ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

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ドイツがフランスからの電力輸入を止められない事情?

[ 2015/01/10 (土) ]
櫻井啓一郎氏からのコメントを受けて修正・追記。【追記00】と記載。2015/1/10
初回公開日:2014/04/04


2013年には、ドイツの再生エネルギーの比率が23%強となり電力輸出も増えている、といった説明を目にします。しかし、そんなに単純な話しではなく、周辺国との輸出入ができる欧州全体の電力網があるので、原発を部分停止したうえで再エネを増やすことができている、というのが実態です。再生可能エネルギー
今回、山本隆三氏の解説を読んで、詳細を把握できたのでまとめておきます。
主な出典:再エネ推進と脱原発は両立しない(日商環境ナビ 会議所ニュース2014-2-11号掲載記事)

年間で見れば輸出が輸入を上回っている

 TWh    年間の電力輸出入の推移
独輸出入2013の02
     既エントリーから転記

2011年に17基の原発のうち旧式の8基を停止したために、周辺国からの輸入が増加し、輸出入の差が一時縮まった。
その後、再エネの発電量が増えて、2013年は過去最大の電力の輸出超過になっている。
2013年の輸出量(約72TWh)は国内発電量の11.4%、輸入量(約37TWh)は同6.2%。
輸入量の32%(約12TWh)はフランスからの輸入である。

【追記00】フランスおよびチェコのからの電力がドイツを経由してスイス、オーストリアの揚水発電所に供給されるなどの実態もあるようですので、正味の2国間のデータは上記と違ってくるようです。
例えば、2012年のフランスからの輸入が5.2TWh、逆は13.9TWh、との実際の売買ベースデータがあります。(詳細はドイツの電力輸出入に関する整理
(この部分は櫻井氏のコメントのうち、納得できる部分でした。一方で、そうでない部分もありました。)

フランスからの輸入が必要な理由
2013年 独仏間の電力輸出入
独仏間電力輸出入2013
      出典:冒頭の山本隆三氏の解説

ドイツ南部は電力需要の多い地域で、2011年以前は原発も11基の配置であった。2011年にその内の5基が停止した。
本記事下部の【参考】に示すように、現在、風力発電は風の強い北部バルト海・北海沿岸に多いが、南北間の送電線の能力は大きくない。約20兆円*かけて送電線を敷設する計画はあるが、地主の反対が強く、用地買収が全く進んでいない。* 100億ユーロ(約1兆4000億円)との別解説も。
北部で発電しても南部の需要地には届かないので、南部は隣接するフランスから電力供給を受けるほかない。フランスの電気は原発比率が8割弱だが、それがなければドイツ南部は停電してしまう
【追記00】ドイツ南部が原発の一部を止めたことによって、短時間であれフランスからの電力輸入に依存する状態になったかどうかは、ドイツ南部の供給能力*とピーク需要量とのバランスをみないと何とも言えないです。
* 不安定電源である風力と太陽光を除き、さらに、発電所の点検整備を考慮した供給能力。

【メモ】送電網の拡充後も“再エネの間欠性と変動性”のために、フランスの電力は必要ですね。
【追記00】フランスに限らず近隣諸国との電力連係は、ドイツが、“再エネの間欠性と変動性”の問題に対応できているファクターの一つで、その状況に変わりはないと思います。詳細はドイツの電力輸出入に関する整理

ドイツの輸出が増えている理由

周辺国は自前の発電設備を止めて、ドイツから電気を輸入することがある。それはドイツから輸出される電力価格が極端に安くなるときだ。なぜ、そんなことが起こるのだろうか。再エネの性質に原因がある。
需要がないときには水力や火力発電の出力を絞り供給を落とすが、優先接続が認められている再エネは発電してしまう。電気は余っても捨てられない。そうすると余っている電気の価格はどこまでも下がっていく。
2013年10月3日ドイツ統一記念日の祝日は晴天で風が強い日だった。正午には59%の電気が風力と太陽光から供給される事態になった。しかし、秋の祝日で、冷暖房需要もないし、産業用の需要もない日だ。何が起こったかといえば、電力市場価格が2.75 ユーロセント/KWh (4円弱)に落ち込んでしまった。
なぜ、こんなレベルまで落ち込むのだろうか。電気を買う周辺国も自前の発電設備を持っている。発電設備を止めても固定費は掛かる。急に従業員を自宅に帰すわけにもいかない。結局、設備を止めるコストを考えると、このレベルの価格でないと電力を買う人はいなかったのだ。再エネが需給環境を悪化させ電力市場を異常な状況にしているという話である。2012年には、風の強い夜間を中心に電力価格がマイナスになった(お金を払って電気を差し上げる)時間が70時間あったとも報道されている。不要な電気をつくり価格は下落している。
需要家が負担する固定価格買い取り制度で高く買った再エネの電気が、極端な安値でしか売れないとなると、その差をさらに需要家が負担することになる。

