ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

再浮遊粉じん吸入による内部被ばく、セシウムの土壌付着

[ 2011/12/09 (金) ]
 本エントリーは他の方のブログのコメント欄への質問とそこで頂いた回答をまとめたものです。
 既エントリー福島原発周辺住民の内部被曝量は限度をはるか下回る(京大論文の抜粋)への追記でもありますが、かなり細かな内容です

 京大論文は「再浮遊粉じんの量」の面で、吸入による内部被ばくは全く心配のない状態であることを示している。
 計測値の中で最高濃度は、Cs-134が142mBq/m3、Cs-137が194mBq/m3、(2011/7/7浪江町)
 この濃度の粉塵を24時間、365日、100%体内に吸収し続けたと仮定しても、0.08mSv/年(1日標準呼吸量を20m3)。

 実影響の面では、この良かった結論でOKだが、「再浮遊粉じんの質」について掘り下げてみた。

 粉じんの粒径毎の重量比とベクレル比 (福島市、7/2~7/8測定)
アンダーセン式空気捕集
装置 使用調査, 224 m3
放射能
粒度
μm
粉じん量
mg
粉じん量
Cs134
mBq/m3
Cs134
Cs137
mBq/m3
Cs137
100~11.40.78 %0.46 %0.36 %
11.4~7.41.113 %0.35 %0.36 %
7.4~4.9112 %115 %0.48 %
4.9~3.30.910 %0.58 %0.613 %
3.3~2.20.67 %0.35 %0.24 %
2.2~1.10.89 %0.35 %0.24 %
1.1~0.71.315 %0.812 %0.48 %
0.7~0.461.315 %1.523 %1.123 %
0.46未満0.910 %1.523 %1.328 %
小計8.6100%6.5100%4.7100%
吸入可能分
小計
4.9未満
5.867 %4.874 %3.879 %
肺への到達分
小計 
2.2未満
4.350 %4.162 %3.063 %

【一般論(教えて頂いた事を含む)】

 ●全浮遊粉じんの内、人体に吸収されるのは、粒径4.9μm未満といわれる。
 ●そのうち比較的大きいものは、大部分が鼻腔、咽頭等で吸着される。(その後、痰などで排出されるか、嚥下され消化器系に移る。)
 ●2μm以下のものが肺まで到達する(*1)とされるが100%残る訳ではなく、何割かは呼吸と共に排出される。
 (*1)http://www008.upp.so-net.ne.jp/koriki/Science/PowderDangerously.html
 ●なお、京大論文では、保守的アプローチを採用し、捕集装置で回収された全ての大気粉じんが100%吸入されるとして人体の被ばく線量を推定し、吸入による預託実効線量が0.08mSv/年と算出している。

【京大データから】

 ●全浮遊粉じんの内、肺まで到達するとされる粒径2.2μm未満の割合が、重量比で50%、ベクレル比で60%強になっている。
 ●粒径2.2~1.1μm、1.1~0.7μm、0.7~0.46μm、0.46μm以下、の各重量に(バラツキはあるものの)大きな違いはないが、粒径が細かいほどセシウム比は高く、重量比で10%の粒径0.46μm以下には、28%のセシウム137がある
 ●セシウム137の実効線量係数が、吸入は経口の3倍(成人値)である事も合わせ見れば、少量とはいえ、無理のないレベルで注意する気持ちは持った方が良い。例えば、風が強くほこりが多い時はマスクをかけようとか。

【さらに教えて頂いた事】

 ●肺の肺胞から毛細血管に移行するのは、1μm以下でないと血中移行は起こらない。
 ●肺胞に沈着しても、ある程度はマイクロファージにより、排除される機能もある。
 ●肺胞腔へ進入した粒子がどうなるか?の資料
  http://www.env.go.jp/air/car/diesel-rep/h13/ch2.pdf これは、環境省の「ディーゼル排気微粒子リスク評価検討会 平成13年度報告」の「第2章 沈着と動態」の一部

(以上)


これから下は好奇心の赴くままに調べた事

 粉じんの中のセシウムはどんな風になっているのか?

