ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

電力供給は足りなくなったら瞬時に連鎖してダウンする、北海道ブラックアウト

[ 2018/09/22 (土) ]
検証委員会配布資料により少し修正・追記。2018/10/11
(上記までの追記・更新記録は割愛)
『4.北海道胆振東部地震でブラックアウト』を追記。2018/9/9
初回公開日:2012/05/19



「togetter」大規模停電は「水道が止まる」のとは違います(by @powerpc970 さん)
に、電力供給というものは、足りなくなったら瞬時に連鎖してダウンすることが
易しく?纏めてありましたのでアーカイブします。

目次

1.[まとめ欄]から引用
2.つぶやき
3.ブラックアウト、電力不足ドミノ、波及事故、波及連鎖
4.2018/9/6 北海道胆振東部地震により北海道全域がブラックアウト【追記】
5.関連エントリー、ツイッター、togetter

1.[まとめ欄]から引用

 *印や着色は、ブログ主の補足です。

大規模停電の原因となる発電所脱落とはどういうことなのか。
停電を「水道が止まる」のと同じ感覚でしか捉えていない人が多過ぎます。分かりやすい連続ツイートを紹介。
補足:私が以前相手した反原発信仰者は 同時同量の原則すら知らなかった orz

 「節電」を呼びかけてる時点で「電気が足らないこと」を判れ。電気が足りているなら、節電する必要すらないわ。

 本気で関電がやばくなったら、四電、中電、九電も関電との系統連系を切る*でしょうね。恐ろしいのは波及事故、どうなることやら。
 *繋いでいる電線のスイッチを切るイメージ

 電気ってものは「発電所から圧送」しているものではなくて「負荷(使用側)が吸い上げてる」感じのものなんです。つまり発電所の能力が足りなくても吸い続けるイメージ
すべての発電所の供給力を超えた時点で連鎖的に発電所が過負荷で自動停止します。だから「120%送電」とかはあり得ないんです。

 どういうことかというと、100万KW150万KWの発電所があったとします。系統連系で繋がってると、送れる総電力は250万KW。電力需要が250.1万KWになった時点でどちらかの発電所がダウンします。たとえば100万KWの方が先にダウンすると150万KWの発電所に250.1万KWの負荷がぶら下がります。当然、150万KWの発電所もダウンします。この連鎖は一瞬で起こります。これが波及連鎖と呼ばれる総電力皆失状態です。

発電所が脱落した場合、送電網にも急激な負荷がかかりますから、変電所などで予測不能な故障(燃損等も含む)が発生する可能性も十分にあります。これが広範囲に及ぶ場合、その故障箇所の特定と復旧にも時間がかかるということは忘れてはいけません。

 そして、電源再投入の時には「突入電流」も考えないといけない。モータは始動時には定格電流の6倍(直入始動)の電流が必要だといわれています。ですから、100万KWの発電所の負荷が100万KWなら、開閉器を投入(スイッチを入れる)した時点で過負荷となりダウンするんです。まぁ、開閉所で小分けするんですが

 発電容量と需要量が近くなると、小分けでも危ないんです。だから負荷が100%もあり得ないんです。80%程度で運転するのが望ましいんです。「100%で運転」なんてあり得ない

 反原発の人が単純に「設備容量を足すとこれくらいあるから停電しない」とか言いますが、安全率を全然見ていないお笑い計算です。何度も言いますが「100%負荷」はあり得ません。

 さらに豆知識~
 発電所の80%運転とか100%運転とか言いますが、発電機の回転数は常に一緒です。回転数が変わることは周波数が変わることを意味します。車で言うと、「常に40km/hで走りなさい」と言われているようなことです。
 40km/hでずっと走ってて、キツイ上り坂になったら速度が落ちだすのでアクセルを開けますよね?このアクセルの踏み具合が発電所の「負荷率」です。では、すでにアクセル全開なんだけどさらにキツイ上り坂になったらどうなるでしょうか?
 結果として「回転数」が落ちてきます。電圧も落ちてきます。回転数が落ちると発電所の周波数維持ができなくなり「同期」できないので開閉器が落ちます。また、電圧が下がると電流が上がりますので余計に開閉器が落ちます。


下記は、少々、専門的なのでスルーして戴くのも

 位相同期はこんなメーターがあります。古いやつだと時計の長針だけのやつがあります。グリグリ回って、発電機の回転数を12時方向に合わせて開閉器を投入すると入るんです。写真は比較的新しいもの。最近はデジタルですけどねぇ。

