ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

【改定】核分裂、放射線、ベクレル(Bq)とシーベルト(Sv)、人体への影響

[ 2013/03/11 (月) ]
今更ながらですがセシウムの半減期グラフを追記。2013/3/11 
(上記までの追記・修正記録は割愛)
初回公開日:2011/06/09


 素人がまとめたものですので、誤りや不適切表現などありましたら、ご指摘ください。なお、不定期に加筆しています。最近の部分のみ赤字で明記しています。

目次 (ページ内リンクが付いています)

1. 放射線
2.原子炉の中で   
3.核分裂生成物などの放射性崩壊図、半減期 (2013/3/11追記)
4.生物体の吸収・排出   
5.(内部被ばく)ベクレル(Bq)とシーベルト(Sv)、実効線量係数
6.(外部被ばく)シーベルト(Sv)   
7.被ばく量と人体への影響   
8.放射線に関する基準値    
9.自然放射線による被ばく    
10.主に参考とした資料
11.おまけ1【放射線Q&A 坂東教授】   
12.おまけ2【煽り系情報に対する的確な反論】   
13.今回の事故による放射性物質の放出量   
14.今回の事故による放射線汚染の実態   
15.その他の参考資料

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1. 放射線

(1)種類
 主な出典は(資料2)
質量比遮蔽物
の例
透過力放射線
加重係数

被ばく
人体影響
大気中人体中
α線He原子が電子
2個失ったもの
7200数cm数十μm20
β線電子11mmのアルミ
アルミホイル*
数十cm*2mm*1
γ線電磁波
(光子)
01.5cmの
百m近く一部は体を
透過する
1

遮蔽の図02
 α線は質量があるため空気中で数センチの距離で減衰してしまう。そのため、α線を出す放射性物質が体の外にあるときには、外部被ばくにはほとんど影響しない。ただし、内部被ばくでの影響は大きい(後述)。

 β線も質量があるため空気中で数十センチの距離で減衰してしまう。たとえ外部被ばくしても、皮膚のところで減衰してしまうので、人体にはほとんど害がない。やはり、外部被ばくを考える際には考慮しなくてよい。もちろん、β線を出す物質を体内に取り込めば内部被ばくに寄与する。 人の体では2mm位*しか進まない(その範囲が影響を受ける)。エネルギーはゼロ~固有の最大値に至るまでの連続な値(複数の波長が連続して出てくる連続スペクトル)で、崩壊図には核種固有値として最大値が記載されている 。従って、*印の部分は正確には核種により異なる。

 γ線は空気中で百メートル近い距離を飛ぶ。そのため、γ線は外部被ばくでの主役になる。もちろん、内部被ばくにも寄与する。核種固有のエネルギー(線スペクトル)を持つ。

(2)放射性元素が崩壊して放射線を出す

放射性崩壊
α線He原子が電子
2個失ったもの
α崩壊
質量数は-4
原子番号は-2
β線電子β崩壊原子番号は+1
中性子→陽子+電子(β線)+ニュートリノ
γ線電磁波
(光子)
γ崩壊原子核内のエネルギー準位の遷移で発生する
波長の短い(エネルギーが高い)電磁波。
原子番号や質量数は変化しない
 ちなみに、x線とは、軌道電子の遷移で発生するもので、γ線より弱い(波長が長い)

(3) 線量の測定難度 

【簡単な順に】
γ線固有のエネルギー(線スペクトル)により、核種も判定できる。
β線複数の波長が連続して出てくるスペクトル(連続スペクトル*)なので、それでは放射性核種を特定できない。
試料からその物質だけを分離精製した後、測定する。
分離精製操作などが必要であり、分析結果が得られるまで数週間を要する。
●ストロンチウム90の測定方法
α線分離して試料からプルトニムだけを抽出し濃縮後、アルファ線スペクトロメータ
(シリコン半導体検出器)で測定●プルトニウム、ポロニウムの測定方法
*β線のエネルギーは、同時に放出されるニュートリノとエネルギーを分けあうため、ゼロから最大値まで連続的に分布する。崩壊図には核種固有値として最大値が記載されている。

 測定器の種類・検出下限値・測定時間など、別エントリーにまとめました。
 ●放射線線量計(測定器)、あれこれ(種類・検出下限値・測定(計測)時間など)

