ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

【基本01】海産物の生物濃縮など

[ 2012/02/11 (土) ]
Keyword:137,134,挙動,放射能,濃縮係数,濃縮度,食物連鎖,生物的半減期,移行,過去の濃度,鉛直分布,垂直
 今まで、当ブログで扱っていなかった海産物の放射性物質汚染について、少しづつ、纏めて行こうと思います。 
 まず、基本的な情報をいくつかのエントリーに分けてアップする予定です。
 今回は、生物濃縮など今まで(原発事故の前まで)に得られている知見を、いくつかのブログ、サイトからアーカイブしました。

Ⅰ.TSOKDBAさんの「3.11東日本大震災後の日本」から部分的に引用させていただきます。
 大変感謝。情報の出典などは、原ブログをご覧ください。

●2011/05/07 まとめ4:海洋放射能汚染と魚介類への影響1:基本的な内容

 (部分的に引用、詳細は原ブログを参照下さい)

1.まとめ
(1) 原発事故前の海水の汚染
 1950~70年代の核実験*1の名残りで、Cs-137は微量存在する。
 0.003Bq/L=3mBq/L=3mBq/kg
がこれまでのベースライン(バックグラウンド)。
 *1関連エントリー
 ●【基本03】過去(1960年代)からの海水・海底土・魚のセシウム汚染グラフ

(2) 濃縮度=(魚内の濃度)/(海水中の濃度)
 Cs-137の濃縮度はだいたい50~100倍である。ただし、魚の種類、大きさによってもかなり幅がある。
(3) 原発事故前の魚内の濃度
 マイワシを例に取ると、Cs-137の濃度はだいたい0.1~0.2Bq/kgであった(1980年代のデータ)。ただし、チェルノブイリ事故のあった年だけは高く、それでも0.8~0.9Bq/kgであった。
 スズキのように大きい魚では、チェルノブイリの時には表層の海水の濃度のピークが過ぎてから半年後くらいにスズキの体内のCs-137のピークがきた。従って、今回も数ヶ月後に大きな魚への影響が出てくる可能性が高い。
.
2.生物濃縮について
 生物濃縮

 食物連鎖による魚への生物濃縮は農薬のような形では起こらない、ということがわかっています。
 その理由は、セシウム(Cs)は、カリウムと同じ種類の一価の陽イオンなので、カリウムと同じような挙動を示し、体外に排出されやすいということです。そのため、海水の濃度が魚内の濃度を反映するということです。Cs137の生物学的半減期は約50日だそうです。
 海産物中の塩類の流れ

 魚の生物的半減期は50日

 海水中には、常に約3mBq/L=0.003Bq/kg(1リットル=1kgとして)のセシウム137が含まれているようです。魚の体内のセシウム137が0.04~0.67Bq/kgということなので、海水と比べて10-200倍程度の濃縮がかかっているとのデータがあります。魚の種類によって、濃縮度も異なるようです。
 マイワシ中のセシウム137の経年的なデータを見ても、1986年のチェルノブイリ事故の影響で昭和61年(1986年)は0.8Bq/kgとなっていますが、翌年にはすぐにその前年と同レベルの0.2Bq/kg程度に低下しています。

事故後の経過年数                (注:ブログ主判断で差し替えています。Ⅱ項の資料から引用)

 ただし、スズキやマダラのような大きな魚では、チェルノブイリの時でも表層の海水のピークが起きてから半年程度遅れてピークが来ることがわかっています。つまり、今回の福島第一原発の海洋汚染においても、海水の汚染はもうピークを越え、徐々に拡散しながら薄まっていく可能性がありますが、魚介類への影響は、コウナゴのように小さくて表層を泳いでいる魚はすぐに出ますが、もっと大きな魚への影響はこのあと数ヶ月後にならないとわからないということです。



Ⅱ.吉田勝彦さん(元水産庁中央水産研究所 海洋放射能研究室長)の資料から引用
 日本農学アカデミー会報 第16号 2011年12月

●水産物の放射能汚染をどうみるか
【追記】後日、確認したら、上記の資料はリストから外れ、下記の解説付き資料に差し替えとなっていた。
●(解説付き)水産物の放射能汚染をどうみるか  

