ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

最大の被害は子供の放射能トラウマ(南相馬市での医師の活動紹介)

[ 2011/10/28 (金) ]
 南相馬市での医師の活動が紹介されています。内容は、朝日新聞記事の照会、医師の活動と住民の内部被ばくに関する事、子供の放射能トラウマ、などについてです。

 医療ガバナンス学会(MRIC)10/27のVol.303 放射能トラウマ(亀田総合病院 小松秀樹)

【当該部分を全文引用】

小松秀樹(こまつ・ひでき)
医療法人鉄蕉会亀田総合病院副院長。1974年東京大学医学部医学科卒業。都立駒込病院など7病院を経て1983年山梨医科大学泌尿器科助教授。1999年より虎の門病院泌尿器科部長。2010年4月より亀田総合病院。著書「慈恵医大青戸病院事件 医療の構造と実践的倫理」(日本経済評論社)、「医療崩壊 立ち去り型サボタージュとは何か」(朝日新聞社)、「医療の限界」(新潮社)他。



●朝日新聞記事
 2011年10月25日付けの朝日新聞朝刊は、南相馬の小中学生の約半数から少量のセシウムが検出されたと報じました。 
 527人を調べて、199人から体重1キロあたり10ベクレル未満、65人から同10~20ベクレル未満、3人から同20~30ベクレル未満、1人から同30~35ベクレル未満のセシウム137を検出した。
 京都大原子炉実験所の今中哲司助教は「人体には1キロあたり50~60ベクレルのカリウム40という放射能が自然にある。その変動の範囲の10や20なら、神経質になっても仕方がないだろう。30ベクレルあったら、少し気になるので減らしたほうがいい」と話している。
(ブログ主注)記事全文を掲載いただいているブログ紹介
  「かぶログ Ⅱ」10/25 南相馬の小中学生から少量セシウム / 内部被曝の分析「継続調査必要」

●坪倉正治医師
(ブログ主注)南相馬市立総合病院の非常勤医で、東京大学医科学研究所 先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門研究員
 南相馬市は、原発事故によって、警戒区域、緊急時避難準備区域、計画的避難区域、避難指示のない区域に分断されました。東大医科研の坪倉正治医師は、4月以後、南相馬、相馬で、診療に加えて、ホールボディカウンターによる内部被ばくの検査、健診、健康相談、除染に携わっています。そして何より、地域の状況を科学的な形で世界に発信すべく、努力を重ねています。
 科学的というのは、調査方法や調査対象を正確に示し、調査結果を体系的に表現し、さらに、結果が示すところの範囲を議論することです。これは、この地域の原発事故に対する対応策の基礎資料となります。定性的な議論は、感情論になり、別の被害をもたらします。被ばくがあったかどうかが問題なのではなく、量が問題なのです。
 私が、友人から送られてきた情報を検討したり、ネット上で検索したりした限りでは、慢性被ばくによる大きな実被害の報告は、ほとんどありません。二世、三世に影響がでたという証拠はこれまで示されていないはずです。
 慢性被ばくで、これまで報告された中で最大の被害は、チェルノブイリの小児の甲状腺がんです。放射性ヨウ素が原因だとされています。
 10月12日、亀田総合病院で坪倉医師の講演を聴く機会がありました。坪倉医師は、環境中の放射線量と内部被ばくの測定結果から、被ばくによる健康障害はほんど起きないのではないかと予想しています。今後も継続的調査が必要だとしていますが、データによっては、予想を修正することもあります。
 南相馬市立病院の及川友好副院長坪倉医師たちによる内部被ばくの調査で、チェルノブイリの住民に比べて、福島の住民の内部被ばくが圧倒的に少ないことが分かりつつあります。放射性ヨウ素は半減期が短く、坪倉医師によると、南相馬でホールボディカウンターによる内部被ばく調査が始まった時点で、すでに観察できなくなっていました。
 チェルノブイリでは、食糧不足、流通体制の不備などのため、食糧は自給自足でした。このため、事故後も、汚染地域で生産された食物を食べざるを得ませんでした。これによって、内部被ばくが継続した可能性があります。日本では、食品の検査と、出荷制限が比較的厳格に実施されています。放射性同位元素の体内への取り込みは、事故後の一時期に集中したと思われていますが、継続的調査が必要です。データとして、チェルノブイリと福島の違いがきちんと検出できれば、状況を落ち着かせるのに役立ちます。
 坪倉医師は4月から南相馬と相馬で活動していますが、9月段階で、本人には、内部被ばくはありません。現状では、南相馬市の原町区で生活しても、内部被ばくは生じません。
 今回の原発事故による被ばくでがんが増えるとしても、ごくわずかで、実感できるような数ではないはずです。福島県放射線健康リスク管理アドバイザーの山下俊一氏が、年間100ミリシーベルトまで大丈夫だ、安心だと講演で語りました。山下氏の発言はおおむね正しいのだろうと思います。ただし、壮大な調査をしてやっと検出できる程度のごくわずかながんの増加はあるかもしれません。
 福島の原発事故で、慢性被ばくによる明らかな被害は現在のところ認められていません。しかし、避難などによる生活の変化や、被災後の報道を含めた社会からの影響は、はるかに深刻な健康障害をもたらしています。坪倉医師は、避難生活での偏った食事、運動不足、薬剤不足で、高齢者の多くに、健康被害が生じたと話していました。実際に、坪倉医師の調査では、避難によって、特別養護老人ホームの要介護者の単位日数当たりの死亡率が4倍に上昇したことが分かっています。
 ちなみに、放射線量は、2011年10月、南相馬市立総合病院の玄関の外で、毎時0.2から0.3マイクロシーベルトです。24時間屋外にいても、被ばく量は年間1.7から、2.6ミリシーベルトです。自然界にはもともと放射線があり、日本は年間1ミリシーベルト程度です。世界平均は年間2.4ミリシーベルトです。現状で、とるべき態度は、「過去の慢性被ばくのデータからは、大きな実被害は予想されない。しかし、予想外のものもあるかもしれないので、厳重に観察していきましょう」というところでしょう。

