ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

(旧)一日にセシウムを何ベクレルを摂取しているか?陰膳調査から

[ 2013/02/21 (木) ]
その後の調査結果を含めた全体を、下記にまとめています。2013/9/22
一日にセシウムを何ベクレルを摂取しているか?陰膳調査から

クリック

『コープ福島の2012年10月~2013年2月の100件』を追記。2013/2/27 黄のマーカーの部分です。
福島県の第2期調査を追記。2013/2/21 緑のマーカーの部分です。
コープ調査のデータを更新。2012/11/3
初回公開日:2012/9/20


 既エントリーにも、所々に記載しましたが、陰膳調査*のデータが結構発表されています。それによると食品や飲料による内部被ばくは極めて少ないことが判りますので、纏めておきます。 *陰膳調査とは家族人数より1人分余計に食事を作り、それを測定するもの。(間食や飲料なども含む)
 さらに、それらを自然放射線による内部被ばく量と比較します。

コープ、福島県、および京大・朝日新聞共同による陰膳調査

陰膳調査のまとめ

           セシウム134とセシウム137の合計
陰膳調査20130227×650
*01 朝日新聞と京大 小泉昭夫教授の合同調査:リンク→京1・京2京3~5
*02 コープふくしま調査および日本生活協同組合連合会調査:リンク→Co1Co2Co3Co4
*03 福島県の調査:リンク→県1
*04 福島県の調査(第2期):リンク→県2
*05 コープふくしま調査および日本生活協同組合連合会調査:リンク→Co5、(詳細データはこちら
*11 福島県以外の17都県
*12 試料毎に検出下限値が異なるが、測定結果を統一的に評価するため、0.3Bq/kg 未満のデータをNDにカウント。
*13 試料毎に検出下限値が異なる。
*21 最大値mSv/年は、最大値Bq/日の食事を1年間食べ続けたと仮定した場合
*22 Cs134は検出限界未満だが、検出限界ぎりぎりの1Bq/kg含まれていたと仮定した値

 言いたい事を表に織り込むと、どうしても煩雑な表になってしまいます。少し丁寧?な説明を加えます。

 (1)  京大データコープデータでは、検出限界値が3~5倍違うので、ND(不検出)数・検出数はその影響を受けていることに注意する必要があります。(コープの検出限界値は1Bq/kgとしていますが、実際は0.3くらいまで生データでは分かっている、あまり小さな数値には意味がないとの考えで1Bq/kg以上を公表している、とのことです。出典はこちら
福島県データ【県1】では、測定結果を統一的に評価するため、0.3Bq/kg 未満のデータをNDにカウントしています。
福島県(第2期)データ【県2】では、試料毎に異なる検出限界値をそのまま採用していますが、かなり小さい値であり、それが検出数が多くなった原因です。

 (2)  京1、京2は、陰膳調査ではなく商店で購入したものを使った食事セット調査ですが、他の陰膳調査と同じような傾向になっています。

 (3)  福島県を対象にした陰膳調査は京3Co1県1Co3県2Co5、の6件ですが、時期により違いがあります。

 ①  2011年12月の京32011年11月~2012年4月のCo1は同傾向です。

 まず、ND(不検出)の多さに驚きます。
コープの場合、Co1は90%がNDで、Bq/日単位での検出限界は約2Bq/日程度に相当します。
京大の場合、京3では検出限界をコープ並みにすると、ND数は4~5件増えそうです。

 次に、極端な例として最大値を見てみましょう。(報道などでは、検出限界以下の正確な値がわからないため、平均値ではなく、データを順に並べて真ん中に当たる中央値で解説しています。)
最大値は20Bq/日前後で、0.12mSv/年前後です。(ちなみに中央値はその1/5位です。)
この値に対して、比較のモノサシになるのは、一番下の数値です。これは、食品・飲料水・牛乳・幼児用食品の全てが基準値どおりに汚染されたとして算出したもので、現実の汚染状況、生産・流通状況を勘案すると、ありえない数値です。
そのモノサシは123Bq/日で、0.79mSv/年*となります。* 詳細は新基準値どおりに汚染された食品を摂取した場合、一日に何ベクレルか?を参照。
このレベルであれば健康に影響ないとする数値です。
表の右端がモノサシに対する最大値の割合です。
たまたま、自家栽培野菜か何かで高い食材が混ざっていたかも知れない最大値と同じものを1年間摂取したと仮定した数値がこのレベルです。