【関連エントリー】金額での電力輸出入収支などについて、
ドイツの消費者は輸出電力の再エネ賦課金まで負担しているにまとめています。

輸出での問題

2012年末には北部ドイツの風力発電電力がポーランドやチェコへ大量に流れ込み、両国の送電網を不安定にする状況が生じた。このため、北・東部の送電網運営会社は両国との間の電力の流れを制御する装置を計画することになったと伝えられる。

つぶやき

ドイツはFIT制度を導入してから14年かけて、“発電量の23%が再エネ”のレベルに達しました。23%の内訳は、多い順に風力,バイオマス,太陽光,水力です。
まず、その前提には、欧州全体の電力網の存在があります。
そして、国内需要をきちんと賄っている再エネ電力もあるということも理解できますが、実態を知ると“発電量の23%が再エネ”に誇大表示感があります。
日本の政治・行政が、このようなドイツの負の面を学習しているのかどうか?今までの取組みをみるとはなはだ疑問ですし、今後も大きな不安があります。


関連エントリー

ドイツの電力輸出入に関する整理【追記00】
デンマークの再エネ比率が世界1位の理由
ドイツの消費者は輸出電力の再エネ賦課金まで負担している
【基礎資料】ドイツのエネルギーや発電などの図表集
欧州と日本の電力系統の比較
太陽光発電FIT認定制度、やはり欠陥だらけの悪法

その他の関連エントリーはカテゴリにひとまとめにしています。記事下部or左欄のカテゴリリンクから、どうぞ。

【参考】
ドイツの風力の導入状況
ドイツの風力の導入状況
出典:hanswurst(@klammer_affeさん)のtwitter 2013/4/14
ドイツの原発配置
ドイツ原発配置
既エントリーから転記
[ 2015/01/10(土) ] カテゴリ: FIT認定制度に関する事 | CM(9)
Re: タイトルなし
コメントありがとうございます。

ただし、スマートジャパン2014/7/22付の記事については、拙ブログhttp://icchou20.blog94.fc2.com/blog-entry-548.htmlで分析しております。今後、古い情報をご紹介くださる時は、ブログ内検索を掛けてからにして頂くと幸いです。

次の、同2014/2/10付の記事については、FITの想定された利点を述べただけであり、世界中の人々は太陽光バブルを金額面で負担したドイツ・スペイン・日本の電力消費者に感謝しなくてはならない、というだけの内容かと思います。
ドイツの電力消費者は、2014年までのFIT賦課金累積で14兆円(1,095億ユーロ)を支出されており、今後も、高額の買取り価格が保障された過去に設置された設備からの発電分に対する賦課金が何兆円になるか?分かりません。(その負担が利点に見合っているかどうかはドイツの電力消費者が判断する事ですが)
なお、日本のFITは再エネ普及促進と利用者負担のバランスを著しく欠いていると判断しております。
蛇足ですが、この記事が出たころに、菅直人氏がはしゃいでいたことに対する苦言を拙ブログhttp://icchou20.blog94.fc2.com/blog-entry-547.htmlに書いております。

最後に一般論ですが、スマートジャパンの記事はブログ主にとって有用性が低いと分析しておる事を付け加えさせていただきます。
[ 2015/05/16 20:49 ] [ 編集 ]
日本語でも記事になっていますね。

自然エネルギー:電力輸出で「利益」を出すドイツ、輸出単価も高い - スマートジャパン
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1407/22/news043.html


自然エネルギー:天然ガスよりも安い太陽光、2030年には住宅向けでも石炭並みに (1/2) - スマートジャパン
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1402/05/news109.html

2013年にドイツで建設された一部の大規模太陽光発電所は、コスト面で既に平均的なコンバインドガスタービン発電よりも安価である。
最も条件のよい陸上風力発電は最も安価な化石燃料である褐炭のコストに匹敵する。
ドイツの研究機関であるFraunhofer研究所の太陽光関連の部署Fraunhofer-Institut für Solare Energiesysteme(Fraunhofer ISE)が発表したレポートの結果だ。
[ 2015/05/16 16:34 ] [ 編集 ]
櫻井啓一郎様 その3
電力料金についてのコメントに関しては、ご主張の意図がよく分かりません。FITが電力料金高騰の要因であるし、逆進性が高い制度であるなどの問題が多いと理解しております。
できれば、頂いたコメントに関連すると思われる拙ブログの下記記事をお読みいただき、誤り等ありましたら、そちらにコメントいただけると幸いです。
http://icchou20.blog94.fc2.com/blog-entry-548.html

