ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

ホールボディーカウンター~調べてわかった被ばくの現状 坪倉正治×斗ヶ沢秀俊×早野龍五

[ 2012/10/19 (金) ]
表記は、SYNODOS JOURNAL(シノドスジャーナル)2012/10/12 の記事のタイトルです。

つぶやき

 7月21・28日に放送されたラジオ福島特別番組「ホールボディーカウンター~調べてわかった被ばくの現状」の書き起こしのようですが、被ばくの現状、それが少ないことが、易しく書いてあるいい読み物だと思いますのでアーカイブしておきます。
 坪倉正治先生、斗ヶ沢秀俊さん、早野龍五先生、の日頃の活動には、頭がさがります。


以下、ポイント(と思われる)のみ、部分的に引用しておきます。
 部分的と言っても、全体の5割くらいの引用ですが、、、

福島県民は絶えず「放射線への不安」を抱えながら生きてゆくことを余儀なくされました。そして、事故から1年4ヵ月。様々な調査がなされ、少しずつ被ばくの現状が見えてきました。データから読み解く被ばくの現状と福島で暮らす上でのヒントや注意点などを、3人のスペシャリストに伺いました。

ホールボディーカウンターとは

 ホールボディーカウンターは体内の放射性セシウムが出すガンマ線を測って、内部被ばくがあるかどうかを検査する装置ですが、しっかり遮蔽されていないと、空間のガンマ線も測定してしまいます。ホールボディーカウンターと原理を同じくする食品検査器は簡単に遮蔽できる一方、ホールボディーカウンターは遮蔽のために大掛かりな装置が必要となります。

 遮蔽された、少し狭い空間に入っていただいて、検査器の前に2分間立っていただくと、結果が出るようになっています。検査結果は、スペクトルと呼ばれる波のデータで、カリウムやセシウムが何ベクレルあるか、数値がでるようになっています。

 同じ地域でも、ある家族は全員検出されて、違う家族はまったく検出されないことが頻繁にあります。これは内部被ばくが、地域単位ではなく家族単位で起きているということです。地域の線量ではなくて、ご家庭の食生活に強く依存しているんです。
以下、ホールボディーカウンターをWBCと記載します。

シーベルトとベクレルの違い

――南相馬市ではベクレルで、県ではシーベルトでデータを発表していますが、なにか理由があるのでしょうか。

 例えば僕の体に1000 Bqあるという検査結果がでたとします。WBCは、測定時にどのくらい放射性物質があるかを調べる検査器ですから、この1000 Bqが、昨日1100 Bq摂取して、おしっこで100 Bq出したものなのか、10日前に10000 Bq摂取して、9000 Bq分をおしっこで出したのかを判断できません。ベクレルからシーベルトに置き換える場合は、どちらなのか仮定する必要があります。

 正直なところ、いまの時期にシーベルトを正確に計算するのは難しいですね。なので、南相馬市立総合病院では、いまの内部被ばくを下げるという意味合いで、内部被ばくの原因を明確にするためにも、ベクレルで発表するようにしています。

 いままで南相馬市で1万人を超える人を検査してきましたが、最も多く摂取している人でも1日平均20 Bq、次に多かったのが15 Bqくらい、あとは皆さん10 Bq以下でした。最も多く摂取している人が1年間摂取し続けたとしても、大ざっぱに、1ミリSvの10分の1くらいにしかなりません。
(ブログ主注)
陰膳調査の結果とだいたい同じですね。→一日に何ベクレルを摂取しているか?陰膳調査から


現在の被ばく状況

 南相馬市は現在、検出率が劇的にさがってきています。2012年の3月は、15歳以上の子どもは99%以上検出していませんし、大人も90%は検出しなくなりました。4、5、6月も同様です。

 現在、99%検出されないということは、日常生活で爆発的な内部被ばくをしているわけではないということです。検査直前に摂取してしまったとすれば、必ず検出されますから。

――チェルノブイリ原発事故や大気圏内核実験時代を参考に考えることはできないのでしょうか。

 もちろん可能です。場所や時期にもよりますが、チェルノブイリ原発事故から10年後くらいのベクレルを比べると、大ざっぱに1~2ケタくらい南相馬市のほうが低いという印象ですね。