 ②  2012年6月の県12012年6~8月のCo3では、県1は88%がND、Co3は98%がNDです。
最大値も大きく低下して一桁台です。これは1960年代のレベルと同じか下回るものです。
県1のCs-134+Cs-137の分析値(9件)では、1.5 Bq/kgを超える試料はありません
Co3のCs-134、Cs-137の分析値(2件)では、1.1~1.9 Bq/kgでした

 ③  2012年9~11月の県2(福島県第2期)では、検出数が多くなっていますが、前述したように検出限界値が小さいためです。
1件の特異的な最大値:430 Bq/人・日(分析値は171 Bq/kg)があります。食事内容を確認したところ、山林に自生していたきのこや自家栽培の食材を使用していたために高濃度の放射性セシウムが検出された、とのことです。
それを除くと
最大値、中央値ともに 2012年6月の県1とほぼ同じです。中央値が全体を代表しているとすれば、現在のセシウム摂取量は約0.5 Bq/日と言えます。
なお、Cs-134+Cs-137の分析値(56件)では、1.5 Bq/kgを超える試料はありません
下に、検出56データのグラフを掲載しました。


 ④  2012年10月~2013年2月のCo5では、2012年6~8月のCo3とほぼ同じ傾向です。


 (4)  福島県以外のデータをみると、ほとんどNDか、検出値も極めて小さい数値です。
 2012年6~8月のCo4では、234件中で検出は1件だけです。

 (5)  今後の予定
 コープでは2013年度も継続して実施、結果の発表は2014年3月ごろの予定。
 福島県では、試料の一部について、放射性ストロンチウムおよびプルトニウムの分析、測定を予定。さらに年間の推移を把握するため、今回御協力いただいた方を対象に引き続き調査を実施する計画。
.
個別の発表データ

(1) 京大調査の京3~5から引用
  京大朝日
 確かに、最大値は“極端な例”と言えますね。

(2) コープ調査のCo2から引用
コープ コープ17都県
 1番が宮城県、2番~11番が福島県、と判断した。
 こちらも、最大値(11番)は“極端な例”と言えますね。

(3) コープ調査のCo4から引用
コープ2012コープ18都県2012
1番が宮城県、2番~3番が福島県、と判断した。

(4) 福島県調査の県1から作成した検出9データのグラフ
福島県データ

(5) 福島県調査(第2期)の県2から作成した検出56データのグラフ
福島県データ04

【メモ書き】
2012年10月~2013年2月のCo5では、発表の詳細データがCo3とCo4を含めた2012年合計表になっています(さらに福島以外の17都県の新しいデータも含む)。当エントリーでは、時系列に追記してきたので、表から今回分を読み取りました。
コープ福島2013年2月発表
12番が今回の福島県の最大値(Bq/日)と判断しました。

データを比較する為に
自然放射線による内部被ばくは一日に何ベクレルか?

            自然核種による内部被ばく量(日本人平均)
自然放射線被ばく ★自然放射線による被ばく、ポロニウムPo-210 、カリウムK-40、ラドンRn-222から数値のみを転記。
 
 身の回りの様々なリスクを評価する時に、バックグラウンドとの比較は重要です。
 バックグラウンドの何割だから、気にしない、あるいは注意しよう、という考え方です。
 コープの発表のグラフがカリウムK-40との比較になっているのも、この理由です。(Co1Co2Co3

 核種によって実効線量係数が違うのでベクレル値の合計は意味がなく、mSv/年の合計だけです。
 極端なデータとも言える陰膳調査の最大値(20Bq/日前後、0.12mSv/年前後)でも、経口摂取のバックグラウンド0.98mSv/年の1割強です。
自然放射線には地域差や個人差があり、平均値の1~2割程度は、自然放射線による内部被ばくのバラツキレベルの数値で、気にするほどのリスクではない、と言えます。多分、日常のなかで他にもっと注意しなければならないリスクがあると思います。
(この辺の詳細は★低線量放射線のリスク管理とはをご覧ください。)

