ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

日本メディアはIUCNのウナギレッドリスト掲載をどう報じたか

[ 2014/06/19 (木) ]
追記しました。2014/6/19
初回公開日:2014/6/14


IUCN(国際自然保護連合)がニホンウナギを絶滅危惧種に指定しました。海洋資源の枯渇、メディアの特性など興味深いことがありましたので、関連情報をいくつかアーカイブします。

(新しい順)
本ブログ表題はこの記事からの借用です。1つの事象をメディアがどのように報道したか?メディアの特性を示す実例ですね。
記事のまとめ部分から引用

取材先と典型的なコメントをまとめるとこんな感じ

  • チェーン店   「規制されると高くなって困る」
  • 専門店  「困ったけど、規制は仕方が無い」
  • ウナギ専門家  「ウナギ資源、まじヤバい。保全のための強力な取り組みが必要」
  • 水産庁  「資源は長期減少傾向で、危機的な状況」

どこに取材するかで、どういう記事になるかが決まるような感じですね。売ってなんぼの、大量消費が招いた悲劇という気がします。

環境報道一般に関して、よく言われていることですが『記者は真実ではなく、見解を取材する』ですね。

IUCNとは
国際自然保護連合 IUCN:International Union for Conservation of Nature and Natural Resources
地球的な規模での、自然資源と環境の保全を図るために活動する国際団体。
レッドデータブックを発行するほか、ワシントン条約とラムサール条約とは関係が深い。また、世界自然遺産の候補となった物件について調査し、世界遺産委員会に報告する。
1948年設立。本部はスイスのグラン。

「Blog vs. Media 時評 団藤保晴氏」 2014/6/12 
絶滅危惧種指定、ウナギの食べる心配報道は異様

国際自然保護連合がニホンウナギを「近い将来、絶滅する危険性が高い」として絶滅危惧種に指定しました。メディアは食べられなくなる心配とセットで報道しますが、保護に失敗した日本はむしろ歓迎すべきなのです。


そもそもウナギが高くなったのは、十分な規制が無いまま漁獲が拡大し、日本人が食べ尽くしてしまったからである。つまり、無規制の結果なのだ。無規制の状態が今後も続けば、漁獲は更に減少し、値段は高くなるだろう。もし、ウナギ資源・食文化の存続には、何らかの規制が必要なのは明白である。

我々日本人が、今考えるべきことは、今年の土用の丑にウナギの値段が上がるか下がるかでは無く、鰻丼というすばらしい食文化を支えてきたウナギ資源をどうやって救うことが出来るかである。日本のマスメディアには、ワシントン条約の意味を理解した上で、ウナギ資源・食文化の持続性に対して責任のある記事を書いて欲しいと切に願う。


          シラスウナギの漁獲量
シラスウナギの漁獲量

漁獲が減少した状態を基準に、少しでも水揚げがまとまったら「豊漁」と報じるのはウナギに限った話では無い。

          図2 北海道でのニシン水揚げ推移
図2北海道でのニシン水揚げ推移

海外では、資源が豊富な時代を基準にして、漁業の状態を判断する。ノルウェーなどの漁業先進国では、漁獲が無い時代の30-40%まで魚が減ったら、禁漁を含む厳しい規制をして、資源を回復させるのが一般的である。
魚がどこまで減っても漁獲を継続し、資源が枯渇した状態を基準に、少しでも水揚げが増えたら「豊漁」とメディアが横並びで報道するのは日本ぐらいだろう。この報道姿勢からも、日本人が水産資源の持続性に対して、きわめて近視眼的な視野しかもっていないことが理解できる。
魚がどれほど減っても、まともな漁獲規制をせずに、目先の漁獲量の増減に一喜一憂しているのが、日本の現状である。


「横浜国大 松田裕之 公開書簡」 2013/7/2
ニホンウナギ絶滅危惧種 報道に際しての事前の意見

聞き取りが1時間近くにもなったということは、番組から期待された発言を私がしなかったということでしょう。ご期待に沿えずにごめんなさい。
私の矜持は、「科学者は結論を述べずに根拠を述べる」ということです。
報道者は自分の言いたいことを学者に語らせようとするのかもしれませんが、それこそ、現在社会の混乱の元だと思います。判断するのは視聴者で しょう。学者も報道も、その判断材料を与えるだけのはずです。
福島の放射線リスク、辺野古米軍基地、すべて同じです。


【追記】omizoさんのコメントで

稚魚が減った最大の理由は環境の変化等ではなく、乱獲が主因です。それがあたかも、環境変化にも原因があったのではないかと「魔法の呪文」を唱えることで原因が曖昧にされてしまい、加害者である我々日本人があたかも被害者であるかのような、大きな誤解を与えることになってしまっているのです。

