ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

【資料編6】リスクの“ものさし”いろいろ(比較図表)

[ 2013/11/05 (火) ]
2004年における死亡率と損失余命の関係 を追記2015/5/14
上記までの追記記録は割愛。
初回公開日:2013/01/22


リスクの“ものさし”の例として、いくつかのエントリーに掲載してあった図表を集めました。
それらを4つのグループに分けて記載しています。
Ⅰ.一定リスクとなる暴露量(摂取量)を算出したもの
Ⅱ.暴露量(摂取量)の実態からリスク量を算出したもの
Ⅲ.統計データや絶対リスクから算出したもの
Ⅳ.発がんの相対リスク比較

Ⅰ.一定リスクとなる暴露量(摂取量)を算出したもの

死亡の機会が100万に1人(10-6)の割合で増えると推定したリスク
出典:岡本教授の【分かりやすい安全性の考え方】実質安全量(2)
転記元のエントリーはこちら

ICPS:国際化学物質安全性計画は次のように述べている。
表12は、1990年にWilsonが死亡の機会が100万に1人の割合で増えると推定したリスクの一覧であり、多くの場合それらは許容できるリスクと考えられ、非常に低い確率で起きる事項についての事実認識を人々が習得する手助けとして有用であろう。しかし、健康と福祉に対する様々な脅威を確率事象として単純に受け止めない多くの人々がいることも示唆されている。

 表12 死亡の機会が100万に1人(10-6)の割合で増えると推定したリスクの一覧
1.4本のタバコ癌、心疾患
500mlのワイン肝硬変
炭鉱での1時間滞在黒肺塵症
炭鉱での3時間滞在偶発事故
ニューヨークやボストンでの2日間滞在大気汚染
5分間のカヌー乗船偶発事故
自転車で10マイル(16km)走行偶発事故
自動車で300マイル(483km)走行偶発事故
ジェット機で1000マイル(1600km)飛行偶発事故
ジェット機で6000マイル(9654km)飛行宇宙線による癌
休暇でニューヨークからデンバーに2ヶ月間居住宇宙線による癌
石またはブロック造りの建物に2ヶ月間居住自然放射能による癌
良心的病院で1枚の胸部X線写真撮影照射による癌
喫煙者と2ヶ月生活癌、心疾患
ピーナッツバターをスプーン40杯アフラトキシンBによる肝癌
マイアミの飲料水を1年間飲用クロロホルムによる癌
12オンス(340ml)のダイエットソーダ30本を飲用サッカリンによる癌
戸外の典型的な原子力発電所の周辺で5年間居住照射による癌
最近禁止されたプラスチックボトルの24オンス(680ml)の清涼飲料水1000本を飲用アクリロニトリル単量体による癌
ポリ塩化ビニール製造施設近辺で20年間居住塩化ビニールによる癌(1976年の基準)
原子力発電所の20マイル(32km)以内に150年間居住照射による癌
木炭で焼いたステーキ100枚の摂取ベンゾピレン*による癌
原子炉施設の5マイル(8km)以内に50年間居住した場合の事故のリスク照射による癌
                                     * ベンツピレン
100万人に一人の死亡者をもたらすリスクを計算するためには、詳細な疫学調査用量―反応の数理モデルが必要である。たとえば最上段の「1.4本のタバコ」を例に採ると、喫煙と肺癌が関係していることは誰でも知っているが、1.4本という具体的数値を示すためには、癌患者と健康人の喫煙本数を調査し、実際の癌の発生状況と相関する数理モデルを検討しなければ出てこない。こうした苦労を重ねて出来上がった一覧表なのである。

【コメント】
放射線については今の日本にはSvの単位で示したほうが良いので、ブログ主が計算します。LNT仮説では“がんによる死亡者数は1 Svで5%増加(5×10-2/Sv)する”ので、
    10-6のリスク=(5×10-2/Sv)×(2×10-5Sv)  で、
0.02 mSvすなわち20 μSvになるかと。