 ●セシウムはイオン状態で粉じんに付着している。
 雨で地上にフォールアウトしたセシウムは、水に溶けたイオンとなっている。*2
 電気的結合 or(ゼオライトによる吸着のような)物理的吸着で土壌に付着する。*3
 ●(重量が同じなら)細かな粉じんほど表面積が大きいので、付着するセシウムが多いのは頷ける。

*2日本土壌肥料学会 放射性核種(セシウム)の土壌-作物(特に水稲)系での動きに関する基礎的知見

*3 産地の異なる国内産ゼオライト3 種類と、各地から集めた土壌22 点のセシウム捕捉率と(酢酸アンモニウムを加えて)放出率を測定した。
 その結果、3 種類のゼオライトの捕捉率はいずれも99.8 % 以上であった。土壌に関してもセシウム捕捉率は94 ~ 98 % と高かった。しかし、放出率はゼオライトの26 ~ 33 % に対して、土壌では48 ~ 99 % とゼオライトより高かった。すなわち、ゼオライトは土壌より強力にセシウム捕捉すると考えられる。
ゼオライトと土壌のセシウム捕獲率

出典:農耕地の塩害対策と土壌・ゼオライト中のセシウムの挙動 東京農業大学教授 後藤逸男



 ●大気1m3中の、粒径0.46μm未満の粉じん 0.9mg / 224m34.0μg/m3の中にセシウム137が1.3mBq/m3存在しているが、それは何μgか?
 ベクレルを重さ(グラム)に変換する方法で正確に判る。
 計算は省略するが、4.1×10-10μgであり、粉じん重量の100億分の一。
 セシウム分子の数として180万個である。

 ●ちなみに、α線核種のラドンRn222は、 木造・鉄骨造の室内中に12.8Bq/m3存在している*4。上記のセシウム137の1万倍であり、いかに、このセシウムが微量であるかが判る。 *4こちらに記載
 
【つぶやき】
 お勉強エントリーでした。


【関連エントリー】
●大気中の放射性物質の挙動(フォールアウト時、再浮遊時、現状)
●福島原発周辺住民の内部被曝量は限度をはるか下回る(京大論文の抜粋)

(個人的メモ)
●第4章「生体内沈着及び体内動態」は呼吸器系を中心とした粒子状物質の体内でのふるまい
全文はこちら
PM2点5の01
出典:日本自動車工業会 PM2.5 微小粒子状物質
PM2点5の02
出典:日本自動車工業会 JAMAGAZINE 2012年6月号 研究・解明が進むPM2.5(微小粒子状物質)
[ 2011/12/09(金) ] カテゴリ: 放射性物質の環境中の挙動 | CM(2)
Re: 自己批判とお礼。
omizoさん

わざわざ訂正いただいて恐縮です。
こちらこそ、お墨付きを頂きすっきりしました。
すこし細かい話なので、他の方には手ごわいかも知れないので、本エントリーのURLをbloomさんのブログに紹介させていただきます。
[ 2011/12/12 09:15 ] [ 編集 ]
自己批判とお礼。
icchou さん。にはお礼も仕上げます。

私が、セシウム重量を以前に計算していて、それを忘れた上にセシウム重量に気が付かない事を恥じます。1.1μm以下の粒子を、セシウム単体か?。と書いていましたが、初期に重量計算して、セシウムがそれほどの重量でないと。していた事を思い出させていただきました。

セシウム重量は、1.1μm以下総量で。12.1mgなんて途方もない数値になるわけがない。事でした。

まことに申し訳ないことです。 謹んでお礼申し上げます。

どこかで、何を間違えたのか、お恥ずかしいかぎりです。

 京大での集塵はすべて、土壌粒子への吸着したセシウムということです。
[ 2011/12/12 01:37 ] [ 編集 ]
コメントの投稿










管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL

このブログについて
管理人 icchou から簡単な説明です 更新,追記の通知はTwitter
カテゴリ
最新記事
ブログ内検索