ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

火力発電の石炭の放射能

[ 2012/11/09 (金) ]
現在、地球を構成するすべての天然資源(主に土壌や岩石や鉱石)には、自然起源の放射性核種が含まれます。(地域や物質で差はあるが )。
例えば、わが国を含めて世界の普通にどこにでもある土には、平均して1トン当りに自然のウランが1~10グラム程含まれています。ウラン1グラムはほぼ1万ベクレルに相当しますので、これは1万~10万ベクレル含まれていると云うことになります。(これらは地球誕生時に取り込まれたもの)
当然、石炭にも。

石炭には、自然放射性物質のウランU-238とトリウムTh-232が含まれています。それらは石炭灰に残ります
 
まず、石炭発電の比率を見てみましょう
【基礎資料】エネルギーや発電などの図表集、データベースから転記。

 2011年最新版 
電源別発電電力量2011

 2010年まで版 
電源別発電電力量

 石炭発電は2011年で全発電量の25%を占めます。(2003年以降、比率はほぼ変化なし)
 細かな粉末(微粉炭)にして燃焼しているそうです。

 【つぶやき】
 石炭は意外に多いんですね。
 余談ですが、石油比率は意外に少ないんですね。長期的には石油が減ってきた代わりに石炭と天然ガスと原子力が増加してきたこと、2011年は原子力の減少分をLNGと石油でカバーしたことが判ります。


(燃料である)石炭の自然放射能はどの位?
出典:石炭火力発電所の石炭に関する放射線規制免除についてから電力中央研究所実測値:28炭種

 ウランU-238で 3~25 Bq/kg程度、
 トリウムTh-232で 2~29 Bq/kg程度


 (参考として)
 石炭一般(発電用以外を含むと思われる)の濃度
 出典:放射線医学総合研究所データベース
石炭放射能濃度 
Bq/kg
 【つぶやき】
 発電用は一般に比べて放射能が少し低いものを使っているのかも知れませんね。


 (さらに、ついでに)
 石油、歴青油(原油)の濃度
石油の放射能 
Bq/kg
 【つぶやき】
 石油にはごく微量のカリウムK-40以外はないようです。


燃えたあとの灰はどうなるの?(石炭から再利用品までの流通) 
出典:自然起源の放射性物質を含む物の流通について

石炭フロー

 石炭を火力発電所ボイラーにおいて燃焼させた結果,ボイラー下部よりクリンカが,乾式集塵装置からフライアッシュが回収される。この過程において10倍~20倍に放射性物質が濃縮され,クリンカについては園芸用土等に,フライアッシュについてはセメント原料等にリサイクルされている。
 また,鉄鋼用高炉で使用するコークスの原料としても使用されている。

石炭灰の放射能 今回のエントリーの結論です。
出典:石炭火力発電所の石炭に関する放射線規制免除についてから電力中央研究所:実測からの換算値

 ウランU-238で 27~191 Bq/kg程度、
 トリウムTh-232で 14~181 Bq/kg程度

 また、出典の12ページには、欧州の石炭灰が1万Bq/kgとの記載もあります。

 電力での石炭灰発生量は2002年で年間約600万トン、内約8割がセメント原料等の再資源化されている。 

 【つぶやき】
 データはありませんでしたが、カリウムK-40もこれら以上に含まれていることになります。
 これらがリサイクル製品に含まれる訳で、石炭灰の使用比率で希釈された濃度になります。 ちなみに、セメント原料の石炭灰比率は7%程度以下となっているらしい。
 ウランU-238トリウムTh-232の場合、娘核種のラジウムRa-226、ラジウムRa-224、ラドンラドンRn-222、ラドンRn-220(トロンとも言う)なども存在することになります。詳細はこちら


【関連エントリー】
★ドイツの石炭火力発電、自給率など [2013/01/03]

【個人的メモ】
石炭灰の放射線規制免除に関する検討に際して 2003/10/16 J-Power電源開発㈱
★産業で生成する灰、スケール、鉱滓などの対応について(案)
★火力発電用石炭燃焼技術

【以下は、参考やおまけ的な情報です】

身の回りの自然放射線、相場観を持つための例示
 自然放射線についての既エントリーから転記
● 岩石の種類と放射能濃度
岩石の種類と放射能濃度 出典:福士政広 首都大学東京大学院教授の資料
 
花崗岩(御影石)の自然放射能(α線、β線、γ線)
 U-238 系列,Th-232 系列(α線、β線)の合計で120 Bq/kgくらい。カリウムK40(β線、γ線)で800 Bq/kgくらい。ちなみに、『国会議事堂 ホットスポット』で検索すると、結構、測定している方がいます。