 わたしも3500KVAパララン(並列運転)の発電機の手動同期投入試験をやらせてもらったことがあるんですが、負荷がない状態だと、きちんとセンターに合わせてきれいに投入できます。でも、負荷がかかると負荷変動で負荷がかかってる側の発電機の回転数が動くんです。そこで…
 センターになった一瞬を狙って、数回投入を試しみるわけなんですけど、うまい具合に入ったとしても、位相調整のフィードバックが遅くて、発電機が暴れるんですw 「ウオン!ウオン!」ってw それで収束するときもありますが、拡散すると見事に故障表示が出て止まりますw
 「電力会社すげー!」って思う瞬間でもあります。w
 3500KVAの発電機ってどんなのかと言いますと、長さ15m、高さ6m、幅3mくらいあります。そいつが暴れるんです。こわいですぅ~><
 まぁ、レスポンスの良いディーゼル(ツインターボエンジンなんですよw)でもそんな感じなんで、どんくさい(のろまな:大阪弁)ガスタービンなんて、同期とれる気がしねえですw



2.つぶやき

 オリジナルツイートを発信して戴いた、しんく@___Think___さんには感謝です。
 技術的に、正しいことが書いてあります。
 政策決定に影響力を持っている方は、この程度の事は理解しておいてほしいですね。(周りに技術系の役人がいるでしょう)
 現状レベルの放射線のリスクは微々たる一方で、こちらは人の生死に係る大きなリスクだと思います。
 下記の過去例をみると、供給能力ギリギリの状況で、落雷やトラブルが発生した時に、波及的に大停電が起きています。


3.ブラックアウト、電力不足ドミノ、波及事故、波及連鎖
(いずれも、このような停電の仕方を言う単語)

 電力不足ドミノとは 新語時事用語辞典 Weblio辞書

 発電所の稼動停止や電力需要の高まりなどによって、電力を融通し合う電力会社がドミノ倒しのように次々と電力不足に陥ること。
 夏場の電力ピークを迎えることで融通する側の電力会社も連鎖的に電力不足に陥る可能性もあると指摘されている。

過去の大規模停電事例
大停電
 ご興味のあるかた向けに。
 ●1987年7月23日首都圏大停電(ウィキペディア)
 ●2003年北アメリカ大停電(ニューヨーク大停電)(ウィキペディア)

【追記】(適宜、新情報に上書き修正の可能性があります)
4.2018/9/6 北海道胆振東部地震により北海道全域がブラックアウト
北海道胆振東部地震でブラックアウト
  • 3:08 地震発生直後、苫東厚真発電所2号機(60万kW),4号機(70万kW)がタービン振動で緊急停止。その結果、道内の電力需要:310万kWの約4割の発電量を失い周波数が急落。
  • 送電幹線の故障により、10基を超える水力発電所(43万kW)が一斉に自動停止。
  • 周波数低下により、風力(17万kW)が一斉に自動停止。
  • 一部地域を強制停電*1させて需要を落としたり、北本連係線(北海道・本州連係)10万kWを最大の60万kWに増加などにより周波数回復。
  • その後、多くの家庭で照明やテレビを点けたことで周波数低下するも、火力の増加で周波数維持。
  • 十数分後、残る1号機(35万kW)がボイラー管損傷で出力低下、2回目の周波数急落、2回目の強制停電で周波数回復。
  • 3:25 1号機が緊急停止、3回目の周波数急落、3回目の強制停電するも周波数低下が止まらず、他の発電所が設備損傷防止のため1分以内に順次自動停止し道内全域がブラックアウト←以上、9/22修正・追記
  • 影響は295万戸
上記*1の説明

大きな火力発電所が緊急停止→電力不足で周波数が低下→系統安定化装置により自動的に一部地域を強制停電(負荷遮断)→周波数を回復。
周波数が回復でできない場合
周波数が低下(4~5Hz?程度)→発電機(発電所)の機器保護のため自動停止*ブラックアウト
*タービンが振動で壊れたり、巻き線が過熱して切れる恐れがある。


周波数の変化←9/20追記

【参考】←9/22追記
第1回 平成30年北海道胆振東部地震に伴う大規模停電に関する検証委員会 配布資料
資料4-1 地震発生からブラックアウトまでの事象について
資料4-2 本日認定したい事象について(案)

