ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

放射線によるDNAの損傷・修復(アポトーシス・免疫システムなど、がん化防止のプロセス)

[ 2012/01/30 (月) ]
追記:本エントリー記載の多くは、2015年のノーベル化学賞『細胞内のDNA修復機構の解明研究』の内容と同じかも知れません。2015/10/7
初回公開日:2011/10/24


(既エントリーより)
放射線は細胞のDNAを傷つける
(1)確定的影響(高い放射線の場合)
 ある線量(しきい値)を超えた場合に、被爆後直ちに現れる影響・急性障害。
 造血能の低下(リンパ球の減少)、皮膚の障害、脱毛、胃腸管の障害、神経障害、不妊などがあるが、それぞれのしきい値は障害の種類によって異なる。
(2)確率的影響(低い放射線の場合)
 がん・白血病や遺伝性影響といった確率的影響(数年後に100人中がんになる人が何人増える、といった影響)も100 mSv以上では、線量とともにリスクが上昇することが判っている。確率的影響のなかで最も早く現れるのは白血病である。
 しかし、100 mSv以下の低線量被ばくでは、確率的影響がふえる証拠は疫学的・統計的に得られていない。

 この放射線は細胞のDNAを傷つける仕組みについてはかなり専門的な内容であり、今まではその関連情報を目にした時はスルーしていた。今回、判りやすい資料に巡り合った。
 サイト「あいんしゅたいん」東日本大震災-放射線の影響3 宇野賀津子(財)ルイ・パストゥール医学研究センター 基礎研究部,インターフェロン・生体防御研究室室長

【メモ】
低線量放射線の生体への影響と食の重要性:福島での市民向け講演会の経験から(基研主導研究会報告書)
低線量放射線の生体への影響と食の重要性~ “低線量放射線と対峙して生きる”を支える~


 自分なりの理解のために、以下にメモ的にまとめてみました。 素人のまとめなので、誤りや不適切表現などもあるかと思います。正確なところは原資料でご確認ください。
 *11*21、・・は関連する情報を他の資料から引用し下の方に記載した箇所です。

メモ的なまとめ

 【全体要旨】

 放射線がDNAを傷つける仕組みは自然に発生している傷と同様の仕組みであり、現状の福島の方々の被ばく線量レベルでは放射線によるDNA損傷の頻度は自然の傷より、はるかに少ないものである。
 それらの傷は、“人間が進化の過程で獲得してきた身を守るシステム”によって、何重にも直されて行く。
 具体的には、活性酸素によるDNA損傷を修復するシステム変異細胞をアポトーシスに導くシステム免疫システム、である。


 がん化のプロセスやDNA障害や修復の機構についての研究は、実は比較的新しい研究です。特に、放射線によるDNA障害の修復機構の研究は、ここ10年に大きく進展しました。低線量放射線の影響について、現在の知識を整理し検証してみましょう。

1.低線量放射線でDNAが受ける損傷

 下記の2とおりがあるが、低線量放射線の場合は、人体のほぼ70%が水である事から(b)のケースが大部分である*1 *11(a)のケースは余程の量を浴びた場合である。
 
(a)直接過程: DNA分子が直接放射線によって攻撃されて生じる場合
(b)間接過程: 水と反応を起こして活性酸素*2が発生ししてそれにより、DNAが攻撃されて生じる場合

*1 DNAの基礎~直接過程(作用)までの説明は放射線のDNAへの作用に纏めています。
*2 ヒドロキシルラジカル(•OH)、スーパーオキシドアニオンラジカルなど(O2-)は代表的な活性酸素

以下のDNAの修復の前に、余分な活性酸素を取り除く仕組み(抗酸化システム)というステップがあるとのことです。*20
2.DNAの修復、その必然性

(1) DNAの修復
 傷つけられたDNAは、すぐさまDNA修復酵素により損傷部位が取り除かれ修復される。なお、高レベルの放射線被ばくで、この修復の機能が追いつかなくなると有意な障害(確定的影響)が現れる。

