ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

【続】怪しい科学論文なんて結構ある、という事実

[ 2012/10/12 (金) ]
natureの社説の和訳を追記しました。2012/11/4


近藤滋先生、PKAnzug先生、bloom先生ほかによる、表記に関連するわりと普遍的なコメントや関連情報を纏めました。
以下、怪しい科学論文なんて結構ある、という事実 [2012/08/20] を本編と書きます。

1.本編から、ごく一部を転記

近藤滋先生の解説

 「評価がなされていない論文が出版される」という事実を、マスコミを含む一般社会が、正しく知らないと、非常に危険な事が起きる可能性があるだろう。


生物学者bloom先生による説明

疫学調査だけではリスクは論じられない。
疫学調査は統計的な操作である程度の印象を変えることが出来ます。
・一般の方の中は論文に書かれたことは全部正しいと思う人もいるようですが、インフルエンザでも放射線でもバラバラなデータとそれに基づく仮説が多数出ています。
他の研究者が珍奇な説を否定するような実験をしないのは、メリットが無いからです。

・もう一つ、物理系の研究者と話して驚いたのは、生物系の論文にガセが多いということを、非生物系の人が知らなかったことです。
・私の見積もりでは世間に出回っている生物系の論文の1割は意図的なねつ造や手抜きデータが入っています
特に疫学調査は自分のブログ記事で解説したようにごまかしが効く手法なのです。
・チェルノブイリ膀胱炎とか、心臓にセシウムが、胎児に奇形が・・という研究は全て疫学調査のカテゴリーに入ります。
・生データは本人しか持っていないので他人は追試出来ず、「だってボクはあの場所でそういう現象を見たんだも〜ん」と言いたい放題です。
・福島放棄を勧める自称?研究者が拠り所とする論文はほとんど疫学調査です。



2.togetterコメントなどから

PKAnzug先生のTogetterコメント2012/09/29

 論文などでも「概ね事実と見なしてよさそうな話」から「これ、誤差/偏りで出ちゃった結果なんじゃねーの?」みたいなものまであって、体系的に全体像を学んでる人間から見たら、他の既知の情報とあからさまに乖離してる変な話は浮いて見えるんですが、全体を学ばないまま自分の欲しい情報を集中的に集める形で学んでしまうと、その辺の違和感が分からないんだろうなと思っています。基礎から体系的に学ぶって大切。
 補足説明:http://www.twitlonger.com/show/jfebj7


Yuhki_NakatakeさんのTogetterコメント2012/10/13

一般の方には、一流紙と三流紙の違いとか、学会発表と査読論文の違い*1とか、あまり伝わらないことかもしれません。が、専門誌には履いて捨てるほどの「胡散臭い報告」がたくさんあります。そして、そういう報告は「見向きもされず、捨て置かれる」という処置を受け、雑誌もimpact facto*2rの低下、という商業的な打撃を受けます。玉石混交の論文達を膨大な数から選び出す、というのを、科学業界では日常的に強いられています。それは確かに問題なのですが、研究業界内だけで収まってた話なのですよ。

*1 研究成果を論文にする前後に多く行われるのが、学会などの講演発表です。これは、成果を早く公表して最新の情報を提供することや広く研究成果の批判を仰ぎ、多くの研究者と交流して研究を進めることが目的です。学会発表の内容には、速報性はありますが、まだ研究の途中のものも含まれます。
*2 科学雑誌の影響度ランキング (Impact Factor) 2014年度版が公開された(アレ待チろまん)

Yuhki_Nakatakeさんのtweet2012/10/15

あぁ、そうか。トンデモ科学を信じる人って「誰からも見向きされなくなったダメ研究」を「やみのそしきによって揉み消された貴重な研究」と置き換えて考えるのか。ご苦労なことです。



