ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

スポンサーサイト

[ --/--/-- (--) ]
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/--(--) ] カテゴリ: スポンサー広告 | CM(-)

ドイツの石炭火力発電、自給率など

[ 2013/01/03 (木) ]
石炭火力の熱効率の国際比較を追記。2012/1/7


ドイツは総発電量の4割以上を石炭で賄っています。その実態などを深堀りしてみました。少々、細かなお話になります。

2011年 ドイツの発電比率の現状
 【基礎資料】ドイツのエネルギーや発電などの図表集から転記

 右側のグラフが発電電力量ベースで、褐炭は24.3%無煙炭は18.1%
石炭合計で42%あります。炭種が分かれているのが少々不思議でした。
 ちなみに、日本の発電の石炭比率は25%です。【参考エントリーはこちら

(竹内純子)独2011発電比率

ドイツの石炭政策の歴史的経緯

石炭の使用比率が高い背景の説明が2通りあります。両者が複合しているのだと思います。

(1) 補助金は炭鉱部門の雇用維持が目的で支払われたもので、1958年から2002年まで1580億ユーロ(18兆円)も出してきました。
2006年現在でも年間3500億円という政府支出中最大の補助金枠をもっており、国内でも厳しい批判にさらされています。
この補助金上げ底をしてもなお、ドイツ産石炭価格はロシア、東欧からの輸入石炭の3倍以上であり、徐々に輸入石炭の比率を増やしていく措置が取られています。出典:「農と島のありんくりん」2012/9/3 石炭と再生可能エネホルギーのネバーエンディングストーリーの悪夢

(2) 1960年代以降、石炭は安い輸入石油に押されて主役の座を追われましたが、政府は1973年の石油危機を契機に石炭への再転換策を打ち出し、石炭産業を保護してきました。石炭は特に発電用に大量に使用されています。政府の石炭産業保護策によって電力会社に課された国内炭引き取り義務は1996年で終わりましたが、その後も補助金の形で保護策が継続されています。出典:「JEPIC」2012/1 ドイツの電気事業

無煙炭と褐炭の区別(一般的な炭種分類)

分類炭種 出典:★世界の主要石炭サプライヤーの概要と石炭生産動向及び寡占化による影響調査 2010/2 (新エネルギー・産業技術総合開発機構)

 褐炭(Brown coal)は豊富な埋蔵量を有するが,発熱量が低く,また,重量の約半分が水分であるなどの特徴を持つ。例えば豪州褐炭の場合,重量の約60%が水分である。
このように燃料としてのエネルギー密度が低いことから,高品位炭に比べて現状世界市場での取引は少なく,ほとんどは採掘現地での消費に限られる。
また,現状の褐炭焚き火力発電プラントにおいては,水分含有量の多さ故に,その乾燥に伴う潜熱損失により,プラントの発電効率は30%前後と低く,このためCO2 発生量も排出原単位で1.1~1.2 kg-CO2/kWh(瀝青炭焚きの約1.3~1.5 倍相当)と高い状況にあり,有効活用に際して克服すべき大きな課題となっている。

ドイツの自給率など

ドイツの無煙炭と褐炭の数量 (一次エネルギー)

 無煙炭(Hard coal)は輸入と国産の両方が使われています。
 褐炭(Brown coal)は国産ですが、発電以外に商品価値のない褐炭はもっぱら炭鉱口で発電し需要地点に送電されます(Coal-by-wire)。褐炭ガス化複合発電も実用化されているようです。
2007年の数量は以下のとおり。(一次エネルギー)
ドイツ石炭2007
 出典
薄い緑★世界の主要石炭サプライヤーの概要と石炭生産動向及び寡占化による影響調査 2010/2 (新エネルギー・産業技術総合開発機構)の表1-1
濃い緑2009年エネルギー白書の表【第222-3-2】世界の石炭生産量の推移、【第222-3-3】世界の石炭消費量の推移

 両者の数値は良く符合しています。
 2007年の無煙炭(Hard coal)の自給率は34%になります。(一次エネルギー)
 合計欄の自給率は単純な重量計算なので意味がない数値です。(本来は発熱量の違いを熱量換算すべきなので)


無煙炭発電における国産/輸入比率の経年変化

 経年的には国産が減少した分、輸入が増加し、無煙炭発電総量は変化がありません。
  下(緑)が国産、上(青)が輸入
ドイツ無煙炭自給率 出典:Lukas Emele 2009年6月 25ページ

