ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

きわめて主観的なメモ(信用する専門家、しない専門家)

[ 2011/11/27 (日) ]
 不定期に加筆しています。


 “低線量被ばくの影響(リスク)に対して科学が公式な結論を出せない”なかで、“専門家”が様々な発信をしています。(記者からの求めに応じた一言コメントを含めて)
 素人の私にとっては“専門家”の意見は大きなファクターですし、影響力のある“専門家”の発信は、食品などの個人の選択だけでなく、除染や瓦礫の処理など復興の道筋や姿にも影響を与える事になると思います。
 「現在の放射線レベルは怖がる必要がない」から「どんなに低線量でも危ない」まで180度違う発信があります。
 そのような中で、低線量被ばくの影響(リスク)で、誰を信頼するかと言う個人的判断軸ができて来ました。
 以下は、その“きわめて主観的なメモ”です。今までに接した限られた情報からの印象です。今後に得る情報によっては変わるかも知れません。
 (念のため)
 その専門家の放射線生物系の発信以外のファクターとは何ら関係しません
 “個々人が自分の責任と権限の範囲の中で、誰を信じるかは自由な選択”だと思います。

“放射線生物系の発信”について個人的に注意している事
 (A,B,C・・・は下表と対応している)。

 A  何の“専門家”なのか?を重要視する。
 “科学が公式な結論を出せない” なかで、放射線の人体に及ぼす影響(リスク)について科学的な判断ができるのは、この分野に多くの論文がある事を承知して、それを評価できる“専門家”であろう。そうでない“専門家”は“誰かの説”だけに基づくか、“何らかの信念”などにより発信している可能性もある。 
 B  自然放射線との矛盾はないか?
 その説の根拠となる理論などが、自然放射線をあびる中で問題なく生活している事と矛盾する説は、どこかおかしいと思う事にする。 
 C  一次資料(原論文)を根拠にしているか?
 “専門家”の発信が一次資料(原論文)やオリジナル調査報告をベースとしているかどうかに注意する。 
 D  被ばく量による説明をしているか?
 定量的ではなく定性的な発信は科学的にはルール違反であろう。チェルノブイリとの比較論の一部にも見られる。 
 E  発信の目的?
 講演や出版などの宣伝手段として情報発信していると疑われる“専門家” には注意する。 
 F  主義・感情に拘っていないか?
 あまりにも反原発主義に偏っていたり、政治的な指向性の強い“専門家”には注意する。主義とは切り離して科学に基づく的確な発信をしている“専門家”は信頼感が高い。  

現地での実行動について
 測定や除染などの実行動がある“専門家”には尊敬の念を持ちますし、信頼へのプラス要素になると思います。

“放射線生物系の発信”の個人的な信頼
 (あいうえお順)
“放射線生物系の発信”の個人的な信頼現地おまけ

原子力
物理系
の信頼
ABCDEF総合測定
除染
など
専門自然放
射線
原論
被ば
く 量
発信
目的
主義
感情
安斎育郎
立命館大
名誉教授
○放射
線防護
----
市川定夫
埼玉大学
名誉教授
×農学
博士
××--×××
*1
--
今中哲二
京大助教
×原子
力工学
-
*2
鎌田實
諏訪中央病
院名誉院長
△内科--
*3
--
クリス・バスビー
英アルスター大
客員教授
××
*4
××
*5
×××
*6
-×
小出裕章
京大助教
×原子
力工学
×-××-
小佐古敏荘
東大教授
○放射
線安全
----××
*7
--
児玉龍彦
東大教授
△内科
分子生
物医学
-×---×
*8
-
沢田昭二
名古屋大
名誉教授
×理論
物理学
××-××
*9
--
菅谷昭
松本市長
△外科-××-××
*10
--
武田邦彦
中部大学
教授
×資源
材料工
××-××××
*11
-×
肥田舜太郎
医師
△内科×-×××××
*12
--
矢ヶ崎克馬
琉球大学
名誉教授
×物性
物理学
×--××××
*13
--


*1 市川教授
 「市民のための環境学ガイド(安井至教授)」  ●カリウム40の自然内部被曝 ●人工核種と自然核種の人体影響 市川理論  (一部のみ引用)

 このような嘘の発言に対して、普通、科学者は反論をしない。その最大の理由は、今回のケースであれば、科学的に正しくないことが馬鹿馬鹿しい程ミエミエなので、そのようなことをしても、誰も評価してくれないからである。
 しかし、科学にとってコミュニケーションというものは非常に重要である。科学者は、その研究費を公的な資金に依存しており、最終的な選択は、民主主義社会においては、選挙民によってなされるので、公的な資金を使う人は、選挙民に対して、常に、「何が正しく、何が正しくないか」を伝達していなければならない。
 一般的な科学者にとって、このような認識が全くないわけではないが、時間不足を理由にコミュニケーションをやらない人、一般向けの言葉を話すことに慣れていない人、などなどが大多数であるのが現状である。
 というわけで、非常に物好きな行為であると自認しつつ、市川氏の講演の妙なところについて、いちいち反論をしてみたい。

