ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

【基礎01-1】ウイルス、ワクチン、抗ウイルス薬

[ 2014/08/19 (火) ]
世界ではエボラ出血熱が感染拡大し、また、日本ではデング熱の国内感染が発生していますが、この機会に、ウイルス(virus)やワクチンなどの基本的・一般的なことについて勉強しました。この分野の論説などを読むときに、役に立つかも知れない基礎知識です。
素人がまとめた自分用の勉強ノートですので、間違いがあるかも知れません。かなり注意はしていますが。(問題があれば、ご指摘頂けるとありがたいです。)

目次 (ページ内リンクが付いています)

1.まずは、図で見る“ウイルスと細菌と真菌(カビ)の違い”
2.“ウイルスと細菌の違い”を少し詳しく表にすると
3.ウイルスの基本的な増殖過程
4.さまざまな形態を持つウイルスたち
5.ワクチンと抗菌剤(抗生物質)の違い
6.ワクチンの種類
 (1) 生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイド
 (2) 予防接種法による予防接種の種類
 (3) パンデミックワクチン、プレパンデミックワクチン
7.抗ウイルス薬
8.ウイルスは生物種をこえて遺伝子を運ぶ
9.風邪の原因は全てウイルスなのか?抗菌剤(抗生物質)は意味がないのか?風邪と肺炎の違いは?
10.グラム陰性菌、グラム陽性菌
11.関連エントリーなど
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1.まずは、図で見る“ウイルスと細菌と真菌(カビ)の違い”
ウイルス01の2
出典:ウイルスと細菌と真菌(カビ)の違い(大幸薬品株式会社)

ウイルス細菌(核をもたない単細胞の原核生物も、遺伝子(遺伝情報を担う実体)として核酸とよばれる高分子を使っている。なお、真菌(カビ:白癬(水虫)、カンジダ、アスペルギルスなど)は核酸が膜に包まれたの中に存在していて、ヒトと同じ真核生物の仲間。
(真菌と動物(ヒト)の細胞の異なる点は、真菌が堅い細胞壁を持っていること)
ここからが本題です
ウイルスはとても単純な構造をしている。核酸の周りにカプシド(capsid)と呼ばれるタンパク質の殻で覆われているだけ。もう少し複雑になったウイルスはさらに、スパイク状のタンパク質のついたエンベロープ(envelope)と呼ばれる脂質の膜が存在することもある。しかし、複雑と言っても基本的にはたったこれだけの構造。

【参考】[PDF]ウイルスの構造上の特徴と消毒剤感受性について(ヤクハン製薬)
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2.“ウイルスと細菌の違い”を少し詳しく表にすると

ウイルスは自力で増殖できないので、生命(生物)とはみなさない科学者も多いという。
その場合は、単なる“物質”なのかな?“遺伝情報を持った生物様物質”との説明に納得。

ウイルス細菌
細胞壁基本的にはタンパク質と核酸からなる粒子
核酸DNAかRNAのどちらかしか持っていないDNAウイルスRNAウイルスに分けられる。ウイルスの分類
(遺伝子としてRNAを利用するのはウイルスだけ)
DNAとRNAの両方を持っている
タンパク質を合成する能力.
増殖人や動物などの細胞の中で増える。つまり、他の生物を宿主* にしないと増殖出来ない。宿主細胞の遺伝子の中に遺伝子を入れ、その細胞がウイルスの核酸タンパク質を増産(いわばウイルスに乗っ取られた状態)栄養・水分・温度があればいくらでも自己増殖出来る
2分裂増殖しない(単純な構造ゆえに、1つの宿主細胞の中で、条件さえ整えば数十から数百のウイルスを複製することができる。)する
エネルギー生産しない宿主細胞の作るエネルギー
を利用する
する
大きさ数十nm~数百nm
(電子顕微鏡が必要)
細菌の1/10~1/200程度
一般的な生物の細胞
(数~数十μm)の
1/100~1/1000程度
0.2~10μm
(光学顕微鏡で見える)
抗菌剤(抗生物質)効かない特定のウイルスの増殖をおさえる薬は存在するが、ウイルスを消滅させる薬はない効く
* 宿主は正しくは“しゅくしゅ”と読む(らしい)