【6日(木)のブラックスタート】

ブラックスタートとは、ブラックアウトの状態から、停電解消のための発電を⾏うこと。
系統全体に電力を供給するためには大型の火力発電が必要。その火力発電機を起動するためには、その発電所の所内機器(給水ポンプやファンなど)を運転するための、ある程度⼤きな電力の供給が必要。
ただし、それら所内機器の負荷は⼤きいため、これら機器を運転した際に、電力系統が安定でないと、周波数や電圧が⼤きく変動し、ブラックアウトに戻ってしまう可能性がある。
ブラックスタートでは、まず、火力発電所の所内機器に電力を供給できる程度の発電機を、さらに⼩さい電源で起動することとなる(“種火”)。
なお、火力発電所に電力を供給するために、まず送電線に電力を送電するが、電気が流れていない状態から送電線に電力を送電した際には、電圧が⾼くなり、機器を損壊させるおそれがあるため、電圧を常に監視・調整しながら、復旧を進めることとなる。
ただし、ブラックスタートは、通常とは異なり、電圧を調整する機器が少なく、電圧変動も⼤きくなりやすいことから注意が必要。
火力発電所が起動し系統に並列した後は⼀般負荷への電力供給となるが、⼀度に多くの電力を供給すると、需要と供給のバランスが崩れて周波数が変動し、ブラックアウトに戻ってしまう可能性がある
よって、⼀般負荷への電力供給も、中央での監視・指⽰のもとで少しずつ⾏うこととなる。この際、電圧の監視・調整も必要。

↑10/11追記(ソースは第2回平成30年北海道胆振東部地震に伴う大規模停電に関する検証委員会配布資料の資料1-1)
  • ブラックスタートを担う小水力を立ち上げ、それを“種火”として、まず、水力発電を順次立ち上げ。
  • 1回⽬のブラックスタートが失敗。←10/11追記
  • 13:35 砂川発電所3号機(12.5万kWの石炭火力)が運転再開、以降、火力発電を順次立ち上げ。

「周波数変動で停電」の雑な説明 漫画は描けないのでアナロジーで説明して(はてな匿名ダイアリー2018/9/6)
【ごく一部のみ引用】
この現象は大規模停電のあと、発電所を立ち上げていくときにも大きな問題になる。
全部が停電しているときは、当然、消費電力もゼロなので、発電機は簡単にブンブン回ろうとする
電気が復活した地域では、みんなが一斉に電気を使おうとして急に必要な電力が増えて、発電機が急に重くなったりする
水力発電は割とそのあたりの力の加減が得意だけど、火力はそこまででもなく、原子力はとんでもなく苦手
まあ立ち上げの話は長くなるので省略。点検とか点検とか点検とかとにかく大変

【8日(土)の電力復旧状況】
  • 廃止予定火力の稼働や自家発を持つ企業からの買い取りなどを含め、346万kWまで積み上げ(もちろん北本連係線60万kWを含む)。←9/11追記
  • ほぼ道内全域で復旧(北電をはじめとする関係者の不眠不休の活動に感謝)。
【10日(月)以降の電力需給】
  • 需要ピーク予想は383万kWで40万kW弱が不足(PDFエネ庁資料)。
  • 2割節電の呼びかけ。
  • (世耕経産相は避けたいとしているが)やむを得ない時は計画停電も実施。可能性がある場合は実施2日前にホームページなどで告知。
【苫東厚真発電所の復旧見通し】←9/12修正
  • 1号機(35万kW):9月末以降:ボイラー管損傷修理。
  • 2号機(60万kW):10月中旬以降:ボイラー管損傷修理。
  • 4号機(70万kW):11月以降:タービンを分解・点検・組み立て。
  • 順次点検を進める中で復旧見通しが変更となる可能性がある。詳細はPDF北電資料
【“たられば”の話を言っても詮無いが】
  • もし、泊原発が稼働していたら、かなり違う状況だったであろう。(もちろん良い方向に)
【この状況で冬を迎えるリスク
  • 北海道の最大電力需要は冬にあり、直近では2018/1/25(木)の525万kW
  • (復旧後の)苫東厚真発電所他の老朽火力基幹送電網が再度の地震や不慮の事故で停止しブラックアウトが再発するリスクはかなり大きいのでは?(泊原発を暫定的に稼働させて抱えるリスクに比べて)
  • 北海道で冬場の長時間停電は命に係る事態。
  • 命・生活を守る役割を担う政治・行政の判断・決断の問題になっている。
  • 電力はインフラ中のインフラだけど結構むずかしい領域。今ままで、闇雲な反原発・再エネ賛美しか能のなかった政治家・大手メディアはしばらく黙っていて頂くのが国益にかなうと思う。
【節電緩和、今後の需給見通し、懸念】←9/15追記
  • 節電タイム(平日8:30~20:30)で1割の節電。
  • それ以外(土・日,祝日や平日の節電タイム以外)は節電要請なし。
  • 計画停電は当面なし。
  • 今後の需給
    電力需給見通し
    【余談になるが】今回、火力発電という“インフラ”に依存する太陽光発電は非常時には供給電力として役に立たない事が公知の事実として認識された。例えると、小学生が遊んでいる時に、人数に余裕がある時は幼稚園児を“みそっかす”として暖かく輪に入れてもらえる(適用されるルールもあまくする)が、人数が遊び成立ギリギリの時は参加できないといった扱いと同じ。(これは9月8日の北電資料でわかる。130万kW存在する太陽光と40kW存在する風力が供給力になっていない。地熱・バイオマスは戦力になっている。)←9/16追記
    それらが全面復旧したのは、火力発電所の調整力の確保ができた14日午後(ブラックアウトから約1週間後)であった。(サンケイビズ2018/9/27)←9/28追記
  • 石川和夫氏のtweet(2018/9/14)

