ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

再生可能エネルギーに関する誤解?

[ 2012/12/06 (木) ]
適宜、追記してます。最新追記は2012/12/24


 政治家(?の人も多い)を含めて、再生可能エネルギーに過大な夢を持つ人が多いようです。選挙の公約や演説でも、△△年までに再生可能エネルギーを□□%増やして、原発を××%にする、といったものもありますが、そんなことが可能なんでしょうか?
 それらに間違いや嘘が多いことを再生可能エネルギーに関する基本的なことを少し纏めることで、明らかにしておきたいと思います。

設備能力と供給能力の違い

“太陽光エネが△△KWは原発□□分に相当する”といった説明は誤りで、設備能力で比較してはいけません。
設備能力とは:KW(キロワット)で示す値で、条件が整ったときに出せる瞬間値。
供給能力とは:KWh(キロワットアワー)で示す値で、電源構成を考える時の真の能力。

年間単位で見れば、下記の関係です。
供給能力=設備能力×365日×24時間×設備利用率

どんな優れた電源でも、設備利用率は保守点検なども必要なので100%にはなりません。色々な実績値もあるようですが、2011年12月に政府のコスト等検証委員会が纏めた数値を参照します。(設備利用率を設備稼働率ということもあります)

設備
利用率
ブログ主注
原子力70%これは、控え目な数値でしょう。諸外国では90%近く
の実績もある。(記事最下部の【個人的メモ】)
火力石油80%.
LNG80%.
石炭80%.
水力45%.
太陽光メガソーラー12%天候(気象条件)によって変動する。
基本的に「太陽任せ、風任せ」
発電量がほとんどゼロになる場合もある。
すなわち 間欠性と変動性が高い。
実績もこの程度かと
住宅12%
風力陸上20%
洋上30%
地熱80%電源のベストミックスのなかで、“ベース電源”となりうる。
小水力60%水の流量によって変動する。
【参照エントリー】★政府のコスト等検証委員会が各種の発電コストの試算を発表

太陽光と風力の設備利用率 間欠性と変動性のために極端に低いのが判ります。

電力の 同時同量の原則

“電気というエネルギーは発電と同時に消費されていくという特徴がある”ということ 。
電力会社では、季節や曜日による変動、その日の気温などを鑑み、毎日、どのくらいの電気が消費されるかをリアルタイムで予測し細かな発電計画を立てて、設備を止めたり動かしたりしている。電力供給システム全体としては、常に予想使用量を上回る電力を準備していなければならないのです。
【関連エントリー】
★発電の種類、ベストミックスとは(色々な話の前提) [2011/05/03]
★電力供給は足りなくなったら瞬時に連鎖してダウンする(波及事故、波及連鎖、ブラックアウト、電力不足ドミノ) [2012/05/19]

風力・太陽光発電の本質的欠点 間欠性と変動性への対応
★【後半】デンマークのエネルギー政策など(自然エネルギー、風力発電、発送電分離) [2011/07/27] から部分的に転記、一部加筆。

 間欠性と変動性に対するバックアップが必要

 欧州の場合でも全体でみれば、既存の発電所を残したまま風力・太陽光発電を併設し、条件の良いときには風力・太陽光発電で電力を供給し、発電できないときには既存の発電所を動かすという運用を行うというのが実態となる。つまり、既存の発電システムの置き換え・代替えにはならないのである。(大規模な蓄電システムが実現しない限り)

 風力は風が適切に吹いている時には、それらが生成するパワーは通常過剰であり、極めて割引かれた価格で他の国に販売されるか、風力発電タービンは停止されなければならない。
2003年に西部デンマークの風力発電の84%が輸出された。風力発電は自国の電力需要の3.3%を提供したに過ぎない。

 間欠性と変動性に対するクッションが必要

 欧州の電力系統はメッシュ状に接続されており、系統全体の容量が大きいため、全体が大きなクッションのように働いて、太陽光・風力発電の出力変動に対応した調整が行える。
西デンマーク(デンマークの系統は東西に分離)は、総発電容量の1/3が風力発電という状況を実現しているが、デンマークでは特別な対策はとられていない。「デンマークの風力には蓄電池はいらない、なぜならノルウェーとスウェーデンという大きな蓄電池がもう既にあるから」というのはあるセミナーで出た冗談である。
太陽光・風力発電の増大で送電線網を不安定にする。