 【個人的メモ】●「kikulog」2012/10/23 γ線だけ測っても預託実効線量は出せるということ

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2.原子炉の中で

(1) ウランU-235(燃料棒の3~5%)の核分裂
              原子番号質量数
                           (発生熱の記載は省略)

核分裂01

 この核分裂で発生する熱エネルギーが発電に使われる訳である。

 臨界:炉内の中性子の数を、制御棒で調整し、一つのウランUの核分裂が、次のウランUの核分裂一つを引き起こすようにしている状態

 減速剤としての水:反応には低速の中性子(分子の熱運動程度の速度で動いている中性子なので熱中性子という)が必要。核分裂で生じた極めて高速の中性子は、水で減速される事により、連鎖反応が続く。
(原子炉内の水は、中性子の減速剤の他、放射線の遮蔽、原子炉の冷却・熱の運搬という三つの役割を果たしている)

(関連エントリー)●燃料集合体および燃料ペレットなど

 臨界について、もっと詳しく知りたい方には、●「toshi_tomieのブログ」11/3 超微量のキセノンの検出で、起こりえない臨界を大騒ぎをお勧めします。 

(2) 核分裂しないウランU-238

 核分裂しないウランU-238(燃料棒の95~97%)の一部は、中性子を吸収してプルトニウムPu-239になる。使用済み燃料中には、約1%のPu-239が含まれる。

核分裂02
 (関連エントリー)
 ●高速増殖炉の原理、歴史、現状、再処理工場
 ●プルサーマルの経緯、現状、MOX燃料とは

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3.核分裂生成物などの放射性崩壊図、半減期

(1) セシウム Cs137 の放射性崩壊図、半減期

 以下、
     原子番号質量数
 発生熱の記載は省略
 マーク印が、それぞれの核種の線量測定(ベクレル値)で計測する放射線

 バ)セシウム137崩壊図

 【図の見方】

 セシウムCs137はβ線とγ線を出しながら、半減期30年で安定なバリウムBa137に崩壊する。
 セシウムCs137の放射能(ベクレル値)はバリウムBa137mから出るγ線(0.6617MeV)を計測することで測られる。


 【バリウム137mのmについての補足、以下同様】
 原子番号と質量数が同じ核種がある場合、エネルギー準位が高い核種について、準安定状態(metastable:メタステーブル)であることを示す「m」を質量数の後に付けて区別する。


 (参考エントリー)●セシウムCsの一般的な物性
 (個人的メモ)詳細図はこちらの5項

 以下の崩壊図は、理解のためのイメージ図で、一部(I131など)は正確性に欠けるものもあります。 

(2) ヨウ素 I 131の放射性崩壊図、半減期

 I131

 (参考エントリー)●ヨウ素 I の一般的な物性
 (個人的メモ)正確には●http://www.flickr.com/photos/uncorrelated/6833778980/sizes/l/in/photostream/

(3) ストロンチウム Sr 90 の放射性崩壊図、半減期

 バ)ストロンチウム90

(4) ストロンチウム Sr 89 の放射性崩壊図、半減期

 ストロンチウム89

(5) テルル Te129m の放射性崩壊図、半減期

 テルル129m崩壊図02
        mについては(2)を参照。
 (ヨウ素I129のβ崩壊で出るβ線のエネルギーは低いため、GMサーベイメータでの計測は不向き。)
 (ヨウ素I129の崩壊では、低エネルギーγ線もでる。崩壊直後の新しい核種は通常、励起状態にあることが多く、ベータ崩壊にはガンマ崩壊が伴っていることが多い。)

 (関連エントリー)
 ●放射線量等分布マップ(テルル129m、銀110mの土壌濃度マップ)100キロ圏内

(6) 2項(1)の核分裂生成物 XとY

 上記の他にも、次ぎの様々な物質がある。収率、ヨウ素135、ジルコニウム93、テクネチウム99、プロメチウム147、ヨウ素129、サマリウム149
 核分裂収率ATOICA
 出典:ATOMCA(クリックすると拡大)
 再び2項(1) の式の説明になるが、質量数235のウランが核分裂してできる核分裂生成物は、質量数90前後の物質と質量数140前後の物質を中心に、様々な種類がある事が判る。

(7) セシウム Cs134の由来、放射性崩壊図、半減期。
 主な出典は(資料2)