    これにて、北海道に関する電力危機意識は、政治的にもマスコミ的にも殆ど消えるだろう。
    あとは、今回のブラックアウトについて、何故か北海道電力が責め立てられておしまい。
    実際には綱渡りは続くが、政治とマスコミの関心はすぐに薄れる。
    茹で蛙。

【苫東厚真1号機の復旧】←9/19追記
  • 1号機(35万kW):9月19日9:00に復旧
  • 今後は例年のように「無理のない範囲での節電協力」に緩和
【苫東厚真4号機の復旧】←9/25追記
  • 4号機(70万kW):9月25日3:00に復旧
【苫東厚真2号機の復旧】←10/11追記
  • 2号機(60万kW):10月10日6:00に復旧

【参考】
「原発再稼働」をいつまでタブーにするつもりなのか 北海道ブラックアウトでも「原発再稼働」を口にしない政府の異常性(石川和男 JBpress 2018/11/5)
北海道で再び大規模停電を起こさないために考えるべき論点について(宇佐美典也 アゴラ【GEPR】 2018/10/16)
停電時に我が病院で起きたこと:泊再稼働で観光業の風評被害を防げ(塩見洋 アゴラ 2018/9/24)
北海道停電が示す日本の6重苦(竹内純子 IEEI 2018/9/19)
大規模停電を6年前に予言!?「北電の供給能力は足りてない」ツイートの真意を聞いた((永田晴紀) FNN.jpプライムオンライン 2018/9/10)
ブラックアウトはなぜ起きた?北海道電力が抱える「脆弱性」の本質(小澤守 現代ビジネス 2018/9/10)
【GEPR】北海道の電力供給体制の今後と泊原発(宇佐美典也 アゴラ 2018/9/10)
大規模停電めぐる論調に元経産官僚「北電だけを責めるのはおかしい」((宇佐美典也) BLOGOS 2018/9/10)
「原発怖いから嫌だ」という人は見ないだろうがとりあえず書いておく話 (永江一石 BLOGOS 2018/9/9)
北海道地震、未曽有の大停電は菅直人にも責任がある(澤田哲生 iRONNA 2018/09/07)
●PDF北海道本州間連系設備増強後のマージンの設定及び今後の活用方法の検討について(電力広域的運営推進機関 2018/3/5)
●PDF大規模系統安定化システム(三菱電機技報 2012)
●PDF大容量石炭火力発電所総合ディジタル制御システム(日立評論 1983)

関連エントリー、ツイッター、togetter

●発電の種類、ベストミックスとは(色々な話の前提)

●安井至氏に対する飯田哲也氏の反論 http://togetter.com/li/310456
 安井先生の説明は良く判りますが、飯田哲也氏の反論は理解できません。コメント欄にもそのようなコメントが多いです。

【個人的メモ】
●「IEEI国際環境経済研究所」2013/04/02 停電と発送電分離を論じるための基礎知識
●公開シンポジウム「電気はどうやって運ばれるの? -大停電を防ぐには-」質問回答集
停電はなぜ起こる(竹内純子 GEPR 2012/7/2)
●「読解力図解力と教える技術の謎解きブログ 原子力論考(49)」2012/5/3 電力品質が下がることを想定しておかなければならないか
停電復旧のしくみと停電理由(東京電力ホールディングス)
[ 2018/09/22(土) ] カテゴリ: エネルギー基礎資料 | CM(0)
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