 200mSv以下の場合、
(a) 単鎖切断という対となるDNAの一本鎖が傷ついた場合には、ほぼ100%修復される。
(b) 2本鎖が切断されたときは、特殊なDNA修復酵素で傷ついた部位を繋ぐケース(非相同末端結合修復)と、DNA複製が終わった特定の時期に対応するもう一方の染色体の遺伝子を鋳型として修復するケース(相同組み換え修復)がある。後者による修復の場合は精度高く修復される。

 同じ放射線量でも分割照射すると突然変異率が1/3位に低下するというラッセル等の300万匹にも及ぶマウスを使った研究(メガマウスプロジェクト)は、修復機構があることを示していると考えられます。*21 *22  

 (2) 進化の過程で獲得してきた放射線から身を守るシステム
 約40億年前、地球上に生命が誕生しました。地上には太陽の紫外線が照射し、宇宙線も強くて、最初の生命体は海の中で誕生しました。その後、光合成によりエネルギーを作り出すことの出来る植物細菌が出現すると、徐々に地球上に酸素が増えていきました。その後出現したのが酸素を取り入れ、より莫大なエネルギーを生み出す生物です。酸素というのは生体に取って、とても有用なものである反面、実はとても危険なものなのです。当然、生体は酸素の害を消去するシステムも併せて進化させました。
 (1)の(a)の単鎖切断の修復は、なんと1日1細胞あたり、多い時には50万回も起こっているとされています。(b)の修復を含めて、傷ついたDNAの大部分は日夜修復されているのです。*23

(3) 活性酸素の功罪
 活性酸素は、私達の身体では日夜生成され、消去されているのです。また、紫外線や大気汚染物質、たばこは生体内で活性酸素を作りだし、DNAや細胞成分に損傷を与えるのです。
 そういった意味では、放射線の害もタバコの害も多くの色々な変異原の作用も、対比して比較できるのです。
 活性酸素というのは、実は悪役ばかりではないのです。私たちの身体はそれを活用することもあります。例えば細菌を退治するのに、白血球は活性酸素を出して細菌を殺します。その一方生体自ら出す活性酸素は、色々な疾患の原因ともなるのです。でもこのことは、生物が細胞の中のミトコンドリアというところで酸素呼吸をするようになった宿命ともいうべきものなのです。従って、今生きている生物は、この活性酸素の害を消去するシステムも併せてもっていないと、生き残ってはおれないのです。
  活性酸素の功:殺菌・解毒,抗がん,生活活性物質の合成,情報伝達
  活性酸素の罪:老化,核種疾病,動脈硬化,発がん
活性酸素の功罪02

活性酸素の功罪

フリーラジカルと活性酸素の関係
出典:フリーラジカルの医学 吉川敏一 京都府立医科大学・学長

3.修復しきれなかった遺伝子(変異細胞)はアポトーシス(apotosis)

 それでも、修復しきれなかった遺伝子は残ることもあります。
 細胞は分裂し倍加するその過程で、その異常を常にチェックしています。特に重要なのは、チェックポイントと呼ばれている部分です。チェックポイントを通過出来なかった変異細胞は、アポトーシス*という、細胞死への道をたどるのです。
 そこで重要な役割を果たしているのがP53という遺伝子*31*32です。この遺伝子はがん抑制遺伝子として見つかりました。この遺伝子が失われると、変異した遺伝子のチェックが出来なくなり、がん化の第一歩が進みます。実際、がん細胞の多くではこの遺伝子が失われています。
* アポトーシスは静かな細胞死で炎症がおこらない。アポトーシスによってその寿命を終えた細胞はマクロファージなどの食細胞によって速やかに貧食されるので、細胞の内容物が外部に放出されず、周辺には炎症が起こりません。一見理不尽にも見えるこのシステムも、生体が生き残っていくための、重要なシステムなのです。

