ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

(以前と違って)発送電分離には慎重意見です

[ 2012/12/26 (水) ]
適宜、追記しています。


 1年以上前のエントリーなのですが、★中野剛志 電力自由化反対論 ちょっと惜しい [2011/08/02] に検索*から来て戴く方が結構いらっしゃるので、当時と現在のブログ主(素人)の意見の違いをメモしておきます。
* 検索ワードは『電力自由化 反対』など

当時の意見

 以下の状況から、東電*という非常に強い組織体が、極めて広い範囲を独占している実態には問題が多く、発送電分離に賛成で早く推進すべきとの意見でした。
* 他の9社を含む電力会社の代表として書いています(以下、同様)

(1) 東電という組織体が、政・官・産・学・メディアに対して極めて強い影響力を持っている。代表的なエントリーは★【原子力ムラ02】東電による日本支配の構造 [2011/06/20]です。
(2) “いびつな電力事情=総括原価方式+地域独占体制+原子力ムラ+電源3法交付金”が世界的にも高い電力料金になっている原因。
(3) 過去の発送電分離の動きを、電力業界の労使それぞれがロビー活動で潰してきた歴史がある。
(4) 発送電分離にはデメリット・副作用も懸念されるが、制度設計面で考慮すればある程度対応可能だと思われる一方で、(1)~(3)のファクターが余りに大きい。


現在の意見

 実態として東電のパワーは削がれ、また、経営やコストのオープン度も増して、以前の寡占の弊害は小さくなっているのではないでしょうか。(東電の破綻処理に関しては、もっと良い方法があった気がしますが。)
 現状は、そこが解消されつつある一方で、電力需給が非常に厳しい状況が発生しています。
 そのような中で、発送電分離を実施した時に、
■ 市場原理によって電気料金を下げるという目的に結び付くか?
■ 経営の効率化などのメリットを最大化しつつ、電力の安定供給が損なわれるなどのデメリットを最小化できるか?
を考えると、以前のようにもろ手を挙げて賛成・推進という訳ではなく、慎重に検討を進めた方が良いと思います。
 さらに、利用者側に向けた市場開放小売規制緩和(小売の自由化)* が進めば、発送電分離を急がなくでも良いのではないか、接続料が高いという問題があるとしても、電力会社のコスト構成が裸になってきているのでクリアーできるのではないかと思います。
 ネット上を含めて賛否両論がありますが、今後も、専門家の色々な意見を聞いていくつもりです。
* 【関連エントリー】★【基礎資料】電力事業者の区分など

反対・慎重、賛成、色々な論説
 新しい順です。
【追記】
【公式報告書】2013/2 電力システム改革専門委員会報告書
有識者会議の報告で、13年2月8日に公表。電力自由化で2016年度までに小売り自由化、5−7年後に発送電分離をすることを実現させる工程を提言。ただしそのメリット、デメリットの議論が丁寧に行われたかは疑問だ。慎重な検証が国会、政府を通じて行われる事を期待したい。
【反対・慎重】「GEPR」2013/1/21 電力改革、語るべき論点 — レッテル貼りを超えよう
【反対・慎重】「国際環境経済研究所」2013/1/11 電力自由化論の致命的な欠陥 澤昭裕

●本来、電力改革でもっとも便益を享受すべきなのは、供給事業者ではなく、末端のユーザーであるべきだ。
●日本の電力会社の高い技術力は、発送配電一体でインフラ設備を形成・維持してくるなかで醸成してきた有機的連帯とチームワークがあったからこそである。「現場力」への影響は無視するということなら、取り返しのつかない改革を進めていることになる。
●東日本大震災によって、かえって日本の電力システムの強靭さが証明されたのではないか。
●競争を前提とする市場になった場合、必ずしも新電力の参入が増えて電気料金が下がるとは限らない。
●そもそも「電力の自由化=電力料金が下がる」という図式は、発電設備が余っていて、それが有効活用されていない場合の話である。
●電気料金のあり方は、他の財・サービスと異なり、単に市場に任せればそれで済むというわけにはいかない。なぜなら電気料金は、「逆進性」が高いからだ。
などなど。


【反対・慎重】「東洋経済オンライン」2012/12/28 発送電分離より、小売り全面自由化を進めよ 澤昭裕

原発が対象外の議論はおかしい、議論が拙速で偏っている、電力小売りは「旅行業モデル」目指せ、市場原理を無視した固定価格買い取り制度は不要、
などなど多面的な論説


【中立】「東洋経済オンライン」2012/12/19 改革後は発電競争力と小売り提案力が決め手 森貴宏
【反対・慎重】「WEDGE Infinity」2012/12/26 停電の恐怖に怯えるドイツは日本の将来像か 発送電分離で脱原発は可能? 山本隆三
【反対・慎重】(個人的メモ12月前半)“電力市場の自由化”、“日本のエネルギー戦略”に関して [2012/12/16] 宇佐美典也
【反対・慎重】「東洋経済オンライン」2012/12/12 発送電分離、今の議論は拙速すぎる後藤美香・電力中央研究所 社会経済研究所上席研究員に聞く)
【賛成】「東洋経済オンライン」2012/12/11 東電は破綻処理して発送電分離のモデルに八田達夫・学習院大学特別客員教授に聞く)
【反対・慎重】「国際環境経済研究所IEEI」2012/12/18 ハリケーン・サンディによる米国東部大規模停電が問いかけたもの―停電と電力システム論に関する日米比較 電力改革研究会
【賛成】「SYNODOS JOURNAL」2012/3/13 3.11後の電力自由化―今なぜ発送電分離が必要なのか 高橋洋
【慎重】「電気事業連合会 海外電力関連 解説情報」2012/2/1 欧米諸国における発送電分離の動向と評価

【個人的メモ】
発送電分離に関する最近の研究のレビュー 2011/9/22 後藤美香氏 服部徹氏
発送電分離のメリットとデメリットの比較は可能か? 2011/8/8 後藤美香氏

関連エントリーはカテゴリーにひとまとめにしています。記事下部or左欄のカテゴリーリンクから、どうぞ。
[ 2012/12/26(水) ] カテゴリ: エネルギー政策,発送電分離 | CM(0)
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