 セシウムの影響を考えるのであれば、私や早野先生が子どもの頃に行われていた大気圏内核実験時代との比較のほうが適切なのではないでしょうか。
 1950年代の終わりから今回の原発事故直前までの、食品中のセシウムのデータ、WBCのデータ、そして子供のおしっこのデータなどによると、日本人の内部被ばくが最もひどかったのは1964年です。その年は日本人全員が1日に平均、4~5 Bqを摂取していました。その結果、日本人の成人男性は体内に5~600 Bqのセシウムが、子供のおしっこからは 5 Bq/リットルくらいのセシウムが検出されています。
(ブログ主注)
詳細なグラフはこちらにあります→過去(1960年代)からのセシウム摂取量 Bq/日、体内平衡量 Bq/人


 先ほどもお話した通り、福島県の1日のベクレル摂取量は最大で20 Bqでした。ほとんどのかたはそれよりもはるかに低い。おそらく福島県民が摂取しているセシウムの量は、僕が子どもの頃に食べていた量よりもはるかに少ないと思います。
 
給食丸ごとミキサー検査について

 福島県内の給食だけでなく、日本全国の給食を測定すると、汚染された食品が日本全国にどのくらい流通しているかを知ることができます。これを1回だけじゃなく、1年間測り続けて線量を積み上げ、何Sv受けたか計算できるようにしましょう、と文科省に提案しました。

 この検査は時間がかかりますし、給食がお子さんに出された後に結果が出るんです。
ネットでアンケートを2日間とって、7000件の回答をいただきました。多くが福島県から、特にお子さんをお持ちのお母さんからの回答でした。9割の方が、それでもいいから測って欲しいという回答でしたので、そのアンケート結果を持って、副大臣に「皆さんが測定して欲しいと言っています」と説明しました。

 最も早かったのは、去年の10月から始まった横須賀。横須賀は検出限界値を 0.5 Bq/kgに設定していますが、1 Bqを超えたことは1度もありません。ほとんどが検出限界値以下です。

 福島県は今年度から検査が始まりましたが、南相馬市は、私が、市長の桜井さんに「お金を出すので、給食を測りましょう」と提案していたので、早い段階の1月から測定をしていました。ここでもやはりセシウムはでていません。といっても福島県内は、南相馬市も含めて、給食に地元の食材はほとんど使っていないんですね。それにしても、検査をしてみて検出されなかったことはよいことですが。

 ただ困ったことに、この検査は文科省の予算で動いているため、文科省の管轄外である保育園の給食は測れません。保育園の給食に関しては、最初は私が検査費用を払っていましたが、いまは寄付していただいたお金でやっています。保育園に予算がつかないのは変なことだと思うんですけどね。

外部被ばくと内部被ばくについて

――外部被ばくと内部被ばくはどちらのほうが体に影響を与えるのでしょうか。

 福島県のWBCのデータや食品検査のデータによると、現状では、内部被ばくによって1年間に1ミリSvを超えて被ばくする人はいないことがわかっています。一方、外部被ばくは、いろいろな自治体が公表しているガラスバッジの値によると、半数以上が1ミリSv未満ではあるものの、1ミリSv、2ミリSvを超える人がいることがわかっています。

 いろいろと議論はあるのですが、外部被ばくと内部被ばくの比較は、同じシーベルトを使っている限り、リスクの度合いは同じだというのが世界的に受け入れられている考え方だと思います。つまり福島県は、現状では内部被ばくよりも外部被ばくのほうがリスクは高いと思うのですが。

外部被ばくを避けるには

――放射線量は場所によって違いがでてくると思います。家の中でも場所によっては線量が違うのでしょうか。

 違います。家のつくりにもよりますが、相馬市の比較的線量の高い地域では、どちらかというと、2階よりも1階の線量が低く出ます。除染のしにくい屋根が汚染されていることが原因だと思います。

――外部被ばくと内部被ばくはどちらのほうが体に影響を与えるのでしょうか。

 外部被ばくを避けるために重要なことは、長時間生活する場所の線量を下げることです。たまに「20Svもあるホットスポットがみつかった」といった報道が流れたり、またお母さんにご自宅の線量について伺うと「屋根の下が10マイクロSvもあった」とお話される方がいたりします。もちろん線量の高い場所を知ることや除染することも大切ですが、最も大事なのは、長時間生活する場所の線量を少しでも下げることです。家の中で長時間生活する場所の線量はどうなのか、除染するにも、ホットスポットが、長時間生活する場所の線量に影響するなら除染する。といった対策が有効と考えています。