3.bloom先生のブログのコメント欄、および、本編のコメント欄から
 “生物系の論文のガセ率”“ねつ造の手口”など貴重なコメント、ございます。

(古い順です)
bloom先生のブログ 2012/8/22(水) 午後 7:18  9

八合閑人


今は「モデル生物」という考え方で全ての生物の現象を説明しようとする考えが有力ですが、ある種の傲慢さがあります。
都合の良い結果を出す生物を選んで実験をしているという面はあります。
「マウスで知られている事をラットでも證明することは意味がある」 と仰った先生がありました。
マウスを調べるのは人間で起こっている事を調べる為の方便であるという立場の、端的に言えば医学の立場の人間からすると、マウスでもラットでもどちらでも関係ないとなりますが、生物学者をもって自認する人間にとってはヒトもマウスもラットも平等な筈。

あえて色々な生物を用いて実験しているのには相応の意味があるのであって、その生き物を用いている研究者の間ではそのことは了解済みなのですが
(つまりトリックなりガセなりの種や仕掛けがわかっている)
そのようなことに免疫のない人々は騙されルのでしょうか。


bloom先生のブログ 2012/8/23(木) 午後 9:28  10

bloom

怪しい科学論文なんて結構ある、という事実」は生物系なら常識なのですが、物理や化学の人は騙されやすいし、生物学者を名乗る人々の中にも他人の嘘に無意識に乗りたがる人はいるんですよね。

生物系の論文のガセ率は、
疫学調査(チェルノブイリ膀胱炎とか)>野外調査(ヤマトシジミとか)>動物実験=細胞実験
だと私は感じています。
最初の2つは実験ではなく調査なので追試が難しく、それがセンセーショナルな論文を出したい人々を増長させていると私は考えています。

センセーショナルな結果になった時も、逆に凡庸な結果になった時も、本当にそうなのか?と疑うのが本来の科学なのですが。


bloom先生のブログ 2012/8/23(木) 午後 11:17  11

八合閑人

生物系の論文のガセ率は、
疫学調査(チェルノブイリ膀胱炎とか)>野外調査(ヤマトシジミとか)>動物実験=細胞実験
というのは同感です。

ガセと言っても
 完全に意図的なガセ
 統計手法で強引に有意差を出し結果的にガセになったもの、
 正しく研究した結果が残念ながら後の研究からガセと判断されたもの、
とスペクトルがあると思います。

私が思うに、これらの内で統計のマジックによるガセが怖いのではないでしょうか。
疫学には統計学的手法が不可欠というかクリティカルですが、都合の良い結果が出てくる統計手法を選ぶという事は実際には多いのでしょう。

ただし、疫学的調査で発見の端緒につながった事象は多いわけで、それらの研究が重要であることは変わりないと思います。

ですから、個々の疫学調査については過大にも過小にも評価せず、正しく評価するという態度が実験科学の研究に対する以上に求められているのではないでしょうか。


bloom先生のブログ 2012/8/26(日) 午前 6:04  12

bloom

八合閑人さん、疫学調査はリスクを推定するきっかけの一つにはなるという意見に私も賛成です。ただ、単体ではリスク評価には使えない情報だし、そんなに心配なら自分で動物実験くらいしなさいよ・・と私は考えています。

ただ、インフルエンザの致死率0.4%などメディアでセンセーショナルに取り上げられる論文の多くが生データや解析手法を見ると「0.004%~0.4%の大きな幅でしかリスクを推定出来ないのでは?」と思うレベルなのになぜか0.4%となっていたり、研究者の先入観や願望が入りやすい研究領域なのだと判断しています。

実際、私も企業時代に医学部と共同研究をしていた縁で疫学調査の手伝いをしたことがあるのですが、データの取捨選択から解析側の主観が入りそうになっていて、統計のマジックなら分かりやすいのですが、生データの操作は怖いな・・と思ったことがあります。