 ちなみに、自然放射線全体での日本人平均は、吸入摂取の内部被ばく要素や外部被ばくを合計して2.1mSv/年です。 

つぶやき

 調査を実施した京大・朝日新聞とコープには感謝です。(陰膳調査は結構コストも掛かるらしい)

 結果として、市場流通品を消費しているなら、内部被ばくは気にする必要はないようです。
このような良い結果となっているのは、生産や食品の汚染防止に携わる方々の尽力のお陰だと思い敬服します。
 一方で未だに、それらの方々を罵倒するかのような意見を見かけますが、怒りを覚えます。

 (念のため申し添えますが)
 食品の選択のように、個人とその家庭内に責任と権限が及ぶ範囲では自由な選択*をして、静かに行動して頂ければ良いと思います。
*この部分は以下の安斎育郎 立命館大名誉教授の考えの受け売りでもあるのですが、ブログ主も同じ考えです。


 出典:安斎育郎 立命館大名誉教授
     『増補改訂版 家族で語る食卓の放射能汚染』(p.198~199)

 「たとえとるに足りない被曝でも私はイヤ」というのもひとつの考え方であって、排斥する理由はなにもありません。もちろん、人工放射能に起因する被曝も自然放射能に起因する被曝も、線量が同じなら受ける影響は同じだと考えられますから、人工放射能を含む食品Aを避けて別の食品Bを選んだら、Bは比較的高い濃度の自然放射能を含んでいて、結果として被曝線量に差がなかったり、かえってふえたりすることもあるわけですが、そこをどう考えるかは、当該消費者の考え方次第です。
 食品を選ぶごとに被曝線量の計算ずくで行動するわけではないでしょうから、人工放射能は忌避したいというその人の生きざまの問題と言えなくもありません。もちろん、「そのような消費行動は、恐れなくてもいいものを恐れている非理性的な行動だ」と批判することはできますし、そのような批判の自由も保障されなければなりません。
 「非理性的なものを信じる自由」も、認められるべきでしょう。
 私は『霊はあるか』(講談社)という本を書き、「霊は、科学的な意味では存在しない」ことを徹底的に論じました。しかし、「科学的には存在しないもの」でも、それを信じる自由はあります。神の実在が科学的に証明されようがされまいが、神を信じる自由はあります。そして、「ありもしない霊を恐れるのは非理性的だ」と批判する自由もあります。
 だから、放射能にえもいえわれぬ恐怖感、不快感を抱く人が、その汚染レベルの高い低いにかかわらず拒否するという消費行動をとることも自由でしょう。同時に、「自然放射線の何十分の一も低い放射能を恐れるのは理性的ではない」と批判する自由も保障されるべきでしょう。
 このような緊張関係こそが、社会が一つの立場に押し流されて崖っぷちに突き進んでいく危険を回避する大切な力だと思います。



関連エントリー

★自然放射線による被ばく【続編】カリウムK-40の摂取量、陰膳調査から

【個人的メモ】

★宇野賀津子先生 給食の冷凍ミカン放射性物質が基準値以下のCs 検出騒ぎ
(細かいことにこだわって、大きな危険を見誤らないか)
★「Hiroko's Voice」2012/9/15 次々と明らかになる事実 原発事故による放射能の影響 被ばくによる健康被害は…?!
★南相馬市HP 市民の内部被ばく検診結果(2)
★「食品分析開発センター」(2012年9月発行)食の安全・安心セミナー講演「コープふくしまの陰膳調査からみえたこと」(平成24年5月18日,於:三重県生涯学習センター)
★「アゴラ」福島県、放射線量の現状 ― 健康リスクなし、科学的計測の実施と愚かな政策の是正を
転記
[ 2013/02/21(木) ] カテゴリ: 今では古い陳腐化情報 | CM(9)
Re: 食事中のストロンチウムとプルトニウムの分析
教えて頂き、大感謝です!!
確かに、すごい調査ですね。
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/download/1/nitijyousyoku2013-0509.pdf