 Cs134 はウランの核分裂では出てこない。(だから、たとえば原爆から出てきた放射性物質にはCs137 は含まれているが Cs134 は含まれていない。)
 Cs134 の発生は次のとおり。核分裂生成物のキセノンXe133 がベータ崩壊して安定な Cs133 になる。この Cs133 が炉内で中性子を捕獲して Cs134 になる。だから、Cs134 の量は、原子炉がどれくらいの期間運転していたか、あるいは核燃料がどれくらいの期間使用されていたかを反映する 。
 セシウム134の102
               セシウムCs134崩壊図03
ベータ崩壊直後のBa134は励起状態にありガンマ崩壊を伴う。Cs134の放射能(ベクレル値)はそれから出るγ線(0.6047MeVなど複数)を計測することで測られる。詳細図はこちらの5項を参照。

 Cs134Cs137の放射能強度比、つまり
  r =(ベクレルで測った Cs134 の量)÷(ベクレルで測った Cs137 の量)
は土壌の調査でも、海水の調査でも、ほぼ 1 という結果が出ている。( 2011年上期での比であり、Cs134の崩壊が早いので、その後の比率は変わってくる。)
 両者の量がベクレルで測ってほぼ等しいからといって、両者が「同じだけある」というわけではない。崩壊率は 15 倍(半減期が2年と30年)違うから、通常の物質量(モル数や質量)で測れば Cs137Cs134 の約 15 倍あるということになる。

【追記】Cs137とCs134の半減期グラフを作りましたので、ご参考までに。
Cs137とCs134の半減期グラフ02
 このグラフはセシウムが全く移動しない時の理論的な減衰を表わしたものですが、実際の地面や空間線量率の減衰は、雨などで洗い流されているためこれよりも早いようです。

(8) 銀 Ag110mの由来、放射性崩壊図、半減期

 Ag110m は安定なAg109が中性子を捕獲することで作られる放射性核種である。Ag109について検索すると、次ぎの2つの説明がある。
 ①Ag109は核分裂生成物であるので運転時間が長い燃料棒中に存在する。
 ②制御棒にAg-In-Cd(銀‐インジウム‐カドミウム)の合金が使用されており、Ag109はその中に多量に含まれる。
 銀110m崩壊図02
       mについては(2)を参照。
 (関連エントリー)
 ●放射線量等分布マップ(テルル129m、銀110mの土壌濃度マップ)100キロ圏内

(9) プルトニウム Pu239 の放射性崩壊図、半減期

 プルトニウム

(10) 様々な核種の正確な半減期とそれに応じた残存容量グラフを表示するサイトの紹介

 ●「高精度計算サイト」放射性元素の半減期

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4.生物体の吸収・排出

 ●ヨウ素 Iは、微量栄養素の一つで甲状腺ホルモンの原料である。摂取されたヨウ素は血液を通って、のどにある甲状腺細胞に取り込まれる。

 ヨウ素は、人体には必要な元素ですが、日本人には欠乏はまずみられません。海藻にたっぷり含まれているからです。逆に、大陸の中央部に住む人では、ヨウ素が足りないため、「甲状腺機能低下症」など、ヨウ素欠乏症が少なくありません。チェルノブイリ周囲も、食べ物にヨウ素が少ない土地柄です。こうした環境で、突然、原発事故によって、ヨウ素(ただし、放射性ヨウ素)が出現したので、放射性ヨウ素が、住民の甲状腺に取り込まれることになりました。ヨウ素は水に溶けやすい分子です。原発事故で大気中に散布されたヨウ素は、雨に溶けて地中にしみ込みます。これを牧草地の草が吸い取り、牛がそれを食べるという食物連鎖で、放射性ヨウ素が濃縮されていったのです。野菜より牛乳が問題なのです。結果的に、牛乳を飲んだ住民の甲状腺に放射性ヨウ素が集まりました。子供たちは、大人よりミルクを飲みますし、放射線による発がんが起こりやすい傾向があるため、小児の甲状腺がんがチェルノブイリで増えたのでしょう。出典は(資料1)

 チェルノブイリ原発事故の際には、放射性ヨウ素に汚染された牛乳が大量に消費されたこと等により、避難住民(ベラルーシ・ウクライナ)の9割以上の子ども(未就学児)が、甲状腺等価線量で200mSv以上の被ばくをし、多数の周辺住民の子どもたちが甲状腺がんにかかりました。ただし、チェルノブイリ原発事故に関する多数の研究を見ても、統計的に有意に甲状腺がんの発症増加が認められているのは、甲状腺等価線量で100mSv以上となっています。出典は(資料3) (甲状腺等価線量については、5.項を参照)