建材中のラジウム濃度Bq/kg日本のセメント中のラジウム濃度Bq/kg(α線、β線、γ線)
 自然放射能として、最高値はスウェーデンの明ばん頁岩ベースのコンクリートで1500 Bq/kg
 日本のセメントのデータでは、U-238 系列,Th-232 系列(α線、β線)の合計で25~100 Bq/kgくらい。カリウムK40(β線、γ線)で76~230 Bq/kgくらい。
 (建材からは放射線と共に気体のラドンが出ているが、内部被ばくで説明済み。)

岩石・土壌等から出る自然放射線(β線・γ線)小島博之
 大阪府教育センターの花崗岩の測定値、国道のトンネルでの測定値などがあります。単位はμSv/hなのでチョット比較しにくいですが、原発事故の影響が少ない関西での数値として参考までに。なお、γ線は岩石中のカリウムK40 から出ているとの事です。

●食品中のカリウムK40 (β線、γ線)
食品中のカリウム40
 くどいですが、この図を例示したのは、食べた時の事ではなく、食品からそれなりの放射線が出ていて外部被ばくもしているというイメージで。
 そもそもカリウムK40 は人体全身中に約4,000 Bq存在しています。それからのγ線の内、約70%は体外に放出されます。通勤ラッシュの車内をイメージすると・・・。

【追記】
 と書いていたらありました、それを絵にした資料が。
我々も放射線源
 出典:放射線の生物作用と人体への影響 富山大学 近藤隆さん

(以下は自然放射能・放射線ではないが)

●過去の水田の土壌中のセシウムCs137(β線、γ線)
 1967年には、中国の核爆発実験による影響を受けて最高値138 Bq/kg(日本海側の平均で65 Bq/kg)を記録しています。水田以外の土壌も同等だと思いますので、数年間はそのような環境で生活していた訳です。

●昨年の10月、世田谷区の民家の床下にラジウム入りの瓶が置かれていて、その民家の所有者の女性は相当高い線量を被曝し続けていたことが明らかになった。その線量は、区道から1.5メートル離れた民家の壁から最大18.6μSv/hという強さであった。この値は、かなり高い。
 その瓶には「日本夜光」と書かれたラベルが貼られており、夜光塗料用だった可能性が高い。昭和30~40年代から置かれていたと考えられている。
 最悪のケースだと年間被曝量が  18.6×24×365/1000=162mSv
そして、総被曝量は、45年間であったとすれば、7332mSvという途方もない量である。一回での被曝であれば致死量になる量である。しかし、この家の居住者は発がんした訳ではない

石炭火力の熱効率の国際比較
 出典:火力発電について(2012/2 資源エネルギー庁)
石炭火力の熱効率の国際比較

世界の石炭
 2011年エネルギー白書より引用

2009年 石炭生産
 中国(43%)とアメリカ(14%)の2ヵ国で世界の生産量の半数以上となる57%を占めました。更に、インド、オーストラリア、インドネシア、ロシアまでの上位6ヵ国の生産量を合計するとそのシェアは80%でした。
 ドイツは8位で1億8,480万トン、シェアは2.7%

2009年 石炭消費
 中国(45%)、アメリカ(13%)の2カ国で世界の石炭消費量の半数以上(59%)を占めました。
 我が国の2009年の石炭消費量は1億6,500万トンで、インド、ドイツ(4位、2億2,300万トン、3.3%)、ロシア、南アフリカに続き世界第7位、2.4%(褐炭を除くと南アフリカに続き世界第5位)でした。
 
2009年 石炭輸入
 我が国が最大の輸入国であり、2009年には1億6,480万トン(世界の総石炭輸入量の17.8%)の石炭輸入と推計されました。我が国以外では、中国の輸入量が1億3,700万トン(14.8%)、韓国が1億300万トン(11.1%)、インド6,770万トン(7.3%)、台湾6,030万トン(6.5%)と続きました。
 ドイツは6位で3,850万トン(4.2%)

2009年 石炭輸出
 最大の輸出国であるオーストラリアは世界の輸出量の27.7%を占め、次いでインドネシアが24.3%、ロシアが12.3%と続き、以下、コロンビア、南アフリカ、アメリカの順となりました。この上位6ヵ国で世界の石炭輸出量の約88%を占めました。
[ 2012/11/09(金) ] カテゴリ: 自然放射線の勉強 | CM(0)
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