福島県資料の図1と図2をみると、検出されたSr-90は過去のフォールアウト(大気圏内核実験)の影響のためで、事故による影響はなかったと言えるのでは、と思います。
福島県資料で、そこを言ってないのは、確証がとれないからだと推測します。

文科省が2011年9月に発表した80 ㎞圏内の土壌のストロンチウム調査では、半減期51日のSr-89が検出された場合は、過去のフォールアウトではなくて原発事故の影響としていましたが、Sr-89は1年で0.7%まで減衰してしまうので、もし、当初にあったとしても今回は検出できないことになりますね。
http://icchou20.blog94.fc2.com/blog-entry-142.html

このことからすると、今回のSr-89の分析は無駄なようですが、分析手法上、測れてしまうものだったと理解しています。
[ 2013/05/10 20:09 ] [ 編集 ]
食事中のストロンチウムとプルトニウムの分析
ご無沙汰しています。
久しぶりに福島県の日常食調査を見てみたら、第2期のデータの修正と第1期全員分のストロンチウムとプルトニウムの調査結果が出ていました。
放射性セシウムが高い人が高いというわけではないようですし、ほとんどの人で検出できていないし、このデータ量はすごいと思いました。時間かかっても、全員分測ってみたのですね。すごい。
[ 2013/05/09 20:37 ] [ 編集 ]
新潟県の日常食
新潟県さんのは、5世帯分を1サンプルとして、灰にして測る以前からの方式(検出感度も低くできる:生ものじゃない)ですね。

今までの環境放射能測定の方法なので、以前からのデータと比較できるので、これを毎月やっていると、季節ものだとかこれだけ続けてくださると、何となく出てくるかもしれないですね!

何を見るかや、どれだけ低く測るかというのもそれぞれで条件が違うので難しいところかと思いますが、「いつもというのはどういう状態か」というモニタリングとして素晴らしいです。
[ 2013/03/09 20:57 ] [ 編集 ]
Re: 新潟県の調査は更に精度が高い
情報提供、ありがとうございます。

この新潟県のデータをみると、今回の影響か、過去のフォールアウトによるものか、分からない位のレベルなのかな、と思いました。

ご参考までに。http://icchou20.blog94.fc2.com/blog-entry-225.html
[ 2013/03/09 11:08 ] [ 編集 ]
新潟県の調査は更に精度が高い
新潟県の調査は、かなり検出限界が低く、おおよそ0.02Bq/kgです。
月ごとにしているので、おお!この月はキノコ類を食べたな?とか分かりますよ。
http://www.pref.niigata.lg.jp/housyanoutaisaku/1356749473114.html
[ 2013/03/08 22:31 ] [ 編集 ]
Re: 福島県の調査結果
tatsuさん。

重要情報、ありがとうございます!!!助かりました。
後ほど、本文に追記します。

実は、昨日、探してみたのですが、、、なるほど、ちょっと判りにくいですね。
[ 2012/09/25 09:54 ] [ 編集 ]
福島県の調査結果
福島県の第1回調査の結果(セシウム主体)も9月24日に出ています。
http://www.pref.fukushima.jp/j/nitijyousyoku0924.pdf

8月予定より遅れましたが、第2回分もこれから測るようですね。年齢別、地域別、一人当たりで測っているようです。一部新聞等報道にでましたが、元の情報は県のページの結構分かりにくい場所にありました(原子力災害情報>モニタリング結果一覧>その他の空間線量)。
[ 2012/09/25 05:56 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
確かに!!!
そのあたりのリスクでは、現実に死者も出てますね。
[ 2012/09/21 01:19 ] [ 編集 ]
慢性毒性に気を取られていて、急性毒性の自然由来の自然毒にも気をつけないとです。 ホモサピエンス発生以来自然毒との付き合いは長いのですから、それでも、未だに発生しているわけで。 細菌、ウイルス、自然由来の化学物質。
[ 2012/09/20 20:39 ] [ 編集 ]
コメントの投稿










管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL

このブログについて
管理人 icchou から簡単な説明です 更新,追記の通知はTwitter
カテゴリ
最新記事
ブログ内検索