細胞のもう1つの死に方はネクローシス(壊死)であり、熱・エネルギーの枯渇・毒物などの強いストレスにさらされた時に起こる。ネクローシスはイオンバランスが崩れ、細胞内小器官や細胞の膨潤に続いて細胞成分の放出を伴うので、周辺組織に炎症反応を起こす。


4.変異細胞が即がん化するわけではない。がん化には長いプロセスがある

 日本においてはがんによる死亡は約3割を占めています。また、実際ヒトは80歳以上にもなると、がんを持っているケースも多くなります。
 がんの要因としては圧倒的にタバコや食事に起因するものが大きく、放射線は紫外線を含めても2%程度*1です。もちろん実際のがんはこれらの原因が複合的に関連しているでしょう。
 がんは1日でできて、短期間で命を脅かすほと大きくなるのではありません。多くのがんは20年以上前にその芽が出来ていたことになります。何故そんなにかかるのか、それはがんといえどもそう簡単に増えられない監視システムを私達はもっているからです。このがんの成長を少し抑えるだけで、私達ががんで死ぬことなく一生を送ることも出来るでしょう。これが、晩発効果は克服できる、放射線をあびてからの生き方が問われると、言われる所以です。
 放射線、たばこなどにより発生した活性酸素を除去するシステムDNA修復システム変異細胞をアポトーシスに導くシステム、また、がん化には二重三重にがん遺伝子の変異*2が起こる必要があります。このようながん化を抑制するシステムの強化こそ、大事です。なお、炎症はがん化に促進的に働きます。
*1 人の発がん原因
*2 【化学物質の安全性3】イニシエーション作用、プロモーション作用、プログレッション作用(がんのできる過程)

5.変異細胞を除去する最後の砦は免疫システム

 変異した細胞を除去する最後の砦は免疫システムです。免疫力が低下するとがんリスクが上昇するのでしょうか。答えはyesです。
 私達の身体を守るシステム免疫機構を概説しましょう。
 大きく分けて、日常的に免疫監視を行っている非特異的免疫機構と、数日から数週間たって作動する特異的免疫機構があります。非特異的免疫機構のなかで、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)というのは、日夜出現するガン細胞(変異細胞)を除去するのに働いています。NK活性の低い人は、がんになる率が高かったことが報告されています。

6.心の状態と免疫機能との関係

 NK細胞というのは、ストレスにとても弱く、恐怖や絶望はこの活性を低下させます。
 一方、笑いや生き甲斐をもつということ、心理的サポートはプラスに働くことが明らかにされています。また食事やある種の乳酸菌の摂取も、NK細胞を始めとした免疫細胞の活性化にプラスとなることも明かにされています。
 過剰な心配は、免疫力を低下させ、かえってがんのリスクを上げます。また、運動不足や抗酸化作用の強い野菜不足もまた、がんのリスクをあげるのです。過剰な心配は、本末転倒だと私は思います。

【メモ】 酸化ストレスマーカー 8-OHdGとは *61


7.リスクを過剰に言い恐怖を煽るも無責任!

 この項は単独のエントリーにしています。
 ●リスクを過小に言うのも、過大にいうのも無責任

以下は他の資料からの引用

*11

原子力機構・先端基礎研究センター  放射能とDNA損傷

 放射線によるDNAの損傷は、DNAが直接イオン化することにより生じる過程(直接効果)と、DNAの周囲にある水分子などがイオン化しその結果生じたOHラジカルなどが間接的にDNAを攻撃することで損傷が生じる過程(間接過程)の二つに大別され、その比はおおよそ    直接:間接 = 1:3 (注1)
とされています。間接効果が拡散性ラジカルのランダムヒットにより個々の損傷が比較的孤立してるため容易に修復され易いと考えられますが、直接効果の場合損傷が近接して生じる可能性が高くなります。放射線のイオン化密度*が高くなるほどより密集して損傷が生じ(クラスターDNA損傷(注2))修復タンパク質の機能を妨げられると言われています。
* 検索用メモ:LET(線エネルギー付与)

