ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

食品の過剰な放射能検査で別のリスクも? 独自対応に疲弊する関係者(前篇)

[ 2011/12/13 (火) ]
 「WEDGE Infinity(ウェッジ・インフィニティ)」12/12 小比良和威さんによる解説です。(前篇)

【前つぶやき】
 食品の放射性物質(放射能)の現状について、全体を俯瞰的に解説し、今、何が問題なのか?を指摘したものです。この様な情報はあまり目にしないので、アーカイブしました。


【全文引用】

 様々な対策や関係者の努力もあり現在ではほとんどの検査結果が検出限界以下、あるいは検出されたとしても微量にとどまっている。そのことは日々更新されている検査結果からも読み取ることはできる。(福島県農林水産物モニタリング情報  (財)食品流通構造改善促進機構・食品の放射能検査データ )
 ただし、すべての食品に全く問題がないわけではない。淡水魚や底魚を中心とした魚介類や、きのこ類などは暫定規制値を超えて放射性セシウムが検出されることがある。しかし、検出された場合には出荷制限などの対策がとられるため濃度が高い食品を継続的に摂取するような状態にはない。だが、食品から放射性物質が検出されたことが報道される際には検出されたことが強く印象づけられるため、たとえそれが暫定規制値内であっても不安を呼ぶ。こうして、現在の食品の検査や供給体制に対して不安・不信が消えない状態が続いている。*1

*1(ブログ主注)「問題は少ないですよ系」の報道が少ないための、残念な現象だと思う。

●ミクロとマクロの視点が必要

 現在流通している食品は安全なのか、それとも危険なのか? それにはミクロとマクロの両方の視点で考える必要がある。つまり、個別の「この」食品についての汚染度と、食生活全体の摂取状況としての視点だ。
 食品の検査は、放射性物質の検査に限らず、残留農薬や食品添加物、食中毒菌の検査においても、破壊検査がほとんどである。また、原料や流通している商品の中から、検体を抜き取って行なうサンプル検査である。そのため、分析によって規制値を超過する食材をすべて発見し、取り除くことは不可能だ。綿密に検査計画を立てて対応したとしても、サンプル検査である以上は基準値を超過するものをすべて発見するということはできない。そのことから、検査体制に対する不安も生じているかもしれない。
 しかし、日常的に入手可能な食材がほとんど汚染されてしまっているかというとそれも違う。福島産の農産物であっても、ほとんどの食材からは放射性物質は検出されていない。また、東京大学の早野龍五教授が提唱している給食の1食まるごと検査を実施している横須賀市の検査結果を見ても放射性セシウムはほとんど検出されれていない。マクロとして食生活の安全は守られている。しかし、ミクロの視点では放射性セシウムの検出がなくなったわけではない。こちらについては今後も検査や出荷制限などきめ細かく対応を続ける必要がある。

●放射性セシウムの影響は摂取量を考慮して判断を

 では、仮に一時的に暫定規制値を超える汚染がある食材を食べてしまったときに私たちはどうなるのか? それについては、「摂取量」が問題になる。
 一定量の放射性物質を取り込んだ際の人体への影響はシーベルト(Sv)という単位に換算して評価を行う。例えば、暫定規制値の2倍である1000Bq/kgで汚染されたお米を買ってしまい、それを1ヵ月間食べ続けたとしよう。その場合の内部被曝は約140μSvとなる。(Cs134・137がそれぞれ500Bq/kg含まれている米を1日あたり300g、30日間食べ続けたと仮定。換算にはこちらのサイト*2を参考にした。 )

*2(ブログ主注)類似のサイトは他にもあります。●(内部被ばく)ベクレルBqをシーベルトSvに換算するサイト・ツールの紹介

 実際にはコメの汚染は山間地など特殊な条件の場合に顕著になるが、広範囲が一様に汚染される状況ではないようだ。そのため、そういう特殊な条件に当たってしまったコメを市場で継続的に購入してしまうことは考えにくい。一度スーパーで買ったコメがたまたま暫定規制値を超過していたとしても、1ヵ月もあれば食べきってしまうだろう。上記計算のように、一過性であれば大きな影響にはならない。
 また、子供への影響を心配する声もあるが、暫定規制値は子供も含めてもっとも影響が大きい世代の安全性を考慮して決められている(代謝の速さの違いなどから、セシウムについては子供より大人に影響が大きいと見られている)。子供についても配慮された数値だ。

●過剰な対応で別のリスクが高まる可能性も

 しかし、一時的ならば食べても影響はないという説明は、牛肉に対するセシウム汚染の際にも 行われたが一部で反発が大きかったようだ。食品が何らかの安全性の基準を超過しているケースというのは、放射性物質以外にも考えられる。その中には、放射性物質以上に私たちの健康に影響を与えるものもある。例えば、ユッケ事件のような細菌による食中毒は実際に被害者を出している。また、コメに含まれるカドミウムも地域によってはリスクが高い。
 放射性物質への対応は必要だが、行き過ぎると別のリスク対策が手薄になり、結果的に食生活全体の安全性としては低下することも考えられる。感情面での納得と、科学的事実に基づいた対策はうまくバランスを取りながらすすめていく必要がある。
 行政の取り組みだけでは不十分として、独自の対応を取る事業者も増えてきている。後篇では、その主な対応である「自主検査」の実施と、暫定規制値より厳しい「独自基準」の設定についての詳細に触れながら、その意義について考えていく。

 後篇へ続く

【関連エントリー】
●放射線線量計(測定器)、あれこれ(種類・検出下限値・測定(計測)時間など)
[ 2011/12/13(火) ] カテゴリ: 基準値,規制値,測定値な | CM(0)
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