そういう意味では、チェルノブイリ膀胱炎の論文は分かりやすい統計操作なので良心が残っている・・とも言えるかな?
論文の著者達が統計がド下手という可能性もありますが。


bloom先生のブログ 2012/8/26(日) 午前 6:45  15

bloom

6:23

池谷奉文さんが元研究者なのかも分かりませんが、大学にいる生態系の研究者でも60代以上だとDNAに関する知識がほとんどありません。
50代以下でも分子生物学の授業の無かった大学出身者や、あっても真面目に勉強していない人は、放射線や変異に関して素人並みの感覚しか持ち合わせていません。

逆に私達のような実験生物学者が環境問題に対して○○すれば解決するのに・・と思うことを、プロの生態学者に話してみるとズレていることもあるので、「生物学者」の発言はそれぞれの専門性を参考に聞いてもらう方が良いです。
もちろん福島の人が癌になるという仮説はがんの発生機構を理解していないド素人によるガセです。
「肢体の不自由な子ども」は「見えないばくだん」でも読みましたかね・・日本生態系協会会長が文系人の妄想絵本に影響を受けた?・・ププッ(笑)というレベルです。

ヤマトシジミ論文の人々も放射線による変異の頻度と過程を勉強せずに【放射能→変異】という一つ覚えのストーリーに従って論文を出している可能性はありますね。

6:45

ガセ論文の特徴は、世間がそういう論文が出たら面白いな・・と思っているところを、絶妙なタイミングで突いてくる点ですね。

昨年、放射線生物学の復習をしている過程で kikulog で過去の研究の流れを教えてもらったのですが、これまでの生物を用いた放射線照射実験では昆虫の精子が特に感受性を示した・・という情報があって、「昆虫に変異、とかいうガセ論文が出たりして」というコメントが出ていたと思います。

インフルエンザの時も「新しいウイルス株だから(←ヒトと豚の相互感染は昔から小規模ながら報告されているが)致死率が高いかも」とマスコミが煽る中で最初は 0.4% とか 0.5% などの期待通りの値で、その後どんどん下がって 1/100 以下になりました。

ウイルスの致死率はよほどの配列の変化が無い限りは同じなので、最初から疫学データをきちんと分析すれば、そんなバカな話にはならないんですよ。
私が軽蔑する研究者の1人は「研究はエンターテイメントだ」と抜かしているし、生物学で20年以上飯を食う中でねつ造は日常茶飯事で見聞きしているので、私は新聞の科学ネタには冷めています。


本編 2012/09/07 12:37  18

ねつ造の手口 bloom

私は今まで色々なねつ造を見ているし、自分がねつ造をするように圧力をかけられたこともあるので、一番使いやすい手口についてだけ、簡単に解説しますね。

それは「都合の悪いデータを外す」と「測定ミスも疑われるエキセントリックなデータを使う」です。

前者は実験区と対照区で差が出ては困る時、差が出ないと困る時、どちらでも使われる手口で、都合の悪いデータを「これは異常個体だから」「たぶん測定ミス」「実験が失敗したのかも」などの理由を付けて消去します。

当研究室では本当に異常個体なのか?測定ミスなのか?実験が失敗したのか?という議論や検証実験を経てからデータを削除させますが、それをやらずに恣意的にデータを選ぶ人は結構います。

逆に「この数値は1回しか出ていない(1サンプルしか出ていない)」を入れて平均値を変える手法もあります。
これは実験区と対照区で差が出ないと困る時に良く使われる手口で、私はチェルノブイリ膀胱炎の尿中のセシウム濃度で疑っています。
測定ミスでないことを確認するためには、同じようなデータが複数出るまで解析数を増やす必要がありますが、そのまま論文にしてしまった例はいくつか知っています。

顕微鏡観察で、稀にしか染色されない細胞や切片の画像(不適切な固定条件や染色条件によることが多い)を「常にこの構造が染色される」といった出し方をするのも同様の手法です。
バンダジェフスキーの「心臓にセシウムが溜まる」がこちらに相当するかも知れません。

