ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

デンマークの再エネ比率が世界1位の理由

[ 2014/08/04 (月) ]
再エネ先進国といわれているデンマーク。その実態についての論説をいくつか読んで、あらためて理解できたことが多かったので、まとめてみます。再生可能エネルギー

デンマークのエネルギーなどの概要

★ 1985年に原発を導入しないこと、自然エネルギーの中でも特に風力発電に重点を置くことを決定。
2011年の発電比率は、風力が27.8%(世界1位)、バイオマス+バイオガスが12.4%再エネ合計が40%程度(水力を除いたランキングで世界1位)。一方、石炭も40%程度を占める。
デンマーク電源構成2011
1TJ= 0.28GWh= 0.28×百万KWh

★ 周囲を海に囲まれている上に、国土が平坦な地形で風を遮る障害物がないため、風力エネルギーに恵まれている点が、風力発電を推進する要因の1 つ。
★ 風力発電の設備導入状況では、2013年末時点で、世界第10位だが、人口1人あたりの発電能力はダントツの1位
          2013年末の風力発電の設備導入状況
風力設備導入状況2013
★ 風力発電を推進するため、様々な補助金や固定価格買取制度が導入されてきた。これらの原資は、全て需要家の電気料金に上乗せされている。
★ 家庭用の電力料金では、半分以上が税金等で、世界一高いといわれている。
               2012年下期 EUの家庭用電力料金
EUの家庭用電力料金2012年下期
★ 風力発電機のメーカー市場シェアでは2013年時点でデンマークのVestas社が13.1%で世界1位。
★ 面積は約4.3万km2(九州とほぼ同じ)、人口は約562万人(北海道よりやや多い)
★ 2010年のGDPは27.5兆円で、神奈川県と同じレベル1人当たりのGDP(2012年)は世界6位(約5万6千ドル) 、日本は12位(約4万6千ドル)
国民負担率(2010年)が69.5%で主要国トップクラス(日本は38.5%)、付加価値税(VAT)は25%、で高負担だが、世界最高水準の社会福祉国家で、国民の所得格差が主要国で最も小さい
環境関連税収のGDP比(2008年)は4.25%で、主要国一高い。 (日本は1.59%)
★ EUの加盟国だが、ユーロには参加していない:2000年9月の国民投票において、反対53.1%、賛成46.9%でユーロ参加を否決。

電力の輸出入

★ 年間の総発電量は36TWh 程度であり、発電量の約1/3に相当する電力量を輸出入している。輸入量は輸出量より多い。(←どっちが多いかはあまり意味がない
★ これほど多量の輸出入があるのは、風力発電の出力変動を隣接国との電力融通で調整している為である。
★ ノルウェー、スウェーデンとは海底ケーブルで接続されている。

GWh
デンマーク電力輸出入
出典:「クリティカル・フルーツ」2014/02/17 脱原発神話番外5 転落する風の王国・デンマーク

風力発電の変動性・間歇性への対応

★ 「デンマークの風力には蓄電池はいらない、なぜならノルウェーとスウェーデンという大きな蓄電池がもう既にあるから」といわれている。

      2012年 再生可能エネルギー導入率
デンマーク風力、ノルウェーとスウェーデンの水力
★ 両国の水力発電の比率は、ノルウェー:95%以上、スウェーデン:50%弱と高く、その中の揚水発電が国際電力連係での余剰電力を吸収することができる。(ちなみに、スウェーデンの原子力発電の比率は40%)
★ ノルウェーではフィヨルド地形を活用した高低差の大きい揚水発電が多いらしい。(高低差が大きくとれれば水量は少なくても大きな発電量が得られる)
★ デンマークは、需要が少ない時間帯には余った電気をノルウェーやスウェーデンに安く売り、電力不足時間帯には、そこから高い電力を買っている。ノルウェーもスウェーデンも、安く放出されるデンマークの電力を水として蓄え最大限利用する。つまり、輸出する方も輸入する方も、互いにメリットがある。
★ そのために、税金が高いことも相まって、デンマークの電気料金が高くなってしまったが、変動吸収にはこの方法が最適なのだという。
★ 近年、各国で風力発電の導入が進み、低需要時間帯に風力発電による発電量が多くなり、供給量が過剰となっている。デンマークで余剰電力が発生する時間帯には、風況がさほど変わらない周辺国においても風力発電による余剰電力が発生しているため、卸市場価格は安値となり、卸電力価格がマイナス:ネガティブプライス(お金を払って電気を差し上げる)となるケースもある、とのこと。
★ ちなみに、上のグラフでは、2012年のデンマークの再エネ比率は47.7%と5割直前である。

以上、出典リンク記載の論説の他に、以下も参考にした。
「JBpress 川口マーン惠美氏」2014/7/30  ドイツの再生可能エネルギー:“しわ取り”は高くつく 電力会社は火の車。経済を無視したグリーンエネルギー推進のリスク

つぶやき

デンマークの再エネ比率が高いのは、国の規模が小さいことと水力発電比率の高いノルウェーとスウェーデンとの電力輸出入ができるための相乗的な結果だと分かりました。
この3か国をセットで見たときには、需要と無関係に変動する風力電力を揚水発電に蓄電して合理的に使用している訳で、ある意味で理想的なシステムといえるかも知れません。それを補完しているファクターが、デンマーク国民が高い電力料金を許容できる高い社会福祉の現状にあると理解しました。

やみくもな再エネ推進論者が、“デンマークでは”と言うのは、無いものねだりに近いですね。


【関連エントリー】
ドイツがフランスからの電力輸入を止められない事情
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[ 2014/08/04(月) ] カテゴリ: FIT認定制度に関する事 | CM(0)
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