ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

「チェルノブイリの健康被害 25年の記録」の問題点とドイツの実態など

[ 2012/05/17 (木) ]
[togetter]●ドイツ放射線防護協会発行の「チェルノブイリの健康被害 25年の記録」(by leaf_parsleyさん)
を読んで、有効な情報が多く得るところが大きかったので、アーカイブします。
 togetterを材料にしてエントリーを書くのは、屋上屋を重ねる感がありますが、個人的な情報アーカイブとしてご容赦を。

[まとめ欄]から「チェルノブイリの健康被害 25年の記録」の問題点

[まとめ欄]から一部引用

原発の危険から子どもを守る北陸医師の会が5月4日に発行された翻訳版について
http://isinokai.blogspot.jp/2012/05/health-effects-of-chernobyl-25-years.html

leaf_parsley
 数日前にRTを流した、原発の危険から子どもを守る北陸医師の会によるドイツのチェルノブイリ25年の翻訳版についてですが、これは、申し訳ないけれど論文読み込みの精度が低いです。参考にするのなら、欧州委員会の2011年10月 チェルノブイリの健康影響に関する最新の科学的知見及び出版物のサマリーのほうがまともな、良論文があげてあります。しかしEUのサマリーですら、中の論文を読まなければ、ちゃんとした判断はすることができず、サマリーで書かれている概略も、論文までいけばニュアンスが変わってしまいます。(どっちかというと、サマリー上の方が論文自体よりも若干、危険性が強調されています) ドイツ文献は、さらに公平性に欠けていると感じました。

buvery
 これは、IPPNW が書いた物ですが、ドイツなんちゃら協会と中身がだぶっている。だから、しょうがないね。

freeviability
 IPPNWってどうなんでしょうか?ドイツ放射線防護協会とつるんでしまうようないい加減なものなのでしょうか?

leaf_parsley
 IPPNWそのものは、世界中の反核の医師の集りで、ドイツ放射線防護協会とはまた、一線を画しています。UNSCEARのカウンターパートとして必要な存在ですね。
 ただ、なんというのかな、私達は福島の事故の当事者なわけで、チェルノブイリではないんですよ。物理的にどういう環境であったかというのと生物学的にどういう影響があったか?をセットでみないといけない。
 そういう意味で、ああいう形で「ぽんっ」と翻訳を出されるのは、少し不親切、というか、もう1年たっているのでもう少し解説を足してもらえないかなと、思いました。

(この後も、問題点の指摘が続きますが、割愛します。原文をご覧ください。)


(ブログ主補足)
原著の発行元
ドイツ放射線防護協会*1と“IPPNW(核戦争防止国際医師会議)*2ドイツ支部
*1この組織の今回の放射線問題に対する一連の発信は問題があると思っています。詳細は既エントリーに纏めてあります。
*2ウィキペディアを参照。日本支部の事務局は広島県医師会内にある。
翻訳
“原発の危険から子どもを守る北陸医師の会”
ホームページの“読者のみなさま”には、
このウェブサイトの目的は『原発廃止』ということです。』と書いてある。http://isinokai.blogspot.jp/

[コメント欄]からドイツの実態など

チェルノブイリ事故による放射線の影響を受けたドイツの実態が報告されています。その中から、ドイツ在住の邦人の方を含む有用なコメントを一部引用します。

[コメント欄]からごく一部を引用(詳細は原文を)

klammer_affe
 例えば、西ドイツにおける周産期死亡率上昇やベルリンでのダウン症の増加がチェルノブイリの影響だ、という話には大きな疑問符が付いています。最も放射線の影響を受けたはずのバイエルンで有意な変化が見られなかったというもの。(注:独語pdf)http://tinyurl.com/7t8sxn7
 更に、バイエルンよりもフォールアウトの激しかったオーストリアでも変化はなかったようです。http://tinyurl.com/6meces6

