ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

【9】食品添加物、なぜ使われている?、どのようなルールがある?、どのくらい食べている?

[ 2013/01/24 (木) ]
 【食品中の化学物質の安全性】シリーズの最後になりますが、身近にある化学物質として、食品添加物について勉強しました。

食品添加物の基本的な 10 項目
 (NPO法人)くらしとバイオプラザ21の小冊子メディアの方に知っていただきたいこと〜食品添加物が良い資料でした。メディア向けに作成されたものですが判り易いです。初めの数ページに『食品添加物「基本の10項目」概要』、その後に詳説があるので、概要の部分を中心に引用します。

 安全編
1.食品添加物の安全性は科学的に評価されている
 食品添加物は、安全性と有用性が確認され厚生労働大臣が指定する指定添加物と、いわゆる天然添加物である既存添加物天然香料一般飲食物添加物に分類される。
食品添加物の分類
指定添加物
(425品目)
厚生労働大臣が指定した添加物
既存添加物
(365品目)
いわゆる
天然添加物
かんきつ類の果皮に含まれるペクチン
砂糖を加熱した時にできるカラメル色素など
天然香料レモンの皮から分離したレモン香料など
一般飲食物
添加物
オレンジジュースをお菓子の着色目的で
使用する場合など
     (平成24年11月2日現在)    出典:日本食品添加物協会 添加物Q&A

各種の毒性試験により、食品添加物の安全性は科学的に評価されている。また、一日許容摂取量(ADI)*が決められ、それを超えないように使用基準が決まっている。
* ADIについての説明は【4】一日摂取許容量:ADI 、許容残留量:MRL(閾値がある化学物質)にあります。

2.食品添加物は基準に従って製造され、使用されている
 食品製造業者は、成分規格に適合するように作られた食品添加物を、使用基準を守って使うことになっている。これら成分規格や基準は厚生労働省が定める食品添加物公定書に収載されている。
食品添加物の規格、基準、表示
 消費者が実際に摂取している食品添加物の量は、実際に売られている食品を購入して分析するマーケットバスケット方式により調査し、一日許容摂取量(ADI)を超えないことが定期的に確認されている。
厚労省の薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会添加物部会で報告されているようだが、議事録や資料を覗きに行かないと見れないようで、不親切だと思う。例えば2012年12月6日の会議資料のなかに【報告資料3】平成23年度マーケットバスケット方式による甘味料の摂取量調査の結果についてがある。

 役割編
3.食品添加物がないと食中毒のリスクが高まる
 食品のリスクで一番大きいのは、食中毒である。平成22年の食中毒の患者数は約26,000人と報告されており、食品事業や消費者すべてが努力し続けなければ、食中毒を防止することは難しい。食品添加物の保存料は食中毒の原因菌の繁殖を抑え、食中毒のリスクを低減させる。また、食品の日持ちを向上させている。
食品添加物03
          図2:かまぼこを10℃で保存した時の食中毒菌の増殖

食品添加物04 
(コラム)こわい食中毒
 有害・有毒な微生物や化学物質などを含む飲食物を食べたり、飲んだりして起こる疾病を食中毒といいます。おもな症状は下痢や嘔吐、発熱などで、ときには死にいたることもあります。
原因によって①細菌性食中毒、②ウイルス性食中毒、④化学性食中毒、⑤ 自然毒食中毒に分類されます。焼き肉のユッケによる腸管出血性大腸菌O111の食中毒事件の記憶も新しいところです。平成22 年度の患者数はノロウイルス、カンピロバクター、サルモネラ属菌によるものの順で多く、この3種が大半を占めました。

4.食品添加物がないと経済的損失が生じる
 消費者の無添加志向が高まっているが、保存料の使用を減らすと、食品の賞味期限が短くなり、品質を保持するために冷凍・冷蔵技術を取り入れる必要があるため、廃棄や流通などのコストが増大する。水産練り製品の保存料使用を5%減らすと、消費者余剰(消費者にとってのメリット)が189億円減少するという試算もある。