 例えば子どもたちは1日のうち8時間は家で寝ていますし、8時間は学校にいます。であるなら、2階に子どもの部屋がある家は、1階に移してあげるといった処置をするほうが外部被ばくのリスクを下げることができます。

 南相馬市で除染をされている除染研究会の方の検査結果は、除染をしていない普通の大人と比べて、内部被ばく量に差はありません。もちろん、土から舞うセシウムがゼロだとは申し上げません。しかし空気からの内部被ばくのリスクよりも、食べ物のリスクのほうが1ケタも2ケタも大きいことは認識していただきたいです。

 外部被ばくの対策、例えば除染については、相馬市ではガラスバッジの測定によって、どの場所、どういう家の線量が高いのかがわかっています。その結果を参考に除染場所を決めることは大切でしょう。一方で、山道のような除染の難しい場所の線量が高くても無理やり除染するよりは、先ほど坪倉先生がお話になったように、いつもいる場所の線量を優先して除染するほうがよいでしょう。

 WBCの検査結果によって、内部被ばくは地域単位ではなく、家族や個人単位で起きていることがわかりました。除染の対策も同様です。ガラスバッジによって、個人の線量がわかったならば、そこからなぜ線量が高く出るのか原因を突き止めていくことが重要だと思います。

内部被ばくを避けるには

――外部被ばくは、長時間いる場所の数値が非常に重要だということでした。内部被ばくもやはり、よく食べるものについて注意深くみることが重要だということになるのでしょうか。

 よく食べる、主食と好物は気を付けて欲しいです。あとは、去年数値が高かった食べ物も気を付けるべきだと思います。

 被ばくの可能性が高いものはあまり多くありません。高い食材があるといっても、1年中、それを食べるわけではないでしょう。
と言っても、例えば、お米が100 Bq汚染されていたとします。成人が1年間に食べるお米の量は60キロですから、1年間で6000 Bqも摂取してしまうことになる。ですから、毎日食べる食材については、数値を確認することが大事です。その確認が出来ているなら、ときどきコシアブラの天ぷらを食べるくらい、大丈夫だと個人的には思っています。

 未検査のものを継続的に食べられる方のほうが高い数値が出ることが多いです。でも、空間線量の高い地域で家庭菜園をしてとれたものでも、しっかりと検査して食べているならば、内部被ばくが検出限界以下のご家庭もよくみかけます。繰り返しますが、地域単位ではなく、家族単位で被ばくしているんです。しっかり検査した食材を使っていれば、十分リスクが低くなることは知っておいて欲しいです。

 福島県の事例は、世界的に特異な状況なのかもしれません。と言いますのも、外部被ばくと内部被ばくは比例しているのが世界的な常識なんです。福島には、チェルノブイリに比べても十分に線量の高い汚染地域があります。しかし外部被ばくに比べて内部被ばくは低くなっています。外国の方に福島県の事例をお話すると、「そんなに内部被ばくが低いわけがないだろう」と詰め寄られることが何回かありました。

 内部被ばくが比較的少ない理由は3つ考えられます。1つ目は、食べ物のコントロールがしっかりできていること。2つ目は、早期から農家の方、お母さんたちが知識を持って、食べ物に気を付けていたこと。南相馬市では、100人のうち70人は産地を選んで食材を購入しているそうです。3つ目は、日本の食品自給率が低いためです。

ゼロリスク志向について

 食べ物に1 Bqでも入っていると嫌だと思われる方もある程度いらっしゃいます。しかし、ゼロリスク志向はいろいろなところに悪影響を与えているように感じます。ゼロリスク志向は科学的に考えてもおかしいし、それを追求すると福島の人を差別するような問題に発展してしまうと思うのですが、

 難しい問題ですね。確かに首都圏ではゼロリスク志向が非常に強い*1と思います。ですが、いま地球上でゼロベクレルの食べ物は手に入らないそうです。というのも大気圏内核実験時代の影響は依然として残っていて、原発事故直前でも、精度高く測ると、セシウムが検出されていたんですね。
(ブログ主注)
*1“首都圏ではゼロリスク志向が非常に強い”はそうでもないのでは?とも思います。確かにそういう人もいますが、


 ストロンチウムがミリBqの単位でもでない水ってないですよね。

 そうです。だから完全にゼロってことはありません。だけれども、やはり事故直前よりは少し多いでしょう。避けられるものは避けたいと思うのは当然のことですから、完全にゼロを追い求めることは出来ないと知ったうえで、出来る限り下げることを考える必要があります。

