ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

燃料集合体および燃料棒、燃料ペレットなど

[ 2012/11/26 (月) ]
 3つ前のエントリーで、ドライキャスク(金属キャスクやコンクリートキャスク)には“燃料集合体”の単位で、中間貯蔵(一時保管)することがわかりました。(燃料プールのなかで、“燃料集合体”をキャスクに装荷する。)
 “燃料集合体”などに関する情報とちょっとした豆知識をまとめておきます。
なお、直接処分の場合も同様に“燃料集合体”の単位です。

燃料集合体

燃料集合体の構造と制御棒
                燃料集合体の構造と制御棒
                出典:原子力・エネルギー図面集2012
 
BWR(沸騰水型炉)PWR(加圧水型炉)
外形断面:14×14cm、長さ:4.5m
(チャンネルボックスで覆われている)
断面:21×21cm、長さ:4.2m
燃料棒(8×8型の場合)
外形12mmの燃料棒が60本
(9×9A型の場合)
外形11mmの燃料棒が74本
(9×9B型の場合)
外形11mmの燃料棒が72本
(15×15型)
外形11mmの燃料棒が204本

(17×17型)
外形10mmの燃料棒が264本
制御棒十字型をした制御棒が燃料集合体4体の間に挿入される(下から)燃料集合体の中に棒状の制御棒が挿入される(上から)
主な出典:沸騰水型原子炉に用いられる9行9列型の燃料集合体について およびATOMICA

直接には本題と関係しない情報もありますが参考までに
燃料ペレット、燃料棒
既エントリー★プルサーマルの経緯、現状、MOX燃料とはより転記、および一部加筆

(従来の)ウラン燃料と(プルサーマル用)MOX燃料の比較

燃料の組成
            出典:量子エネルギーシステム工学 山口彰

ウラン燃料MOX燃料
燃料棒
の形状
燃料ペレットをジルコニウム合金の燃料被覆管(厚さ約1mm、長さ4m弱)
に詰めたもの。
BWR(沸騰水型炉)用ペレット 径:10mm、長さ:10mm、約400個
PWR(加圧水型炉)用ペレット 径:8mm、 長さ:10mm、約350個
燃料ペレットウランの酸化物(二酸化ウラン
UO
2)を粉末状にした上で成型し、
磁器のように焼き固め(焼結)した
セラミックス
ウランとプルトニウムの酸化物
UO2-PuO2)を粉末状にした上で
成型し、磁器のように焼き固め
(焼結)したセラミックス
成分の内訳ウラン235: 3~5%
ウラン238: 95~97%
プルトニウム238や239など
         4~9% *
ウラン235   0.7%以下
ウラン238   91~96%
融点約2800℃
(通常運転温度は1700℃)
約2730℃
(通常運転温度は1700℃)
使用前の
燃料表面の
放射線量
0.04μSv/時1~3μSv/時
熱伝動熱が伝わりにくい
(こもりやすい)
核分裂時の
ガス発生
キセノン、クリプトンなどのガス量
が多い ため、 燃料棒内の圧力
が高くなりやすい
制御棒
の効き
悪くなる
プルトニウムはウランに比べて
中性子を吸収 しやすいため
使用済燃料
の発熱
ウラン燃料よりも長い時間
崩壊熱を出す
                           *  高速増殖炉用の場合は、15~20%

豆知識1 (少々、専門的なことですがブログ主には興味深い情報なので)
ペレットの中の温度はどうなってるの?
 工学的な側面からペレットの中を示した図を見つけましたので、拙い解説をしておきます。

 核分裂で発生した熱は被覆管を通って冷却材の水に伝えられるので、燃料ペレットの径方向に図1に示すような温度勾配ができます。この図は実線がPWRの17×17型、破線がBWR 8×8型の計算例ですが、概ね似た形です。
燃料棒内温度分布
出典:ATOMICA 軽水炉燃料の炉内挙動(通常時)