(科学的な説明がありますが引用は割愛します)

 現在、非推進派の代表格であると思われる人々、例えば、ご紹介した(市川氏の講義のビデオがをわざわざ書き起こししている)kiikochanのブログでリスト化されている次のような人々に、本講演を正しいと言うかどうか、聞いてみたらどうだろう。「正しい」と言う人が、数名はいそうだが、過半数は「間違い」だと言うだろう。

Kiikochanのブログより
小出裕章先生  武田邦彦先生  後藤政志氏  広瀬隆氏    肥田舜太郎氏
樋口健二氏   石橋克彦先生  菊池洋一氏  矢ヶ崎克馬氏  平井憲夫氏
内橋克人氏   市川定夫氏   田中三彦氏  河田昌東氏   飯田哲也氏
崎山比早子氏  古賀茂明氏   児玉龍彦氏  早川由紀夫氏

 上記リストに是非、福島大学の放射線副読本研究会のメンバーを加えたい。ただし、福島大学のこのメンバーの場合には、意図的に嘘をつくというよりも、単に無知である可能性も否定しがたい。カリウム40の記述は、この副読本には出てこないが、意図的にそれを排除しているのかどうか不明である。


*2 今中助教
 ECRR否定発言以降の信頼度として。(昔は知りません)

*3 鎌田實院長
 『信濃毎日10/4の記事 10人の甲状腺機能に変化 福島の子130人健康調査』での動きで疑問符がついた。 既エントリー

クリス・バスビー教授
*4 論文を出してはいるが、掲載誌は評価が高いとは言い難く引用もほとんどされていない(査読もなし)。内容についてもイギリスのCERRIE(Committee Examining Radiation Risks of Internal Emitters、内部被曝調査委員会)が否定した。
 ●「buveryの日記」7/19イギリスの内部被曝調査委員会がクリス=バズビーをどう批判したのか
 ●トンデル論文の概要とバスビー教授の恣意的な誤用、判りやすい解説

*5 バスビー氏が福島の原発災害の影響を受ける日本人たちに放射能予防の錠剤を促進しているが、主要な科学者たちは「役に立たない」と非難している、と「緑の党」の前・科学技術スポークスマンが言及。
 ●「芳立五蘊」11/23 Busby's buzz
 ●「warblerの日記」11/22ガーディアン紙が掲載した、放射線に効くと宣伝されるサプリに関する批判記事の紹介

*6クリストファー・バズビーの突飛な主張は、環境保護運動とグリーン党に損害を与える
 ●「warblerの日記」11/23 バズビー博士の主張について
 ●「GEPR」2012/5/31 メディアが醸成した「放射能ストレス」(上)感情的な報道の生んだ人権侵害(石井孝明氏)によれば、『日本人向けに数万円のサプリ、放射能検査を売り込んでいたことを日英のメディアが暴いた。すると失踪してしまった。』とのこと。

*7 小佐古教授
 ●非常事態であるにも関わらず、通常の基準を当てはめるべきだという主張をした。
 「福島 信夫山ネコの憂うつ」2012/7/31 ウォールストリートジャーナルでは話好き?不思議な「小佐古氏」のその後  
.
*8 児玉教授
 ●bloom先生による詳細な論説。“チェルノブイリ膀胱炎”説への明快な反論。低レベル放射線の人体へのリスク、生物学者のリスクの見積もり方
 ●「市民のための環境学ガイド(安井至教授)」11/3 児玉龍彦 内部被曝 膀胱がん
 ●「ニュースの社会科学的な裏側」9/30 児玉龍彦教授の主張に、放射線医学総合研究所が苦情を述べる 
 ●放射線医学総合研究所 9/27 尿中セシウムによる膀胱がんの発生について
 ●「六号通り診療所所長のブログ」8/8 チェルノブイリ膀胱炎の話
 ●食品安全情報blog 9/8のコメント欄(畝山先生の意見)