 周期率表で同じ属に位置するため
 ●セシウム Csは、カリウムKと
 ●ストロンチウム Srは、カルシウムCaと
性質が似ており、生物体は同じものと勘違いする為、生物体の吸収・排出では同じような動きをする。ヒマワリがセシウムを吸収するのもこのため。植物体が大きく貧栄養な土地でも育つので有効と言われている。農水省の実験で、ほとんど除染効果がない事が判った。

 現状の被ばくで問題になるのはセシウム Csであるが、その体内動態については、次のエントリーを参照ください。
 ●セシウムの体内動態(文献による勉強) [2012/12/04]

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5.(内部被ばく)ベクレル(Bq)とシーベルト(Sv)、実効線量係数

 ●ベクレル(Bq):放射性物質が放射線を出す能力 (1秒間に崩壊する原子の数)
 ●シーベルト(Sv):放射線による人体への影響度合い

 放射性物質を摂取した場合、内部被ばくを受けるが、その度合いは、放射線の種類やエネルギー、半減期、生物学的な排出期間、影響を受ける体の組織、成人か子供か、などによって異なる。
 核種ごとの内部被ばくの影響度合い(シーベルト)は、摂取した放射性物質の放射線を出す能力(ベクレル)から換算できる。その係数の事を実効線量係数と言う。 なお、線量の積算期間は成人:50年(20~70歳)、子供:70歳までの期間、と設定している。

 同じ事を逆に言うと、核種の違い、核種が出す放射線の違い、物理的半減期、生物的半減期、年齢層による感受性の違い、人体の中での生物動態などのファクターを全て反映した複雑なモデルから、50年間(子供の場合は70歳まで)の影響(リスク)としてシーベルト(Sv)の単位に換算するのが実効線量係数である。

 なお、放射性のヨウ素やセシウムからの被曝を考えるかぎり50年とか70歳までという数字に意味はない。放射性ヨウ素の場合は、摂取してから1ヶ月もすればほぼ全ての放射性ヨウ素が崩壊して無害になってしまう(甲状腺にたまっていても問題はない)。放射性セシウムの場合は、(排出の遅い大人でも)摂取してから3, 4 年もすればほとんどが体外に出てしまう。

 このように、実効線量係数により算出した内部被ばくの影響(リスク)のシーベルト値を(預託)実効線量という。
 例えば、(預託)実効線量が1 mSvの内部被ばくは1 mSvの外部被ばく(1 μSv/h×1000h)と同じ影響(リスク)である。
 (預託)とカッコ書きしたのは、取り入れた放射性物質が将来にわたって引き起こす被ばく量を合計した効果であることを強調するために、内部被ばくの実効線量を預託実効線量 (committed effective dose) と呼ぶこともあるため。

(1) 実効線量係数の一覧表

100Bqは何μSvか?(換算しやすい様に、100Bqとした)        (メモ10-8Sv/Bq)
              (換算後の単位はマイクロシーベルト) 
実効線量係数(500)20120824
出典は
左表:緊急被ばく医療研修のホームページの『内部被ばくに関する線量換算係数
    (ポロニウムPo210,鉛Pb-210は日本分析センター
     ラドンRn222は、原子力資料情報室、Pb212は厚労省資料
右表:平成14年3月 緊急時における食品の放射能測定マニュアル』の36ページ別表4
        「経口摂取による実効線量及び甲状腺等価線量への換算係数」
    (Te129mはpierres blanches と《カガクするココロ》から、Ag110mはこちらから
     厚労省2011/12/22の資料(22ページ表6)と合っている事を確認しました。

 幼児・乳児と年齢が若いほど放射線感受性が高い事が判る。
 また、吸入摂取(肺に吸い込む)すると排出されにくい物質の場合、人体への影響が大きくなる。
 プルトニウムから出るα線が、(空気中では数センチしか進まず、紙でも止められるが、内部被ばくした時は)人体への影響が大きい事も判る。

 表を見ると、Cs134 についてもCs137 についても、3ヶ月の赤ちゃんの係数が最大だ。ただ、そこから年齢が高くなると、係数は 5歳児のときに最小になり、それからは年齢とともに上がっていく。成人の係数は 5歳児に比べると 5割増しくらい高い。
 この数値だけを見て「大人のほうが 5歳児よりも敏感なのか。さすが 5歳児は丈夫だ」などと素朴に思ってはいけない。これは、セシウムを摂取した際の内部被ばくの程度をSvの単位で統一的に表わすための換算法に過ぎない。どれくらい健康への影響があるかを表わしたものではないのだ。実際、(シーベルトで測って)同じ量を被ばくした場合、大人よりも 5歳児のほうがはるかに大きな影響を受ける。だから、(ベクレルで測って)同じ量の放射性セシウムを摂取した場合のリスクも、やはり、子供のほうがずっと大きいのである。

