WHO(世界保健機関)の2014/3/25の発表です。報道などで紹介されている内容をベースに、少しまとめておきます。
なお、上記表題の
“早期に”を記述している報道はほとんどなく省略しているようです。この言葉がある/なしで印象がずいぶん違いますね。
新しい推定では
2012年は
700万人、これは
全世界の死者の8分の1 にあたる。この知見はこれまでの推定(4年前)の2倍以上で、大気汚染が世界最大の単一環境健康リスクである。大気汚染の低減は数百万人の命を救う。
WHOのネイラ公衆衛生・環境局長は、「大気汚染によるリスクは、特に
心臓疾患や発作については以前考えられていたより
はるかに深刻」とし、「われわれが呼吸する空気を浄化するため、(各国の)連携した取り組みが必要」との考えを示した。
屋外の汚染よりも、調理や暖房のために石炭やまきを燃やすことで発生する
屋内の汚染でより多くの死者が出ている。
屋外の空気汚染による死者が370万人、屋内は430万人と分析した。(両方が原因の死者が100万人いる)
死因(疾病)の内訳は以下のとおり。
【屋外での大気汚染に関連する死因】
40% 148万人 虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症など)
40% 148万人 脳卒中
11% 37万人 慢性閉塞性肺疾患
6% 22万人 肺がんなど
3% 11万人 急性下気道呼吸器感染症(小児)
【屋内での大気汚染に関連する死因】
34% 146万人 脳卒中
26% 112万人 虚血性心疾患
22% 95万人 慢性閉塞性肺疾患
12% 52万人 急性下気道呼吸器感染症(小児ほか)
6% 26万人 肺がん
大気汚染の影響が最も深刻なのは、
東南アジアと
西太平洋地域の低・中所得国。
屋外よりも深刻な問題と指摘された
室内の汚染による死者の約9割が途上国で占められていた。こうした国では、多くの家庭でまきや石炭を使っており、室内に充満した粉塵(ふんじん)を吸い込み、肺疾患を発症し、死に至っているという。
この部分の詳細を「Blog vs. Media 時評」2014/3/26
WHO報告の大気汚染700万人死亡、大多数は中印両国から引用します。
大多数が中印両国での発生と考えられるデータが添えられていました。世界1~2位の人口国であると同時に大気汚染深刻国でもあり、人口当たりの大気汚染を原因とする死者数も多いのですから、どうにもならない現実が浮かび上がります。報告から屋外の大気汚染と屋内の大気汚染による地域別死者数のグラフ2つを引用します。
南東アジア地域“Sear”にはタイ・インドネシアからインドまでが含まれます。12億2千万人のインドの他に2億4千万人のインドネシア、1億5千万人のバングラデシュと人口が大きな国がありますが、インドが7割を占めると見ればよいでしょう。
太平洋西部地域(Wpr)には中国を中心に日本からオーストラリアまでが含まれますが“Wpr LMI”は太平洋西部地域の中低位所得国を指しますから日本などは除かれ、人口13億5千万人の大きさを考えるとほとんど中国です。
昨年の報道による「大気汚染による中国とインドの健康被害深刻」では中国の大気汚染死者数は123万人としていましたが、WHOの見直しでリスクは大幅に増えているようです。
【参考1】 既エントリーから
中国やインドの大気汚染に関する情報 【参考2】 既エントリーから
調理排気中のPM2.5やPAHに関する情報