ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

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【風評被害03】関谷直也准教授の解説(後編)

[ 2011/10/17 (月) ]
【風評被害02】関谷直也准教授の解説(前篇)からの続きです。

5.風評被害とジャーナリズム

 災害を社会における極めて重大な出来事として、問題・被害の強烈さを強調し大々的に報道を行う。視聴率を稼げるように視聴者の関心を惹くために、ニュースも「パターン化された映像」として垂れ流しされる。そこには、プラス面マイナス面がある。
●プラス面
 政治的インパクト(災害後の立法に繋がる。ex原子力対策特別措置法、被災者生活再建支援法)
 災害地域への支援の呼び水
 社会一般に災害への注意を呼び掛け
●マイナス面
 風評被害などの経済的インパクト
  復旧・復興面は報道量が少ない。(他の事件・事故がおきている)
  安全な地域、安全であることに興味はない。(金儲けという視点からすると視聴率が稼げない報道はしない)
●報道量と報道される期間
 ある事柄に関して「報道量が大量」の場合に、多くの人々が報道の影響を受けることは自明であろう。2000 年日本での狂牛病問題に関して、問題が報道され始めの9月よりも、テロ報道が一段落し、狂牛病の報道量が増大していった10月以後に、より消費者の牛肉離れが進んだこともこのことを裏づけている。

6.風評被害の発生プロセス

 以下のようなステップで風評被害が成立となる。
(1) 市場関係者・流通業者が想定
 「人々は安全か危険かの判断つかない」「人々が不安に思い商品を買わないだろう」と市場関係者・流通業者が想定した時点で、「だから値を下げよう。取引は遠慮しよう」と取引拒否・価格下落という経済的被害が成立する。人々の反応を見るまえに「消費者の行動を想像」してまず市場関係者・流通業者が反応してしまうのである。

(2) 科学者・評論家・識者の想像
 科学者・評論家・識者などが(1)の経済的被害を風評被害と指摘する。それが報道される。
 彼らは、想像上の「人々の心理・消費行動」として、「人々は危険か安全かの判断がつかないから不安に思ってその土地・食品・商品を忌避するのだ」と考えやすい。これらが彼らの意見として報道される。

(3) 政治家の言及
 政治家が風評被害に言及するときの力点は、人的被害・環境汚染はないこと、もしくは風評被害をスケープゴートとして経済的被害の責任が自分達にないことの主張にある。これらの立場は、狂牛病発覚時に農水省職員が「風評被害が怖い」と言ったり、ダイオキシン報道を「風評被害が問題だ」とした自民党議員の表現に顕著に見られる。そして、これらの風評被害への言及が報道される。

(4) 報道
 ①経済的被害、②事業関係者・科学者・評論家・市場関係者の認識、③街頭インタビューの「人々の悪評」などが報道され、社会的に認知された風評被害となる。

(5) 「忌避」する消費行動
 報道量の増大に伴い、多くの人々が「危険視」による「忌避」する消費行動をとる。事業関係者・市場関係者・流通業者の「想像上の『人々の心理・消費行動』」が実態に近づき、風評被害が実体化する。

7.風評被害は《うわさ》による被害ではない

(1) 関谷准教授による《うわさ》の説明
 報道に起因しない人々のコミュニケーションの連鎖としての言説・情報・流言が《うわさ》である。
 《うわさ》は「不安」と「正確・詳細な情報の不足」によってもたらされ、情報が人伝えに拡散される連鎖的なコミュニケーション現象
 《うわさ》が流れる心理的背景:「危険」とは思わないが不安

(2) 《うわさ》と風評被害の違い
 ●《うわさ》は関心の強い、不安を感じる人の間で流れる。根拠がなく口コミなどでひろがる。
 ●風評被害は関心の低い人、危険視する人によって引き起こされる。
→この部分は、実感としてちょっと難しい。netのない時代は“うわさは口コミなどでひろがるが風評被害と違う”が実態だったと思うが、今は・・・・

(3) 《うわさ》で風評被害が起きた事はない
 人々のコミュニケーションの連鎖としての《うわさ》によって風評被害が生じたとされた事例は過去にない。豊川信用金庫事件など《うわさ》が原因となった被害や証券取引法158条「風説の流布」が問題となった事例はあるが風評被害とはされてないのである。
→(前篇で紹介した)8月中旬の「福島県内で製造された生理用品から高放射能」が、まさに“関心の強い、不安を感じる人の間で流れた”《うわさ》だが、この類が風評被害に発展する可能性も。

8.風評被害の対策

 まずは風評被害のことを正しく知ることである。
 そして、問題となっている食品や商品について、「安全なのに風評被害を受けている」と分かっているならば、不安でも、あえてその食品や商品を買うくらいのことをする。流通業者は、これを前提に流通させることを心がける。「うわさは智者で止まる」という。周囲の感情に流されず智者となる。それには、本書で縷縷(るる)と述べてきた、風評被害のメカニズムを知ることが大事である。
 さらに、政府、東電、原子力関係者は、疑心暗鬼を広めないために、放射線量などの正しい数値を隠すことなく明らかにする。
 今後は、風評被害は避けられないものとして、その対応策を防災対策の一環として考えておかなければならない。

つぶやき

1.今回の勉強の結果として判ったのは、“原発放射線による食品汚染問題は、従来の風評被害の概念から外れる”という事です。(関谷准教授も前篇冒頭の7/25日経ビジネスオンラインのインタビューでその様に述べている)
 実は、今回の勉強の動機のひとつは食品汚染問題に何らかの方向性を見いだせるのではないか?との思いでもあったためですが、さらに迷路に入ってしまった感があります。では、どの様に考えるか?追伸にまとめました。

2.偏見・差別という風評被害について
 これらの類は、関谷准教授の定義からは外れますが、前篇4項の条件が揃っているのだから今後も再発するのであろうと。ただし、8項をヒントにすれば、ある程度は防ぐ事も可能だという事が判りました。



3.寺田寅彦の流言蜚語
関東大震災の翌年の大正13年(1924年)に東京日日新聞に掲載されたものですが、書かれている本質は、今でも全く通用するものだと思いました。
なお、リンクは、“インターネットの電子図書館、青空文庫”からのもので、ここには寺田寅彦の作品が288作品掲載されています。


関連エントリー(新しい順)

●【追伸】風評被害の概念から外れる食品放射線汚染問題をどう考えるか? ←追伸です
●【風評被害03】関谷直也准教授の解説(後編) ←本エントリーです
●【風評被害02】関谷直也准教授の解説(前篇)
●【風評被害01】科学的根拠で判断を 原発の風評被害
[ 2011/10/17(月) ] カテゴリ: デマ風評ゼロリスク不信専門家 | CM(1)
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[ 2011/11/17 15:56 ] [ 編集 ]
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