厳しい、こうした仕組みは、根本的に修正されねばならない。(たけなか へいぞう)

3. 風紋さんのブログ『語られる言葉の河へ』の5月22日のエントリーで、経産省で大胆な改革案が握りつぶされて、現行の案になった事が説明されている。
【震災】原発>握りつぶされた「東電解体案」~東電の政治力~

4. その大胆な改革案の内容だ。現職経産官僚・古賀茂明さんが5月11日付で現代ビジネス紙上で提言している。(最近、テレビでもお見受けする方だ)  
 (全部で14ページに渡る長文だが)前半の基本線はの内容と似ているし、詳しい反面、専門的なので飛ばして良いかも。
 後半の東電による日本支配の構造、電力事業の構造問題への対応の部分は、読み応えがあり、後日、単独のエントリーにまとめる予定。
現職経産官僚が緊急提言 古賀茂明「東電破綻処理と日本の電力産業の再生のシナリオ」

5. 衆議院議員 江田けんじさんのコラム5月16日 原発賠償スキームの決定・・ルール無視の東電救済
【一部のみ引用】
 政府提案は、原案を某メガバンクが作成、それに監督官庁の経済産業省と予算担当の財務省が脚色したと言われているように、被害者や国民の利益より、東電及びその利害関係者の利益を最優先に考えられたものだ。まさに「東電救済案」と揶揄される所以だろう。

+α の中で紹介されている資料へのリンク
環境エネルギー政策研究所 5月13日プレスリリース 被害救済と国民負担最小化のための福島原発事故賠償スキーム~「東電・官僚・銀行の利益第一」ではなく「日本の未来第一」を~

【関連エントリー(新しい順)】
●日弁連 福島第一原子力発電所事故による損害賠償の枠組みについての意見書
●日経『大機小機』「東電問題への対応」
●古賀レポート(前半)東電の破綻処理
●【オピニオン】東京電力 予想外の破綻? →本エントリーです
[ 2011/06/18(土) ] カテゴリ: 東電問題,原子力ムラに関す | CM(0)
コメントの投稿










管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL

【震災】原発>握りつぶされた「東電解体案」 ~東電の政治力~
 5月13日に発表された東電賠償スキームは、日本航空の処理と比べると、甘さが際だつ。  最大の要因は、東電の経済産業省支配にある。  今回の賠償スキームは、「内閣官房原子力発電所事故による経済被害対応室」の室長、北川慎介・総括審議官が作成した。北川審議官...
[2011/07/31 10:44] 語られる言葉の河へ
このブログについて
管理人 icchou から簡単な説明です 更新,追記の通知はTwitter
カテゴリ
最新記事
ブログ内検索