 出典は田崎晴明教授子供の被ばくに気をつけなくてはいけないのは何故か

 実効線量係数は、一定量の放射性物質を一気に摂取したことを想定し、それが摂取してから後の(排出される、あるいは、減衰するまでの)長い期間にどれだけの被ばくを引き起こすかを示す数字である。

 出典は田崎晴明教授付録:放射性カリウムと放射性セシウムの比較

【ブログ主の理解】(以下は、間違っているかも知れません)
 上記の2点の記述は少し整合しない感じがする。
 次のように理解している。
 セシウムの生物学的半減期は子供の方が短い事が影響して子供(5歳児)の実効線量係数は小さくなる。ICRPの考え方によれば、この場合は、子供の影響は大人より小さい。
 一方、定常的に摂取が続く場合は、体内に一定量溜まるセシウムが問題となり、現実の被ばく影響は実効線量係数とは違うモノサシで評価しなければならない。

【実効線量係数の算出についての、少々専門的説明】
 ●「専門家が答える暮らしの放射線Q&A」実効線量係数について
 ●放射線医学総合研究所 放射線被ばくに関するQ&A-4.用語・単位-シーベルトという単位について、改めて教えてください

(2) 重量(質量)をベクレルBqに換算するサイト・ツールの紹介

 ●「高精度計算サイト」放射性物質のベクレル値

(3) ベクレルBqをシーベルトSvに換算するサイト・ツールの紹介

 ●ベクレルBqをシーベルトSvに換算するサイト・ツールの紹介

(4) 甲状腺の被ばく場合の等価線量について
 出典は(資料2)

 等価線量の詳しい説明は下記資料 or 11項 or (資料2)の詳細説明を参照願うとして簡単に言うと、“体の組織ごとの放射線による影響度合い”である。
 ●「kikulog」2012/10/26 被曝量を表すいろいろな線量
 ●「team nakagawa」2011/3/19 「全身被ばく」と「局所被ばく」

 等価線量に組織加重係数を掛けたものを、全て合計したものが実効線量となる。甲状腺の組織加重係数は0.04である。
 (前述したように)体内に取り込まれたヨウ素131は、ほとんどが甲状腺に取り込まれ、ほかの組織はほとんど被ばくしないとみなせる。この場合、次の関係が成り立つ。
甲状腺の等価線量×0.04≒実効線量
    
 例をあげると、次のとおりとなる。「甲状腺だけに25mSv被ばくする際のガンのリスク」は「全身に1mSv被ばくする際のガンのリスク」と等しい。
 通常、「○○ mSv の被ばくで、この程度のリスク」とか「年間の被ばく量を △△ mSv 以下におさえよう」といった話をするときには(組織の等価線量ではなく)実効線量を使っている。 
 チェルノブイリ原発事故に関する多数の研究を見ても、統計的に有意に甲状腺がんの発症増加が認められているのは、甲状腺等価線量で100mSv以上となっています。出典は(資料3)

【追記】実効線量と等価線量の単位表記が同じSvであることで混乱が多い。田崎先生が問題提起されている。
等価線量の単位を変更することだ。まったく違う名前が理想的だが、当面は、たとえば「内部シーベルト(inner-sievert)」とでも呼び、ISv あるいはIv と表わすのはどうだろうか。それなら、甲状腺被曝量の見積もりは、50 mISv または50 mIv となり、50 mSv よりはずっとましである。

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6.(外部被ばく)シーベルト(Sv)

 外部被ばくの場合は、わりと単純な理解が可能である。

 大地からの自然放射線により、平均で年間0.33mSv/年の外部被ばくを受けている。(詳細は9項のリンク先を参照)
 単純化の為に、全てがカリウムK40のγ線による外部被ばくで、年間を通して線量の変化がない地点を仮想した場合、線量計では 0.038μSv/hが計測されることになる。(空間線量実効線量
  0.33mSv/年=0.038μSv/h×24h×365日