5.食品添加物なしにはつくれない食品がある
 食品を製造するときに、固有の食品添加物を必須とするものが多い。豆腐を固めるにがり、中華麺に色と形状を与えるかんすい酵素などが代表例としてあげられる。豆腐や中華麺など、食品添加物がないと作れない食品も多い。
食品の製造又は加工するときに使う食品添加物
(コラム)酵素
 酵素は生体内のさまざまな化学反応を触媒するタンパク質です。人類は、酵素が発見されるずっと前から麹や酵母が産生する酵素を利用して酒やチーズやみそなどの発酵食品をつくってきました。
現在は、微生物が産生した酵素などを分離して、食品添加物として食品の製造に使っています。麦芽や細菌の培養液から取り出したβ アミラーゼという酵素は、水あめや餅菓子の製造に使われます。パパイヤ果実から取り出したパパインという酵素は肉をやわらかくしたり、食感を変えたりするために食肉や水産物、クラッカーなどに使われます。チーズの製造に必要なキモシンという酵素は、以前は子牛の胃から作られていました。現在は遺伝子組換え技術により、安く大量に作られたキモシンが使われています。

【メモ】 「蛭子ミコト:ブログ版」2011/6/26 もしも食品添加物が完全使用禁止になったら

6.食文化の豊かさを支える
 食品添加物には味や香りをよくするもの、食感に関わるもの、色をよくするものがあり、食卓に彩りをと豊かさを与えている。色や味、香りなどはおいしさの重要な要素であり、着色料や調味料などの食品添加物が私たちの豊かな食生活を支えている。
食品の嗜好性の向上に関わる食品添加物

 よく言われる誤解
7.「天然物は安全、化学物質は危険」と判断するのは誤り
 平成7年に食品衛生法が改正されるまで、化学合成品と異なるいわゆる天然添加物に法的規制はなかった。科学的な安全性が確認されていないものも多いため、現在は既存添加物としてリスト化され、安全性の確認が順次行われている。2004年にアカネ色素に発がん性が確認されたため、リストから削除された。また、使用実態がないものなど120品目がリストから外されている。

8.「無添加」、「添加物不使用」は安全性と無関係
 無添加、添加物不使用などの表示に、消費者は食品添加物を使わない方が安全だと誤解し、添加物が一切使われていないと思いこんでいる。実際には、安全性とも無関係。これは無添加の表示に法的な制約がないことによる混乱といえる。不適切な「無添加」表示は、誤解を助長する広告・宣伝でもあり、消費者の商品の合理的な選択を妨げ、企業の商品開発にも悪影響を与える。食品添加物の定義と利用目的の周知が必要である。

9.数十年間、食品添加物による健康被害は報告されていない
 食品添加物の安全性は、どんな食品にもリスクはあるとするリスク分析の考え方に沿って、評価されている。アレルギーの原因を食品添加物だとする意見もあるが、アレルギーは各個人の体質によるものであり、抗原性試験で問題がない食品添加物を原因とすることは正しくない。また、複数の食品添加物の複合作用で、健康に悪影響があるとする意見もあるが、個々に安全性が確認された食品添加物の複合影響については、安全性を十分に確保できるとする調査報告がある。(食品添加物の複合影響に関する情報収集調査報告書 食品安全委員会 2006年)

【メモ】 「蛭子ミコト:ブログ版」2012/11/14 食品添加物による健康被害事例を探した

10.食品添加物には複数の働きがあり、用途によって表示も異なる
 食品添加物にはひとつの用途に限って使われるものと、複数の用途で使われるものがある。例えば、L-アスコルビン酸(ビタミンC)栄養強化剤以外に、酸化防止剤製パン性改良剤としても利用されている。食品添加物の用途によって表示も異なる。酸化防止剤の用途で用いるときは酸化防止剤(ビタミンC)と併記するが、製パン性改良や、栄養強化の用途ではビタミンCと物質名で表示しなければならない。栄養強化目的の場合、表示免除なので表示しなくてもかまわない。