他にもたくさんの手口を知っているのですが、学会後にでも解説します。

生物系の論文ねつ造事情白楽ロックビル先生が詳しいと思います。
細胞生物学会のシンポジウムで研究者の倫理問題についてお話しして下さったことがあります。
http://www.haklak.com/

山崎茂明先生も「科学者の不正行為―捏造・偽造・盗用」というズバリな本を出しているので、詳しいです。


本編 2012/09/07 22:42  19

和訳有り難うございます  bloom

「悪意の情報」を見破る方法・・という本がネットニュースで紹介されていますが、ここに書いてあることは私達が論文を読む時に気を付けていることです。
http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2012/09/post-cf6e.html


本エントリー 2012/10/13 15:25   

ご紹介有り難うございます  bloom

こちらの記事で書いたように後期の授業では放射能デマに度々触れるように心がけているのですが、「科学研究者の事件と倫理」(白楽ロックビル)を読むと、生物系の論文のねつ造率が高いことが分かると思います。
http://blogs.yahoo.co.jp/bloom_komichi/65936584.html

世間を騒がせている「実態の無い iPS 細胞治療の論文」ほどすぐばれるものは珍しいですが(本人の反論中なのでこの時点ではねつ造とは言い切れませんが)、巧妙にデータ操作をしている例(著者の人物や研究環境などを知らないとねつ造に気付かない)は日常的に見ています。

また、私も実在しないデータ(不自然なグラフ・細胞の画像・ゲルの写真など)が問題になった例を過去に数件見たことがあり、実在しない遺伝子(複数の遺伝子配列を切り貼りしたらしい)で論文を出した例も1件だけ知っています。

ところで問題の森口尚史さんの博士論文はこれまた問題の児玉龍彦先生が主査をしているそうです。
http://matome.naver.jp/odai/2135001166862092501
http://moriguchi-gohou.blog.so-net.ne.jp/archive/c2303292995-1

主査は必ずしもメインの指導教員という訳ではないのですが(私の大学だと指導教員は副査に入ることが多いですが、私が博士を取得した時は指導教員が主査だったと思います)、主査1名・副査数名の前で研究成果を発表し、質疑応答を経て審査がされます。
やっぱり児玉先生は軽々しく正義を語り、軽々しく査読をする人なのかな・・と思う気持ちはありますね。



4.(ヤマトシジミで的確な論説をされた)近藤滋教授による、ジャーナルと論文評価について

大阪大学大学院生命機能研究科のサイト⇒パターン形成研究室〈近藤滋教授〉⇒「細胞工学のコラム⇒近藤 滋 教授:生命科学の明日はどっちだ!?⇒第十五回:科学者はみのもんたに勝てるのだろうか?
(小見出し項目と一部のみの粗い引用ですので、詳細は原典を参照ください)

●免疫学者、みのもんたに完敗
 (略)
●正確さの保証はどこに?
 (略)
●科学的な事実の客観性への信仰
 (略)
●科学ジャーナルとTV局は結構似ている
 科学者にとってのメディアは、もちろん専門の科学ジャーナルだ。個々の論文を科学ジャーナル掲載するか否かはピアレビュー*1により判定される。論文を受け取った雑誌編集部は、その分野の専門家2~3名に、その論文の質・インパクトの評価を依頼し、その結果をもって掲載を決める、というやり方である。少人数専門家の評価で、論文の価値を判断できるという考え方の前提には、やはり科学的な判断には客観性がある、という暗黙の前提が存在している。なんだかTV局と似ているではないか。判断を少数の専門家に任せて、ジャーナル自体は責任を持たないところも同じだ。
 さらに、一部の「人気のある」ジャーナル(Nature, Science, Cellなど)に、「権威」が発生するのも全く同じである。高インパクトファクターの雑誌に掲載されれば、その研究は瞬時に世界中の人の目に留まる。新聞雑誌で報道され、注目は浴びるし、研究費やポストも取れてうはうはである。研究の目的が、「純粋な科学的な真実の発見」でなく、「CNS*2の論文をゲットする」になってしまっている人だって沢山いるだろう。Natureはこの分野の論文を掲載する可能性が高いから、こういう研究をしよう、とか考える人もいるかもしれない。(う~ん、書いていて自分で耳が痛い・・・)必然的に「権威」が発生し、論文を吟味することなく「Natureに載ったからすごい」と思ってしまうのである。
 という訳で、メディアと一般人の関係と、科学者とジャーナルの関係はそっくりなのだ。「Natureは科学界のみのもんた」なのである。Natureを信仰している限り、みのもんたに勝つことはできない