●放射能トラウマ
 坪倉医師は、健診や健康相談で、一人当たり30分の時間をかけて、生活の状況や心配事を丁寧に聴いています。これまで大勢から話を聴いて、原発事故による最大の被害は、子供の放射能トラウマだと確信するようになったそうです。多くは、大人の放射能トラウマによる二次的放射能トラウマだそうです。年齢が低いほどトラウマの程度が強い印象があるとのことです。女子高校生が将来子供を産めないと話しているということまで伝わってきます。さらに、鬱状態になった大人がつらく当たって、子供に身体症状を伴うような深刻な影響が生じる事例が目に付くそうです。坪倉医師は、マスメディアの報道が、この地域に、放射能汚染そのものを超える大きな害をもたらしていると感じています。
 医師でもある立谷秀清相馬市長も、子供の放射能トラウマが、地域の最大の問題だと考えています。放置すれば、子供たちが、社会に上手に適応できなくなるかもしれません。子供の教育に差し障りが生じるかもしれません。教育に差し障りが生じれば、一生、ハンディを背負うことになります。結果として、子供たちと地域社会の将来を奪うことになりかねません。科学的調査とそれに基づく対応策が求められます。それも、壮大な調査ではなく、調査目的を限定して、結果を早く出す必要があります。慢性被ばくより、はるかに深刻な被害が生じうるので、素早く対応しなければならないからです。



【つぶやき】
●坪倉医師については、除染活動についてのエントリーで紹介した事がありました。今回の内容を含め、被災地での活動に頭が下がる思いです。
●10月4日の信濃毎日記事“福島の子 10人の甲状腺機能に変化”から始まりテレビで取り上げられた騒ぎも、結局、“煽り報道”であったとの結論になりました。

J-CASTニュース10/26 (cache)「子どもの甲状腺機能に異常」報道は行き過ぎ 専門医学会が「原発と結びつける理由なし」
 メディアは猛省すると共に、実態を理解し、再度、同じような事を起こさない様にしてほしいものです。
●冒頭の朝日の記事は全文を読むと、冷静な論調、今中助教のフォローがある、署名記事、などで良い記事だと思いますが、福島の子供が読んだ時にどう感じるか?少し心配です。


【追記01】
産経新聞11/2原発事故の2次被害防げ 安心できる育児環境が急務

【追記02】
「福島 信夫山ネコの憂うつ」10/26 終焉に向かう「反原発」(1)大阪で「反原発」が「福島の子ども」の「エア葬式」を開催
 ブログ主も「やめろ。恥を知れ」と 限界点でした。

【追記03】
 ところが、福島の中学生の方が上手。ユーモアでの反論がすばらしい、そして逞しさも感じます。
「福島の現状を女子中学生がイラスト付きでおしえるよ」11/2 葬式デモというのがあったらしいよ

【関連エントリー】
●“福島の子 10人の甲状腺機能に変化”に関する情報まとめ
[ 2011/10/28(金) ] カテゴリ: 甲状腺がんなどに関する | CM(2)
Re: 私も読みました
コメントありがとうございます。Kさんの記事も読ませていただきました。考え方・指向性が似ているようですね。

>“そういう人に関してどう対処したらよいのか”
いち貧弱ブロガーにとっては難しすぎる命題ですが、個人的には『無理』だと思っています。
その周りで揺れている人達のお役に立てれば、との思いで書いている部分もありますが、次のような情報に接すると、事態の複雑さに暗澹たる思いを持ってしまいます。
http://d.hatena.ne.jp/kechack/20111028/p1

否定的な意見が先行してしまいましたので、少し違う思いを以下に。
3月の混沌とした時期に「放射能による発がんリスクは、毎日タバコ○○本の喫煙よりも少ない」「チェルノブイリの経験からPTSD対策が重要」などの情報発信がひんしゅくを浴びました。
当時はまだ早かったんだと思います。
汚染レベルがはっきり判り、落ち着いて考える事のできる今の時期にこそ必要なのではないか、その根拠となる科学的理由や現実の実態も、その類の情報紹介ができれば良いなあ、素人のできる範囲で、と思っています。
[ 2011/10/29 19:16 ] [ 編集 ]
私も読みました
こんにちは、私も、昨日書きました。この小松先生の話はもっと広まってほしいですね。しかし小松先生ですら、事故7か月たってやっと、山下先生がほぼ正しいと言えるようになっているという、この事実に愕然とします。これでは、素人の大多数にとっては、「安全だなんてうそだ」という高い声を信じ込んでしまうのも当然と思います。

福島市や郡山市は、南相馬よりも線量が高いところもあります。また、これらの都市は物流や人口が多いなど、「避難させられない状況がある」という噂が浸透しており、南相馬よりも深刻かもしれません。

武田、広瀬、小出氏などの講演会にだけ出ている人もいるようで、そういう人に関してどう対処したらよいのかと思います。
何かよいお考えありましたら、また教えてください。
[ 2011/10/29 14:51 ] [ 編集 ]
コメントの投稿










管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL

このブログについて
管理人 icchou から簡単な説明です 更新,追記の通知はTwitter
カテゴリ
最新記事
ブログ内検索