ポストさんてん日記

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IAEAに提出した政府報告書の28の教訓

[ 2011/06/12 (日) ]
 6月7日 政府の原子力災害対策本部が、福島原発事故の報告書をまとめ、国際原子力機関(IAEA)に報告した。
 全部で750ページもあるらしいが、注目は、『28項目の事故の教訓』である。
 『これらの教訓を踏まえ我が国における原子力安全対策は、今後、根本的な見直しが不可避であると認識。』と記載している。

 大きな疑問点が三つある。
1.この報告書自体の確からしさ、の検証が必要である。「事故調査・検証委員会」で検証してほしい。
2.事故原因を「地震による大きな損壊は確認されていない」としている為、耐震性・耐震基準に関する項目がない。ほんとにそうか?
3.設置から40年以上経過した原子炉本体の老朽化、設計の古さに関する項目がない。

 (こんな素人のつぶやきはさて置いて)次のステップとして、既存の原発に展開されて行くのだろう。
 既存の原発の行方は、当面の最大の命題だ。
 ●ドイツ方式か(老朽炉は直ちに廃炉、その他は運転停止時期を定める)
 ●スイス方式か(寿命まで運転、新規建設なし)
 ●安全対策実施で運転、新規も?(今の日本政府は、これ?)
 報告書の記載内容は抽象的なので、実行する時の選択肢はピンからキリまである。
 コストや技術的実現可能性などへの配慮で、中途半端な対策になってしまわないように、チェックの機能が必要だ。既存設備では対応不可能な場合は、結果として廃炉となる事もいとわない、で進めるべきだ。

 少なくとも、安上がりな原発の時代は終わったのだ。
 今後も、注視していくために、28項目のポイントだけをメモとして、残しておきたい。

【教訓 1】 シビアアクシデント防止策の強化
項目内容
1地震・津波への対策の強化 地震想定は複数震源の連動を考慮し、外部電源の耐震性を強化する。
 津波のリスクを認識し、安全機能を維持できる対策を講じる。
2電源の確保 多様な非常用電源の整備、電源車の配備など電源の多様化を図り、緊急時も長時間にわたって電源を確保できるようにする。
3原子炉及び格納容器の冷却機能の確保 代替注水機能や水源の多様化などにより、確実な代替冷却機能を確保する。
4使用済み核燃料プールの冷却機能の確保 電源喪失時も維持できる代替冷却機能を導入する。
5アクシデントマネジメント(過酷事故へ拡大させない対策)の徹底 国の指針も92年の策定以来、見直されていない。事業者による自主保安の取り組みを改め、法規制上の要求にする。
6複数炉立地における課題への対応 一つの発電所に炉が複数ある場合、各炉の操作を独立してできるようにし、影響が隣接炉に及ばないようにする。
7原発施設の配置の基本設計上の考慮 使用済み核燃料プールが原子炉建屋の高い位置にあった。今後は冷却を確実に実施でき、事故の影響の拡大を防ぐ配置を進める。
 既存の施設は、同等の機能を有するための追加的な対策を講じる。
8重要機器施設の水密性(水の浸入防止)の確保 設計の想定を超える津波・洪水の場合も、水密扉の設置などで水密性を確保する。


【教訓 2】 シビアアクシデント対応策の強化
項目内容
9水素爆発防止対策の強化 水素を的確に逃がすか減らすため、格納容器の健全性を維持する対策に加え、水素を外に逃がす設備を整備する。
10格納容器ベントシステムの強化 効果的にベントを活用できなかった。今後は、操作性の向上や独立性の確保、放射性物質除去機能などを強化する。
11事故対応環境の強化 中央制御室や原発緊急時対策所の放射線量が高くなり、事故対応に支障が出た。放射線遮蔽(しゃへい)の強化など、活動が継続できる環境を強化する。
12事故時の放射線被ばくの管理体制の強化 事故時の防護用資材を十分に備え、被ばく測定を迅速にできるようにする。
13シビアアクシデント(過酷事故)対応の訓練の強化 訓練を強化する。
14原子炉及び格納容器などの計装系(測定計器類)の強化 過酷事故発生時も十分機能する計装系を強化する。
15緊急対応用資機材の集中管理とレスキュー部隊の整備 過酷な環境下でも円滑に支援できるよう資機材の集中管理や部隊の整備を進める。


【教訓 3】 原子力災害への対応強化
項目内容
16大規模な自然災害と原子力事故との複合事態への対応 事故が長期化する事態を想定、各種分野の人員の実効的な動員計画を策定する。
17環境モニタリングの強化 緊急時の環境モニタリングは地方自治体の役割としているが、緊急時は国が責任をもって実施する。
18中央と現地の関係機関の役割の明確化 当初は政府と東電、東電本店と原子力発電所、政府内部の役割分担の責任と権限が不明確だった。責任関係や役割分担を見直し、明確化する。
19事故に関するコミュニケーションの強化 各国の支援申し出を国内のニーズに結びつける政府の体制が整っておらず情報提供も不十分だった。情報共有体制を強化する。
20各国からの支援への対応や国際社会への情報提供の強化 情報共有体制を強化する。
21放射性物質放出の影響の的確な把握・予測 SPEEDIの計算結果は当初段階から公開すべきだった。今後は、事故時の放出源情報が確実に得られる計測設備を強化し、当初から公開する。
22原子力災害時の広域避難や放射線防護基準の明確化 退避期間は長期化した。事故で設定した防護区域の範囲も防護対策を充実すべき範囲を上回った。このため、原子力災害時の避難の範囲や防護基準の指針を明確化する。


【教訓 4】 安全確保の基盤強化 、安全文化の徹底
項目内容
23安全規制行政体制の強化 原子力安全・保安院を経済産業省から独立させ、原子力安全委員会や各省も含め規制行政や環境モニタリングの体制を見直す。
24法体系や基準・指針類の整備・強化 既存施設の高経年化対策のあり方を再評価し、法体系や基準の見直しを進める。
25原子力安全や原子力防災に関わる人材の確保 今回のような事故では、過酷事故への対応や放射線医療などの専門家が結集し取り組むことが必要。教育機関や事業者、規制機関で人材育成活動を強化する。
26安全系の独立性と多様性の確保 これまで(安全確保のシステムである)安全系の多重性は追求されてきたが、独立性や多様性を強化する。
27リスク管理における確率論的安全評価手法(PSA)の効果的利用 リスク低減の取り組みを検討するうえで、(リスク発生の確率を評価する)PSAは効果的に活用されてこなかった。PSAを積極的に活用し、効果的な安全向上策を構築する。
28安全文化の徹底 原子力安全に携わる者が専門的知識の学習を怠らず、吟味を重ねる姿勢を持つことで、安全文化を徹底する。


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●IAEAに提出した政府報告書の28の教訓 →本エントリーです
[ 2011/06/12(日) ] カテゴリ: 原発に直接に関する事 | CM(0)
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