●論文評価のもう一つの方法
 現在のピアレビュー制度に問題はたくさんある。論文の評価をする専門家が、本当に正しい評価を下せるのかは、結構疑わしい。研究の競争相手であるかもしれないし、頭の固い人は新しいアイデアを評価する能力にかける可能性も大きい。メンデルの法則も当時は誰も理解しなかったし、チューリングの理論もまた然りである。だが、ほかの方法がなかったので、この制度が続いてきたわけである。
 しかし、最近論文のレビューに関して新しい方法を採用する雑誌が出てきている。PlosOneや、Nature.comが運営するScientific Reportなどだ。これ等のジャーナルでは、一応ピアレビューは行うが、それは実験の手法とそこから導かれる結論の妥当性に関するものであり、得られた結論の価値・意義等は、出版後の読者に任せる、というスタンスである。この方法を可能にしたのは、誰でも論文にアクセスでき、更にコメントをつけられるというインターネットの特性である。
 この方法のメリットは2つある。審査の主体がバイアスのかかった少数の専門家でなく、研究者全体に変わることで、論文の採否に関する不合理を排除できること。さらに、論文に対する評価が、署名付きのコメントの集積になることで、掲載されたジャーナルの権威とは切り離されることだ。このやり方がうまく機能すれば、みのもんたに一泡吹かせられるかもしれない。
 一方で、この方法の成否は、研究者社会のモラルやリテラシーに依存してしまうと言う問題がある。査読の甘い論文が世に出ると、社会を混乱させる可能性*3もある。これは結構心配だ。(後略)

●ネットピープルによる査読の健全性は?
 (この部分は本編に引用済み)

以上、論文の査読のあり方に関して思う事を書いてみた。まあ、どんなスタイルが一番良いのかは解らないが、マジョリティがちゃんとした判断力を持っていれば、そんなにひどい事にはならないのではないかとちょっと楽観している。もちろん、そのためには、科学者一人一人が正しく社会に向けて発言することで、信頼を得ることも重要だ。みのさん一人に科学の権威を代表していただくのは、そろそろ終わりにしたいのである。

●tweetでのコメント
 本文中にもあるように、私自身はPlosOne方式の可能性を期待しているのですが、新聞記者でさえリジェクトしたシジミ論文がアクセプトされているという事実は、結果の妥当性に関しても、極めて甘いレビューアーがいる事を示唆します。困ったもんです。

ブログ主注
*1 peer review:査読のこと。
*2 Cell,Nature,Scienceの頭文字をとったもの(だと思う)
*3 今回のヤマトシジミ論文も、アカデミックの中やネットではほぼ妥当な結論が出ているようですが、放射線を過剰に危険視する人達の間では、自分たちの論を補強するために使われてしまい、今でも、論文が疑問なく正しいとしている人も居るようですね。
 今のところ、当該論文サイトに掲載された反論は1件だけですが、それが世界中でどのように一般的に評価されているのか?素人には判りません。
反論には結構なリソースを要したりするので、多数の反論が集まるということは考えにくいのかも知れませんね。