Ⅱ.暴露量(摂取量)の実態からリスク量を算出したもの

1.暴露マージン:MoEによる比較表

こちらのエントリーにありますが、数が多いので転記しません

2.リスクの大きさ(損失余命LLE:Loss of life expectancy)でみる日本の化学物質のランキング
最初に、定義を表した図を引用します。出典は、リスク比較(蒲生昌志氏2011/6)です。

【生存曲線と平均寿命】
生存曲線と平均寿命
【死亡率の上昇と損失余命】
死亡率の上昇と損失余命

次に、具体的なデータの引用です。
リスクの大きさ(損失余命)でみる日本の化学物質のランキング
出典:[書評論文]中西準子『環境リスク学:不安の海の羅針盤』(角田季美枝氏)
こちらにも同じデータが。リスク比較 蒲生昌志

損失余命02
出典:蒲生昌志資料、および中西準子HP

中西準子氏は最新著書『原発事故と放射線のリスク学』で、上表に追記した表を提示されています。
日本における化学物質のリスクランキングと放射線当量線量

今回、損失余命を仲介にして、それらのリスクは何mSvに対応するかを示した。
やや荒っぽいが、
10-3の死亡リスク=4.6日の損失余命=20mSvの放射線被ばく線量
という計算をしている。
時代ととにリスクの大きさは変わるので、今もこの通りではないが、傾向は読めると思う。喫煙やディーゼルの排ガス、ラドンなどの、日本人に対する発がんリスクを損失余命で計算して並べた。当時、ディーゼルの排ガスのリスクは、東京都民だけに限れば、ここに示した値より三倍近く高かった。大気中ベンゼンのリスクも高かったが、その後規制が進み、この数分の一にまで減少している。ここで a) とつけた物質については、がん以外の影響についての評価である。


【追記】
3.2004年における死亡率と損失余命の関係

2004年における死亡率と損失余命の関係
出典:本城勇介・伴亘(2006): 統計資料に基づいた日本人のリスクの比較, 安全問題研究論文集(土木学会),Vol.1, pp.67-72 2006/11/9

図3-6 は2004年における死因別死亡率と損失余命(日)の関係,さらに既存の研究との比較を示している.この表より,容易に予測されるように,死亡率が高くなると損失余命が大きくなるということ関係がわかる.また,直線はリスクによる死亡率の上昇値が全年齢で一定である場合における,死亡率と損失余命の関係を表している.これより,直線より左側の死因は高齢者に死亡者が多く,直線より右側の死因は他の死因に比べ若年層おける死亡率が高いことが考えられる.
図3-6 にはさらに,蒲生(2003)による環境リスクの推定結果を合わせて示した.環境リスクに起因する死亡率や損失余命は,モデルによる多くの仮定に基づく計算によっており,この論文で求めた統計資料に基づくそれらと直接比較するときには注意を要する.しかし喫煙によるリスクは,死亡率,損失余命とも今回の推定結果と蒲生(2003)のそれとは,非常に近い値を示している(図3-7も参照).環境リスクで損失余命が,同じ死亡率に対して小さいのは,その暴露人口が小さいためであるかもしれない.


4.障害調整余命年数 DALYs:Disability Adjusted Life Years
出典:食品中の遺伝毒性発がん物質のリスク評価(畝山智香子氏)

疾病や障害による時間の損失を単位として、早い死や身体障害について、完全に健康な一年の寿命損失を1DALYとして計算される。
  • DALYs=YLL(Years of Life Lost;早世による生命損失年数)+YLD(Years Lived with Disability;障害を抱えて生きる年数)
  • たとえば、平均寿命80才として交通事故で75才で死亡した場合は5 DALY、病気で4年不自由な生活をして75才で死亡した場合には5+4*05=7 DALYと計算。
  • 食中毒で1日トイレから離れられなかったというような場合 1/365 DALYというように計算する。
  • 実際には重み付け係数が多数ある 。

人口10万人あたりの国別 原因別推定DALY 2004
人口10万人あたりの国別 原因別推定DALY 2004

5.Risk Meter によるリスク比較~リスクの大きさ(深刻度と人口を考慮)