【関連エントリー】欧州と日本の電力系統の比較

欧州でも日本でも、風力・太陽光の 間欠性と変動性に対する対策コストを考えていない

 バックアップのために老朽火力発電も維持しておかないといけないし、送電網の拡充も必要となる。そういった費用を加える必要がある。風力や太陽光が増えると火力発電が増えるという可能性もある。

ドイツで表面化している問題点
以上を理解すると、以下のレポートが何を言わんとしているかが判ります。
なお、28、25、24の番号が付いているもは、元のエントリー★【その2】再生可能エネルギー買い取り制度に関する論説などいろいろからそのまま転記したためです。

【追記】
28★「マイネ・ザッヘ」2012/12/24 電力輸出国ドイツの実体
(一部のみ引用)

「ポーランドがドイツの風力電力を拒絶」という、フランクフルター・アルゲマイネ紙の記事です。ドイツの電力輸出に対し、ポーランドやチェコが送電を停止するようドイツ側に求めているというのです。
ドイツの場合、余剰電力は周辺国に溢れ出します。結果として周辺国は、ドイツから押し売りされた不要な電力を処理するために、余計なコストをかけてこまめに発電量を調整するなど、電力の最終調整を強いられているのです。
ドイツとしては、周辺国の善意にタダ乗りするわけにもいかず、送電をコントロールする高価な設備を設置した上で、余剰電力を国内で処理する方策を見つけなければなりません。そしてそのためのコストは電気料金に上乗せされ、ただでさえ高騰している電気料金をさらに押し上げることになります。
ドイツのエネルギー転換は、電力不足のときに輸入できるのに加え、電力余りのときに輸出できるからこそ可能なのであり、二重の意味で周辺国に依存しているのです。



25★「 国際環境経済研究所」2012/12/5 ドイツの電力事情⑥ -供給力確保への苦闘- 竹内純子
(一部のみ引用)

風力・太陽光などが「間欠性電源」であることを踏まえれば、安定的な調整電源は誰かが維持し続けなければならないのだ。
2012年10月17日、ドイツ連邦政府は冬期の需給バランス確保を目的として、電力会社に対し、向こう2年間、現在の発電容量を維持することを義務付ける法案を閣議決定した。
また、発電所の閉鎖時には少なくとも12か月前に規制機関(連邦ネットワーク庁)に申請すること、同庁が安定供給に支障が出ると判断した場合は廃止の差し止めを命じることができることも法制化している。電力会社には発電容量維持に伴い生じた費用の補償を行われることが予定されており、財源として電力関連の新たな課税が検討されている。
電気代の急騰に加え、供給にも不安が出てきた状況にドイツ国民も困惑していることがうかがい知れる。
太陽光発電導入量において、ドイツに次いで世界第二位となったイタリアにおいても同様だ。
同様に、イギリスでは、、、
再エネそのものの導入にかかる費用送電網の整備等の系統安定化対策費用に加え、安定的な調整電源の維持も必要になる。設備の節減を図ることはできないのだ。再エネ導入に取り組んだために、再エネが大量に導入されなければ見えてこない、見ずに済んでしまう問題に現在直面している欧州各国がこの状況をどう打開するのかは、今年の夏全量固定価格買い取り制度がスタートした我が国にとって大きな示唆を与えてくれるだろう。



24★2012/12/4 ドイツの電力事情⑤ -送電網整備の遅れが他国の迷惑に 竹内純子
(一部のみ引用)

太陽光、風力などの再生可能エネルギーは基本的に「太陽任せ、風任せ」であり、間欠性電源と言われる。
電気は基本的にためておけないので、需要と供給のバランスを一定に保つ必要がある。需要が多すぎても供給が多すぎても、周波数のバランスが崩れ、停電に至ることもあるのだ。そのため、間欠性電源はその導入と並行して送電網を整備し、生みだされる電力を「大きなプール」で吸収することが必要になる。
特にポーランドやチェコなど、送電線の連系した隣国に安定供給維持を目的とした送電容量の上限を超えて電気の流れが発生しており、10月26日付ブルームバーグでも「ドイツの風力発電による負荷で、東欧諸国が停電の危機」と指摘されている通り、東欧諸国での安定供給を困難たらしめているのだ。
これは対岸の火事ではない。
前述した風力発電導入によりドイツで発生した諸問題が、北海道ではかなり早い段階で顕在化することを意味している。*1
政府のコスト等検証委員会は送電網の整備に必要な費用を含めずに発電単価を比較しているのだ。当然見込むべきコストを見せないまま議論が進めば、将来多くの国民が「こんなはずではなかった」と思うようになるだろう。その時になって「聞いていなかった」と言っても負担するのは我々国民である。