【メモ】
★「Chem-Station (ケムステ)」2014/3/22 STAP細胞問題から見えた市民と科学者の乖離ー後編
★「Chem-Station (ケムステ)」2014/3/19 STAP細胞問題から見えた市民と科学者の乖離ー前編
★「バイオ系研究室PC管理担当のメモ」2013/10/5 オープンアクセス誌の玉石混淆ぶりが明るみに(リジェクトされるべき論文をオープンアクセス誌に送る実験の結果がScience誌に載った。なんと半分以上の雑誌がこのクソ論文をアクセプトしてしまったと言う。)
★「たゆたえども沈まず-有機化学あれこれ-」2013/8/24 タダで読めるけど・・・-オープンジャーナルのあやしい世界
★「warblerの日記」2012/11/8 iPS誤報の原因はどこにあるか-誤報の背景とそれを繰り返さない為に
★「PseuDoctorの科学とニセ科学、それと趣味」2012/10/14 「学術論文」って何だろう?
★「読書の記録」2012/10/04 「医学と仮説」をめぐる意見交換について
★「システム論ブログ 永井俊哉」2012/9/29 査読はどうあるべきなのか
★Togetter 2012/5/21 論文に関するまとめのまとめ(by bokudentwさん)
★「warbler’s diary」2011/1/14 MMRワクチンと自閉症の捏造論文事件に関する歴史
★「とらねこ日誌」2011/1/12 さらばMMRワクチンと自閉症の関係性そして残されたモノ
★「ある女子大教授の つぶやき」2008/4/22 史上最大の論文捏造

.
5.産業技術総合研究所 櫻井啓一郎氏が★ニセ科学の見分け方 屁理屈・ねつ造・陰謀論…その手口と対策で総合的な説明をされています。勉強になりました。

 論文の話だけでない一回り広い“信頼性のある科学とは”という論説です。
 内容の紹介がてら数枚のシートを引用させて戴きます。
ニセ科学の見分け方04

ニセ科学の見分け方01

ニセ科学の見分け方021

ニセ科学の見分け方03
 その他、温暖化懐疑論への疑念も記載されてますので、ご興味のある方はどうぞ。

(主題から少し外れますが)
6.科学者が似非科学を批判をすることについて

社会にとって、とても重要なこと

そこにリソースを割くのは難しい事
安井至教授のHP「市民のための環境学ガイド」から、2012/5/20 掲載の
人工核種と自然核種の人体影響 市川理論(市川定夫氏)

 このような嘘の発言に対して、普通、科学者は反論をしない。その最大の理由は、今回のケースであれば、科学的に正しくないことが馬鹿馬鹿しい程ミエミエなので、そのようなことをしても、誰も評価してくれないからである。
 しかし、科学にとってコミュニケーションというものは非常に重要である。科学者は、その研究費を公的な資金に依存しており、最終的な選択は、民主主義社会においては、選挙民によってなされるので、公的な資金を使う人は、選挙民に対して、常に、「何が正しく、何が正しくないか」を伝達していなければならない。
 一般的な科学者にとって、このような認識が全くないわけではないが、時間不足を理由にコミュニケーションをやらない人、一般向けの言葉を話すことに慣れていない人、などなどが大多数であるのが現状である。


【追記】 natureの社説の和訳
日本の科学者は
「あぁ〜ん?ハリソン内科学でお前を殴打してやろうか」2012/11/4 世界有数の科学ジャーナルもあきれる日本のメディアのレベルの低さ

natureの社説の和訳

日本の場合、問題なのは嘘でごまかすことよりは他人の嘘を報告しないという文化的背景にあるように思われる。日本の科学者は自分たちの同僚に対して批判的な思考をすることが余りない。

状況は現在日本で流行している「iPS細胞マニア症候群」によってさらに悪化している。山中教授の先駆的な業績に熱狂するあまり、メディアはまずiPS細胞にまつわる新しい話題ばかりに群がり、報道の質を度外視することもままある。



つぶやき

 今回の放射線問題で“素人が論文に接する”機会が格段に増えたようです。(自分もですが
 良いことでもあるのですが、自分の欲しい情報を集中的に集める形で学んでしまうので、怪しい論文に感化される危険も増えた訳ですね。