ブログ主注:本資料からだけでは、放射線の強さ(Bq)が判らないが、素人的にはBqが小さいほど直接効果の比率が低いと理解している。
また、β線・γ線に限れば間接作用のみで直接作用はない、との事である。詳細は放射線のDNAへの作用
に纏めてあります。

*20

放射線の人体影響の現実と生体防御機構を直視する(松原純子 放射線影響協会研究参与 2012.11)
放射線の人体影響の現実と生体防御機構を直視する


*21のa

http://www.iips.co.jp/rah/kangae/lowdose/ganni_s.htm

 放射線による致命的な傷はDNAの2本鎖の切断で、これは、「非相同末端結合修復」と「組換え修復」で修復されます。前者は短時間で修復作業が完了しますが、2本鎖切断の一部しか修復しません。残りは組換え修復の作業ですが、この修復作業には時間がかかります。したがって、放射線による傷が少しずつできるときは、最初の傷が組換え修復で修復が完了してから次の傷ができれば、この傷も修復が完了するでしょう。しかし、瞬時の照射では、修復できない傷がたくさん残存します。ガンマ線の瞬時の照射では奇形が多発し、少しずつの照射では奇形リスクがゼロになったのは、2本鎖切断の修復効率が少しずつの照射では向上するからだと考えられます。図1に組換え修復の模型を示します。(ここで述べるマウス実験の原著:Kato et al, Inc J Radiat Biol 77,13,2001)
(引用資料の原著は近藤宗平:「人は放射線になぜ弱いか」講談社ブルーバックス(1998)に譲る)

ブログ主注:本資料の引用元は「放射線と安全を考える会」であり、近藤宗平大阪大学名誉教授も会員の一人である。

*21のb

朝日新聞デジタル版2012/6/4有料記事の紹介ブログ「山田ババでございます」から

 長崎大大学院医歯薬学総合研究科の鈴木啓司准教授(放射線災害医療学)らが6/3、第53回原子爆弾後障害研究会で発表。
 ヒト細胞500個に100mSvを20分間あてて、時間ごとの回復度を観察。放射線でDNAの二重鎖が切れる傷が、細胞核1個あたり平均4つできて、傷の数は1時間後に最大となったが、傷は6時間後に75%、12時間後に25%弱まで減り、24時間後には被曝前に戻った
一方、250mSv以上の放射線をあてると、24時間経ってもDNAの傷は被曝前より多いままだった。

(関連情報)
DNA損傷は線量に比例 年齢かかわらず 100ミリシーベルト以下も
高線量と違い随時修復 発がんメカニズムに新説
がん発症 定説に疑問 国家レベルの研究必要


*22

●「toshi_tomieのブログ」2012/2/9 放射線は得体の知れない特別な障害を起こす、という誤解(2)ーー細胞は、DNA損傷を修復する能力がある、を示す実験データ

(1) 絶対温度4度(摂氏-269度)での実験
(2) 線量率が低いと、遺伝子の突然変異の頻度が減る(W.L.Russell等の急性曝露と緩慢曝露の実験)


*23のa

http://www.iips.co.jp/rah/kangae/lowdose/ganni_s.htm

 長い間、DNAの2本鎖切断は、放射線でしかできない傷であるとして、これが放射線が特別にこわい原因であると信じられていました。しかし、最近、組換え修復のときに働くRad51遺伝子(図1cの説明参照)を欠損したマウスの卵は、受精後数日で全部死亡することが発見されました。この原因は、分裂細胞にはDNAの2本鎖切断が自然に多発し、Rad51遺伝子欠損の細胞では組換え修復不全となり、細胞が全部死んでしまうからです。すなわち、放射線でできるDNAの傷は、全て自然にも発生しているのです。したがって、放射線は独特のDNA損傷をおこすものとして、特別にこわがらねばならない科学的根拠はなくなりました。では、どの程度の被ばくまでなら、放射線は安全でしょうか? 表1にこの疑問に対する答えの資料を用意しました。
DNAの損傷の種類と量
表1 DNAの損傷の種類と量:自然によるものとX線やガンマ線によるものの比較

