ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

【続01】浜岡5号機の復水器の破損

[ 2011/05/29 (日) ]
5月23日の 浜岡5号機の復水器の破損、マスコミ報道に疑問 の続報として、ネットを見ている中で、復水器について、判った事をまとめておく。

 復水器とは、発電のためタービンを回し終えた蒸気(沸騰水型(BWR)の場合、これには放射性物質が含まれている)を海水で冷却し、水に戻し、一次冷却水として再び原子炉に戻すための機器。
女川3号機の2007年2月27日のプレスリリースの図が判り易かった。
女川3号機 復水器 海水漏れ
女川3号機 復水器 海水漏れ イメージ図
 ここは原発の弱点の一つで、原子炉の一次冷却水と外界の海水がわずか0.5~1.2ミリメートルの薄い壁で接しているところだ。(沸騰水型の場合)
 水流、振動、腐食、異物など様々な原因で細管が破れ、そこから海水が一次冷却水に入り込む「復水器細管の海水漏れ」事故は、各電力会社で結構、発生している様だ。

 フジツボが詰まって穴が開いたこともある。(電力会社のレポートとしては愛嬌ある絵だ。実は、この絵をアーカイブしたかったのが、本記事の動機のひとつ。)
復水器細管海水漏えい

 電力会社の説明は次のとおり。
 復水器の中は真空に近い状態になっているので、一次冷却水系の水が海水側に漏れる事はない。
 海水が細管から入りこんだ場合は、伝導率計で検知される。
 一次冷却水系に入りこんだ海水は復水脱塩装置によりイオン交換され一定の水質に処理される。
 復水器はいくつかの水室に分かれており、数本の細管から海水の漏れ込みがあっても、当該漏れ込みの部分を系統から切り離すことで運転を継続することが可能な設備であり、プラントを停止する必要はない。

 今回の浜岡5号機の復水器の破損は、5月20日 中部電力の報告 によれば、原子炉の起動・停止時に使用する系統の再循環配管のエンドキャップが脱落し、その前面にある細管を破損させたと推定しており、システム内のパーツが吹き飛んで細管を破損させたと言う、従来の海水漏れとは、原因も漏れ規模も異なるものだ。
5月20日中電報告1  5月20日中電報告2  5月20日中電報告3


【以上の事から、次の様に理解した】

 復水器は、構造的な面で沸騰水型原発の弱点の一つだ。

 その弱点をカバーするための対応は、ある程度、取られている。

 ただし、今回の浜岡5号機の復水器の破損は、従来とは違う性質の事故であり、(浜岡5号機以外も含めて)原発の信頼性を損なう新たな要因だ。


【6月18日追記】
 中電 6月17日発表 【点検情報】浜岡原子力発電所5号機主復水器細管損傷の調査状況について [PDF:246KB]によると、
 『エンドキャップの脱落に伴う再循環配管の噴流により損傷に至ったと推定』
 エンドキャップが脱落した原因は『溶接時の微小な初期欠陥』との事。 
      
 平たく言うと、エンドキャップの溶接が外れ、復水器内は真空状態のため水と水蒸気が混じりあいながら、とてつもない勢いで細管(厚さ0.5ミリ)に当たり、表面からグリグリと70cm奥までの43本が破損した。エンドキャップの溶接が外れた原因は、建設時の溶接ミスの為、となる。
 チョット想像しにくいが、そこで起きた現象の詳細は専門家に任せます。(本来は、原子力安全保安院や原子力安全委員会が、その検証や他の原発を含めた再発対策を行うべきであろう。その気配もない)
 
 以下が素人なりの素直な結論だ。

 私の理解は以前と変更ありません。
 『浜岡5号機の復水器の破損は、従来とは違う性質の事故であり、(浜岡5号機以外も含めて)原発の信頼性を損なう新たな要因だ

【7月25日追記】
(浜岡の追加情報ではないが、むしろ、より本質的な話
 『復水器は、構造的な面で原発の弱点の一つ』が原因で、『再循環系配管やシュラウド(炉心隔壁)に多数のひび割れ』を起こしている事実がある。
 長期間、運転してきた原発では、どうしても海水が冷却管などの微小な穴やスキマから浸み込む事を防止できない。汚れた冷却水はイオン交換で浄化されるが、汚染を除き切れないまま原子炉に戻る。その結果、原子炉内部のシュラウド(炉心隔壁)や配管に化学反応でひび割れができてしまう。海水で冷却する日本の沸騰水型原発特有の欠点だ。
 中部電力浜岡原発、東北電力女川原発、日本原電敦賀原発も、沸騰水型で、再循環系配管やシュラウド(炉心隔壁)に多数のひび割れが見つかっている。「原子炉容器そのものがひび割れているわけではないから、すぐに危険というわけではない」と彼らは言うが、炉心を覆うシュラウドが本格的に割れたり、ポンプ配管が破断すると、冷却不能になり、炉心熔融となる。


【関連エントリー】
“川内原発1号機 復水器の細管損傷”についての勉強
[ 2011/05/29(日) ] カテゴリ: 原発に直接に関する事 | CM(0)
コメントの投稿










管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL

このブログについて
管理人 icchou から簡単な説明です 更新,追記の通知はTwitter
カテゴリ
最新記事
ブログ内検索