ポストさんてん日記

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食糧自給率は2種類あって、かなり違う

[ 2014/08/06 (水) ]
平成25年度食料自給率が発表されたのでデータ更新。2014/8/6
初回公開日: 2014/07/07


一般には、日本の食糧自給率はかなり低いと認識されていますが、それが2種類あってかなり違った結果を示します。少し深掘りしてみました。

各図の出典は次の資料です。
平成25年度食料自給率等について(2014/8/5 農水省)
現行の食料自給率目標等の検証①(2014/3/26  農水省)
現行の食料自給率目標等の検証②(2014/4/22  農水省)
(これ以外の出典は個別に記載)

食糧自給率の種類

食料自給率の種類

品目別自給率は、単純に重量で計算するもので、イメージしやすい。
総合食料自給率は、(同じ1kgでも食糧としての価値が違うので、)共通の「ものさし」で計算する必要がある。その方法が2種類あり、熱量で換算するカロリーベースと、金額で換算する生産額ベースである。

具体的な経年データ

カロリーベース生産額ベース
2012年度39 %67 %
2013年度39 %65 %

食糧自給率2014

2つの指標とも長期的には低下傾向で推移しているが、最新値は倍近く違う値である。
農水省が公式に採用しているのは、従来はカロリーベースのみであったが、近年は(本エントリーで引用しているように)生産額ベースや、主要品目の在庫量を出す方向に変わってきた、とのこと。
なお、食料・農業・農村基本計画(平成22年、5年毎に見直し)では目標として、カロリーベース:50%、生産額ベース:70%、と設定している。

【少々、古い論説だが参考】
「JBpress 鶴岡弘之氏」 2010/7/10 「食料自給率40%」は大嘘!どうする農水省
(『日本は世界5位の農業大国』の著者である浅川芳裕氏へのインタビュー記事)

「窮乏する農家、飢える国民」のイメージを演出し続けることで、省や天下り先の利益を確保し、農水省予算の維持、拡大を図っているのだ。
いかに自国の農業が弱いかを理論武装して、自分たちの役割を過大評価させようとしているんです。


参考までに、品目別自給率は、
自給率単品経年

自給率経年の04

さらに多くの品目のグラフが、「本川裕さんのサイト、社会実情データ図録」 主な食料の品目別自給率の推移に掲載されている。

他国との比較ではかなり違うイメージになる

カロリーベースでは、日本は特別に低いと言えそうだ
自給率世界カロリー2009

経年比較のグラフが、「本川裕さんのサイト、社会実情データ図録」 日本および各国の食料自給率の推移に掲載されている。

生産額ベースでは、他の国に大きく見劣りしているとは言えない
自給率世界生産額2009 (注意)上記の平成24年度の68%は概算値で、2014年8月公表の確定値では67%になっている。

計算方法

食料自給率の考え方

2013年(H25年)の計算で内訳を見てみると

       カロリーベース                生産額ベース

1人1日当たり 国産供給熱量 (939kcal)      食料の国内生産額 (9.9兆円)
----------------------------- =39%    --------------------- =65%
1人1日当たり 供給熱量 (2,424kcal)        食料の国内消費仕向額 (15.1兆円)

自給率比較2014
                    自給率比較の凡例
青い部分が自給、白が輸入、黄色は国産畜産物に関して輸入飼料を使っている部分を輸入と見なしている部分。
カロリーベース(左図)と生産額ベース(右図)を比べると、一目で、重み付け(図中のそれぞれの高さ)がかなり違うのが分かる。カロリーベースでは、小麦、油脂、が極端に大きい一方で、野菜、魚介、が極端に小さい。米、畜産物、は2倍程度の違いである。

この比較図を眺める限りでは、生産額ベースの方が実感に近い気がする。
そもそも、食糧難の時代ではなく、嗜好の多様性・食生活の変化とともに、品目別の食料消費量が大きく変化している中では、カロリーベースは実態とのかい離は大きいと言えるだろう。

生産額ベースが実態に近いとすれば、上述のように、日本の食糧自給率は他の国に大きく見劣りしているとは言えないことになる。
ただし、生産額ベースは、為替レートの影響を受けてしまうという欠点がある。 2013年度の生産額ベースが前年から2ポイント低下したのは、各品目を通じて円安の影響等により輸入単価が上昇したことが要因にあるという。

ちなみに、黄色部分が、どのくらい自給率全体に影響しているかを計算すると、カロリーベース(左図)で8.1ポイント、生産額ベース(右図)で4.4ポイント、押し下げている。

(以下、少し余談ですが)
参考

自給率の長期的な低下、特にカロリーベースの大きな低下は、食生活の変化が大きな要因で、その中でも米の生産量・消費量の減少と言われている。
確かに、米の消費量(1人1年当たり)は1960年頃の半分になっている。
米の消費量(1人1年当たり)
          出典:米に関する資料(農水省)

日本の米の生産量と1人当たり消費量の年間推移。こちらは2008年(H20年)までのグラフ。
米の生産量と1人当たりの消費量
          出典:南魚沼産コメ王子、就農への歩み

農地面積の経年データを見てみると、田すなわち米の減少は大きく、それが耕地面積全体を減少させている要因で、それ以外の減少は目立つものではないようだ。

田・畑種類別耕地面積の推移
田・畑種類別耕地面積の推移
           出典:平成25年耕地面積 (農林水産省)

さらなる分析は手に余るので、 この辺りで終了とします。

メモ

うんこと食料自給率 -物質循環(バッタもん日記 2013/8/21 )
[ 2014/08/06(水) ] カテゴリ: その他の環境関連 | CM(1)
生産ベースは、日本に外貨が潤沢にある。が前提ですから。 リンが買えなければ・・・。石油が買えなければ、農機具は・・・。
[ 2014/07/09 23:16 ] [ 編集 ]
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日本は世界5位の農業大国 嘘だらけの食糧自給率
農水省によれば「国内で供給される食料のうち、国産でどの程度賄えているか」を示す指標だという。これには重量や品目別、飼料ベースなど様々あるが、「食料・農業・農村基本法」によってその向上が定められている指標は二つ。「カロリーベース」と「生産額ベース」の自給率である。毎日のように連呼される「自給率41%」はカロリーベースの数字だ。これは国民1人一日あたりの国産供給カロリーを、一人一日あたりの全供給...
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