 以下の認識を頭に入れておくことが結構、大切だと思っています。
 “意見を合わせないのが学者の本性”で常に対立意見が存在する。
 さらに、科学的には妥当な論文でも“ヒトへの適用”にはまだまだ確認が不足している、という面では、ホルミシス仮説の論文が代表的だが、その類も結構多い。(なお、放射線防護にはホルミシス効果を考慮しないことが現時点のコンセンサス)
 素人的には、自然放射線をあびる中で問題なく生活している事と矛盾する説は、どこかおかしいかも知れないと思う事にしてます。

 今回、インパクトファクターの重要性や、タダで読めるけど査読が甘いというオープンアクセスジャーナルの特性などを認識しました。論文を投稿する方が金を払うシステムなので、極端な話、お金を払えばどんな論文でも掲載される可能性があるということですね。


関連エントリー

★怪しい科学論文なんて結構ある、という事実
★(メモ)論文の査読、学術雑誌の権威、など

【個人的メモ】
★「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」2012/09/06 「悪意の情報」を見破る方法

嘘は三種類ある。嘘、真っ赤な嘘、そして統計だ

知恵20か条
1.まとも批判と単なるバッシングには明確な違いがある
2.意見が対立している、あるいは、科学的合意がなされている、といった主張はいずれも鵜呑みにしない
3.科学が自分の真価を認めようとしないという自称「革命家」には要注意
4.バイアスはどこにでもある
5.一次情報に立ち戻って、利害関係者たちがそれぞれどのような見方をしているか調べる
6.2つの選択肢のいずれかを選ぶしかないように見えても、ホントはそうでないことが多い(単純化の罠)
7.リスクとメリットが示されていても、それで全てとは限らない
8.イノベーションの応用例の一つ一つに、それぞれ独自のリスクとメリットがある
9.大きな視野に立つと、選択肢を客観的に評価できる(過去、地域など、適切な比較対象をもて)
10.当初案の欠点を指摘しただけで、代案が最善だという証明にはならない
11.交絡因子は、原因を見きわめるのを難しくする(相関関係は因果関係ではない)
12.盲検化試験は、バイアスの影響を排除するのに有用
13.複数のタイプのデータを組み合わせると、因果関係を立証しやすくなる
14.ある状況下で得られた研究結果は、他の状況に当てはまらないことが多い
15.データの収集方法によって、統計数字が歪められることがある
16.統計数字を額面どおりに受け取るなかれ
17.研究結果が真っ二つに分かれている場合、真実はたいてい中間のどこかにある
18.費用便益分析は、もっとも体系的な意識決定方法である
19.自分の思考プロセスの弱点を熟知していれば、あなたを操作しようとする相手の策略にはまらずにすむ
20.1つの問題を掘り下げていくと、いくつもの理解レベルが、層をなしているのが明らかになる

科学は嘘をつかない、嘘つきが科学を使う

 
日本薬学会 メタ解析

医学分野では対象や研究方法が多様で、各種のバイアスが入りやすく、また研究の質のばらつきが大きい。例えば、公表論文は有意な結果のみが発表されることが多い。これは研究者がポジティブな結果が得られたときにのみ発表する「報告バイアス」や、学会誌等の編集者が,統計学的に有意な結果の得られていないものはリジェクトする「出版バイアス」のためである。このため、単に報告を集めるだけでは、ポジティブ方向へバイアスがかかるという懸念が指摘されている。また、質の低い論文を他の優れた研究成果と同等に評価対象としてしまうと過大評価することになる。メタアナリシスでは、バイアスの影響を極力排除し、評価基準を統一して客観的・科学的に多数の研究結果を数量的、総括的に評価しようとしている。

転記
[ 2012/10/12(金) ] カテゴリ: ニセ科学,デマ,怪論文 | CM(6)
Re: Scientific Report のレベル
情報提供ありがとうございます!
今回の連続2件でScientific Report誌は評判を落としましたね。