hitoshi_hof
 北部バイエルン州に20年以上住んでいます。それ以前は南西ドイツの隅っこで、黒い森があるスイスとフランスの国境に近いところに 7年いました。現在住んでいる町の放射線量計測値は東京より高く、0.1 μSv/h ぐらいです。これは http://odlinfo.bfs.de/ で自分の町を調べた結果です。
(中略)
 いずれにしてもバイエルンで特に癌や大きな病気が増えたと言った話は聞いたことがありません。もちろん僕はデータは提示出来ませんが、皆普通に生活し、森にもどんどん行っているのでこの 20年気にかけたこともなかったぐらいの状況、ということです。あくまで現地に住んでいる素人の四方山話と思って下さい。
(中略)
 バイエルンに来たのは事故の 5年後なのでそれまでのことはわかりません。でもここに来て以来気にしている人を見たことがなかったので、僕自身バイエルンが汚染されたということを今回の事故で初めて知ったような状況です。事故当時はドイツ語もよくわかりませんでしたし。
 当時は事故のことを知らなくて傘をささずに町を歩き、雨に当たってしまいました。日頃傘を滅多にささないドイツ人が皆使っていたので不思議だったんですが、幸い僕自身は今全く健康ですし、12歳の娘も問題なく育っています。多分これからも問題ないと思います。
(中略)
 今のバイエルン州やバーデン・ヴュルテンベルク州の多くが今の福島の比較的線量の低い田村市辺りと大して変わりませんね。26年前はどうだったのかわかりませんが、もっと高かったはずだと思います。でも大規模除染など行なったような話は聞かないし、誰も避難していないし、マスクもしていません
 大体チェルノブイリの影響による広大なホットスポットを持つドイツなのに、国営放送の ZDF あたりが他人事のように福島原発をネタにドラマチックな煽りレポート番組を作り、それを鬼の首でも捕ったかのように日本語字幕を入れて動画サイトにアップしてる人達がいますが、愚の骨頂だと思います。
 未だ 9基の原発稼働を継続し、かつ近隣諸国から原発電力を購入してますしね。脱原発を表明したドイツだからお手本にするべきだと言うのなら今も 9基の原発が稼働させているドイツを見習って稼働したら? と思ってしまいますね。
 バイエルンも汚染された、いやそれどころか南部ドイツのほとんどが汚染されたと言ってもいいわけですが、だから皆逃げとろと騒いだところで実際そんなことが可能だったか、誰が考えても明白だと思いますよね。案外 5年間ソ連が詳しい汚染情報を公表しなかったのは逆に幸いだったのかも知れませんね。何にせよその 5年後と今の福島を比べて御満悦の人達もいるようですが。
 何にせよバイエルンは何事もなく平和です。それに日本より偏った食事をし、高脂肪高カロリーな上甘いものが大好きですから肥満が多く、いつ癌になってもももともとおかしくない民族なので、多少何かあっても放射線の影響かどうかわからないと思います。

leaf_parsley
 ドイツ各地にあるCUVA(食品中の化学物質の検査研究機関)の中で、放射能検査を今も行っているのは、フライブルグ(南ドイツ)だけで、野生イノシシと野生キノコがメインです。
 ドイツでは非常に冷静に対処しているという事かと思います。(頭数は減少していますが、まだ野生イノシシの汚染は継続していて、買い取り制度も続けられています)
 ちなみに、バーデン・ヴュルテンベルク州では、州政府の野生の監視プログラムによって、600 Bq/kg以上のCs-137濃度イノシシ肉は市場に出回らないようにしています。

klammer_affe
 イノシシは駆除対象ですのでそれぞれの猟友会が各州政府と連携して結構厳密にやっているようなのですね。テューリンゲンでもやってます。http://tinyurl.com/6pw6qy2 こういうのが始まったのもチェルノ後10年くらい経ってからの話のようですが。
 しかし、キノコもイノシシも個人消費に関しては何Bqでも自己責任で食ってもらって構わない、というスタンスです。http://tinyurl.com/6kfv4wx ("...für den Eigenverzehr gilt diese Beschränkung jedoch nicht.")
 あと興味深いのは600Bq/kgを越えたイノシシ肉の処理です。色んなところで「放射性廃棄物として処理される」と書かれたり、言われたりしてるんですが、厳密にはそうではないようで。http://tinyurl.com/7qqezvc http://tinyurl.com/7pgepuh
 要は、場合によっては6,7万Bq/kgになるようなものが他の動物の死骸やなんかと一緒に焼かれてセメントの材料になってるわけですね。