【豆知識:マイコプラズマ】
マイコプラズマは細菌とウイルスの中間の大きさと性質を持つ。
ウイルス並みに小さく(0.125-0.82μm)、自己複製が可能な最小の生物
明瞭な細胞構造があり、DNA、RNAの両方を同一細胞中にもつことから細菌に分類される。
ただし、細胞壁がなく、リポ蛋白を主成分とする外膜を持つ。そのため一定の形状を持たず、環境の浸透圧によって形態が変わる。(0.22 μmフィルターを通過する。)
一般的な抗菌剤(ペニシリン系、セフェム系など)は利かない。(細菌の細胞壁の合成を邪魔することによって効くタイプは無効)
タンパク質の合成を阻害することで細菌の増殖と発育を抑制する抗菌剤(マクロライド系、テトラサイクリン系抗菌剤、ニューキノロン系抗菌剤)が有効。

【豆知識:クラミジア】
クラミジアは細菌とウイルスの中間の大きさと性質を持つ。
細胞壁を有し、二分裂によって増殖するため細菌に分類されるが、代謝エネルギー生産系がなく、エネルギーを宿主細胞に依存しており、生きる為に自分以外の生物の細胞を必要とする。別の生物の細胞内でのみ増殖可能で、細胞外では増殖できない微生物。増殖を繰り返す一時期において、クラリスなどの抗生剤が効く。

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3.ウイルスの基本的な増殖過程

① 感染経路は多岐

ウイルスの種類によって、固有の感染経路があります。性的行為によって感染するウイルスもあります。
接触感染直接接触、手指・器具・環境経由の間接接触
飛沫感染咳やくしゃみの飛沫(1m以内に落下)、エアロゾル
空気感染長時間空気中に浮遊する飛沫核の吸入
経口感染食物、飲料水、手指・器具・環境経由の間接的経口摂取
経皮感染針刺しなど刺傷、外傷、昆虫の刺創、動物の咬創
母子感染経胎盤、産道、母乳
輸血感染輸血、血液製剤、移植医療
出典:対象微生物による消毒薬の選択(ヨシダ製薬)

皮膚のような物理的バリアーは、ウイルスが簡単に侵入できないように防御します。詳細は【基礎02】に少しあります。

② 細胞への吸着、侵入
ウイルスの基本的な増殖過程
出典:ウイルスの構造と増殖過程(役に立つ薬の情報~専門薬学)

ウイルス感染の最初は「他の生物の細胞表面に吸着すること」から始まります。ウイルスは細胞に取り付く際、宿主細胞の細胞膜から表出している特定の分子に結合します。 例えば、かぜのウイルスは上気道の細胞だけに吸着します。
この辺りのお話を、感染部位の選択性とか細胞選択性というようですが、かなり専門的内容で、素人であるブログ主には手に余ります。
【メモ】どこでもくっつけるわけじゃない(感染部位の選択性)(もんじゅのホームページ 『冬虫夏草』 2012/4/28)

ウイルスは吸着した後、細胞内へと侵入していきます。このとき、ウイルスは保有している核酸(DNAやRNAなどの遺伝子)を細胞内へ遊離させます。 遊離する遺伝子がDNAかRNAかはウイルスの種類によって異なります。
なお、核酸が遊離するためには、ウイルスの膜カプシドエンベロープが分解される必要があります。それら膜のタンパク質が分解されて細胞内にウイルスの核酸が侵入するようになります。このように、ウイルスの膜が破壊されることによって核酸(DNAやRNAなど)が細胞内に侵入してくる過程を脱殻(だっかく)と呼びます。
この状態のウイルスは、単なる核酸分子でしかない。

