ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

震災廃棄物の再利用基準 100 Bq/kgについて、自然放射線との比較など

[ 2011/12/23 (金) ]
 廃棄物関係の基準で100(ベクレル)Bq/kgという数値が出て来るので、調べてみました。
 結論は、廃棄物を再利用する場合の基準という事です。自然放射線との比較などを含めて纏めました。

1キロ100ベクレル以下なら再利用可 震災廃棄物、環境省が指針案
  日経 2011/11/15 (すでにリンク切れ)

【全文引用】

 環境省は15日、東日本大震災で生じた災害廃棄物の安全評価検討会を開き、被災地外の自治体が協力する広域処理での廃棄物再利用を促す指針案を提示した。
 がれきなどの放射性セシウム濃度が100 Bq/kg*1以下なら安全に再利用*2できるとした。被災地沿岸部の廃棄物に付いた放射性物質の濃度は低く、運搬などに問題はないと指摘。受け入れ側の安全確認も最小限に抑える見解も示した。
 新たな指針案は週内にも正式に決める。再利用の安全基準については、国際原子力機関(IAEA)の安全指針にならった。IAEAも放射性セシウムの濃度が100 Bq/kgの水準であれば規制は必要ないと定めている。
 環境省は「IAEA基準の10倍までは、それぞれの国が規制基準を別途定めることができる*3。今回の指針案は相当程度保守的だ」と説明。日本では、かねて原子炉施設解体に伴う金属廃棄物についても100 Bq/kg以下であれば再利用できる
 指針案は、広域処理の受け入れ地に届くまでの間に被曝(ひばく)の恐れはないとも明記した。受け入れ側の放射性物質の検査については「搬出側が確認することで、当面の間は月1回程度の測定が合理的」との考えを示した。
 ほかに埋め立て処分や焼却処理は問題はないとの見解も盛り込んだ。
 災害廃棄物の処理を巡っては、環境省は焼却後の放射性セシウム濃度が8000 Bq/kg以下なら、自治体による埋め立て処分が可能とし、広域処理を促している。

(ブログ主注)
*1 100 Bq/kgの基準となる考え方は被ばく線量として0.01mSv/年のようです。
*2 廃棄物再利用の例としては、木くず等をボード原料として再利用する、などがあるようです。この場合次ぎの2つの事を言っている。
 原料の木くずは 100 Bq/kg以下は放射性物質として扱う必要がない。
 製品のボードは 100 Bq/kg以下にしなければならない。
 (なお、福島県の災害廃棄物については、当面の間、福島県内で処理を行うこととして広域処理の対象外としている。)
*3 IAEA 安全指針の規制免除レベルは、それぞれの国が規制免除レベルを決める際の参考値として示されたものであり、この値の10 倍を超えない範囲であれば、国によって、規制対象行為や線源の特徴に応じてクリアランスレベルを別途定めることができるという性格のもの。
(以上は災害廃棄物の広域処理の推進についてから読み取りました。)

上記とは直接関係はしないが、6月に以下のような要請と対応があったようです。

放射性物質が検出された下水汚泥、浄水発生土のセメント原料の利用について
                               (社)セメント協会HP

【一部引用】

●セメント業界は循環型社会の構築に貢献すべく、種々の廃棄物をセメント原料の一部として利用しておりますが、その中に下水汚泥または浄水発生土も含まれております。

●政府(厚生労働省、経済産業省、国土交通省)から6月28日付けでセメント協会に対して、放射性物質が含まれている脱水汚泥等を安定的に受け入れるよう要請があり、会員各社に周知を行いました。
 セメントを生コンクリートや地盤改良材として利用する場合には、生コンクリートや土壌と混練する段階まで管理されていることから、少なくともセメントが2倍以上に希釈されることを考慮し、セメントの段階ではクリアランスレベル*42倍の濃度まで許容されることとなる。ただし、セメントとして袋詰めで一般に販売される場合には、販売店に引き渡される前に、セメントの段階でクリアランスレベル以下とすることが必要である。
 セメント各社は、脱水汚泥等の放射能濃度の管理や希釈度合いをコントロールし、セメントを利用して製造される生コンクリート等が安定的にクリアランスレベル以下とすることにより、今後とも脱水汚泥等を安定的に受け入れるようお願いしたい。
*4 なお、クリアランスレベルについては「セシウム134とセシウム137の放射能濃度の和が100 Bq/kgである」ことが明記されています。

●健康への影響評価
 国土交通省のホームページにおいて、「福島県内の下水処理副次産物の当面の取扱いに関する考え方について」という報道発表資料が公開されており、この資料(PDFファイル)のP.5-P.6の「福島県内の下水処理により発生する脱水汚泥を再利用して生産されたセメントによる放射線の影響評価について」(原子力対策本部)で放射線の影響評価が行われています。
 放射能濃度が1000 Bq/kg(クリアランスレベルの10倍)のセメントを使用して製造されたコンクリートの床、壁、天井で囲まれた居住空間における被ばく線量は0.36 mSv/年と評価され、これは平常時に原子力施設が公衆に与える被ばく限度である1 mSv/年を下回るものであり、健康への影響が起こることは考えがたいとしています。