 DNA2本鎖切断は、自然に毎日細胞1個あたりに約10個発生していると推定されます。放射線を自然放射線の平均の強さの365倍受けるとすると、毎日1ミリシーベルトになり、この程度の被ばくによる2本鎖切断は表1から毎日0.03個で、自然の傷の0.3%です。この程度なら、自然の傷の治癒機能の範囲内で私たちの身体はびくともしないでしょう。
(引用資料の原著は近藤宗平:「人は放射線になぜ弱いか」講談社ブルーバックス(1998)に譲る)

ブログ主注:本資料の引用元は「放射線と安全を考える会」であり、近藤宗平大阪大学名誉教授も会員の一人である。

*23のb

JAEA 放射能とDNA損傷

DNA損傷の表

ブログ主注:上記2つの表の放射線は1000倍違う。

*23のc

分子レベル:「放射線障害への細胞応答の放射線生物学的検討」 林正信教授
活性酸素は細胞のミトコンドリアでのエネルギー産生の中間物質として多量に産生されており、その5~10%がミトコンドリアから漏出して細胞成分と反応し、放射線と関係なく種々のDNA損傷が、細胞当たり1日数万個生成していると推定されている。
細胞でのエネルギー産生に伴う活性酸素の産生
DNA損傷の生成

ブログ主注:この表の数値は23のaと同じですね。

*23のd

放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(環境省)
DNDの損傷と修復(環境省)

ブログ主注:この表の塩基損傷の数値は他の表とかなり違いますね。

*23のe

(専門家が答える 暮らしの放射線Q&A 2013/1/23)活性酸素によるDNA損傷について教えてください。
自然発生(活性酸素由来)と放射線由来によるDNA損傷は、どちらも直接的には活性酸素によるものですが、活性酸素の空間的な分布の違いによって、質的な違い、つまりDNA損傷がクラスター化するかどうかが異なります。この損傷の生成は線量や線量率に依存しますが、線量が低くなると検出することが困難であるため、低線量での実験的な報告はほとんどありません。

 
*31

ついに解明 ストレスがDNA損傷を引き起こす理由/デューク大学

 p53は腫瘍抑制タンパク質であり、ゲノム異常を予防する「ゲノムの守護者」とみなされている。
「この研究から慢性ストレスがp53値の低下を長期化させることがわかりました」と、Makoto Hara医学博士は述べた。「これこそが、この慢性ストレスを与えたマウスで認められた染色体異常の理由であると、われわれは仮説を立てました」。


*32

低線量放射線の正しい理解に向けて
 (財)電力中央研究所の資料だが、ブログ主が知らない固有名詞が多く難しい。言及の範囲は宇野賀津子さんの本文とほぼ同じ範囲。その中から、ごく一部のみ引用。

 がん抑制遺伝子p53は、DNA が放射線によって損傷したという信号を受け取ると、p21waf1 と呼ばれる遺伝子を介して細胞が分裂する速度を遅らせ、修復のために充分な時間を確保する。また、GADD と呼ばれる遺伝子を介してDNA の修復能を活性化する。一方ではBAXと呼ばれる遺伝子を介して細胞を自爆(アポトーシス)に導き、これにより充分な修復を受けることのできなかった細胞を排除する。p53は、これらの3つの作用を司る重要な遺伝子と見られている。

ブログ主注:上記部分を解説しているブログです。
●「toshi_tomieのブログ」2011/5/11 低線量率で突然変異率の大幅低下ーーp53遺伝子によるアポトーシス(自爆)作用
【個人的メモ】
●「六号通り診療所所長のブログ」2013/1/5 食道癌の早期診断マーカーとしての抗p53抗体の有用性について

