ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

“チェルノブイリ膀胱炎”説への明快な反論。低レベル放射線の人体へのリスク、生物学者のリスクの見積もり方

[ 2012/06/13 (水) ]
“チェルノブイリ膀胱炎”説の社会的副作用は大きかった

 【「原発避難」論】山下祐介・開沼博編著の第7章【「ホットスポット」問題が生んだ地域再生運動―首都圏・柏から岡山まで】の中で宝田惇史氏が以下の社会調査結果を明らかにしている、との事です。 

いわゆる「自主避難」をしている人々がSNSやメールなどインターネット上のコミュニケーション手段に支えられている側面が大きいことや、武田邦彦・児玉龍彦・早川由起夫の3氏の主張を選択的に重視していること。

 出典:http://www.gepr.org/ja/contents/20120409-03/

 上記3名のなかでも、児玉教授の国会演説からの一連の発信は、(風評被害と同様のメカニズムで)大々的に報道されることによってインパクトを強めた訳で、トンデモ学者が自分のブログやツイッターでトンデモ発信をするのとは桁違いの大きな影響力だったと思います。
その影響力について、斗ケ沢秀俊さん(毎日新聞)はリスクコミュニケーションが失敗した要因の一つとして挙げています。既エントリー
 このように、児玉教授の国会演説から始まる一連の発信は、世の中に与えた作用より副作用のほうが多い、特に“チェルノブイリ膀胱炎 *1”説の社会的副作用はかなりのものだと思います。
*1 この言葉は、児玉教授の国会での発言や雑誌への投稿で引用されたことから広く知られるようになった。

 しかし、それに対する科学的な反論は少ないようです。

生物学者bloom先生の「ブログ版ききみみずきん」に“チェルノブイリ膀胱炎”説への明快な反論が

●2012/3/31 生物学者のリスクの見積もり方(bloom の場合)前編
●2012/4/1 同上 中編
●2012/4/3 同上 後編

 “チェルノブイリ膀胱炎”説の問題点を多面的に指摘しています。(疫学、動物実験、物質~組織レベルまでの解析、などから)

 今回は具体的な引用はありませんので、原ブログをご覧ください。(多面的な論説かつボリームも引用資料も多いため)

 論説の中では、低レベル放射線の人体へのリスクの全貌についても、述べています。 この中からキーフレーズだと思うものを拾いました。

・現在の科学から論理的に推定されるリスクを述べるのが科学者の仕事。
・リスクの見積もりには多面的なデータと論理性を駆使する。
・危険寄りの分析も、安全寄りの分析も、どちらも一般の方には大きな負荷をかけるし、それに対する科学者の責任はどちらの方向でも同じです。
・疫学調査だけではリスクは論じられない。
疫学調査は統計的な操作である程度の印象を変えることが出来ます。
・動物実験や物質~組織の解析が人間に応用出来ることが多いから、医療が進歩している。
・DNA 損傷と修復だけでなく、DNA 損傷が癌化に至るまでの経路はここ 20 年くらいでかなり研究が進んでいます。
・「科学的な根拠もなく危険を煽ること」は多大な健康リスクを他者に与えることが科学的にも証明されている。
・論理的な推察には最低限の知識が必要。
一般の方の中は論文に書かれたことは全部正しいと思う人もいるようですが、インフルエンザでも放射線でもバラバラなデータとそれに基づく仮説が多数出ています。
・他の研究者が珍奇な説を否定するような実験をしなのは、メリットが無いからです。


 また、別の記事では、以下も述べています。

・思想や感情を排した科学こそが人々に優しい。
・小さな嘘を放置すると歪んだ正義が増長する。
・科学者が科学的な問題に関して論じる時は相応の責任。
・彼らの深層心理には「安全を主張するには責任が伴うが、危険と主張する場合はそれが大外れになっても善意として許される。」という気持ちがある


 
つぶやき

 一般的に目にする論説やその反論は、疫学、動物実験、物質~組織レベルまでの解析、それぞれ単独の範囲のものが多かった気がします(学者・専門家に固有の守備範囲なのでしょうか?)。
 上記の論説は、それらを総合したもので、かつ、素人の自分にとって腑に落ちるものでした。

 色々な情報を得て自分なりに判断したい人や、学者・専門家が唱える説は同時にそれに対する反論もあることが普通であることを理解されている人には、低レベル放射線の人体へのリスクを過大に捉える説に対する科学的な反論として、お勧めです。

 “低線量被ばくの健康影響”に対しては、以前のエントリーに中間的にまとめていましたが、今回の情報を得て、自分の中では明確な結論を持てました。


(一般論になりますが)
科学者が似非科学を批判をすることについて

●社会にとって、とても重要なことだと思います。
@PKAnzug先生のツイッターから


●その労力は大変だと思います。
安井至教授のHP「市民のための環境学ガイド」から、2012/5/20 掲載の
 人工核種と自然核種の人体影響 市川理論(市川定夫氏)
(一部のみ引用)

 このような嘘の発言に対して、普通、科学者は反論をしない。その最大の理由は、今回のケースであれば、科学的に正しくないことが馬鹿馬鹿しい程ミエミエなので、そのようなことをしても、誰も評価してくれないからである。
 しかし、科学にとってコミュニケーションというものは非常に重要である。科学者は、その研究費を公的な資金に依存しており、最終的な選択は、民主主義社会においては、選挙民によってなされるので、公的な資金を使う人は、選挙民に対して、常に、「何が正しく、何が正しくないか」を伝達していなければならない。
 一般的な科学者にとって、このような認識が全くないわけではないが、時間不足を理由にコミュニケーションをやらない人、一般向けの言葉を話すことに慣れていない人、などなどが大多数であるのが現状である。
 というわけで、非常に物好きな行為であると自認しつつ、市川氏の講演の妙なところについて、いちいち反論をしてみたい。

[ 2012/06/13(水) ] カテゴリ: 怪しい放射線論文 | CM(2)
Re: 移植のご報告です
omizoさん、コメントありがとうございます。

管理者判断で、より相応しい下記記事にコピーしました。
http://icchou20.blog94.fc2.com/blog-entry-253.html#comment_list

そちらでコメントを続けます。
[ 2012/06/15 13:37 ] [ 編集 ]
今回の件で、リスクコミニュケーションとよく出てきますが、これをやるには、ベネフイットが存在する事が前提です。 今回の件で、ベネフイットを何とするのか?です。 食品なら、食品を摂取することが有意義なベネフイットであるが前提にになってのリスクコミニュケーションが行えますが。 外部被曝に関しては、ベネフイットはなにであるか?。 各位が別々のベネフイットを想定しているなら。リスクコミニュケーションは困難という事になる。 政府も、山下先生も初期におこなったのはハザードコミニュケーションです。 

リスクコミュニケーションを洗い直しなら、新型インフルエンザ輸入ワクチンはなぜ、ほぼ全て廃棄されたのか?。 です。 1000億円ですからね。 国内ワクチンの方も余ってしまいましたが。
[ 2012/06/14 23:33 ] [ 編集 ]
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