 この例で、少し深く掘り下げてみる。(素人の数字のお遊びです。間違いがあるかも。)
 以下1時間あたり。
 0.038μSvの人体影響=0.038μGyの吸収線量 (γ線の加重系数は1の為)(人体は一様の物質と仮定)
 0.038μGyの吸収線量=0.038μJ/kgの吸収エネルギー
 カリウムK40のγ線の光子1個のエネルギーは、1.5MeV、(1MeV=1.6×10-13J)なので、上記が光子何個分のエネルギーになるか?計算してみると、
 0.038μJ/kg÷(1.5MeV×1.6×10-13J/MeV)=160000個/kg

 すなわち、体重1kgあたり、1時間で約16万個、1秒では44個のγ線光子を人体に吸収していることになる。
 なお、同じ実効線量Svであれば、外部被ばくと内部被ばくの人体への影響は同じレベルである。(そうなるように、内部被ばくの実効線量係数が定められている為。)

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7.被ばく量と人体への影響

 放射線は細胞のDNAを傷つける。特に影響を受けやすいのは、活発に分裂する細胞である。放射線ががん細胞に有効なのはこの為だ。同様の理由で、乳児・子供は放射線感受性が高い。(勉強中)
 一般に、同じ放射線量でも、少量ずつ長期にわたり被ばくした場合は、一度に被ばくした場合よりも放射線により傷ついた細胞の修復が行われやすいことから、影響が少ないとされています。出典は(資料3)

(1) 確定的影響(高い放射線の場合)

 ある線量(しきい値)を超えた場合に、被爆後直ちに現れる影響・急性障害。
 造血能の低下(リンパ球の減少)、皮膚の障害、脱毛、胃腸管の障害、神経障害、不妊などがあるが、それぞれのしきい値は障害の種類によって異なる。これらの障害のうち最も低いと考えられるしきい値はおよそ100 mSv(精巣に浴びると一時的に不妊)である。

(2) 確率的影響(低い放射線の場合)

 がん・白血病や遺伝性影響といった確率的影響(数年後に100人中がんになる人が何人増える、といった影響)も100 mSv以上では、線量とともにリスクが上昇することが判っている。確率的影響のなかで最も早く現れるのは白血病である。
 しかし、100 mSv以下の低線量被ばくでは、確率的影響がふえる証拠は疫学的・統計的に得られていない
 なお、遺伝的影響については、動物実験ではみられているものの、ヒトでは確認されていない。

 100 mSv以下の低線量被ばく影響(リスク)では異なる仮説がある。

 これらの“諸説”に関する詳細は別エントリーに纏めてあります。
 ●LNT仮説ほか、放射線の“確率的影響”を巡る諸説のまとめメモ

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8.放射線に関する基準値

 食品の新基準値について、別エントリーに纏めました。
 ●食品の放射性物質(セシウム)の新基準、詳細な考え方を確認してみた

 基準値を一覧表に纏めているサイトへのリンクも、単独エントリーに纏めました。
 ●食品の基準値に関するリンク集、外国の基準値

 少し細かい話になりますが。
 ●(メモ書き)ICRP111の考え方と現状の日本の基準の整理、ICRP60:1mSvの被曝基準は受容性

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9.自然放射線による被ばく

 この部分は単独のエントリーに纏め直しました。
 ●自然放射線による被ばく、ポロニウムPo-210 、カリウムK-40、ラドンRn-222
 カリウム K40、ラドンRn222、ポロニウム Po-210、鉛 Pb-210、トリチウム T-3、炭素 C-14の崩壊図のみ、転記しておきます。
 カリウムK40崩壊図02
 ウラン系列3
 トリチウム01
 C14の01

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10.主に参考とした資料

●一般情報:ウィキペディア、ATOMCA、Newton 2011年7月号 原発と放射能 緊急特集号第2弾、Environmental Chemistry など。
(資料1)ブログ team nakagawa 
(資料2)田崎晴明教授(学習院大学理学部)の『放射線と原子力発電所事故についてのできるだけ短くてわかりやすくて正確な解説』 (良いサイトですのでお勧めします。私の説明は簡潔すぎるので、判らない事や書いていない事はこちらのサイトで。)
 田崎先生のサイトが本になりました。しかも無料です。
 ●やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識
普通ではない15ヶ月間を過ごしてきたすべての人へ  --- 敬意と感謝と言葉にできない思いをこめて
(資料3)「食品安全委員会」2011/10/27発表の放射性物質を含む食品による健康影響に関するQ&A