*61

「六号通り診療所所長のブログ」2012/10/16 酸化ストレスマーカー「8-OHdG」の話

 実際にはこのマーカーは、癌は勿論のこと慢性肝炎でも糖尿病でも心不全でもアルツハイマー病でも上がり、心筋梗塞においては急性期に上昇してそれから低下します。喫煙や飲酒でも上昇し実際に精神的なストレスでも上昇するという報告もあります。更には激しい運動をすればその翌日には上がり、魚類食品にはこの代謝物が含まれているのでそうした食品を多く摂った後にも上がります。
 つまり、実際にはあまり特異性がない訳で、現時点では、この物質の数値のみで何か意味のあることは言い難いと思います。
 最近この数値を放射線被ばくの影響として測定することが、一部の医療機関で行なわれていますが、勿論放射線によるDNA損傷においてもこの測定値は上昇すると思いますが、当然ストレスでも上昇しますから、その測定には左程の特異的な意味があるとは考え難く、皆さんも無用な出費はしないように慎重にお考え頂ければと思います。

「日本老化制御研究所」酸化ストレスマーカー 8-OHdGとは

 8-hydroxy-2’-deoxyguanosine (8-OHdG / 8-oxo-dG:以下8-OHdG)はDNAを構成する塩基の一つデオキシグアノシン:deoxyguanosine(dG*の8位が ヒドロキシル化された 構造を持つDNA酸化損傷マーカーである。dGはDNAの4種類の塩基のうち最も酸化還元電位が低いため、活性酸素による酸化を受けやすい。 このためdGの主要な酸化生成物である8-OHdGは活性酸素による生体への影響を鋭敏に反映する。現在最も広く用いられている酸化ストレスマーカーの 一つであり、動物種を問わず尿を使って非侵襲的に生体内酸化ストレスを評価できるほか、血清、末梢血白血球、臓器組織など多様なサンプルを 対象に測定できる。
 染色体DNA上に形成された8-OHdGは修復酵素の作用により染色体DNAより切り出され細胞外に放出、腎臓を経て尿中に排出される。
 酸化ストレスの上昇は分子レベルの生体酸化損傷を増加させ、様々な疾病や老化亢進に つながると考えられており、がん、糖尿病、高血圧といった生活習慣病をはじめとして数多くの疾病において酸化ストレスが重要な役割を 果たしていることが明らかにされつつある。生体内の酸化ストレスを正確に評価し、酸化ストレス低減のための対策を施すことは、 病態把握、未病診断、病気予防、老化制御に役立つと期待されている。
* グアニンとデオキシリボースがグリコシド結合してできたヌクレオシド (詳細はこちらの図を参照ください)

(関連文献)http://plaza.umin.ac.jp/e-jabs/32/32.297.pdf



つぶやき

 細かな部分で、本文と他資料引用で内容が異なっている箇所もあります。ただし、全体は同じ事を言っていると解釈しています。
 これらのDNA障害や修復の機構からの方向性は、LNT仮説に疑問符がつき、しきい値説が有力になるように思います。(念のため付け加えますが、宇野賀津子さんはそこまでは言及していません)


関連エントリー(新しい順)

●放射線のDNAへの作用(染色体、遺伝子、直接作用と間接作用、電離や励起、活性酸素)
●LNT仮説ほか、放射線の“確率的影響”を巡る諸説のまとめメモ
●【改定】核分裂、放射線、ベクレル(Bq)とシーベルト(Sv)、人体への影響

【個人的メモ】
がんをどう理解したらよいか~発がんメカニズムから考える~(WEB公開講座) (滋賀医科大学 分子診断病理学部門)
●我楽多頓陳館 ガンと遺伝子
●放射線の性質と生体への影響(化学同人)
[ 2012/01/30(月) ] カテゴリ: 放射線,放射性物質の勉強 | CM(0)
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