③ ウイルスの複製

脱殻によって細胞内に遊離した核酸核の中に送り込まれます。私たちのもともとの遺伝子は細胞内の核の中に存在しています。
核の中にウイルスの核酸が取り込まれると、細胞を乗っ取ってウイルス自身のタンパク質核酸を合成させるようにプログラムします。これによって、ウイルスの複製に必要なタンパク質核酸を大量に合成するようになります。
細胞はウイルスに対抗する数々の防御機構を備えている。ウイルスに感染した細胞もインターフェロンサイトカインと呼ばれる生体内タンパク質で主に細胞間の情報伝達物質として働く)を出して、細胞内でウイルスの増殖を抑える。一方、ウイルスは巧妙で、様々な方法でインターフェロンによる防御に対抗する。
←ここも難しく、詳細はブログ主の理解力を超えます。

エイズウイルス(HIV)などが属すレトロウイルス*というRNAウイルスは、RNAからDNAを合成する逆転写酵素(RNA依存性DNAポリメラーゼ)を利用して増殖する。(なお、DNAからRNAを合成することは転写という。)
* “レトロ”とは“逆向き”という意味を持つ言葉
なお、HIVは人間のヘルパーT細胞の表面にあるCD4と呼ばれる糖タンパクに結合し、細胞内に入る。

インフルエンザウイルスRNAウイルスであるが,RNAを鋳型にしてRNAを合成するRNA複製酵素(RNA依存性RNAポリメラーゼ)を利用して増殖する。その構造などの研究から抗インフルエンザウイルス薬が開発されている。

④ ウイルス粒子の放出

ウイルス由来のタンパク質核酸が合成された後、これらバラバラの部品は細胞内で集合する必要があります。これらの部品が組み立てられることによって、最終的にはウイルスが複製されるようになります。
細胞内で新しいウイルスが出来上がると、このウイルスが細胞から放出されます。そして、また次の細胞へと感染することによって症状が悪化していきます。
病原性をもつウイルスは、宿主細胞を破壊してしまうが、細胞が死ぬ前に他の細胞に感染することを繰り返して増殖する。

⑤ ウイルスの培養

ウイルスは生きた細胞でしか増殖できない。そのため、ウイルスを増殖させるためには動物、孵化鶏卵、培養細胞のどれかを使用することになる。
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4.さまざまな形態を持つウイルスたち

さまざまな形態を持つウイルスたち
ウイルスには,遺伝子としてDNA (赤色で示した)をもつものと, RNA (青色で示した)をもつものがいる。イラストのうち,タバコモザイクウイルスは植物(タバコ), T系ファージは細菌に感染するウイルスだが,それ以外のエイズウイルス,アデノウイルス,インフルエンザウイルス,SARSコロナウイルスはヒトの細胞に感染するウイルスである。
出典:Newton 細胞のしくみ

エボラウイルスのイラストも見つけました)
エボラウイルス
出典:エボラ:増大する脅威?(内科開業医のお勉強日記 2014/8/7) 
(viral はvirus の形容詞で、viral membrane はエンベロープのこと)
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5.ワクチンと抗菌剤(抗生物質)の違い

ワクチン抗菌剤(抗生物質)
物質細菌やウイルスの病原性を極度に弱めた(弱毒化した)または不活化した生物学的製剤。
なお、天然痘ウイルスはワクチンの接種(種痘)の普及により世界で初めて撲滅に成功。
生物が、主に細菌に対して防御用に作り出す化学物質。
例えばペニシリンは、ペニシリウムというカビが微生物から自らを防御する為に分泌する化学物質。
作用機序体内に抗体を作り感染症にかかりにくくする。
獲得免疫機能に病原菌の表面にある顔(分子)を認識させる。
細菌の代謝系のどこかを阻害する。
ウイルスには効かない(細胞をもたないので)。
(補足)細菌やウイルスに直接作用するものではないので、その効果は生体側の反応に依存する部分が大きく、必然的に個体差がある例えばペニシリンは細胞壁の合成を阻害することによって細菌を殺すので、細胞壁を持たない動物細胞には毒性がない。
善玉菌(常在細菌)も殺してしまうことが多いが、善玉菌を殺さずに悪玉菌だけを殺す用量や用法が存在するものしか認可されない。違う情報も目にするので取消
ウイルスまたは細菌との対応1対1
例えば、インフルエンザA型のワクチンはそれにしか効かない。
ただし、近い種類のウイルスは共通抗原を持っていたり、または抗原の形が似ているため、違うウイルスまたは細菌にも「ある程度効く」ワクチンを開発することは可能なことがある。
例えば、日本脳炎ウエストナイルウイルスは抗原性がよく似ているウイルスで、抗体検査をすると交差反応をする。つまり「日本脳炎のワクチンを接種していればウエストナイルウイルスの感染も防御できる可能性がある」ということ。(検証されてはいない)
(細菌のみに関して)
複数菌種に対する抗菌活性を持つことが多い。
細菌は一定の分子生物学的な共有形質を有しているため。
摂取時期僅かな例外を除いて
感染する前に接種しなければ効果がない
感染後に接種しなければあまり意味がない
その他長期間にわたり再暴露を受けないと、免疫力が低下する可能性がある。
細菌やウイルスの突然変異により、ワクチン免疫に対して抵抗性を持つ変異株が出現することがある。
耐性菌が問題。
長く抗菌剤(抗生物質)を使うと、抗菌剤が効かない菌が出現。

