ポストさんてん日記

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食品の放射性物質(セシウム)の新基準、詳細な考え方を確認してみた

[ 2011/12/28 (水) ]
 食品のセシウムの新基準値をどの様に出したのか?考え方が重要なので算出方法の詳細を確認してみた。放射能放射線
 被ばく量は、セシウム(Cs137、Cs134)を含めて8種類の核種を計算しているので、少々、複雑だが、基本的なところを纏めた。
 全般の出典は薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会放射性物質対策部会資料(12/22)である。

1.新基準値案は、セシウムとして下記のとおりである

新規制値暫定基準値
一般食品
乳製品
を含む
100 ベクレル/kg野菜類500
ベクレル/kg
穀類
肉・卵・魚・その他
飲料水10 ベクレル/kg飲料水200
ベクレル/kg
牛乳50 ベクレル/kg牛乳・乳製品
乳児用食品
 厚労省は27日、新基準値案が妥当かどうかについて、文科省の放射線審議会へ諮問した。審議会が「妥当」とする答申を出せば、来年4月1日から新基準値が適用される。
 3/15に新しい基準値が正式に省令、告示として公布され、4月から100Bq/kgという新基準値が正式にスタートすることになった。

 【関連エントリー】
 ●食品の基準値に関するリンク集、外国の基準値

2.新基準値案の考え方(概略)

 大きなポイントは以下のとおり。

●食品安全委員会は最終答申(10/27)を出した。
 生涯における追加*1の累積の実効線量を100mSvとした。
*1 “追加”とは、自然放射線(日本平均約1.5mSv/年)や、医療被ばくなど通常の一般生活において受ける放射線量を除いた分としての意味

●厚労省は、これを「リスク評価になっていない」として却下し、コーデックス(CODEX)委員会のガイドラインを踏まえた年間1mSvを採用した。
●食品に含まれる放射性物質による被ばくの許容上限を暫定基準値の5mSv/年から1mSv/年へ引き下げる
●許容上限1mSv/年のうち0.1mSv/年を「飲料水」に振り分け、10Bq/kgと設定
●その上で食品による被ばくを残る0.9mSv/年以内に抑えられるよう、平均食品摂取量などを考慮し、各年齢区分や男女別の上限値を計算した。なお食品が汚染されている割合は50%とする。
●「1歳未満(乳児)」「1~6歳」「7~12歳」「13~18歳」「19歳以上」の年齢区分でそれぞれ許容できる上限値を計算した結果、最も厳しい値は「13~18歳、男子」で120 Bq/kgとなった。余裕をとって基準値を100 Bq/kgとした。

年齢区分別の限度値(出典は資料2-2:「一般食品」の基準値の考え方

乳児用食品と牛乳については、万が一、流通する食品の全てが汚染されていたとしても影響のない値として、半分の50 Bq/kgとする。

3.基準値の食品を摂取し続けた場合の被ばく線量

 新しい基準値まで汚染された食品を毎日食べ続けたとしたらどれくらいの被曝か、厚労省で計算している。当然、上記で一番厳しいグループであった「13~18歳、男子」が最も高い数値となる。
基準値の食品を摂取し続けた場合の被ばく線(出典は資料4:基準値の食品を摂取し続けた場合の被ばく線量

4.詳細な新基準値の考え方

 基準値の食品を摂取し続けた場合、最も被ばく量が高いのは、上グラフのように「13~18歳、男子」で0.8mSv/年となるが、詳細な新基準値の考え方を確認しながら、基準値の導出の道筋を辿ってみる。

(1) 一日の食品摂取量(出典は資料1別冊:食品の基準値の導出についての21ページの表5)
 食べ盛りなので摂取量が多い。(最大値は「19歳以上、男子」)
食品摂取量png

(2)  核種ごとの放射性物質の濃度 (出典は上記と同じ資料1別冊:食品の基準値の導出についての全体)
 被ばく量の計算では8種類の核種を計算している。例として摂取量が一番多いコメの場合、基準値:セシウムとして100Bq/kgで、8種類の核種をどの様に算出しているか、を確認してみる。
●各核種の濃度の基本となるのは、土壌中のセシウムCs137との比である。
●セシウム100Bq/kgをCs137とCs134に割り振る
●次ぎに、土壌から植物への移行系数などを考慮してセシウム以外の濃度を算出する。移行系数は食品の種類ごとに、異なっている。
コメのベクレルpng
この部分は、かなり複雑であり、この計算例に誤りがあるかも知れません。

●この8種類の核種計算を全ての食品について実施して行く。

(3)  流通する食品の汚染割合
 現在の状況から、食品の全てが汚染されている事はないが、安全サイドの考え方で、一般食品は流通する食品の半分、それ以外は全部が基準値まで汚染されていると仮定する。
汚染割合
一般食品
乳製品
を含む
50%
飲料水100%
牛乳
乳児用食品

(4)  実効線量係数(ベクレルBqからシーベルトSvへの換算)
 8種類の核種ごとに、全ての食品でベクレルBq値を合計した後、各核種の実効線量係数を掛けてシーベルトSvへ換算する。
 その結果が「13~18歳、男子」で0.8mSv/年となる訳である。
 「19歳以上、男子」は、摂取量は最も多いが、年齢別の実効線量係数が少し小さいので、0.8mSv/年を切る数値となる。
 年齢別の実効線量係数は次ぎの既エントリーが見やすいです。
 ●【改定】核分裂、放射線、ベクレル(Bq)とシーベルト(Sv)、人体への影響

つぶやき

 このように確認すると、色々なところで余裕を見ているのが判る。
 また、10~11月で新基準を上回っている食品の割合は、福島県で約9.2%それ以外では約4.8%という現状も今回の資料で示している
 新基準値が適用されれば、食品汚染については神経質にならなくても良いレベルだと思う。

 新基準値どおりに汚染された食品を摂取した場合、一日に何ベクレル摂取することになるか?計算してみました。
 ●新基準値どおりに汚染された食品を摂取した場合、一日に何ベクレルか?



関連エントリー(新しい順)

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[ 2011/12/28(水) ] カテゴリ: 基準値,規制値,測定値な | CM(0)
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