 食品安全委員会は、議論に議論を重ねて、安全基準を1ミリSvに定めました。では1年間にどれだけのベクレルを摂取すると1ミリSvになるか。大ざっぱに言うと、5万 Bqです。となると、1日にだいたい100 Bqから200 Bqくらいの摂取になります。

 そうです。5万 Bqも食べられません。仮に 100 Bq/kg入っているお米を年に60キロ食べても、6000 Bqです。今の日本で、内部被ばくによって1ミリSvに達することは、よほどのことがない限りありえません。内部被ばくに関しては、幸運や皆さんの努力もあって、低く済んでいます。このことを首都圏の方はご存じない。もちろん避けられるものは避けたほうが良いです。ですから坪倉先生のような方が、1日に10 Bq、20 Bq摂取している方をみつけて、指導をしているんです。

――やはり心情としては、数値の少ないものを追い求めてしまいます。

 それは仕方ないことです。ただ、検査器の台数は、増えつつありますが、限られています。限られた台数の中で、例えば100 Bqのものを出すためには20分の検査でよいとしましょう。それを20 Bq、10 Bqと、検査基準を下げていくと、検査時間は長くなってしまいます。必然的に検査できる食品の件数が減ってしまいます。少し検査基準を高めにするかわりに、検査する食品数を多くするか、基準を低めにして精密に測るかわりに、検査数を少なくするか、どちらが内部被ばくのリスクを下げられるかというと、実は前者の方が、平均的には皆さんの内部被ばくは下がります。ただ、これも心情的には理解され難いものですよね……。

放射線情報のデータベース化を

(略)

放射線報道に関して

――放射線の報道に関して現状をどうみていますか。

全体としては、一年前や半年前に比べるとまともになってきたなあという印象です。早野先生、坪倉先生をはじめとした方々の努力によってデータが出てきて、外部被ばくも内部被ばくも非常に低いレベルであることがわかってきました。また、例えば福島県の周産期死亡率が事故前と比べても、変化がないことがわかっています。といっても、ニュースには驚かせるという面があるせいか、さしたる根拠もないことを膨らませて、危険を煽る報道が一部には残っているのも現状だと思います。

 我々はチェルノブイリからたくさんのことを学んできましたが、いつまでも「チェルノブイリはこうだった」と言い続けるべきではありません。今後の対策を考えるとき、または皆さんに何かをお伝えするときは、福島県のデータがあるならば、それをもとに報道していただきたいと思っています。

――何百人も子どもがいる中で、マスクをしている子が3人だけなのに、その3人だけを写真にとってニュースになったことがありましたね。

 全体の中の一部を切り取って、あたかも全体であるかのように見せることはよくあるパターンですね。

 いま、ほとんどの人が内部被ばくの値が下がってきています。これはとても喜ばしいことです。でも、数値が悪くなっていないことや改善してきていることは、報道する側からしたら面白い話ではないわけですよね。報道する側も売れないといけないでしょうから難しいのかもしれませんが、バランスをとっていただきたいです。

検査を継続し、データを見続ける

――最後にまとめとして、これから先、福島県民にどんな心構えをもってもらいたいとお思いになりますか。

 いま、内部被ばくの問題に限って言えば、思いのほかうまくいっていると思います。しかし外部被ばくに関しては、半減期の長いものが山や川を汚染しています。これはなかなか容易には消えてくれません。福島で暮らす上で、食品検査やWBC、ガラスバッジといった検査を油断せずに続けていってほしい。何かのきっかけで内部被ばくが増えてしまうことがあるかもしれません。そのとき努力を怠ってしまっていると気が付くのに遅れてしまいます。常に危険性はあります。それを生活の中に取り込んで、納得して暮らしていくことが大切だと思います。

※この番組はYouTubeでお聞きいただけます。 https://www.youtube.com/user/rfcJOWRTV
(構成 / 編集部・金子昂)

【個人的メモ】

★「朝日新聞アピタル」2012/10/12 地域ごとの結果が公表されないと、全体が見えない - 福島・浜通りから  坪倉正治
★「復興アリーナ WEBRONZA×SYNODOS」2012/7/13 南相馬市立総合病院の内部被ばく検査から  坪倉正治
★南相馬市HP 2012/5/15 市民の内部被ばく検診結果(2)
[ 2012/10/19(金) ] カテゴリ: 基準値,規制値,測定値な | CM(0)
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