【メモ】 抗生剤基礎知識
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6.ワクチンの種類

(1) 生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイド

★ 生ワクチン
毒性を弱めた病原体(細菌やウイルスなど)を使用。体液性免疫*のみならず細胞性免疫*も獲得できるため、一般に不活化ワクチンに比べて獲得免疫力が強く免疫持続期間も長い。(*これらの専門用語の説明は【基本知識02】を参照ください。)
しかし弱いとはいえ、生きている病原体を使うため、接種後、体内で毒性を弱めた細菌やウイルスの増殖が始まり、それぞれのワクチンの性質に応じて、発熱や発疹の軽い症状(副反応という)が出ることがある。

★ 不活化ワクチン
ホルマリンや紫外線などによる化学処理で感染力や毒力をなくした細菌やウイルス、ないしその成分*1で作ったワクチン。体内で細菌やウイルスは増殖しないため、生ワクチンより副反応が少ないが、体液性免疫しか獲得できずその分、免疫の続く期間が短いことがあり、このため複数回接種が必要なものが多い。
*1 
例えば、感染防御に働く抗原の部分を精製した百日せきワクチンインフルエンザHAワクチン*2など。これらは以前に用いられていたワクチンに比べると副反応が軽減された。
*2 現行のインフルエンザワクチンはすべてこれ。
また最近では、HPV(ヒトパピローマウイルス)*3ワクチンのように、HPVのカプシドの主な成分で強い免疫原性を有するL1蛋白からできたウイルス様粒子(VLP:virus like particle)を用いたワクチンもある。粒子内部にはHPV のDNA は含まれていないのでウイルスとしての活性はなく、被接種者の体内で増殖もしない。
*3 ヒト乳頭腫ウイルスともいわれ、癌化(ウイルス発癌)の原因ウイルスの1つとされる。皮膚癌の一部や子宮頚癌の原因ウイルスとしてだけでなく、口腔癌、咽喉頭癌、外陰癌、膣癌、肛門癌、陰茎癌の発生にも関わりがあることが報告されている。

★ トキソイド
細菌のもつ毒素(トキシン)を取り出し、免疫を作る能力は持っているが毒性は無いようにしたもので、不活化ワクチンとして分類されることもある。

★ 現在、日本で予防接種さてれいるワクチンの分類一覧表
生ワクチンウイルスMR混合*、麻しん(はしか)M*、風しんR*
おたふくかぜ、 水痘(みずぼうそう)、黄熱、
ロタ(1価・5価)、ポリオ(OPV)、
細菌結核(BCG)
不活化
ワクチン
ウイルス日本脳炎、インフルエンザ、狂犬病、B型肝炎、
A型肝炎、 HPV(ヒトパピローマウイルス2価・4価)、
不活化ポリオIPV*
細菌DPT混合*(百日せきP(不活化ワクチン)DT)、
肺炎球菌(23価多様体・13価結合型)、
インフルエンザ菌b型(Hib)、髄膜炎菌(4価結合体)
ウイルス
・細菌
DPT-IPV混合*
トキソイド毒素(細菌)ジフテリアD*、破傷風T*DT混合*
*混合ワクチンのアルファベットは、それぞれ英語の病名の頭文字。
出典:予防接種に関するQ&A集(日本ワクチン産業協会)