hitoshi_hof
 ところで leaf_parsley さんがおっしゃっているフライブルク市ですが、実は僕が最初に 7年間住んでいたというのはそのフライブルクなんです。今も猪の検査をしているなんて知りませんでした。一応バイエルンでも今もやっているという話を日本語のネット記事で見たことがありますが、僕自身は事実確認はしていません。
 ちなみに我が家の家主さんのお宅で毎年クリスマス前の待降節が始まる日曜日に食事会をすることがいつの間にか恒例になっているのですが、料理は鹿か猪に決まっています。去年は猪でした。 http://www.flickr.com/photos/hitsoshi_hof/sets/72157628279246941/
 どこか近辺の森で射たれるもので、今まで何の疑問も持たずに毎年食べて来ましたが、ここの奥さんに今まで福島危険を若干煽られたりしているので次回は「この猪大丈夫?」と逆襲してみようかなと思います (笑)。

rkishy
 結局、山下先生とか丹羽先生とか、現地をよく知っている人たちは、こういう状況を当初から良く分かっていてるから、「そんなに心配することない」的な発言になったんだろうな、と思う。牛乳だけはなんとか、という認識だったんじゃないのかな。

moegi_kaoru
 まとめページより、コメント欄の方が面白い事になっている・・・(失礼)。しかしドイツの脱原発論に福島が利用されまたそれを日本の脱原発論者が逆輸入する、この負のスパイラルは何とかならんもんか・・・・。

hitoshi_hof
 何にしても今の福島県はもう住めない、○○年後には何万人が死んでいると散々言ってる人達がいますが、それが本当なら南ドイツも既に住めなくなっていたり、大量に人が死んでいたりするはずだと思うのですが、そんな話は全然聞きませんよね。何か僕がおかしいんでしょうか。まあ、確かに今福島に住めないところもありますが、一緒くたに全部「フクシマ」と言われるのも困ったものです。


つぶやき

 舶来品(特にドイツ産)を無条件にありがたがる風潮には注意すべきですね。
 ごく一部しか引用できませんでしたが、hitoshi_hofさんには感謝です。

(以下、本論から少々逸脱して、一般論的なものですが)

●問題点その1、主義・主張を科学に優先する。

 核兵器反対原発反対現状の放射線リスクを過剰に危険視、という流れがあります。
本来は“⇒の所”は論理的に繋がらないものでしょう。特に、最後の“放射線リスク”は前の2つとは関係なく、科学(要素は疫学、動物実験、物質~組織レベルまでの解析、などを総合したもの)で語られるべきものだと理解しています。原発に反対する為に科学的に弱い情報を振り回して放射線リスクを過剰に危険視するのは、止めてほしいですね。それにより、様々な傷害が発生しているのだから。
(原発反対を単独に主張して戴くのは、ご勝手にですが。)

●問題点その2、危険派の医師の共通点(ブログ主の印象)

 ネットなどで見る危険派の医師の発信には、次のキーワードなどがよく出てくることです。
反原発・脱原発。東電と同じ。危険か安全か。安全性を確認できない。ICRPは信用できない。チェルノブイリで起きたこと。避難。子供。外野席にいる(福島の方はいない)。肥田舜太郎。矢ケ崎克馬(学者の個人名は特異的なものだけ)。

(さらに余談になりますが、)

 今回の放射線問題以前は、一般に学者とか医師は深い知識を持っていてその発信は信頼性が比較的高いと思っていました。しかし、色々なことが判りました。

学者に関しては以下のとおり。
意見を合わせないのが学者の本性、すなわち、証明しきれていない命題については、信頼性の高い低いを問わなければ常に対立意見が存在する、と言う事。
どうやら公式な説に異を唱えることが、自分の糧やステータスにはメリットがあるらしい。さらに学者特有の英雄願望やスポットライト症候群があるらしい。
自分の専門外については以外に知らない人もいる。
学者と呼ぶのを憚れるような人もいる。
④(当たり前だが)そうでない方々も大勢いる。危険派からの攻撃を受けながら(あるいは恐れず)的確な発信をしている方、強靭な反原発主義者であるが放射線リスクに関しては的確な発信をしている方など。

医師については、
 上記の①の代わりに、科学より主義・主張がくる気がします。
医師でのこの傾向は強いかも知れません。学者で見られるような、強靭な反原発主義者であるが放射線リスクに関しては的確な発信をしている人はいないのでは?
(②のファクターはあるかも)

 ④と同様に、危険派からの攻撃を受けながら(あるいは恐れず)、尊敬に値する発信や活動を継続している方々には、頭が下がります。

【追記】
と書いていたら、安井先生による腑に落ちる論説がありました。

●専門家(学者、医師など)を正しく評価するコツ
[ 2012/05/17(木) ] カテゴリ: チェルノブイリとの比較 | CM(0)
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