ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

よつば保育園の除染結果報告(南相馬市での除染活動)、農地土壌の除染

[ 2011/09/16 (金) ]
 除染活動が紹介されています。頭が下がる思いです。感謝の気持ちを込めて引用させて頂きます。関連情報として、農水省が発表した農地土壌の除染技術評価、ヒマワリに効果がない事、林での放射性セシウムの分布など、を下の方に記載。

 医療ガバナンス学会(MRIC)9/14のエントリーVol.269 よつば保育園の除染結果報告(南相馬除染研究会 坪倉正治 *1
*1(ブログ主注)南相馬市立総合病院の非常勤医で、東京大学医科学研究所 先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門研究員

【全文引用】

 南相馬除染研究会では、8月15日から1週間、南相馬市原町のよつば保育園の除染を行った。被ばくをできるだけ低減させるために、除染は不可欠であるにもかかわらず、その具体的ノウハウについては情報が少ない。今回はその方法と結果について報告したい。
 除染前に行った放射線測定は、できるだけ細かく行った。ホットスポットを漏らさず発見するためだ。屋内ではそれぞれの部屋の中央、およびその窓際、廊下や 玄関前など、計55ポイント、屋外では東西南北それぞれの壁周辺、園庭、屋根、雨樋を合わせて約100ポイントで測定した。それぞれのポイントで5cm、 1m、 2mの高さで空間線量を測定している。合計で400回程度、測定除染前後の測定を合わせると800回程度の測定を行った。
 実際、測定には2日間を要し、マップ作りもかなりの作業時間を要した。しかしながら、この測定のおかげで多くのホットスポットを見つけることができた。雨 樋や側溝だけではない。ちょっとした凹み、草木、壁のコケ、付着している泥など、ほんの測定場所を5m移動するだけで、状況はがらりと変わり、線量も大きく変化することを認識できた。園庭と言っても真っ平らではない。少しの凹みが線量の変化を生み、壁の少しのくぼみや水の溜まりが、コケや泥の溜まりを生んでいるのだ。このきめ細かい測定は、安心安全プロジェクト吉田邦博さん、田中節夫さんやサードウェーブの益永勉さんが行ってくれた。
 高圧洗浄機で屋根や雨樋を洗い、園庭の土を剥ぎ、雑草を根から抜くという作業3日間かけて行った。これは石川建設さんのご協力が無ければ不可能であった。やはり高所の作業は危険で、素人のやるものではない。表土を剥ぐには5cmといわれているが、実際には砂質によってどの程度剥ぐべきかを細かく考える必要があった。滑り台の下や、ブランコの下などくぼみの部分にはより多く放射性物質がたまっているため、やや深めに掘る必要がある。砂質も問題で、砂場は 水などしみ込みやすいため、深めに掘らないと線量の低減はみられなかった。一旦5cm大まかに剥いでから、再度測定し直し、高い場所を細かく掘り直すやり 方が功を奏した。園庭では平均0.78μSV/hから0.33μSV/h(-58%)へと線量の低下がみられた。しかしながら、他の敷地の境の土は壁の耐久性の問題であまり剥げなかったり、狭い通路は対応できなかったりと課題も残った。
 草木に関しては、ただ草木を刈るだけでは線量低減にあまり効果がなかった。土を掘り返さず雑草の上だけを刈ると、逆に線量が高くなる場所も多かった。そのような場所は表土剥ぎを含めた雑草の除去の効果が高かった。草木の伐採は景観にも影響する。切りたくない木は枝打ちで対応したり、園児が生活する建物に近い場所(5m程度までの範囲にあるもの)にあるものは伐採したりと個別対応が必要だった。
 園児がよく遊ぶ木の遊具の回りの線量が高かった。取り壊すのはやや忍びなかったが、園長先生のご判断で取り除くこととなった。実際にそこで生活していらっしゃる方との対話の中で、草木や遊具、その他の建造物を取り除くか否かの相談をしながら作業を行うことが重要であると思う。
 今回の作業を通して、重要なことはどの場所の線量を下げるために除染を行っているのかを意識しなければならないことだ。土を剥ぐ、水で洗う、草を抜くという3つの動作で、放射性物質をできるだけ生活する場から離す。今回の除染も、園児がその多くの時間を過ごす建物近くの放射性物質を遠ざけるのがその目標だった。表土を剥ぐにも建物に近い園庭を重点的に行い、草木の伐採、側溝の洗浄も、建物に近い場所を重点的に除染した。結果的に、一階で、1mの空間線量の平均が除染で0.39から0.28μSV/h(-27%)に低減。二階では、0.34μSV/hから0.27μSV/h(-20%)に低減した。
 しかしながら、いくつか問題点も残っている。一つ目は放射線物質の保管だ。今回は保育園からやや離れた駐車場に6m×6m×2mの穴を掘り、その場所に土 砂や草木を埋めた。その駐車場近くのアパートがあったが、近藤園長先生が一軒一軒まわり事情を説明して回った。できるだけ早く、保管場所と方法が確定することを望む。二つ目は、隣家や近くの側溝など、よつば保育園に近い場所にも関わらず、敷地ではない場所へ介入できないという問題だ。そばに川には雑草が生い茂っていたが、県の管轄であり勝手に介入できず、側溝についても上蓋をとって洗い流したいが、敷地外でできなかった。三つ目は作業員の安全の確保だ。放射線被ばくの管理もだが、熱中症も深刻な問題だ。20人以上の方が参加してくださり、皆汗と泥だらけ。実際に熱中症で気分が悪くなった方もいた。
 今回の結果は、妊婦宅と同様、子供のために線量をできるだけ下げたいという気持ちで集まった多くの方々の協力でなし得たものである。よつば保育園の近藤真紀子園長、近藤能之副園長、原町中央産婦人科院長 高橋亨平医師、安心安全プロジェクト吉田邦博さん、田中節夫さん、石川建設、放射線測定機器販売会社 サードウェーブ社のスタッフの方々など、皆さんに感謝したい。