(2) 予防接種法による予防接種の種類

出典:予防接種に関するQ&A集(日本ワクチン産業協会)
予防接種法による予防接種の種類

(3) パンデミックワクチン、プレパンデミックワクチン

★ パンデミックワクチン
感染症のパンデミック(世界的流行)が発生した後に製造する。 ワクチンの開発・製造には一定の時間がかかる。
新型インフルエンザの場合、国民全員分のワクチンを製造するのに現在の技術では1年半以上?とされている。現在、厚労省もワクチン製造用のウイルス株が決定されてから6カ月以内に全国民分のパンデミックワクチンを国内で製造出来る体制の構築を目指し、細胞培養法等の新しいワクチン製造法や、経鼻粘膜ワクチン等の新しい投与方法等の研究・開発を促進している状況にある。

★ プレパンデミックワクチン
パンデミックの発生前に同種のウィルスから製造されるワクチンであるが、実際にパンデミックが発生した際にはウィルスの特性が変化している可能性があり、期待される効果があるか否かは未知。

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7.抗ウイルス薬

感染予防が目的のワクチンとは違い、感染細胞(宿主細胞)の中でウイルスの増殖を抑える治療薬である。
ウイルスが宿主細胞に寄生してから脱出するまでのサイクルの一部プロセスを阻害することで、(あるいは人体の抗ウイルス免疫機構に介入することで)、ウイルス性疾患の治療を行う薬である。 (予防的な投与もある。)

例えば、抗HIVウイルス剤
  • RNAからDNAを合成する逆転写酵素を阻害する逆転写酵素阻害剤
  • ウイルスのタンパク質を作る過程を阻害するプロテアーゼ阻害剤

例えば、抗インフルエンザウイルス薬作用機序別に挙げると
【関連エントリー】 かぜ、インフルエンザ、抗菌剤(抗生物質、抗生剤)、などの勉強ノート
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おまけ的な情報
8.ウイルスは生物種をこえて遺伝子を運ぶ
出典:Newton 細胞のしくみ

ウイルスといえば病原体。それが一般的なイメージだろう。実際,ウイルスは現在4000種程度が発見されているが,研究されているのは主に人や家畜に病原性を示すウイルスである。そもそもウイルス(virus)という名前は,ラテン語の「毒」という言葉に由来しているのだ。
しかし,ウイルスの進化を研究している国立遺伝学研究所の五條堀教授は,次のように語る。 「現在知られているのは,宿主(ウイルスに寄生される生物)に悪さをするウイルスばかりです。しかし,そのようなウイルスはむしろ少数派であり,病原性をもたないウイルスも数多く存在するはずです。人類はまだ,ウイルスのうち,ほんの一握りしか知らないのです」。

2003年にヒトゲノムの解読が完了したが,現在ではさまざまな生物のゲノムデータが蓄積されてきている。そして,それぞれのゲノムを比較することで,非常に興味深いことがわかってきた。

遺伝子はこれまで親から子へ“垂直方向”に伝わるものと考えられてきたが,異なる生物種の間でも“遺伝子の水平移行”が思ったよりも頻繁におきているようなのだ。
たとえば,インフルエンザウイルスは,鳥類にも哺乳類こも感染する。ウイルスは種をこえて感染するのだ。こういった場合,遺伝子が水平移行する可能性があると考えられている。
たとえば五條堀教授は2004年,多数のコンピューターを連結して,約200種の細菌のゲノムを総当たりで比較する研究を行った。すると,細菌のゲノムの約15%が,種をこえて“外部”からやってきたものだということがわかった。
ほかにも,病原性大腸菌0-157の毒性は,赤痢菌の毒素の遺伝子が,大腸菌に水平移行して生まれたと考えられている。

このような遺伝子の水平移行については,まだなぞの部分が多いが,ウイルスが媒介している可能性が指摘されている。宿主細胞に入ったウイルスが増殖する過程で宿主の遺伝子を“くわえこみ”,そのウイルスが別の種の生物に寄生した際に,外来性の遺伝子を新しい宿主のゲノムに組みこんでしまう,というわけだ。このようなウイルスを介した遺伝子の水平移行が,生命進化に影響をおよぼしてきた可能性も指摘されている。
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9.風邪の原因は全てウイルスなのか?抗菌剤(抗生物質)は意味がないのか?風邪と肺炎の違いは?