 (部分的に引用、詳細は原資料を参照下さい)

1.まとめ
 魚介類の濃度は海水の濃度に依存する。
 放射性物質は、水銀や有機塩素化合物と異なり、食物連鎖を通じて魚体内に蓄積し続けない
 魚体内に入った放射性物質は、体外に排出される。(海洋での濃縮係数は高々100以下である
 海に入った放射性物質の濃度は希釈・拡散され、薄くなる
 海中に入った放射性物質は、凝集沈殿したり、懸濁物に吸着し海底に運ばれる
 海底に沈殿した放射性物質は、魚に大きな影響を与えない*2

 *2 ブログ主注:今回事故によるセシウム濃度の高い海底土が“魚に大きな影響与えない”と言えるかどうか、この資料では根拠は見つけられないので、慎重に考える必要があると思う。

2.資料(Ⅰ項の絵と同じものもあり、それ以外で“なるほど”と思ったものをピックアップしました)

 mBq/L 福島表層水Cs137
 深さ方向の濃度? 大気圏内核実験による北西太平洋中緯度海域のCs137の鉛直分布(1981年)
原発事故前では、分布パターンは同様であるが、濃度は半減期と鉛直・水平混合により1/2程度に減少していた。

 海水と感産物のCs137の関係
 主要浮遊魚のCs137
 主要底魚のCs137
 主要介藻類Cs137
 濃縮係数Cs137
 海底土における核種の垂直分布02
 海産物の放射性物質検査の実施の概要



Ⅲ.海底土から海産物への移行について

●日本海洋学会 東日本大震災関連特設サイト 種々の疑問に関する専門家の意見

 (当該部分のみ引用、詳細は原サイトを参照下さい)

4.海底堆積物への蓄積
<回答:森田貴己さん(水産庁研究管理官)>
 もっと調べれば論文があると思いますが、私の手許にある論文は、J. Radiat. Res., 19, 93-99 (1978)ぐらいです。この中では、海底土からのセシウム137の移行割合(海産物中の濃度/海底土中の濃度)は、ゴカイ(汽水性:注:汽水とは海水と淡水が混じった水のこと)0.179、海藻(紅藻類)0.069、二枚貝0.045 と示されています。また、私自身が以前深海性ナマコ中のセシウム137を測定したことがありますが、ナマコの体の中の泥のセシウム137濃度は、ナマコを採集した地点の海底土中のセシウム137濃度とほぼ同じであり、ナマコ被のう中のセシウム137は、体中や周辺の海底土中の濃度の約0.04 でした。陸上の土壌中ではセシウム137はかなり強く粘土に吸着するらしいので、海底土中でも同様に強く吸着しているのか、海産物への移行はこのぐらいです。ただ、今回は非常に高濃度のセシウム137 が海底土から検出されていますし、十分に吸着する前に海産物に取り込まれる可能性も否定できないので、底魚の調査は、かなり重視しています。



 (画面クリックで拡大しても)引用はセシウムCsの記載がある表の一部です。全体はリンクの原典からご覧ください。
表2 海水魚に対する濃縮倍率

表3 海産生物の濃縮係数


Ⅴ.(財) 海洋生物環境研究所 笠松不二男氏の「海産生物と放射能-特に海産魚中のセシウムCs137濃度に与える要因について-」

 上記の各資料を含め、多くの文献に引用されているレポートです。(発行日: 1999/04/15)
 下記のリンクから、参照ください。
 ●Journal archive のリンク
 ●直接リンク

つぶやき

 巡り合えた範囲で、関連する基本情報をアーカイブしましたが、理解がたりない所も多々あります。
 今後も、有効な情報があれば追記して行くつもりです。


 関連エントリーはカテゴリーにひとまとめにしています。記事下部or左欄のリンクから、どうぞ。
転記
[ 2012/02/11(土) ] カテゴリ: 海産物への影響,被害に関 | CM(2)
Re: タイトルなし
omizoさん
ありがとうございました!

教えて戴いた情報を含め、このサイトのライブラリーは豊富ですね。
じっくりと勉強してみます。
[ 2012/02/13 13:00 ] [ 編集 ]
[ 2012/02/13 01:03 ] [ 編集 ]
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