実際は「乱獲」で魚がいなくなっているのに「環境の変化」が原因ということになれば、乱獲をしている「加害者」が、魚が獲れなくなって気の毒な「被害者」に変わってしまうのです。漁業者と乱獲されている魚を食べてしまう日本人が加害者なのですが、加害者の一方である漁業者にこのまま「補助金」を支給していけば、漁業は単に衰退を続けていくことになります。まさに、水産業を復活させるどころか、逆の処方箋を出しているのです。


【追記】
ニホンウナギ稚魚の池入れ量と取引価格の推移
出典:水産庁の第2回ウナギ対策会議(2013/8/26)資料1(ウナギ緊急対策の進捗状況等について)
ニホンウナギ稚魚の池入れ量と取引価格の推移
注:輸入量(平成24年12月~平成25年5月)は貿易統計の「うなぎ(養魚用の稚魚)」を基に、輸入先国や価格から判別したニホンウナギ稚魚の輸入量。採捕量は池入れ量から輸入量を差し引いて算出。
池入れ量及び取引価格は業界調べ。

H24年(25年?)輸入元の内訳は、香港:6.1トン、 韓国:1.0トン、フィリピン・インドネシア:0.5トン、台湾:0.3トン、米国・カナダ:0.2トン。マダガスカル:0.03トン。

【メモ】 
土用の丑の日はいらない、ウナギ密輸の実態を暴く (伊藤悟 WEDGE Infinity(ウェッジ) 2016/7/28)
ウナギが食べられなくなる日(ナショナル ジオグラフィック 井田徹治氏)
[ 2014/06/19(木) ] カテゴリ: 海洋資源問題 | CM(7)
H24年の輸入全量は7.4tとなっています。計算会います。国内採取からの流通量が、闇の噂話もある事も。 知事許可の採取量の50%程度しか正規ルートでしか流通していないとの噂話もあり。採取できないのか?。はたまた…。
[ 2014/06/18 22:58 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
確かに!
H24年の輸入全量が6.9トンなので、その内、6.1トンが香港ルートということですね。
他には、韓国が1.0トン、フィリピン・インドネシアが0.5トン、台湾が0.3トン、米国・カナダが0.2トン。マダガスカルが0.03トン。
(合計が合わないのは算出手法の違いか?)
[ 2014/06/18 11:04 ] [ 編集 ]
http://www.jfa.maff.go.jp/j/study/saibai/pdf/130826siryou_1.pdf

ここのH24年の香港6tシラス輸入とあるのは、不思議に思いませんか?。香港は貿易地ですから、ここに持ち込まれたシラスはどこから来たかです。当然に彼の2国での密猟による乱獲でしょうが、香港までの移送の間にロスもでることでしょうし、どのくらいのロスが出ているかですね、ロスは無駄に資源を枯渇させているわけでもあります。日本は、密猟乱獲に暗黙の了解をしているわけです。 高くても買うものがいれば、当然にそのために供給するものいる。
[ 2014/06/17 20:23 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
文献の紹介、ありがとうございます。本文に追記しました。
[ 2014/06/17 00:31 ] [ 編集 ]
マルハの片野さん的には

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2152

勝川さんは学者として、片野さんは、現場から
[ 2014/06/16 21:12 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
豆知識的な情報が満載のコメント、ありがとうございます。
[ 2014/06/15 09:33 ] [ 編集 ]
乱獲。日本の養殖として、台湾、と日本で稚魚の乱獲すれば、そらいなくなるのは当たり前。ウナギが生息できるる環境が破壊されたなんてのは、本オス串しかない、台湾でも稚魚遡上が減少している状況を、なんとする。稚魚の乱獲意外ない。 養殖技術がなかった頃は、冬のハレの日に 食うのが当たり前が、うなぎ屋が夏に食わない物を、平賀源内を使って、夏にも食う様に、宣伝したのが元凶。 マルハが、ヨーロッパウナギの養殖に成功して、3匹1000円で売り出したことから、ヨーロッパウナギの稚魚乱獲が始まる(マルハは、この養殖で、水温管理が高温であったため、巨額損失を出している。ヨーロッパウナギは、冷水、ニホンウナギは、それより温水。で、大手水産会社は、撤退。養殖地が中国になるわけ)。 ヨーロッパウナギの稚魚高騰輸出制限から、ニホンウナギの稚魚乱獲へ移行する。  松田さんのニホンウナギのリスク も参考にした方がよい。

本来なら、1匹5・6000円が相場でしょうが。
[ 2014/06/14 19:53 ] [ 編集 ]
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