単独のエントリー:かぜ、インフルエンザ、抗菌剤(抗生物質、抗生剤)、などの勉強ノートに移動
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10.グラム陰性菌、グラム陽性菌

グラム陰性菌グラム陽性菌
グラム染色性陰性(赤色)陽性(紫色)
代表的な細菌大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌、ペスト菌、肺炎桿菌
グラム陽性菌に比べて病原性が高いとされる
ボツリヌス菌、ぶどう球菌、ウェルシュ菌、乳酸菌、肺炎球菌
細胞壁
(人の細胞にはない強固な構造体)
グラム陰性菌
薄い。外側に外膜を持つ厚い
(細胞壁の主要物質)
ペプチドグリカン(PG
糖とアミノ酸から構成
PGは1~2層、厚さは1~8nmPGは最大で40層、厚さは20~80nm
外膜リポ多糖(LPS)とリン脂質からできている
LPSが菌体の破壊で遊離すると内毒素(エンドトキシン)になってしまう。
マクロファージを刺激し、種々のサイトカインが産生、ショックを引き起こすことがある
主な参考文献:抗菌薬と細菌について

関連エントリーなど

【基礎01-2】原虫・蠕虫、2015年ノーベル生理学・医学賞
【基礎02】免疫とは~自然免疫、獲得免疫、細胞性免疫、体液性免疫など
デング熱、ヒトスジシマカについて
“デング熱の重症化”と“ワクチン製造の難しさ”は、デングウイルスの“ある特性”による

その他の関連エントリーはカテゴリにひとまとめにしています。記事下部or左欄のカテゴリリンクから、どうぞ。

【メモ:一般】
癌をも引き起こすウイルスとは
ウイルスと細菌を殺す方法(教えて!goo)
ウイルスの構造上の特徴と消毒剤感受性について(ヤクハンQ&A)
なぜヘルペスのワクチンは意味がないのか(漢方科 松本医院)
抗ウイルス薬とワクチン~新型インフルエンザとの戦いに勝利するには
予防接種に関するQ&A(日本ワクチン産業協会)
インフルエンザワクチンについて(国立感染症研究所)
ワクチン免疫の基礎と臨床~ワクチン効果を上げるもの下げるもの 本川賢司氏

【メモ:エボラ出血熱】
エボラはランプで照らして撲滅せよ(日比野庵 本館 2014/10/19) 
エボラ出血熱・パンデミックへの道 先進国はアウトブレイクを阻止できるか エボラ特集第2弾(WEDGE Infinity 村中璃子氏 2014/10/18) 
日本上陸も秒読み! エボラウイルス米国人看護師感染の意味(WEDGE Infinity 村中璃子氏 2014/10/14)
●エボラの治療と感染対策 前篇後編(あれどこ感染症 今村顕史氏 2014/10/9)  
エボラ迎撃薬「ZMapp」(日比野庵 本館 2014/8/21) 
ウイルスとの戦い(ハフィントンポスト 高山雄太氏 2014/8/21) 
エボラ出血熱に医学はどのように対応してきたか:治療薬、ワクチン、患者輸送(山内一也先生による生命科学の雑記帳 2014/08/11)
SARSコロナウイルスとエボラウイルスの自然宿主(人獣共通感染症(Zoonosis)連続講座 山内一也氏 2005/12/3) 

【メモ】
抗ウイルス剤の作用機序
抗ウイルス剤の作用機序
出典:抗ウイルス剤 インフルエンザ・水痘・単純性ヘルペス(こどものくすり 2012/1/23)
転記 転記
[ 2014/08/19(火) ] カテゴリ: 生物・医学の基礎 | CM(0)
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