*1 太陽光バブルで、北海道の受け入れが限界になってきている。★「SankeiBiz(サンケイビズ)」2012/12/8 北海道、メガソーラー上限超えか 経産省が九州などへの進出呼び掛け

ドイツほかの導入状況
★【基礎資料】ドイツのエネルギーや発電などの図表集から転記

2011年 ドイツ 発電比率

 2011年12月末時点で、設備容量ベースで54%が化石燃料*1、再生可能エネルギー(揚水水力を除く)は39%*2、太陽光発電は15%。
当然のことながら、発電電力量ベースでは稼働率は低いので少なくなり、再生可能エネルギーは21%*3太陽光発電は3.3%にとどまっている。
2011年の総発電量は5,793億KWhなので太陽光の発電量は191億KWh
 *1 石炭(11.9+16.4)%+天然ガス15.4%+石油10.4%
 *2 水力3.3%+バイオマス他3.2%+太陽光14.9%+風力17.3%
 *3 水力3.3%+バイオマス他6.1%+太陽光3.3%+風力8%

 ちなみに、日本の2011年の総発電量は9,550億KWhです。

 (再エネの話からは外れますが)
 ドイツの電源構成の42%が石炭。ドイツは石炭を国産でできる。これがエネルギー安全保障。

(竹内純子)独2011発電比率

関連エントリー

【基礎資料】日本のエネルギーや発電などの図表集、データベース
【基礎資料】ドイツのエネルギーや発電などの図表集
【基礎資料】電気料金の国際比較

その他の関連エントリーはカテゴリーにひとまとめにしています。記事下部or左欄のカテゴリーリンクから、どうぞ。

【個人的メモ】
★「産総研:太陽光発電研究センター」2008/12/25 太陽光発電 日本で導入できる量
[ 2012/12/06(木) ] カテゴリ: FIT認定制度に関する事 | CM(2)
Re: 科学的に無理
全く同意です。誰が胡散臭いか、がこれで判断できますね。。

“再エネに対する幻想”は昨年7月に法律を制定したことがそれを助長した面も大きいと思います。(あの時期は、本来、復旧・復興でもっと優先度の高い課題がいっぱいあったのに。当時を振り返ると“ダメな話”はいっぱいありますね。)

>エネルギーを使わない方向性の議論の方が現実性があるんじゃないかな。
“無駄をなくす取り組み”は賛成ですが、“我慢的取り組み”の前に“知恵を出す取り組み”の余地がまだまだあると思います。日本の技術力・開発力の向上、競争力のアップに繋がりますし、優遇税制や補助金などは、そういった目的のために使うものかと。
[ 2012/12/07 12:35 ] [ 編集 ]
科学的に無理
私はエネルギー政策のプロではありませんが、同業者つながりで「原子力に匹敵する再生可能エネルギーを生むのは無理」という現場の意見は聞いています。

「2030年までに原発を全廃して再生可能エネルギーに置き換える」とか言うのは「健康保険の負担が大きくなってきたので、2030年までに再生医療を完成させて」みたいなご要望と同じレベルなんです。

それを「出来ます」とか言う研究者はもうそれだけで胡散臭いです。
ここ10年くらいは再生可能エネルギー政策に便乗して研究費を無駄遣いする人々が大量発生すると予想しています。

エネルギーを使わない方向性の議論の方が現実性があるんじゃないかな。
[ 2012/12/07 00:50 ] [ 編集 ]
コメントの投稿










管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL

このブログについて
管理人 icchou から簡単な説明です 更新,追記の通知はTwitter
カテゴリ
最新記事
ブログ内検索