 具体的に見て行きましょう。
 一様な核分裂が起きていても、発生した熱がどんどん冷却材の水に伝えられるので、ペレット内の温度は一様ではありません。
ペレットの中心部は1700℃強ですが、ペレット表面は約600℃、すなわち4~5mmの間に1100℃位の温度差があり、発生熱が大量に流れていることを示しています。この温度勾配はすごいですね。

 その後、熱はペレット表面と被覆管内面の隙間(ヘリウムが封印されている)、被覆管の厚さを通って伝わり、被覆管の外面は300℃位になり、燃料棒の隙間を高速で流れている冷却水に熱を伝達します。

 この熱により、
BWR(沸騰水型炉)の場合、圧力:約70気圧、温度:約280℃(飽和温度)の蒸気を発生させ、その蒸気がそのまま蒸気タービンを回します。
PWR(加圧水型炉)の場合、圧力:約160気圧、温度:約325℃高温高圧水(一次系)を作りだし、さらに、これと熱交換して発生する蒸気(二次系)約55気圧温度約270℃(飽和温度)が蒸気タービンを回します。
(出典:IAEエネルギー総合工学研究所 軽水炉(沸騰水型と加圧水型)

豆知識2 (ここはスルーして戴くのも良いかと)
軽水炉ではウラン燃料はどのように変化するの?

ウランU-235(燃料棒の3~5%)の核分裂
使用済み燃料中にも、1%程度のU-235が残る。            
                                (発生熱の記載は省略)
核分裂01

核分裂しないウランU-238(燃料棒の95~97%)の一部は、中性子を吸収してプルトニウムPu-239になる。発生熱量の3割程度がプルトニウムの核分裂由来となる。使用済み燃料中には、約1%のPu-239が含まれる。
核分裂02

軽水炉におけるウラン燃料の変化出典:プルサーマルの必要性と安全性

豆知識3 (ここもスルーして戴くのも良いかと)
臨界、熱中性子、出力制御などのお話

 沸騰水型原子炉では制御棒は、主として原発の停止や電力を大きく変化させるのに使用され、通常運転時の細かい核反応速度の調整は、冷却水の流量調整で行っている様です。

 核分裂で発生する熱によって燃料棒を冷却する水は、高速中性子を減速する役割*をしますが、沸騰して密度が低くなると、減速が少なくなり核分裂速度が小さくなります。
* 軽水炉(一般の原子炉)では、臨界を継続させる為に水で減速した熱中性子(低速中性子)が必要。核分裂で生じた極めて高速の中性子は、水で減速される事により、連鎖反応が続く。(原子炉内の水は、中性子の減速剤の他、放射線の遮蔽、原子炉の冷却・熱の運搬という三つの役割を果たしている)

 冷却水をがんがん流して気泡を減らすと、核分裂速度が大きくなります。核分裂速度が大きくなって発生熱量が増えると、気泡が増えて、熱中性子の数が減って、核分裂速度が小さくなる。熱発生が減ると、気泡が減って、熱中性子が増え、核分裂反応が進んで、発熱が増えるという、自己制御性が備わっています。
冷却水の流量により、核分裂速度が調整でき、電気出力が制御できます。

 冷却能力が落ちると核分裂反応速度が落ちて発熱が減ると言うことで、沸騰水型軽水炉は、暴走しにくい構造になっている様です。
(出典:「toshi_tomieのブログ」2011/5/29 再臨界が起きる条件は?(2)

関連エントリー

★9.3トンの分離プルトニウム保有、核不拡散問題 [2012/12/14]
★使用済み燃料の“再処理”と“直接処分”の比較など [2012/12/10]
★燃料集合体および燃料棒、燃料ペレットなど [2012/11/26] ←本エントリーです
★ドライキャスク(乾式容器)貯蔵とは、実績なども含めて [2012/11/12]
★高速増殖炉の原理、歴史、現状、再処理工場 [2011/06/15]
★プルサーマルの経緯、現状、MOX燃料とは [2011/06/14]

【個人的メモ】
★日本の原子力発電所の発電総出力と使用済み核燃料貯蔵量
 本川裕さんのサイト『社会データ実情図録』
[ 2012/11/26(月) ] カテゴリ: 再処理~最終処分に関する | CM(0)
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