>一部の負の面だけを強調して全体的な利益まで否定しようとされるならば、不適切な論法と存じます。
→日本の政官財学や専門家(と称する方々)が、FITの制定時に制度の欠点や先行諸国の失敗面にあまりに無頓着(失敗のお手本を生かしていない)、あるいはマスキングさえしている気配を感じた中で、メディアを含めて、直接には無関係といえる脱原発のブームに便乗している状況がありました。(最近は少し良くなってきたのかも知れませんが)
このカテゴリーの諸記事の動機となっているのは、それらに対する違和感で、現行の太陽光のFITに対する異議申し立ての立場です。従って、ブログ主のアンテナは、太陽光・FITのネガティブ情報に対する感度が高く、そのようなブログであるとご理解ください。
全体的な利益になるかどうかは、読み手の方が諸情報をもとにご判断するものではないでしょうか。
ただし、間違ったことは書くつもりはありませんし、書いているとすれば是正・修正しなければならないと意識しています。今後とも、データや文献などでアドバイスを頂ければ幸いです。
[ 2015/01/10 12:59 ] [ 編集 ]
櫻井啓一郎様 その2
頂いたコメントをきっかけに勉強・検討して以下の修正を加えました。

ドイツを通り過ぎる電力の件を追記。
『ドイツ南部がフランスからの輸入電力に依存』を示すデータはない(知らない)ので、このセンテンスは取り消し、説明を追記。
『送電網の拡充後も“再エネの間欠性と変動性”のために、フランスの電力は必要』に追記。

なお、ドイツの電力安定供給を論ずるときに、コメントで示された【Wh】でのデータは適切ではないと思いました(本記事が【Wh】でのデータで論じていたため、と推測いたしますが)。
そのあたりを含めて新記事をまとめましたので、宜しければご覧ください。
http://icchou20.blog94.fc2.com/blog-entry-609.html
[ 2015/01/10 12:57 ] [ 編集 ]
櫻井啓一郎様
コメントを頂き恐縮しております。取り急ぎお礼申し上げます。
じっくり勉強・検討させていただき、記事に追記または返しコメントをさせて頂く予定です。
なお、拙ブログは、基本的には日本語の文献がソース(一般メディア情報はできるだけ一次ソースに当る)で、それを超える部分は専門家の方々にお任せする、というスタンスですので、ご理解ください。
[ 2015/01/09 00:44 ] [ 編集 ]
追記
また先ほどのロイターの記事にもあるとおり、両国間の連系線容量も4.2GWだけですので、ドイツ国内の何十GWもの太陽光や風力の変動を補うのにクリティカルと言える量でもありません。ガスタービン発電所等を幾つか追加するだけで間に合う程度の量と存じます。

また電力料金について言えば、確かにこの10年で2倍ぐらいになってますけど、それでもその間の化石燃料の値上がりよりはましです。
しかも税金や賦課金が乗る前の大口向け取引価格では、10年前と同水準に抑えられてます。
http://vik.de/tl_files/downloads/public/strompreisindex/VIK_Index_Daten_Version1.pdf
https://funtoshare.env.go.jp/roadmap/media/germany_201303_02.pdf
大口需要家の企業では大抵賦課金が減免される上、太陽光発電の普及によって特に昼間の電力が安価になっています(下記で価格が確認できます)。
http://www.ise.fraunhofer.de/en/downloads-englisch/pdf-files-englisch/data-nivc-/electricity-spot-prices-and-production-data-in-germany-2014.pdf
このため企業にとってはむしろ有利になり、EUから事実上の国内産業保護策だとしてクレームがついたりしています。

またドイツが輸出する電力は輸入より多いだけでなく、その平均価格も輸入のそれよりも高いそうです。
http://www.renewablesinternational.net/german-power-exports-still-more-valuable-than-imports/150/537/79015/

このような状況において、一部の負の面だけを強調して全体的な利益まで否定しようとされるならば、不適切な論法と存じます。
[ 2015/01/07 22:08 ] [ 編集 ]
調査不足です。
失礼いたします。遺憾ながらこの件、山本先生の調査不足と存じます。
フランスからドイツとの国境を越えて輸出される電力の大半は、そのままドイツを通り過ぎる電力です。ドイツ自身は、フランスに対して輸出超過です。
http://in.reuters.com/article/2014/01/23/france-power-rte-idINL5N0KX1QB20140123
実際の売買ベースでは、フランスからドイツへの輸出は5.2TWh、逆は13.9TWh (P.76,PDFの4ページ目)です。
http://www.rte-france.com/uploads/Mediatheque_docs/Presentation_RTE/Rapport_activite/2012/RA_RTE_2012_RA_UK.pdf
対してドイツの電力消費量は約540TWh(2012年、IEA)ですので、1%程度に過ぎません。

ご参考まで。
[ 2015/01/07 21:46 ] [ 編集 ]
Re: 役に立ちました。
お役に立てて良かったです。

後発の日本がドイツの制度の負の面を生かしていれば、再エネの現状は、今と違うものになっていたかと。
菅直人政権の大失政だと思います。
[ 2014/12/12 19:53 ] [ 編集 ]
役に立ちました。
某SNSで「ドイツは他国に電力を輸出しているのに、フランスから原発電力を買うわけがない」って言う人が居て、真偽確かめるのにここの日記が役立ちました。
ありがとうございした。
[ 2014/12/11 23:57 ] [ 編集 ]
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