 福島昭治先生といえば遺伝毒性発がん物質の閾値についての代表的研究者であることをまず1つ。
 福島先生のチェルノブイリ膀胱炎の論文では
「残念ながら我々は患者の(事故のあった1986年からの)被ばく量を知る方法がない。ただ尿中放射性セシウム濃度の測定結果(1994年以降2006年までのいつかの時点での)を入手することができた。」
 とあるのを児玉先生は
「すでに福島,二本松,相馬,いわき各市の女性からは母乳に 2~13 ベクレル/kg のセシウム137 が検出されることが厚労省研究班の調査で報告されている.この濃度は,福島博士らのチェルノブイリの住民の尿中のセシウム 137 にほぼ匹敵する.福島博士の報告では,表 1 のように,6ベクレル/L とほぼ同じレベルである」
 と解釈するわけですが、これをおかしいと思わないのでしょうか。「正義」のためならいい加減でもいいのでしょうか。それってとても怖いことです。
 さらに言えば福島先生の論文は、多段階発がん説を前提にしていて、膀胱炎を前がん病変あるいは発がんのプロモーションプロセスとみなしているわけです。慢性的に繰り返す炎症が最終的にはがんにつながるというのはわりと常識的な話で、この場合炎症を止めればがん予防になるわけで、原因はなんであれ膀胱炎になったら治療しましょうね、ということです。まして乳腺炎なんて普通放置しないと思いますけど。炎症も無いのにがんが心配なら、それは福島先生の論文とは関係ない話です。
 福島先生の論文を、一時的に母乳中から放射性物質が検出されその後不検出になっていて特に何の症状もない母親を脅かすのに使うことの妥当性を問題にしているのです。


*9 沢田昭二教授
 ●放射線の人体影響についての意見書
 ●今中先生曰く“個人的にはrespectしているが彼の説はsupportしない”。「あいんしゅたいんJEIN」2012/8/27 今中氏への質問と回答(事前討論 No. 6)

*10 菅谷市長
 ●「Maybe Blue」11/14 菅谷・松本市長講演への反論
 ●「福島 信夫山ネコの憂うつ」2012/6/19 菅谷昭・松本市長は1/29国立市他 あちこちで「福島で中絶増加」と発言 もう公式謝罪が「公人」としての最低の務めだ

*11 武田邦彦教授
 反論を挙げたらきりがないし、もはや、その必要はないでしょう。科学者と言えるかどうかさえ疑問です。参考として、この人の全ての発信に共通するお話。
 ●「環境問題補完計画」2008/11/9 武田氏のトリックパターン類型化。これは、今回の事故以前に書かれた論説ですが、昔も今も変わりませんね。
 ●「環境問題補完計画」2012/6/2 気づき始めたんでしょうか
 「週刊新潮」2011年7月28日号の全面引用です⇒
 ●「おつるの秘密日記 酒と薔薇と愛の日々」2011/8/8「週刊新潮」◆「放射能 ヒステリー」を煽る「武田邦彦」中部大学教授の正体

*12 肥田舜太郎医師
 ●著書に対し、安井至教授が怒りに満ちて詳細に反論されている。  煽り系情報、デマに対する的確な反論例
 ●東北6県の乳がんへの反論。 「toshi_tomieのブログ」2012/2/3 チェルノブイリ原発事故で日本に降下したセシウムで乳癌死亡者が急増した?ーー悪質な肥田舜太郎
 ●パストゥール通信 2012年新春号 特集:放射線とがんの3~6ページ

*13 矢ヶ崎克馬教授
 ●意外に専門家による反論が見つからない。(全く相手にされていないのかも知れない。気合いを入れて時間を掛ければブログ主でも反論を書けそうなレベルなので)参考情報として。「誇りはどこにある」2011/8/21 内部被曝の危険をあおる矢ヶ崎克馬氏

関連エントリー
●なぜリスクコミュニケーションは失敗したのか、日本の一年間、スウェーデンの例 [2012/03/27]
●“放射線ゼロリスクの追及”を止めないと復興・復旧が進まない、皆が幸せに暮せない [2012/01/11]
●LNT仮説ほか、放射線の“確率的影響”を巡る諸説のまとめメモ [2011/09/18]

その他の関連エントリーはカテゴリーにひとまとめにしています。記事下部or左欄のカテゴリーリンクから、どうぞ。転記
[ 2011/11/27(日) ] カテゴリ: デマ風評ゼロリスク不信専門家 | CM(5)
Re: タイトルなし
omizo様

色々と教えて頂き、ありがとうございました。
[ 2011/12/08 13:00 ] [ 編集 ]
肺胞腔内への粒子進入に関して、下記も参考にください。 某ブログへも記載しました

http://www.env.go.jp/air/car/diesel-rep/h13/ch2.pdf
[ 2011/12/07 22:27 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
omizo様

ご指摘、ありがとうございました!
本文を修正いたしました。
(他の方のブログでも、お世話になりました。)
[ 2011/12/06 21:30 ] [ 編集 ]
菅谷昭先生は、甲状腺科の外科医です・ 一外科医としての腕は相当なものです。が・・・・。微妙な発言が。 場所で発言が左右されるんか?。 
[ 2011/12/06 18:25 ] [ 編集 ]
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[ 2011/11/29 17:40 ] [ 編集 ]
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