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11.おまけ1

 坂東昌子 愛知大学教養部教授が、「あいんしゅたいんJEIN」で連載されている『放射線Q&A』は、大変判りやすい上に結構深い内容で勉強になります。アーカイブさせていただきます。
(勝手なアドバイス)全部をいっぺんに読むのは大変です。本エントリーをここまで読んだ方には、『04/22 放射能の強さ・・・ベクレル 投げる方』から読み始めるのがお勧めです。
 以下、新しい順です。
●10/18 等価線量とは
●10/17 人体への影響 - 1. 確定的影響(非確率的影響)
●10/16 等価線量も実効線量も物理量ではない・・・グレイからシーベルトへ
●08/04 放射線被ばくの影響・・・グレイ・シーベルト 受ける方
●04/22 放射能の強さ・・・ベクレル 投げる方
●04/07 放射線を調べれば、原子炉で何が起こっているかわかる?
●04/05 半減期って?
●04/03 放射性元素と核種(もっと詳しく知りたい方のために)
●04/02 放射能と放射性物質
●04/01 放射線ってなあに?

中学生向き動画
『サイエンス紙芝居 放射線のおはなし』(1~5話)坂東昌子氏監修(NPO法人・知的人材ネットワークあいんしゅたいん) http://www.youtube.com/watch

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12.おまけ2【煽り系情報に対する的確な反論例】

 別エントリーに纏めてあります。●煽り系情報、デマに対する的確な反論例

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13.今回の事故による放射性物質の放出量

●福島とチェルノブイリの大気放出量の比較、被ばく量の現状ほか [2012/07/01]

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14.今回の事故による放射線汚染の実態

●【改定】“放射性プルームの動き” 、日本学術会議、公開ワークショップ、名古屋大・山澤教授、群馬大・早川教授 [2012/08/03]
●文科省のセシウム汚染マップ、地形図、東日本全体図 [2011/11/25]
●【かなり改善 お勧め】放射線量等分布マップ拡大サイト [2011/10/22]
●航空機モニタリング結果(汚染マップ)でのチェルノブイリ汚染区域(ゾーン)との比較 [2011/09/30]

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15.その他の参考資料

●放射能、放射線被ばくに関する教科書、Q&Aなどのリンク集

(以下は、本エントリーの作成の初期に参考にした資料です。記念に残しておきます。)

●長期微量被爆はどれくらい危険か
 ウォール・ストリート・ジャーナル 5月2日 伊東乾さんによる記事
 【抜粋引用】
 比例説も「被曝線量が少しずつでもアップしてゆけば、その分、癌になる『可能性』が高くなる」という、当たり前のことを言っているに過ぎない。
 何か煮え切らない態度のように誤解する浅いジャーナリズムも目にするが、どちらの仮設が正しいか?という論議は疑問。
 短期間に一定以上の頻度で被曝すれば、少しであっても確実に「リスク」つまり病気になる可能性、危険性は上がる、そう考えることにする、という、これは正しく怖がるための知恵だ。
 転ばぬ先の杖で、身を守るための知恵を言っているのであって、それを文字面でああだこうだ言う以前に、しっかり判断、沈着に行動するか、しないか、で結果が変わって来る。
 要するに「しきい値説」も「比例説」も疫学統計を解釈する学説に過ぎず、どちらがより妥当であろうと、私達の被曝予防は慎重であるに越したことはない

●超訳・放射能汚染1〜疫学が示す「100mSv未満は大丈夫」
●超訳・放射能汚染2〜毒性学の建前は「極力低減」
 サイト「FOOCOM.NET」の 4月24・25日 松永和紀さんによるエントリー
 【イントロのみ引用】
 国や科学者がきちんと説明してくれないのなら、私が勝手に通訳を買って出てしまおう。実は、科学者の中には言葉を尽くして説明しようとしている人や研究機関もあるのだが、情報が一般の人たちになかなか届かない。 
 私が思いきって “超訳”して、多くの人におおまかに把握していただき、さらに細かいところは自分自身で調べてもらいたい 。
 さて、どれくらいできるか? 農薬や食品添加物の解説に比べるとはるかに難しいが、とにかく書いてゆきます。超訳なので、私の主観も入り交じるが、出典を書きますのでお許しを。
[ 2013/03/11(月) ] カテゴリ: 放射線,放射性物質の勉強 | CM(0)
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