メディアの報道もありました。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20121110-OYT1T00547.htm?from=ylist
[ 2012/11/11 10:12 ] [ 編集 ]
Scientific Report のレベル
森口さんの論文は取り消しになりましたが、とりあえず掲載してみる、というレベルの雑誌だと思います。

http://www.nature.com/srep/2012/121108/srep00839/full/srep00839.html

私達の中で権威のある cell や nature でも撤回されることはありますが、確率はかなり低いです。
[ 2012/11/10 22:40 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
omizoさん
リンク戴いた寺田寅彦、なかなか興味深かったです。
主題は、何らかの“権威”がその分野の若い力を評価する時に、普遍的に生ずる問題だと思いました。
あと、弊害のみを誇大視するジャーナリズムについては、80年前も今も同じなんだなぁ、とも。
[ 2012/10/14 09:56 ] [ 編集 ]
http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/42696_18077.html

学位なんて、それほどたしたものでない。 医学学位なんか、1960年までは、 金で買えたし、その金で各研究室が研究できたわけで。

教員は論文書かないと、首の可能性が出てくるし、法医学講座の教授は司法解剖なんぞやっていたら、論文書けずに首のかのせいも出てくるし。弘前医学部法医学講座の教授は、教員としての業務に支障が出てきたので、司法解剖を断ってますし。

ノーベル賞に浮かれているようですが。 山中先生を含めて、一番近い者は、もっと慎重ですから。 まだまだ、解明しなければならない壁がたくさんありまして。

 私の目論む飛沫感染(飛沫核感染は難しい)を可能とする狂犬病ウイルスの開発の方が近いかもですが。 

生物の身体の左右性を発見した堀道雄氏はもっと評価される必要があると思いますが。 魚類学会はあまり評価していないようですが。
[ 2012/10/13 20:54 ] [ 編集 ]
Re: ご紹介有り難うございます
追加情報や解説、ありがとうございます!!(本文に移植しました)

今回の事件で、Scientific Reportが出てきているのに、驚きました。
https://twitter.com/morino_kumasan/status/256915395074727938

山中先生のノーベル賞にみそを付けた印象を与えたかもは残念ですが、一方で、メディアに対しては猛烈な反面教育になったでしょうね。今後はデマ的ガセ的な放射線被害情報が、メディアに載らなくなることを期待したいです。
[ 2012/10/13 17:31 ] [ 編集 ]
ご紹介有り難うございます
こちらの記事で書いたように後期の授業では放射能デマに度々触れるように心がけているのですが、「科学研究者の事件と倫理」(白楽ロックビル)を読むと、生物系の論文のねつ造率が高いことが分かると思います。
http://blogs.yahoo.co.jp/bloom_komichi/65936584.html

世間を騒がせている「実態の無い iPS 細胞治療の論文」ほどすぐばれるものは珍しいですが(本人の反論中なのでこの時点ではねつ造とは言い切れませんが)、巧妙にデータ操作をしている例(著者の人物や研究環境などを知らないとねつ造に気付かない)は日常的に見ています。

また、私も実在しないデータ(不自然なグラフ・細胞の画像・ゲルの写真など)が問題になった例を過去に数件見たことがあり、実在しない遺伝子(複数の遺伝子配列を切り貼りしたらしい)で論文を出した例も1件だけ知っています。

ところで問題の森口尚史さんの博士論文はこれまた問題の児玉龍彦先生が主査をしているそうです。
http://matome.naver.jp/odai/2135001166862092501
http://moriguchi-gohou.blog.so-net.ne.jp/archive/c2303292995-1

主査は必ずしもメインの指導教員という訳ではないのですが(私の大学だと指導教員は副査に入ることが多いですが、私が博士を取得した時は指導教員が主査だったと思います)、主査1名・副査数名の前で研究成果を発表し、質疑応答を経て審査がされます。
やっぱり児玉先生は軽々しく正義を語り、軽々しく査読をする人なのかな・・と思う気持ちはありますね。
[ 2012/10/13 15:25 ] [ 編集 ]
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