 無煙炭発電においては、2007年自給率は39%です。

2009年のエネルギー源の輸入比率 (一次エネルギー)

 2009年の無煙炭(Hard coal)の自給率は27.7%(輸入が72.3%)
 製鉄などの産業用を含む一次エネルギーでの比率と思われます。

ドイツ輸入割合 出典:German Energy Transition 2012/11/28 7ページ

 他のデータとして、2012/1/24付けの総合資源エネルギー調査会(経産省)資料★主要国のエネルギー情勢(資料3-2)によれば、2009年の石炭の自給率が64%となっています。おそらく、一次エネルギーにおける(無煙炭+褐炭の)石炭全体の比率と思われます。(多分、熱量換算などもしているかと)

【追記メモ】
 2009年の無煙炭自給率27.7%と2009年の1次エネデータの無煙炭1496ペタジュール、褐炭1507ペタジュール(一次エネルギー消費量の推移)で、計算すると、64%にぴったり合います。

まとめ

 ドイツの発電における石炭比率は2011年で42%あり、国内産の褐炭と自給率3割弱(発電だけでは4割弱)の無煙炭で賄われています。これはエネルギー安全保障面での利点であり、再生エネルギーの振興策*1とともに、脱原発政策*2を打ち出すことができた背景だと思われます。
 *1 問題点も色々出てきていますが。
 *2 【参考エントリー】
    ドイツ 脱原発 決定、初の原発モラトリアム、様々な意見 [2011/05/31]

 本エントリーは、ツイッターでのAgent K(‏@kazooooya)さんと Daniel Gerber(‏@YokohamaDaniel)さんからのコメントがきっかけで、知りたがり屋の虫が騒ぐに任せて調べたものでした。資料情報なども教えて戴いたお二人に感謝いたします。


関連エントリー

★【基礎資料】ドイツのエネルギーや発電などの図表集 [2012/11/06]
★火力発電の石炭の放射能 [2012/11/09]

【以下、おまけ的情報です】

石炭火力の熱効率の国際比較 【追記】
 出典:火力発電について(2012/2 資源エネルギー庁)
石炭火力の熱効率の国際比較

世界の石炭
 2011年エネルギー白書より引用

2009年 石炭生産
 中国(43%)とアメリカ(14%)の2ヵ国で世界の生産量の半数以上となる57%を占めました。更に、インド、オーストラリア、インドネシア、ロシアまでの上位6ヵ国の生産量を合計するとそのシェアは80%でした。
 ドイツは8位で1億8,480万トン、シェアは2.7%

2009年 石炭消費
 中国(45%)、アメリカ(13%)の2カ国で世界の石炭消費量の半数以上(59%)を占めました。
 我が国の2009年の石炭消費量は1億6,500万トンで、インド、ドイツ(4位、2億2,300万トン、3.3%)、ロシア、南アフリカに続き世界第7位、2.4%(褐炭を除くと南アフリカに続き世界第5位)でした。
 
2009年 石炭輸入
 我が国が最大の輸入国であり、2009年には1億6,480万トン(世界の総石炭輸入量の17.8%)の石炭輸入と推計されました。我が国以外では、中国の輸入量が1億3,700万トン(14.8%)、韓国が1億300万トン(11.1%)、インド6,770万トン(7.3%)、台湾6,030万トン(6.5%)と続きました。
 ドイツは6位で3,850万トン(4.2%)

2009年 石炭輸出
 最大の輸出国であるオーストラリアは世界の輸出量の27.7%を占め、次いでインドネシアが24.3%、ロシアが12.3%と続き、以下、コロンビア、南アフリカ、アメリカの順となりました。この上位6ヵ国で世界の石炭輸出量の約88%を占めました。

ドイツ発電比率の経年変化
ドイツ発電比率
[ 2013/01/03(木) ] カテゴリ: FIT認定制度に関する事 | CM(1)
Re: 火力発電特許(登録)
戸邉さん
思い違いをされているようですのでコメント承認を差し控えさせて戴きますが、原発に関する私の基本スタンスは、こちらのカテゴリーhttp://icchou20.blog94.fc2.com/blog-category-32.html
をご覧頂ければ、お判りになると思います。
[ 2013/02/14 19:59 ] [ 編集 ]
コメントの投稿










管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL

このブログについて
管理人 icchou から簡単な説明です 更新,追記の通知はTwitter
カテゴリ
最新記事
ブログ内検索


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。