【関連情報】

 ●「3.11東日本大震災後の日本」9/14 農水省が発表した農地土壌の除染技術評価-ヒマワリは使えない!
 農地土壌の除染に関する情報が整理されて大変詳しく記載されています。農地以外にも当てはまりそうな情報もありました。
 【極めて一部のみ引用】
 表土の削り取りというのが一番効果が高く、一方で高吸収といわれていたひまわりについては、「単位面積あたりの吸収量は作付け時の土壌の放射性セシウムの約1/2000であり、効果は小さい」と結論づけられています。
 基本的な土壌中のセシウムの情報がまとめられています。
(1)耕起していない土壌の表面から2.5cmの深さに95%の放射性セシウムが存在する。
(2)放射性セシウムは土壌中の粘土粒子と強く結合しており、容易に水に溶出しない。
(3)放射性セシウムは粘土やシルトなど細かい土の粒子に多く結合している。

 ●朝日新聞9/14 ヒマワリは除染効果なし 農水省が実験結果公表
 農水省除染

【9/17追記】
 ●「3.11東日本大震災後の日本」9/15 文科省が発表した森林の放射性セシウムの蓄積-林の中の雨は外の100倍のセシウム!
 これは、筑波大学が中心になって実施したもので、針葉樹林、広葉樹林での放射性セシウムの分布を調べたものです。

【9/26追記】
 ●「早川由紀夫の火山ブログ」9/15 いまがチャンス 道路脇や側溝の掃除
 早川由紀夫群馬大学教授の発信です。

【10/5追記】
 ●「3.11東日本大震災後の日本」10/4 農水省の発表した、森林の除染のテストは意外にゴミが多く出る
 農水省9/30発表の「中間とりまとめ」。内容は二つあり、一つは森林内の放射性物質の分布調査の結果について。もう一つは、森林を除染する場合にどのようにしたらいいか、ということをテストしたものです。

【10/18追記】
 ●「BLOGOS」10/17 「放射線の原因は5m以内にある」南相馬の医師が語る、除染活動の実情坪倉正治

【関連エントリー(新しい順)】

●「Csの挙動などの勉強・知識」エントリーのリスト
●放射線から健康を守る学習会 in 白河市
●よつば保育園の除染結果報告(南相馬市での除染活動) ←本エントリーです
●放射性物質を含んだ土の「中間」貯蔵などありえない
●掘って埋める、その前に(南相馬市での除染活動)
●米原発専門家に聞く「文科省の学校土壌処理は汚染拡大招く時代錯誤」
[ 2011/09/16(金) ] カテゴリ: 今では古い陳腐化情報 | CM(0)
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