以上の“概要”の後に詳細解説が続いています。元資料(2012年3月版)を参照ください。

具体的な食品添加物

食品添加物の使用目的とその具体例
出典:「食品添加物」あんぜん?きけん?梅津博紀 岐阜聖徳学園大学教授

食品添加物の主な種類と使い道
出典:消費者問題及び消費者政策に関する報告(2009~2011年度)第2部 消費者政策の実施状況 第2章 各分野の消費者政策の動向 第3節 表示の適正化(2)食品表示(消費者庁)

 さらに、具体的な種類や品目は、下記にもあります。
(東京都福祉保健局)用途別 主な食品添加物|「食品衛生の窓」東京都福祉保健局
(上野製薬)食品添加物の種類・用途
(国立医薬品食品衛生研究所)食品添加物関連情報検索
(厚生労働省)食品添加物のリスト
(ジーライブ)食品添加物一覧表(合成食品添加物1)食品添加物一覧表(合成食品添加物2)食品添加物一覧表(天然系食品添加物) こちらは“不安系”のサイトのようですが。 

私たちはどのくらいの食品添加物を食べているのか

「食品添加物」あんぜん?きけん?梅津博紀 岐阜聖徳学園大学教授(2010年11月)

 武庫川女子大におられた伊藤誉志男先生たちによる25年間にわたる調査結果の一部を報告したいと思います。
 A群とB群に分けて考えています。
 A群は、純合成型といって、地球上になかったものを人間が合成して作り出したものです。
 B群というのは、天然型といって、天然にあるものを合成して作っているものなので、製造法さえしっかりしていれば、ほぼOKでしょうという考え方です。

A群一日摂取量とADIの比較 
 A群(純合成型)の食品添加物についての調査結果です。
 着色料の中のノルビキシンというものは、実際は、天然のコショウに似た熱帯や亜熱帯の植物から摂れる赤い色素ですが、ウインナーとかを赤く染めるのに使うものです。
 これらの添加物の1日摂取量を合計すると、90mgでした。耳かき3,4杯の砂糖くらいです。この表にあるほかに15品目も調べましたが、それらは摂取量が0.001mg/日以下でしたので、多く見積もってもA群全体としての添加物の1日摂取量は0.1gくらいです。 
 これは、1997年のデータですが、純合成品の添加物を1日に0.1g摂取しているということについては、いろいろな意見があろうかと思いますが、一日許容摂取量(ADI)*と比較するとどうなるか。体重を50kgとして比較してみると、摂取量の対ADI比は、一番大きいものでもノルビキシンの4.43%。一番小さいものは食用赤色40号の0.001%です。
* ADIについての説明は【4】一日摂取許容量:ADI 、許容残留量:MRL(閾値がある化学物質)にあります。
 A群(純合成品)の食品添加物については、おおむね多くとも一日許容摂取量(ADI)の1%くらいしか摂取していないといえます。厚生労働省を中心に毎年同じような調査が行われていますが、着色料などは、摂取量が漸次減っている傾向が見られます。増えている品目はほぼ見受けられません。