つぶやき1

 100 Bq/kgという数値はIAEAの再利用基準の最小値との事ですが、食品新基準(案)の一般食品と同数値です。食べ物と同じはチョット違和感もありますが、それだけリスクが小さいと解釈できます。
 外部被ばくとして、以下の身の回りの(自然)放射線量と比較すると100 Bq/kgがどの程度のものか、という相場観を持てます。
 非常時の日本の復旧の為には、許容すべきレベルだと思います。
 チェルノブイリ後のヨーロッパ各国でも、このような社会のリサイクルのしくみから生ずる課題があったのだろうと思うのですが・・・。


既エントリー自然放射線による被ばく、ポロニウムPo-210 、カリウムK-40、ラドンRn-222から一部転記です。

1.身の回りの自然放射線、相場観を持つための例示

花崗岩(御影石)からの自然放射線(α線、β線、γ線)
 U-238 系列,Th-232 系列(α線、β線)の合計で120 Bq/kgくらい。カリウムK40(β線、γ線)で800 Bq/kgくらい。ちなみに、『国会議事堂 ホットスポット』で検索すると、結構、測定している方がいます。

建材中のラジウム濃度Bq/kg日本のセメント中のラジウム濃度Bq/kg(α線、β線、γ線)
 自然放射線として、最高値はスウェーデンの明ばん頁岩ベースのコンクリートで1500 Bq/kg
 日本のセメントのデータでは、U-238 系列,Th-232 系列(α線、β線)の合計で25~100 Bq/kgくらい。カリウムK40(β線、γ線)で76~230 Bq/kgくらい。
 (建材からは放射線と共に気体のラドンが出ているが、内部被ばくで説明済み。)

岩石・土壌等から出る自然放射線(β線・γ線)小島博之
 大阪府教育センターの花崗岩の測定値、国道のトンネルでの測定値などがあります。単位はμSv/hなのでチョット比較しにくいですが、原発事故の影響が少ない関西での数値として参考までに。なお、γ線は岩石中のカリウムK40 から出ているとの事です。

●過去の水田の土壌中のセシウムCs137(β線、γ線)
 1967年には、中国の核爆発実験による影響を受けて最高値138 Bq/kg(日本海側の平均で65 Bq/kg)を記録しています。水田以外の土壌も同等だと思いますので、数年間はそのような環境で生活していた訳です。

●食品中のカリウムK40 (β線、γ線)
食品中のカリウム40
 くどいですが、この図を例示したのは、食べた時の事ではなく、食品からそれなりの放射線が出ていて外部被ばくもしているというイメージで。
 そもそもカリウムK40 は人体全身中に約4,000 Bq存在しています。通勤ラッシュの車内をイメージすると・・・。


つぶやき2

 こんな解説もありますが、うなずけます。

 人々が「安全である」ことを無条件で前提としているために、危険だとされたものへの忌避意識が強く働きます。こうした環境下では「この食品は危険だ」「この土地は危ない」という情報が加速度的に広がります。
 日本の場合、過剰なほどというか、ただ「安全」といわれてもそれだけでは納得せずに、自分が安心と納得するまで、どこまでも安全、安心を追求していくということころがありますね。
 去年10カ国の人たちにアンケート調査をしたんですけれども、何にでもまず不安を持つ、というのは、日本人と、それから英国人でした。特にありとあらゆるものに不安を感じるというのは、日本人の特徴だと思います。次に近いのが、韓国です。BSEが問題になったのはこの3カ国でしたし、「食の安全」への不安が高い国は上から、日本、イギリス、韓国でした。
 一方で、南米のチリや、ヨーロッパというのは全般的に不安を感じない傾向がある。リスクの対象によって違いはもちろんありますが、過去のほかの研究も含めて、やはり国によりリスクの捉え方の差というのは実際にあることが実証されていますが、中でも日本は不安を強く感じる傾向があるというのは事実だと思います。
 (関谷直也准教授のコメントを既エントリーより転記)


 少し話は外れますが、上記の身の回りの放射線の実態を認識すると、人体には放射線に対応する能力がある、という説明には共感を覚えます。
 ●放射線によるDNAの損傷(DNAの修復・アポトーシス・免疫システムなど、がん化防止のプロセス)

関連エントリー

●【改01】震災がれき(瓦礫)の広域処理、計画と実績、皆さんの意見
[ 2011/12/23(金) ] カテゴリ: 瓦礫(がれき)の処理 | CM(0)
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