中西準子、Risk Meterによるリスク比較
出典:中西準子氏 雑感307-2005.6.21 リスクメータというリスクの物差し

Ⅲ.統計データや絶対リスクから算出したもの
.
10万人あたりの年間死亡者概数
がんの年齢調整死亡率と粗死亡率、リスクの“ものさし”から転記。
10万人当りの死亡率

【参考エントリー】労働災害死亡者数、交通事故死亡者数の経年グラフ

出典:東京大学とJSTが2012/3/12 に発表。東京都民の今回の原発事故による発がんリスクを推定し比較した資料(2011/3/21~2012/3/20までの1年間の被ばく量がベース)

表2 飲食物由来の放射性ヨウ素および放射性セシウム、他の環境汚染物質や自然放射性カリウムの発がんリスクの比較(いずれも1年間の曝露によって、一生涯のうちに起こりうる発がんリスク)
東大・JST発がんリスク

表3 飲食物由来の放射性ヨウ素および放射性セシウムの致死性発がんリスクと日本における事故・病気などによる年間死亡者数の比較
事故・病気・発がんリスク

Ⅳ.発がんの相対リスク比較

1.放射線と生活習慣の発がんの相対リスク比較
下記の2つの表の内容は同じ。

がんのリスク(放射線と生活習慣)
     出典:放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(環境省)

放射線を科学的に理解する~基礎からわかる東大教養の講義00
       出典:放射線を科学的に理解する~基礎からわかる東大教養の講義

2.がんのリスク~放射線,ダイオキシンと生活習慣(JPHC Study)
わかりやすい放射線とがんのリスク
出典:国立がん研究センターの東日本大震災関連情報のページの わかりやすい放射線とがんのリスク


大きな表なのでキャプチャーしません。
この資料中の100mSvの被ばくの相対リスク比1.005は間違いで正解は1.05だと思いますが。(言葉としても“相対リスク”が正しいような)

つぶやき

“ものさし”は引用したもの以外にもいろいろとあるし、内容的にも非致死性リスクをどう評価するか、など複雑で、かなり深い世界のようです。出典がしっかりとした図表があれば追記したいので、紹介いただければ幸いです。


関連エントリー

低線量放射線のリスク管理とは
【7】“リスク認知、リスクの比較” および “おわりに”
【8】発がんリスクの比較~暴露マージン:MoE
食品中の化学物質の安全性の一覧ページはこちら

【メモ】
ウォルター〔高木(訳)〕(1999)による『衰退するアメリカ 原子力のジレンマに直面して』(157-166p)から
リスク認知バイアスの進化心理学的な解釈(小松秀徳、杉山大志)
CRM:化学物質リスク管理研究センター リスク評価支援ツール 詳細リスク評価書のための用語集
「がん情報サービス」人のがんにかかわる要因
化学物質アドバイザーの役目(市民向け解説法)大歳幸男

古くなった情報を仮に保管

1.10万人あたりの年間死亡者概数

10万人あたりの年間死亡者概数
原典:「リスクのモノサシ」(中谷内一也著、日本放送出版協会刊)
出典:湧永製薬株式会社『健康リスク』を考える

2.年間死亡リスクの例

年間死亡リスク

がんによる年間死亡者数:約32万6千人
出典:環境省資料の 第三章 環境リスクとその評価

上記とおなじ資料ですが表のみが違います。古いバージョンかも知れませんが取りあえずキャプチャーしておきます。
年間死亡リスク例

がんによる年間死亡者数:約25万
出典:環境省資料
転記
[ 2013/11/05(火) ] カテゴリ: リスク,寿命,人口などのデータ | CM(1)
そらね、公衆衛生がシッカリしている国だから、悪性腫瘍が成り立つわけで、細菌、ウイルス、原虫が死亡、後遺症がトップの国からしたら、楽園。
食糧事情、公衆衛生事情が低下している環境に、戻る勇気があるなら、上記の問題はほとんど解決できますが。 風邪、インフルエンザがかなり上位に来ることになるでしょうが。
b型肝炎キャリアならアフラトキシンB1暴露の場合は、肝臓がん移行確率がかなり上がる事に。
[ 2013/11/05 21:10 ] [ 編集 ]
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