B群一日摂取量とADIの比較
 B群、すなわち、ビタミンなど天然にもあるものを合成して作っている添加物はどうか。B群については、安全性を考慮する必要がなく一日許容摂取量(ADI)を設定する必要がないものもありますので、この表にはB群の中で、一日許容摂取量(ADI)が設定されているものを載せています。
 保存料の中の、亜硫酸というものは、ワインの中に入っています。酸化防止剤のαトコフェノールというのは、ビタミンEのことです。また、この表の中の、生鮮食品の欄に上がっている数値は、生鮮食品には食品添加物は使用しませんので、天然物由来の量です。たとえば、βカロチンの1日摂取量は、加工食品由来0.5mg、生鮮食品由来1.6mgとなっていますが、天然の食品から多く摂取しているということです。また、加工食品由来の0.5mgというのも、すべて添加物由来かどうかは分かりません。
 対ADI比はいずれも低いですが、問題になるのは発色剤の硝酸*2でしょう。硝酸の対ADI比は103%ですので、ADIとほぼ同量摂取していることになります。日本人は世界でも飛びぬけて硝酸をたくさん摂取しています。これは、野菜をたくさん食べるからです。葉物野菜、特にほうれん草、小松菜、レタス、白菜などには硝酸が多く含まれています。栽培法によっても多くなります。硝酸肥料を多く与えれば多くなります。
 亜硝酸は、対ADI比8.9%ですが、アミンと反応してニトロソアミンという発がん性物質に変わります。硝酸は体内に入ってから唾液の中に戻ってきます。その硝酸が口内細菌によって亜硝酸に変わります。こうして硝酸を摂った量の5%が亜硝酸に変わります。硝酸を200mgとると10mgは亜硝酸になります。そうすると、亜硝酸の対ADI比は100%近くになります。
ハムとかソーセージに亜硝酸を入れるのはけしからんという人がいますが、そんなことより、野菜の食べ方を工夫しなければいけない。野菜からの亜硝酸の方が圧倒的に多いからです。悪いことを直すには、一番ウエイトの高いところを何とかしなければいけない。どうでもいい数%のところをああだこうだといってみても仕方がない。
小松菜を食べるときは、1回湯どおしすれば8割がた硝酸が減ると聞きました。
まあ、B群についても、それほど危険な量は摂っていないということが分かります。

 今まで話したことのまとめです。
 A群の添加物に関して大事なことは、私たちが摂取している化学物質の大半は、天然の食品から摂取しているのであり、1日あたり0.1gの純合成添加物をさほど気にする必要はないということです。また、A群の添加物の摂取量はADI比の1%以下であるということを覚えておいてください。
 B群に関しては、問題なのは硝酸だけです。B群は、添加物由来なのか食品由来なのかはっきりしないところがあります。

 *2「農林水産省」野菜等の硝酸塩に関する情報
【メモ】
食品安全に関するリスクプロファイルシート(検討会用)硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素/硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素
●FOOCOM.NET 2004/11/17 野菜の硝酸態窒素を巡るウソ
●東京大学名誉教授の唐木英明氏(内閣府食品安全委員会専門委員)による「食品安全フォーラム in とやま」(2010/8/26)の講演も参考になります。
●食品添加物~そのリスクと消費者の誤解 長村洋一 鈴鹿医療科学大学 日本食品安全協会(食の安全と安心フォーラムⅫ 2016/2/14



一日摂取量と許容量との比較
一日摂取量と許容量との比較
     出典:食品添加物の安全性確保(国立医薬品食品衛生研究所 棚元憲一)

もっと知りたい時の参考サイト

●(東京都福祉保健局)食品添加物
●(厚生労働省)食品添加物に関するホームページ
●(日本食品添加物協会)よくわかる食品添加物

つぶやき

 今回の勉強で、食品添加物について誤解が多いことが判りました。(ブログ主も【資料編2】人の発がん原因の主婦アンケートに近い感覚でした。)
 さらに、食品の流通・消費の分野でリスク・ベネフィット論が成り立っていることも理解できました。定性情報だけだと不安になりますが定量情報が大切かと。(放射線影響を巡る論議と全く同じですね。)
 これで、ひとまず【食品中の化学物質の安全性】シリーズを終了します。(そのうち、調べたいことが出てきたら追加するかも知れませんが)


食品中の化学物質の安全性の一覧ページはこちら
その他の関連エントリーはカテゴリーにひとまとめにしています。記事下部or左欄のカテゴリーリンクから、どうぞ。
[ 2013/01/24(木) ] カテゴリ: 食品中の化学物質,リスク | CM(0)
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